定理.$\,\mathscr{C}$, $\mathscr{D}$ を圏とする.
(a) 関手 $R : \mathscr{D} \rightarrow \mathscr{C}$ と任意の $A \in \mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ に対して, $\mathrm{hom}$ 関手 $\mathrm{Hom}_{\mathscr{C}}(A, R(-))$ が表現可能ならば, $R$ は左随伴関手を持つ.
(b) 関手 $L : \mathscr{C} \rightarrow \mathscr{D}$ と任意の $B \in \mathrm{Ob}(\mathscr{D})$ に対して, $\mathrm{hom}$ 関手 $\mathrm{Hom}_{\mathscr{D}}(L(-), B)$ が表現可能ならば, $L$ は右随伴関手を持つ.
証明はひとまず追うことはできた. けれども, この証明を何も見ずにできるかというと自信が無い.
(a) に関しては証明の流れは次のようなものである.
まず, 仮定より関手 $\mathrm{Hom}_{\mathscr{C}}(A, R(-))$ が表現可能だから, これを表現する $A$ に依存して定まる $\mathscr{D}$ の対象 $LA$ と自然同型
\begin{equation*}
\newcommand{\Ar}[1]{\mathrm{Ar}(#1)}
\newcommand{\ar}{\mathrm{ar}}
\newcommand{\arop}{\Opp{\mathrm{ar}}}
\newcommand{\Hom}{\mathrm{Hom}}
\newcommand{\Id}[1]{\mathrm{id}_{#1}}
\newcommand{\Mr}[1]{\mathrm{#1}}
\newcommand{\Ms}[1]{\mathscr{#1}}
\newcommand{\Ob}[1]{\mathrm{Ob}(#1)}
\newcommand{\Opp}[1]{{#1}^{\mathrm{op}}}
\newcommand{\Pos}{\mathbf{Pos}}
\newcommand{\q}{\hspace{1em}}
\newcommand{\qq}{\hspace{0.5em}}
\newcommand{Rest}[2]{{#1}|{#2}}
\newcommand{\Src}{d^{0,\mathrm{op}}}
\newcommand{\Tgt}{d^{1,\mathrm{op}}}
i(A, -) : \Hom_{\Ms{D}}(LA, -) \to \Hom_{\Ms{C}}(A, R(-))
\end{equation*} が存在する.
この対応は $\Ms{C}$ の各対象に対する関数 $L : \Ob{\Ms{C}} \to \Ob{\Ms{D}}$ を与える.
また, $\eta A$ を上記の $LA$ に関する普遍元 (universal element) とする.
すなわち
\begin{equation}
\eta A = i(A, LA)(\Id{LA}).
\end{equation} この $\eta$ が求める随伴の単位 (unit) となる.
$f : D \to A$ を $\Ms{C}$ の任意の射とすると, いくつかの計算によってある $\Ms{D}$ の射 $Lf : LD \to LA$ が存在して
\begin{equation}
i(A, LA)(Lf) = \eta A \circ f
\end{equation} が成立することがわかる.
この対応は $\Ms{C}$ の各射に対する関数 $L : \Ar{\Ms{C}} \to \Ar{\Ms{D}}$ を与える.
以上で圏の間の関数 $L : \Ms{C} \to \Ms{D}$ が定義される.
この $L$ が, 求める $R$ の左随伴関手になる.
圏論に慣れた人には途中の技巧的な計算が当たり前のように感じるのかも知れないが, 自分にとってはまだよく考えないとわからない.
証明をもう少し読み込んでみるつもりだ.
(b) の証明は (a) の証明の双対となる. 本ではその旨のみ記載して証明を省いているが, これもきちんとやってみる.
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