「どうして?素晴しい家じゃないか。私たちにはもったいなさ過ぎるよ」
「そう、そこよ!家ばかりでかくても駄目なの!私たち、お金が無いじゃない。この家に見合った生活をしていけないわ」
「おいおい。何を言ってるんだ」
「こんな立派な豪邸に住んでるんだから、毎日、ごちそうも食べたいし、高い洋服だっていっぱい欲しいわ。海外旅行もしたいし、召使いだって沢山雇わなくっちゃ!とにかく、お金が足りないのよ!ヒラメさんに頼んで、私たちを死ぬまで贅沢し続けられる億万長者にしてもらって!」
結局、男は妻の言いなりになるしかなかったのだった。彼は再び、自分の家と岸壁の間を往復する事になった。
『なるほど。奥さんの言い分も確かに一理ありますね』
男の相談を受けた物体は、怒る訳でもなく、意外にも協力的なのだった。
『では、あなた達を世界一の大富豪に変身させましょう。ただし、今までほど簡単な話ではありませんよ。あなた方が金持ちである事を世間や社会にも合致させる必要がありますから。あなた方がお金持ちとなる原因を過去にでっちあげる為、過去もかなり修正しなくてはいけません』
「何だって!」 男は思わず声を上げた。
この物体は、一体何を言っているのだ?どうやら、自分の願いを叶えてくれる為だけに、 世界そのものまで変えようとしているみたいなのである。 (つづく)
「ルシーの明日とその他の物語」
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