ニュートン 別冊ゼロからわかる心理学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
性格は変えられる?
皆さんは、自分の性格を変えたい
と思ったことがあるでしょうか?
また、「人が変わったようだ」という言葉があるように、
ある人と久しぶりにあったらすっかり性格が変わっていた、
といった経験はあるでしょうか?
こうした「性格の変化」については、
性格心理学の研究者によって様々な考え方があります。
例えば、
家ではいつもダラダラしているように見えるお父さんが、
職場では非常にきちんとした人だと思われているとか、
普段温厚な人が車を運転すると
急に攻撃的になる、
という話もあります。
このような減少を、状況によって性格が変化する
「モード性格」
と呼ぶ研究者もいます。
また、最愛の人を亡くす、
災害や事故にあう、
といった重大な出来事をきっかけとして
性格が変わってしまうように見えることもあり、
これを「『爪痕』による性格の変化」と呼ぶこともあります。
しかし杉浦准教授は、こうした減少は性格の表面的な部分だけが
変わっているのだろうと言います。
「人の性格は地層のようにたくさんの『層』からできていると考えられます。
これらの例に見られる現象は、
性格の中のごく表層的な部分だけが変わるように見えているもので、
その人の性格の根本的な部分はあくまでもビッグ・ファイブ理論で
あらわせるような特性で決まっていて、
生涯変化しないと思われます」(杉浦准教授)。
特に臨床心理学の分野では、自分の性格のせいで
生きづらい思いをしているという人に対しても、
性格を帰ることを考えるよりは、
自分の性格を正しくとらえることで、
自分自身と周囲の人々や社会との間で
うまく折り合いをつけて生きていけるような
方法を考えるというアプローチが主流になっています。
こうした方法の例として、
「認知行動療法」や「マインドフルネス」といった手法が
近年注目を集めています。