ニュートン 別冊ゼロからわかる心理学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
性格の心理学
他人のせい?自分のせい?
ー内的統制と外的統制
サッカーの試合でゴールを決めることができた、
など、
私たちは日々の生活の中でいろいろな出来事を体験します。
あらゆる出来事(結果)には何らかの原因があり、
時には単純な原因だったり、
ある時には複数の原因が絡み合っていたりするものですが、
何が原因だったと思うかは
人によって違います。
アメリカの心理学者ジュリアン・ロッター(1916〜2014)は、
ある出来事が起きた原因を
自分の中にあると考える傾向の人と、
自分の外にあると間会える傾向の人がいるという点に着目して、
前者の考え方を「内的統制型」、
後者を「外的統制型」と呼びました。
「入学試験に合格した」
という結果について、
内的統制型の人は
「自分が頑張って勉強した結果だ」
などと自分に原因があると考えます。
一方、外的統制型の人は
「いつもの年より試験問題が簡単だったせいだ」
といったように、
自分の外に原因があると考えます。
内的統制型、外的統制型も人の性格の特性の一つです。
「『ビッグ・ファイブ』は人の性格を特徴付ける『五大陸』のような、
最も大きく基礎的な特性であるのに対して、
内的統制型、外的統制型というのは
タリクの中にある『国』のような、
より小さな特性であると言えます」
(杉浦准教授)。
このように「原因の所在」が自分の内と外いずれにあると考えるか、
という特性には文化の影響が大きく、
例えばアメリカ人は日本人に比べて、
物事の原因を自分の中に求める内的統制型の傾向が強いと言われます。
内的統制型の人は外的統制型の人に比べて、
「自分の心がけや努力次第で物事は良い方向に変えられる」
というポジティブな考え方を持ちやすいとも言えますし、
一方で、良い結果が出たのは全て自分のおかげだと
独りよがりに考えてしまいがちだとも言えます。
そういう意味で、「原因の所在」を
自分の内に置くか外に置くかは、
心の健康とも大きく関係しています。
「原因の所在」を認知する傾向の違いに
着目したロッターは、
内的統制型か外的統制型かを測定するテストも作成しました。
うつ病の患者は平均的な人に比べて
外的統制型の傾向が強く見られたり、
内的統制型の人は外的統制型の人よりも
ストレスに強い傾向があることが知られています。