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2019年07月20日

人を取り巻く環境を考える?F

最終的には、心の働きの脳内メカニス?ムについて述べていきます。

ニュートン別冊 ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学  から
 監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス

心理学と環境


人を取り巻く環境を考える?F

うつ病などの精神疾患が起きやすい環境とは


厚生労働省が平成26年に行った調査では、
患者数は約73万人と推計されています。

人間なら誰しも、嫌なことや悲しいことがあると気分が落ち込み、
塞ぎ込みがちになります。
しかし、うつ病は、そのような一時的な感情のゆらぎではありません。

脳の中の、モノアミン系(ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなど)
の神経伝達物質の減少が原因の一つと考えられており、
決して心の持ち方だけで解決できるものではなく、
脳科学的な治療も必要な疾患です。

うつ病を引き起こすストレスなどの要因は、
個人の考え方や生活環境によって異なります。

ストレスを引き起こす環境として、
騒音環境(電車や車の音、にぎやかな話し声など)、
密集環境(集合住宅、隣の家との距離が近いなど)、
そして災害によって引き起こされる環境の変化などが言われていますが、
それらの環境から感じるストレスの種類や大きさは人によって違っています。

ここからは、環境とストレス、
及びストレスによって生じる精神疾患との関係について見ていきましょう。

密集環境がうつ症状をもたらす

密集環境の中でも、特に高層集合住宅は、 高層集合住宅.jpg

ストレスの要因になりやすいことが報告されています。

高層集合住宅は大規模な建物であることが多く、
多くの居住者はお互いのことを知らぬまま生活しています。

このような、見知らぬ居住者と毎日どこかで遭遇する可能性がある状態は、
大変なストレスになります。

高層集合住宅では、高層階に住む居住者ほど、
強いストレスを感じる傾向があることも
報告されています。

さらに、高層階の居住者を対象とした調査では、
こ血圧になりやすい傾向や、
喫煙率が高くなる傾向が報告されています。

また、幼児・小児については、
一人で行動できる範囲が極めて狭くなるため、
自立が遅れ、母子密集(依存)の割合が高くなるとも言われています。

また、災害により、
これまで慣れ親しんだコミュニティを離れて
転居を余儀なくされる場合も、
大きなストレスを感じます。

仮設住宅などの密集した住宅で暮らすと、
不慣れな場所での暮らしに加えて、
知らない人と顔を合わせなければいけなかったり、
周囲の物音が気になったり、
プライバシーの維持・確保が難しくなったりすることで
ストレスが大きくなります。

このようなストレスや不安から不眠になり、
うつ状態が出たりします。

さらには、災害で怪我や病気を患ったり、
身内を亡くしたり、
職場や自宅を失ったりすることから、
病的なうつ病に発展してしまうこともあります。

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タナカマツヘイ
総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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