最終的には、心の働きの脳内メカニス?ムについて述べていきます。
脳の疾患と脳力
サヴァンの記憶力?A
進化的に古い記憶経路が発達して、膨大な記憶をすることができる?
『大脳基底核』
という場所が深く関係していると考えられている。
サヴァンの人に限らず、一般の人においても、ここに保存される記憶が存在する。
『手続き記憶』というもので、無意識に行っている運動や習慣の記憶である。
訓練を積むうちに動きを意識しなくても泳げるようになったり、無意識の習慣で服を着替える時にまず靴下から脱ぐといった現象はこの手続き記憶による。
サヴァンの人が見せる「感情、思考、連想を伴わない、極めて機械的な記憶」はこの記憶に近い。
なお、大脳基底核は脳の中で進化的に古い場所だと言える。
このようなことから、サヴァンの人ではエピソード記憶や意味記憶を形成する経路に何らかの異常が起きており、
それを補うべく手続き記憶の経路が発達して、サヴァンの人の脳内で記憶を形成する役割を担っているのではないか、という仮説がある。
大脳基底核で保存される情報は、大脳皮質に保存される情報よりも忘れにくいという特徴があり、サヴァンの人の驚異的な暗記力を説明出来る可能性がある。
機能障害を持つ左脳を補うべく右脳が発達するのと同じ現象が、記憶の経路についても起きているのかもしれない。
サヴァンの記憶は、「無意識の回路」に保存されている?
私たちは普段、日々の出来事(エピソード記憶)や、一般的な知識(意味記憶)といった情報を長期で保存するときには大脳皮質に保存する。
一方で、 運動の仕方や習慣といった、無意識に行う事(手続き記憶)については、脳内の大脳基底核という場所に保存
する。
大脳基底核は大脳皮質よりも内部にある。
げっ歯類から霊長類に進化する過程で、大脳皮質ほど大型化、つまり発達しなかった場所で、 進化的により古い部分だと言える。
サヴァンの人は様々な情報を、無意識の“貯蔵庫”である大脳基底核に保存しているのかもしれない。
運動、習慣といった無意識の記憶は、脳の内部にある、進化的に古い回路で保存される
楽器演奏、運動の仕方といった、“身体で覚える”技術
と言われるものは、エピソード記憶や意味記憶とは異なり、無意識のうちに記憶して思い出される 「手続き記憶」
になる。
無意識の習慣もこの記憶に入る。
手続き記憶は、無意識に利用している、忘れにくい、といった特徴がある。
楽器演奏、運動の記憶は、大脳皮質の運動野から送られてきて、大脳基底核の『被殻』に保存される。
習慣の記憶は大脳皮質の前頭前野から送られてきて、大脳基底核の『尾状核』に保存される。
被殻も尾状核も大脳基底核の一部である。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2014年7月15日発行
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2019年04月15日
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