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2019年06月14日

すこやかな人生?D 日本心身医学会名誉理事長 池見 酉次郎 (いけみ ゆうじろう)

最終的には、心の働きの脳内メカニス?ムについて述べていきます。

すこやかな人生?D

         日本心身医学会名誉理事長  池見 酉次郎 (いけみ ゆうじろう)



九州名誉教授。北九州市立小倉病院名誉院長。日本心身医学会理事長。
自律調整法国際委員会委員長。国際心身医学会前理事長。医学博士。
著書「セルフコントロールの医学」「自己分析」「心で起こる体の病」「心療内科」ほか


平成三年九月十五日 放送

井筒屋:  そうすると、気功を取り入れたセルフ・コントロールというものが
実際にコンピュータ技術者たちにも役だっているんだそうですね。

池見:  そうなんです。
と言いますのは、気功をしますと、
結局、心身両面でのセルフ・コントロールが非常に高まってきます。

それを今からちょっと実例をお目にかけますが、

井筒屋:  これはコンピュータ作業をやっていらっしゃる方の脳波を取ったものですね。

池見:  そうなんです。
コンピュータを使うと、
上の方は振幅がグーッと上がっていますでしょう。
これは調整法をやってからコンピュータの作業をやらせますと、
下の方は脳の働きがグッと下がっているんです。

井筒屋:  普通の人は(a)の状態なんですけれども、
自己調整法をすると(b)のようになるという。 自己調整法による脳波の変化.jpg


池見:  そうなんです。結局、余計なエネルギーのロスがなくなっている。
自分のエネルギーの八十パーセント位で作業ができるようになる。

井筒屋:  作業の中味は大丈夫なんですか?

池見:  その作業の中味をお目にかけますが、
「反応時間と作業のミス」の右側をご覧になりますと、
作業の「ミス」というのを書いてありますね。

自己調整法をする前は、右の図の左のようにミスの程度が多いのが、
自己調整法をしますとグッとミスが下がってくるんですね。 反応時間と作業のミス.jpg


われわれは八十パーセントぐらいのエネルギーを使っている時が一番効率がよい働きが出来る。
これが東洋のセルフ・コントロールですね。
これから産業界なんかで使われるとすると、
こういったことが非常に役に立つと思います。

井筒屋:  単なるリラックスではないということですね。

池見:  ドイツの実践法ではただリラックスだけなんですね。
こういうリラックスして、しかも作業の効率をあげるという点がないんですね。

それから私どもは、これにさっきの白隠禅師の言葉もありましたように、
動的なもの—気功法を加えまして、
さらにこれに芸術的なものを、
例えば日本舞踊とか、ダンス、東洋の剣道とか、弓道とか—芸道ですね。

そういった芸術的なものまで加えまして、
これを私どもは、「ヘルス・アート(健康芸術)」と呼んでおります。

井筒屋:  それが動的なもの、動きですね。
先生はそれを、動きを取り入れる時に、
なんか奥様が日本舞踊をやられて、それを非常に参考にされたそうですね。

池見:  実は私がセルフ・コントロールのところに入れましたのは、
家内の体験のおかげでして、
私がもうほんとに心身医学一本に、
それこそすべてを忘れちゃったものですから家庭をかえりみません。

家内の方はほんとに堪らないんですね。
そういうことで心身ともに疲労困憊しまして、
しょっちゅう心不全の状態になりました。

その状態で自分を調えるために、
日本式の気功法の自彊(じきょう)術
(頭の先から足の先まで、全身に及ぶ整体内臓諸器官の自己調整を促す)
というのを始めまして、
それからさらに泉流の日本舞踊を始めました。

みんな家族は寝静まってから
夜十一時半から十二時頃から独りで自彊術をやって、
それから日本舞踊をする。

これをご覧頂きますと、禅の調身・調息・調心がはっきり入っておりますね。
六十八歳ですけれども、
六十八歳と思われないような若々しいエネルギーが噴き出してきておると思います。

家内がこれをやっております時に、
自分が本当に自己を忘れて、
大いなる自然のいのち—「舞は祈りである」という言葉がありますが、
舞踊の舞というのは祈りなんですね—そういう世界に入る。

そして心身ともに洗うことによって安らかな眠りができる。
これが私の重大なきっかけです。
その次ぎにたまたま、坂本徳俊さんという方が、
本来の創造的な自己への目覚めを促し、
まろやかな人間性と情操を培い、
万人が楽しく実践できるように芸術的な要素をとりいれた
芸術的な自己調整法としてサン・プレップ・ダンスを創案されたんです。

洋舞のダンスの中に東洋の心を見事に取り入れられている。
「(社)中高年雇用福祉協会」の主任講師になられて、
中高年向きの非常にユニークなダンス、
自然のいのちとの交流をふまえたダンスというのを考案された方です。

社交ダンスからスポーツ・ダンスに発展していく。
ダンスをもっと健康なものにする。
今年二月に東京のNHK文化センターが中心になって、
「スポーツダンス大会」があり、全国各地から代表が集まったんですが、
坂本さんも九州代表で出られました。

それがきっかけになりまして、
福岡地区のアマチュア・スポーツ・ダンス指導者の組織を作られました。
その組織の方がただ単に社交ダンスをスポーツにするだけでなくて、
私どもが言います、「ヘルス・アート(ダンス・日舞などの芸術的な健康法)」
—心を高める。体の動きを通して心を高める。

これを私どもは、「東洋の身体文化」と言います。
脳を調える。
そういう講座を今日本で初めてのことですが、
福岡のNHK文化センターで既に始めておる。

この十一月八日には、九州全体の「アマチュア・スポーツ・ダンス連盟」ができまして、
そしてこの「ヘルス・アート」をふまえた人間形成のための
ダンスグループが九州で誕生するようになっております。

それでこの坂本さんのダンスもさっきの私の家内のダンスも
自然の生命との繋がりということを非常に大事にしている。

例えばこういう礼舞法、
例えば、母なる大地から育んでもらった生命の花の根を張って、
この花の芽が天に向かって大きく花開いて、
それで開いた花がまた母なる大地に帰ってきていますね。

こういういわゆる西洋的なダンスの中に東洋の生命に対する芸術、
そういうようなものを見事に取り入れられておりまして、
東西の出会いをふまえたそういうダンスグループがこれから日本で展開しますし、
日本舞踊の一部の舞踊家—東京の方とか、
福岡地区の方のリーダーの方から、
「自分たちのダンス、日本舞踊はただ単に家庭の主婦の遊びとか趣味だけでは物足りない。

これを現代の人たちに役立てるようなものに一つ、
私どものヘルス・アート運動に協賛さしてください」というふうな申し出がありました。

井筒屋:  結局、ただの動きだけではなくて、
その根底に人間の存在というのはどうあるべきかという、
そういうことが大事だということなんですね。

     これは、平成三年九月十五日に、NHK教育テレビの
     「こころの時代」で放映されたものである
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タナカマツヘイ
総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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