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海上自衛隊に入隊して、幹部候補生のころから常に言われることがあります。
それは 常に法律と向き合い法律の運用を考慮せよ!ということです。
海上保安庁との関係や、海上保安庁法の準用など常に向き合います。
今回は、 有事における海上保安庁の統制問題について一石を!
(前回記事):『 いわゆる任務艦の話に関するエトセトラ! 』
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(1)常に付きまとう海上保安庁との法律問題!
海上自衛隊では、防衛出動の際に 海上保安庁の統制という問題が常に付きまといます。
幹部候補生学校のころから、防衛関係法の授業でしつこく教えられます。
1.1 自衛隊法と海上保安庁法の相反
自衛隊法第80条には「海上保安庁の統制」という項目があります。
引用 (自衛隊法第80条:海上保安庁の統制)
内閣総理大臣は、第七十六条第一項(第一号に係る部分に限る。)又は第七十八条第一項の規定による
自衛隊の全部又は一部に対する出動命令があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部を防衛大臣の統制下に入れることができる。
(「防衛出動」および「命令による治安出動」)
2 内閣総理大臣は、前項の規定により海上保安庁の全部又は一部を防衛大臣の統制下に入れた場合には、政令で定めるところにより、防衛大臣にこれを指揮させるものとする。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による統制につき、その必要がなくなつたと認める場合には、すみやかに、これを解除しなければならない。
しかし、海上保安庁法第25条にはこう書かれています。
引用(海上保安庁法第25条)
この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、 訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。
自衛隊法と海上保安庁法が、 相反する事態になっております。
ここが悩ましいところなんですよね〜!
図1 海上自衛隊と海上保安庁
引用URL:https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2018/html/honpen/images/093-03.jpg
有事の場合、ここが問題になるのですが現在も解消されていません。
1.2 法律上「後法優先」で押しきることもできるけど・・・
自衛隊法第80条と海上保安庁法第25条は、法律上相反する状態です。
法律の運用上後法優先の原則で押しきるということもできますが、反発が大きくなります。
引用 「後法優先の原則」
同一の順位で、かつ、一般法と特別法の関係でない形で、前法(従前からある法令)と後法(新しく制定された法令)がある場合は、後法が優先される。
この場合 「海上保安庁法(昭和23年法律第28号)」と 「自衛隊法(昭和29年法律第165号)」の関係から、原則的には自衛隊法が優先になります。
1.3 統制=自衛隊の指揮下ではない!
たまに勘違いされている方がいますが、自衛隊法第80条では、海上保安庁の全部または一部を
『内閣総理大臣は、(中略)防衛大臣の統制下に入れることができる』
というものです。
あくまで、防衛大臣の統制下に入る規定です。
(海上自衛隊の指揮下に入るわけじゃないですよ!)
ここの理解が周知されていないといえます。
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(2)自衛隊演習時にはどう扱ってるか?
防衛省・自衛隊でも、演習時における海上保安庁の関係は苦慮しています。
前に 自衛隊統合演習の記事を書きましたが、このときの海上保安庁の扱いがヒントになるかもしれません。
2.1 海上保安庁長官・警備救難監を統制下に!
自衛隊統合演習
具体的には、
・海上保安庁長官
・海上保安庁警備救難監(海保実働部隊指揮官)
の2名を、防衛大臣の統制下に置くという手法で行っていました。
編成されるJTFと海上保安庁の一部は「協同の関係」としていました。
(「協同の関係」:異なる指揮下部隊が協力関係で対処)
その他、各管区海上保安本部は海上保安庁長官の指揮によるとされました。
2.2 海上保安庁法第25条を侵害せずに!
海上保安庁と自衛隊の関係は、あくまで「協同の関係」とすることで、海上保安庁法第25条を侵害せずできるのではないかと考えます。
「派遣海賊対処行動部隊(DSPA)」も、海上保安庁との「協同」によりものです。
図2 派遣海賊対処部隊
引用URL:https://www.mod.go.jp/js/Activity/Anti-piracy/images/kt_top01.jpg
2.3 法律上の問題は難しい!
色々書いてみましたけど、海上保安庁との関係など法律上の問題は難しいです・・・
このほか行動上の法律の制約など、いろいろ難しいのが自衛隊です。
さらに国際法まで絡んで来ると、余計ややこしくなります。
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(3)法律・法務・国際法はつらいよ・・・!
自衛隊で、法律・国際法をちゃんと理解していないと仕事上支障が出ます。
さらに国際法でも、 陸戦・空戦と 海戦の違いを理解するのに苦労します。
陸戦だと国際法が成文化されていますが、海戦では慣習国際法で成文化・条約化されていないこともあります。
図3 海上の動き
引用URL:http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2003/2003/image/15dp3004.jpg
海上では、警察活動と軍事活動で全然内容が違う場合もあります。
(中国海警船を何で取り締まれないんだ〜!というのにも国際法の問題があります。)
国際法関係で大変参考になる解説をする方がいらっしゃいます。
「因幡のよっちゃん(CV・堀江由衣)」様: https://twitter.com/japanesepatrio6
この方の国際法に関する説明は非常に参考になります。
ぜひともご覧になってみてください!(難しいことの丸投げ〜!)
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