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2015年7月25日 11時33分12秒 (Sat)
『なつかしき笛や太鼓』木下恵介が製作・脚本・監督を務めた、木下プロ第一回作品を知ってますか。ご存じでしたか。
『なつかしき笛や太鼓』木下恵介が製作・脚本・監督を務めた、
木下プロ第一回作品を知ってますか。
ご存じでしたか。
「二十四の瞳」にも似た“ヒューマニズムドラマ”の傑作
なのですが、 バレーボール試合の臨場感が素晴らしい“スポーツもの”の傑作
でもあります。
まだ、9人制バレーボールの頃のストーリーです。
この映画は、バレーボールを題材にした昔流行った
“熱血先生によるスポーツ指導もの”の先駆け的な映画ですが、
穏やかな騒動と奮闘に心が温まります。
そして、”戦うバレーボールの試合描写は、
等身大の“中学生の地区大会”を描いて見事な臨場感を出しています。
素人児童の未熟な技術での試合を見せています。 そして、まるで運動場で眺めているかの様な
“生徒達のリアルな下手さ”が見ている人には、
“奇跡的に繋がるラリーやレシーブに拍手し”、
勝負所での“サービスオーバーやお見合いミス”に落胆させて、
まるで、現実の地方大会の試合会場にいる臨場感のような
手に汗握る感覚を体験させてくれます。
昭和29年、教師家田(夏木陽介)は戦友の遺児の住む
香川県塩飽地区小手島(おでしま)という小さな島の学校に
自ら志願して赴任してくるところから始まります。
この島は極めて貧しく、大人も子供も荒んでいます。
特に大人である漁師たちのモラルのなさは酷く、
夜になれば子供たちまで誘って博打に興じる有り様なのです。
毎年塩飽地区の体育大会が開かれますが、
小手島(おでしま)は必ず最下位。
他の大きな島からいつもバカにされてしまい、
子供たちは、なにごとにも自信なさげにいじけて萎縮しています。
熱血教師の家田は子供たちにバレーボールを教え始めます。
そして、親たちの無理解などの障害を乗り越えて、
子供たちはバレーボール大会に出場し、 見事優勝を飾ります。
親たちも喜び、
満艦飾の大漁旗の船と笛や太鼓で子供たちを出迎えます。
ここで感動のシーンで熱いものがこみあげてきます。
子供たちの活躍が大人たちにも勇気と自信を与えたのです。
夏木陽介は、当時出ていたテレビの熱血教師を地でいく熱演ぶりです。
木下監督も島の美しい四季を描いてさすがです。
圧巻なのは映画の3分の1を占めるバレーボール大会のシーンで、
40分近く続きます。 本当にその場で試合を観ているような臨場感があって興奮します。
小手島の子供たちに思い入れていたので、
思わずつりこまれました。
映画を観ていて思わずガッツポーズが出てしまいます。
当時の映画劇場全体がそんなムードになり、
ブロックがネットを伝って小手島側に落ちた時に、
ため息が漏れたことがあったらしいです。
試合の合間に、
子供たちのために氷を買いに走る校長(谷口完)もいい。 13年間小手島で教師を続け、
島を去る家田夫妻(夏木陽介・大空真弓)を、
島のみんなが大漁旗と笛や太鼓で見送るシーンも感動的です。
美しいカラー撮影と明朗なドラマが心地良い作品でした。
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