ニュートン別冊 ゼロからわかる心理学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
性格の心理学
性格をとらえる枠組みー類型論と特性論
これは今から約2300年前の古代ギリシアで書かれた、
性格に関する最古の書物『人さまざま』(テオプラストス著)で論じられている、
人間の性格の例です。
性格を研究するためにはまず、このように多種多様で複雑な
人間の性格を、何らかな方法で客観的にまとめたり
表現したりする必要があります。
性格をとらえる方法の一つは、
「タイプ分け」です。
「〇〇座生まれの人は社交的」といった「性格占い」を
テレビや本などでよく見かけます。
性格占いには科学的根拠はありませんが、
人が持つ様々な性格を
「〇〇型」のように幾つかのタイプ(類型)に分類して
理解しようとするやり方は、
心理学の分野で昔から行われてきました。
この方法は「類型論」と呼ばれ、
古代から現代まで、様々な類型論が考え出されています。
類型論で性格をタイプ分けする方法はシンプルでわかりやすいものですが、
人が持つ性格を詳しく調べようとする場合には、
この方法では限界があります。
例えば、「外交的」と「内向的」という類型を用意して
ここに当てはめるだけでは、両方の中間に位置する
人の性格を表すことができません。
そこで、性格をとらえるもう一つのやり方として、
性格に現れる様々な特徴(特性)に着目し、
その人の性格の中にそれぞれの特性がどのくらいよく見られるか
という「量」を考えることで性格を表すという方法が
考え出されました。
こうした考え方を「特性論」と言います。
現代の性格心理学では、特性論に基づいて性格を分析する方法が主流になっています。
特性論とは、人の性格に含まれる「好奇心が強い」、「真面目」、「優しい」などの
様々な特性をその人がどれだけ持っているか、
特性ごとに「得点」をつけて量的に捉えようとするやり方です。
明日紹介するように、
いわば、幾つかの特徴を多角形で表す「レーダーチャート」で
性格をとらえる方法と言えるでしょう。