数学: Emily Riehl, "Category Theory in Context" ── 圏論の教科書

Michael Barr, Charles Wells, "Toposes, Triples and Theories" という本を読んでいる.

読んでいて思うのだが, この本は自分には相当難しい.
前書きに圏論の前提知識は基本的に必要としないとしながらも, 読者に望むこととして「深い理解のためには文章毎に立ち止まってそれが何を意味しているのかを考えなければならない. 文中にある "容易にわかるように..." は必ずしも紙と鉛筆無しに簡単にわかることを意味しない」旨のことが書いてある.

確かにこの本では命題の証明は, アウトラインの記述にとどまっていたり, 時には全て読者に任されていることが多い.
ただし丸投げでは無くそれ以前の節の練習問題を解いて結果を利用すれば自然にできるようになっている.
かなり考え抜かれた構成になっていると思う. 読み通せば圏論の力は確実に付くだろう.

本の一行一行を解読しながら読んでいくやり方は面白い.
それでも難しい.

昨日は午後からずっと寝込んでいたのだが, 少し体調が落ち着いてから布団の中で他の圏論の教科書はどうなんだろうと思って

Emily Riehl, "Category Theory in Context"

という本をざっと眺めてみた.
この本は 彼女の Web サイト で PDF ファイル (ドラフト版?) が無償で公開されているのである.

そうしたらすごく良い本だった. 文章もわかりやすく, 具体例が豊富でしかも興味深いものが選ばれている.
2014 年の本のようで, 記述も新しい感じがする.

トポスについては軽く触れられているだけのようだが, モナド (トリプル) については一章を割いている.
Barr, Wells の本はこれからより深い理論に入っていく. 読み通すのにはそれなりの困難が予想される.
この本を手元に置いて, 並行して読みながら副読本としても使ったら良いのではないかと思えてきた.

Amazon でペーパーバック版の価格を調べたら数学書としては比較的安価だった.
買おうかと考えている.
posted by 底彦 at 17:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 数学

2020年02月15日

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