特撮やアニメのヒーローものは、 同じ敵(多くの場合は、悪の組織)と全編を通して戦う作品 と、 1話完結方式で毎回違う敵と戦う作品 の、大きく2タイプに分類する事ができる。前者の代表が 「仮面ライダー」 であり、後者の代表が 「ウルトラマン」 だ。 1シリーズごとに、敵の組織が交代するような作品 も、「仮面ライダー」パターンだと考えてもいいだろう。
しかし、数多い特撮・アニメ作品の中には、この2パターンが混合しているような作品も見受けられる。すなわち、 最初は悪の組織と戦っていたのに、途中でその悪の組織が滅びてしまい、あとは特定の敵とは戦わない1話完結スタイルに変わってしまう作品 とか、それとは反対に、 最初は1話完結スタイルだったのに、中盤から常連の悪の組織が登場するようになる作品 だ。
これらの変則パターンに当てはまる悪の組織を、昭和の作品に限定して、気付く限り、書き出してみよう。
<途中退場した悪の組織>
パルタ星人 (1966年 「レインボー戦隊ロビン」 )
バンデル星人 (1967年 「キャプテンウルトラ」 )
ギロン星人 (1967年 「光速エスパー」 )
ヤプール (1972年 「ウルトラマンA」 )
ゴドメス軍団 (1978年 「恐竜戦隊コセイドン」 )
<途中参戦した悪の組織>
国際ギャング連合 (1964年 「エイトマン」 )
X帝国連合軍 (1968年 「リボンの騎士」 )
吸血魔人クモンデス (1972年 「好き!すき!!魔女先生」 )
サタン帝国 (1976年 「ザ・カゲスター」 )
大魔王ガルバー (1976年 「超神ビビューン」 )
ヘラー軍団 (1979年 「ザ☆ウルトラマン」 )
宇宙魔王 (1981年 「太陽の使者 鉄人28号」 )
海槌一族 (1985年 「スケバン刑事」 )
もちろん、これで全てなのではなく、平成以降も、 「ウルトラマンG」 (1990年)の ゴーデス や、 「美少女仮面ポワトリン」 (1990年)の ディアブル 、 「妖怪人間ベム」 (2006年)の ダーナ・オシー など、 敵キャラが途中参戦したり、途中退場するような展開は、あちこちの特撮やアニメで見かける事となる。
近年の作品の場合は、 これらの敵キャラの途中参戦・退場すらも、作品の原案が練られた段階から決められているケース の方が主流なのであるが、昭和の古い作品だと、作品のテコ入れ、いわゆる、 番組の強化策として、唐突に、敵キャラの途中参戦や退場が採用される場合も少なくなかった。
その典型例が、 「キャプテンウルトラ」 の バンデル星人 である。実は、「キャプテンウルトラ」は、バンデル星人編の終了後は、第2の常連の敵宇宙人(コミカライズでは バルガン星人 )が登場する予定だったのが、 バンデル星人編の視聴率が振るわなかったものだから、それで、一貫した敵が出てこない 「怪獣ぞくぞくシリーズ」 へと変更されたと言う経緯があるのだ。
このように、特撮やアニメでは、敵キャラの登場形態ひとつに注目してみても、その背景にある思惑とかが垣間見える事もあって、なかなか面白いのである。
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image