まだ外は暗いが珍しく鬱も不安もほとんど無い.
おととい役所で順番待ちをしているときにしていた計算の続きをする.
一連の計算は, もうひと月近く躓いているような気がする. やっていることはおそらく代数的トポロジーの初歩. 自分には代数的トポロジーの素養が無いために基本から勉強する必要があり大変だったが, 面白いので冬休みの自由研究のつもりでやっている.
$X$ を弧状連結な位相空間とし, $X$ の基本群 $\pi_1(X)$ を定義する.
通常はまず点付き位相空間 $(X, x_0) (x_0 \in X)$ に対する基本群 $\pi_1(X, x_0)$ を定義し, その後 $\pi_1(X, x_0)$ が $X$ の点 $x_0$ の取り方によらず常に同型になることを導く. これにより, $\pi_1(X, x_0)$ を単に $\pi_1(X)$ と記し $X$ の基本群と呼ぶ.
つまり $\pi_1(X)$ を実際に取り扱う場合には点付き位相空間に対するある基本群 $\pi_1(X, x_0)$ を扱う.
これをもう少しすっきりとできないかと考えた. $I$ を閉区間 $[0, 1]$ としたとき $X$ 上のループ空間 $\Omega(X)$ を
$\Omega(X) = \{ \alpha \bigm| \alpha : I \rightarrow X$ かつ $\alpha$ は連続写像であり $\alpha(0) = \alpha(1)$ が成り立つ. $\}$
と定義する. $\Omega(X)$ の元を $X$ 上のループと呼ぶ. $X$ 上の任意の 2 つのループ $\alpha_0, \alpha_1 \in \Omega(X)$ に対してある連続写像 $F : I \times I \rightarrow X$ で
$F(t, 0) = \alpha_0(t)$, $F(t, 1) = \alpha_1(t)$,
$F(0, u) = F(1, u)$ (すなわち $u \in I$ を任意に固定したとき, $F(t, u) \in \Omega(X) (t \in I)$ となる)
を満たすものを $\Omega(X)$ におけるループ $\alpha_0$ からループ $\alpha_1$ へのホモトピーと呼び, これを
$\alpha_0$ $〈homotopy/\Omega(X)〉$ $\alpha_1$
と表わすことにする. $〈homotopy/\Omega(X)〉$ は $\Omega(X)$ 上の同値関係になる.
ここで, $X$ に対する基本群を $\Omega(X)$ の同値関係 $〈homotopy/\Omega(X)〉$ による商空間
$\pi_1(X) = \Omega(X)\big/〈homotopy/\Omega(X)〉$
として定義したい. この場合, 点付き位相空間から定義した基本群 $\pi_1(X, x_0)$ との関係, $\pi_1(X)$ 上にどうやって群の構造を定めるかなどについていろいろとあまりきれいではない計算をする必要が出てくる. そういう意味で, 点付き位相空間から定義した基本群 $\pi_1(X, x_0)$ の群構造のみに注目して $\pi_1(X)$ と記すやり方にはそれなりの理由があると思える.
ただ, 自分が勝手にやっている自由研究なので, 実際にその計算の "きたなさ" を体験してみたいと思うのだ.
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image