自然変換はホモトピーからの類似であり, ある関手を別の関手に変形する仕組みである.
これまで何となくわかった気になっていたのをきちんと考えてみた.
● ホモトピー
$\mathscr{C}$, $\mathscr{D}$ を弧状連結な位相空間, $F : \mathscr{C} \to \mathscr{D}$, $G : \mathscr{C} \to \mathscr{D}$ を連続写像とする.
単位閉区間 $[0, 1]$ を $I$ とし, $\mathscr{C}$ の点 $C$ から点 $C'$ への任意の道 $g : I \to C$ を考える.
道 $g$ は連続写像であり
\begin{equation*}
g(0) = C, \quad g(1) = C'
\end{equation*} が成り立つ.
連続写像 $h : \mathscr{C} \times I \to \mathscr{D}$ を $F$ から $G$ へのホモトピーとする. すなわち, $\lambda X(t) = h(X, t)$ とおくとき
\begin{alignat*}{2}
\lambda C(0) &= F(C) = F(g(0)), & \qquad \lambda C(1) &= G(C) = G(g(0)), \\
\lambda C'(0) &= F(C') = F(g(1)), & \lambda C'(1) &= G(C') = G(g(1))
\end{alignat*} である. これをグラフで表わすと
\begin{equation*}
\xymatrix@=48pt {
F(C) \ar[d]_{F \circ g} \ar[r]^{\lambda C} & G(C) \ar[d]^{G \circ g} \\
F(C') \ar[r]_{\lambda C'} & G(C')
}
\end{equation*} となる.
このグラフにおける矢印は写像ではなく位相空間 $\mathscr{D}$ 上の道を表わしている.
・ $\lambda C$ は $\mathscr{D}$ の点 $F(C)$ から $G(C)$ への道;
・ $\lambda C'$ は $\mathscr{D}$ の点 $F(C')$ から $G(C')$ への道;
・ $F \circ g$ は $\mathscr{D}$ の点 $F(C)$ から $F(C')$ への道;
・ $G \circ g$ は $\mathscr{D}$ の点 $G(C)$ から $G(C')$ への道.
この 4 つの道で囲まれる領域は位相空間 $\mathscr{D}$ 上の向き付けられた面をなす.
● 自然変換
$\mathscr{C}$, $\mathscr{D}$ を圏, $F : \mathscr{C} \to \mathscr{D}$, $G : \mathscr{C} \to \mathscr{D}$ を関手とする.
$\mathscr{C}$ の各元に対して射 $\lambda C : F(C) \to G(C)$ が割り当てられていて, 任意の射 $g : C \to C'$ に対して図式
\begin{equation*}
\xymatrix@=48pt {
F(C) \ar[d]_{Fg} \ar[r]^{\lambda C} & G(C) \ar[d]^{Gg} \\
F(C') \ar[r]_{\lambda C'} & G(C')
}
\end{equation*} が可換となるとき, $\lambda$ を $F$ から $G$ への自然変換と呼び $\lambda : F \to G$ と書く.
実際に書き下してみると確かに自然変換という概念はホモトピーの類似と考えることができるとわかる.
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