「うつ」セルフチェック
仕事に集中できない、
不安で落ち着かない…。
「もしかして、うつ病では?」
そんな悩みを抱えている人も多いのではないだろうか。
うつ病では気分の落ち込みや喜びの消失などが見られる。
特に、初期症状として多いのは 不安 だという。
「不安からうつ病に進む人はとても多い。
不安が強いと眠れなくなったり、
疲労がたまったりして、うつ病になりやすくなる」
もっとも、うつ病にはならず、
強い不安だけが続くこともある。
これは 「不安障害」 と呼ばれる。
「不安障害と不安を伴ううつ病は区別します」。
関係する脳内の神経伝達物質が異なるから。
不安や焦燥、緊張といった感情は、
脳内のセロトニンという物質の機能低下が関係している。
一方、憂うつや意欲の低下にはノルアドレナリン、
喜びの消失にはドーパミンの機能低下がある。
つまり、不安障害にはセロトニンが関わるが、
うつ病には3つの物質全部が関与する。
慢性的なストレスが続いてコルチゾール
(ストレス緩和ホルモン)
が過剰になると、
脳の細胞に必要な神経栄養因子が低下し、
海馬
(日常的な出来事や、勉強して覚えた情報は、
海馬の中で一度ファイルされて整理整頓され、
その後、大脳皮質にためられていく。
つまり私たちの脳の中で、
「新しい記憶」は海馬に、
「古い記憶」は大脳皮質にファイルされている)
などにもダメージが。
MRI(磁気共鳴画像法)では、
うつ病患者(右)では海馬が萎縮し、
黒いすき間ができている
(側脳室下角の開大)。
左は健常者
うつ病になると、脳内の特定の部位にも変化が生じるという。
「情動を抑える帯状回(たいじょうかい)や
記憶などに関わる海馬が、健康な人に比べて小さくなっている」。
ストレス下でうつうつと悩んでいるとき、
脳はかくも傷めつけられている。
「悩む期間が長いほど脳は傷つき、治療にも時間がかかる。
うつ病の入り口の『不安でたまらない』という段階で、
生活を見直すように心がけてほしい」。
不安な状態が続く場合は、まずは医療機関に相談しましょう。
どの病医院に行けばいいのかわからないときは、
診療科にこだわることなく、
ふだんから診てもらっているかかりつけ医に相談してみましょう。
また、地元の保健所や
精神保健福祉・センターの相談窓口を利用するのもよいですよ。