原作は中世が舞台であるため、おかみさんが成りたい地位が 王様 だったり 法王 だったりして、 現代人には共感しづらい部分もあったと思いますので、私の小説では、そのへんをモダンな地位に置き換えてみました。読者の皆さんも、おかみさん(妻)の視線に立って、どんどん偉くなっていく 成り上がり気分を楽しんでいただければ幸いでございます。
もともと、私は 最後のオチだけを書きたかった ので、時代や小道具類こそ現代風のものに置き変えてはありますが、大まかな話の流れまでは変更していません。ただし、 出来事に対する説明が違っています。
たとえば、原作のおかみさんは ただひたすら偉くなりたかっただけ ですが、私の小説の妻は、新しい地位についても、 その地位なりに悩みや不満点があるのが気に入らなくて、さらに別なる地位を望むのであります。原作で海が汚れていくのは 象徴的 なものでしたが、私の小説の場合は 「妻の悪政のせい」とはっきりした理由を示しています。
つまり、一見、同じストーリの流れなのですが、私の小説は原作とは ところどころの解釈(特にオチの部分)が違っている のであり、だからタイトルが 「新釈・漁師とおかみさん」 なのであります。
「ルシーの明日とその他の物語」
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