海上自衛隊の新型護衛艦になる、30FFMの船体建造がかなり出来上がってきたようです。
そんな建造途中の30FFMを見て、ああ射撃屋さんの嘆きが聞こえそうと思ってしまいました。
艦橋上部の防空指揮所で艦砲射撃という、海の浪漫は消えていく運命になりそうです。
そんな、艦橋構造物と艦砲射撃とのお話についてご紹介します。
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(1)30FFMには大砲射撃の浪漫が無い!
30FFM護衛艦が、2020年11月に進水・命名式を迎えるにあたって船体構造物がかなり出来上がってきたようです。
そんな中で、艦橋構造部を見ると今までの護衛艦とかなり違いが出ています。
1.1 艦橋とマストが一体化!
30FFMの特徴として、艦橋構造物と合わせて統合マストセンサが一体化しています。
図1 30FFM
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EgjV443VgAE8zhN.jpg:small
一応、イメージ図では艦橋の上部にスペースができるようですが、おそらくほとんど立ち入りしないエリアになるでしょう。
図2 30FFMイメージ図
引用wiki
そんな30FFMを見て、射撃屋さんの嘆きが聞こえそうです。
『大砲射撃の浪漫が失われた〜(涙)!』
1.2 射撃と艦橋の意外な関係
今のようなシステム艦が主流となった時代では、戦闘指揮はCICで行うのが一般的です。
対空射撃でも、基本はCICで行いますが訓練では艦橋で指揮をすることもあります。
図3 射撃時の艦橋
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/images/y2054.jpg
ひと昔前では、艦橋上部に防空指揮所で射撃指揮が行われました。
図4 護衛艦「ゆうぐも」
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/oominato/gallery/ships/yugumo/img/main.jpg
1.3 射撃と艦橋構造物の技術
護衛艦には、艦橋構造物の技術として遮風板を付けている場合があります。
遮風板が艦橋についている護衛艦は、艦橋上部での射撃指揮を考慮されています。
図5 護衛艦「あぶくま」
引用URL:https://lh3.googleusercontent.com/proxy/
艦橋のガラス板の上部にある、縦型のスリットが遮風板です。
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(2)中級課程で射撃課程と大騒ぎ!
私ペンギンが幹部中級課程共通教育にて教育を受けている時に、射撃課程の人と射撃方法でよく議論になりました。
「艦橋上部の露天甲板に射撃指揮機能を残すべきか?」
2.1 むらさめ型で露天射撃をさせろ〜!
ある日、射撃課程の学生からこんなことを言われました。
『何でむらさめ型に露天甲板の射撃設備を常設しなかったんや!』
『うぇえ〜!いいじゃんかよ!CIC射撃が基本だろうが!』
図6 むらさめ型護衛艦艦橋
引用wiki
むらさめ型以降だと、FCS-2方位盤のほかにいろいろ設置する電子機器が多くなりました。
応急的にTDT(目標指示装置)を設置できればよいので、最初から支持柱を設置していません。
図7 TDT(目標指示装置)
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/images/y1398.jpg
・・・電波関連機器の置き所に困って、上部指揮所を無くそうとしたのはヒミツ!
『いいから露天甲板で撃たせろ〜(怒)!』
射撃課程学生の怒りは、なかなか静まりませんでした。
2.2 あきづき型以降はスペースなし!
あきづき型護衛艦以降では、FCS方位盤が無くなった代わりに通信用レドームが艦橋上部のスペースに置かれるようになりました。
図8 護衛艦「しらぬい」
引用wiki
射撃マークの人が怒るのも分かるよな〜!
射撃指揮用甲板として、長らく軍艦の地位を占めた艦橋上部を占拠されたのですから。
『神聖なる艦橋をなんと心得る!』
『大空の下で大砲射撃!海の浪漫を忘れたか!』
射撃マークの人からは、さんざん文句が出ましたがレーダー機器もいっぱいです。
もはや、海の浪漫ともいえる露天甲板は時代に合わなくなってきているのかもしれません。
2.3 船体設計の人もおっかない!
艦船技術の世界で、船体部門を担当する人を「船体屋」と呼んでいます。
FCS−3を搭載するために、船体設計担当者にデーターを持って行ったときに、
『貴様ら、GM値とメタセンターを知らんのか(怒)?』
と脅されるほどFCS-3搭載の代わりに、艦橋から重心を下げるためにいろんなものを下すことになりました。
軍艦美の一つだった、遮風板も時代の流れにおいていかれた存在といえます。
艦砲射撃などの攻撃は、CICで行う代わりに艦橋周辺の設計技術がステルス一辺倒になりました。
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(3)射撃の浪漫は遠くになりにけり
いまや護衛艦にもステルス性が求められる時代となり、昔のような露天甲板からの射撃指揮という浪漫が失われていきます。
3.1 技術的トレードオフの世界
最近だとFCS-3など、射撃用レーダーが大きく重くなりました。
その結果、設計技術では露天甲板での射撃は不必要と切り捨てる形になっています。
時代の趨勢かもしれません。
ただ、一度露天甲板での主砲射撃を体験すると病みつきになります。
図8 主砲射撃
引用URL:https://it-it.facebook.com/JMSDF.PAO.fp/
射撃浪漫と技術の両立はなかなか難しいですね〜!
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そういえば、ひゅうがの時にTDTがありませんでした・・・
一術校中級課程入校のころは、まだGFCS-1が現役で頑張ってる時代でしたので、砲術科のノリが理解できませんでした。
砲術科長にも、何でFCS-3で露天射撃ができないようにしたんじゃ!と中級課程教務中に艦船装備課程学生に文句が出るほどでした。
応急的にもないです・・・・・
しかし、まだそんな前時代的な人たちがいたのか・・・と思います。
(いや私も階級章が赤いころ上部指揮所配置にいたので気持ちはわかるけど)