2011年01月31日投稿。
それは突然の申し出だった。あまりに突然過ぎて一瞬息をするのも忘れていた。
きっとあの子は羨むだろう。
そんなことをぼんやり考えながら、その突然の申し出にどう言葉を返すか、その突然の申し出に、どう言葉を返したら傷付けずに済むか、を、考えていた。
と、ここまで考えて、苦笑いする。
何だ、自分の中ではもう答えがはっきりしてるんじゃないか、と。
だから肩を竦めて言った。
「私が欲しいのは貴方じゃない」
驚きの後、傷付いたような表情。
あの子は怒るかもしれない。大切な人を傷付けられたと、自分勝手に怒るかもしれない。
なら、それでいいや。
傷口を抉らなければ、その傷はあの子にとってそれを得る手段になるから。
それに、
「欲しいものには、嘘は吐けない質なのよ」
※「無意味な言葉が僕の翼になる」と並行して某所に投稿していた作品です
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