航空自衛隊向けのF-35B戦闘機の契約も本格化してまいりまいた。
将来的に、いずも型護衛艦に搭載するとき問題となるのが対艦ミサイル搭載の搭載です。
F-35Bには使えそうな対韓ミサイルとして、イギリス海軍導入のSPEAR3小型巡航対艦ミサイルがあります。
ドローン並みの行動をする巡航ミサイルSPEAR3などに注目だ!
(前回記事):『 【図上演習?E】何が悪かった?!事前演習反省会! 』
\こちらもご参考に!PR/
(1)英国F-35B戦闘機に新ミサイル開発!
F-35B戦闘機については、英国空母「クイーン・エリザベス」用に調達が行われています。
今後英国空母機動部隊の主力戦闘機として活躍するでしょう。
図1 英国空母
引用wiki
1.1 英国F-35B戦闘機の扱い
英国では空母は海軍が運用していますが、F-35B戦闘機は空軍が運用する形になります。
かつてハリアー戦闘機を運用していた時は、海軍と空軍が独自に戦闘機部隊を運用していました。
図2 ハリアー戦闘機
引用wiki
F-35B戦闘機は、空軍で運用した方が効率的と判断されたのでしょう。
自衛隊におけるF-35B戦闘機も、航空自衛隊で運用されるため参考になるでしょう。
1.2 空母艦載機特有の問題
空母艦載機として、スキージャンプ方式の運用を行う場合どうしても問題となることがあります。
それは発艦時の兵装搭載量がどうしても減少することです。
空中給油機を使うことで、空母発艦時の重量を稼ぐことができますがそれでも陸上発進よりは減少します。
図3 F-35Bフル爆装
引用URL:https://livedoor.blogimg.jp/zap2/imgs/3/e/3e6c3147.jpg
ステルス機であるF-35B戦闘機の特性を犠牲にして搭載量を稼ぐ手もあります。
しかしながら、米軍くらいしかこんな荒業はできないでしょう。
そんな中で、ステルス性を保ちながら対艦ミサイルを発射するには苦労が必要です。
図4 F-35JSM
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/C5cg-02XMAQ1U7A.jpg
F-35B戦闘機についてはJSM搭載は、外部パイロンに搭載するやり方になります。
ステルス性を犠牲にして、1機について2発までしか搭載できないのは問題になるでしょう。
そんな中で、英国が新しいコンセプトの対艦巡航ミサイルを開発中です。
1.3 SPEAR3対艦巡航ミサイル開発中!
イギリスを拠点とするMBDA社が、SPEAR3巡航ミサイルを英国F-35B戦闘機用対艦ミサイルとして開発する契約を結びました。
図5 F-35Bミサイル
引用URL:https://g7a6v6x7.rocketcdn.me/wp-content/uploads/2021/01/SPEAR3-for-ASUW-1024x724.jpg
ミーティア空対空ミサイルの開発も行っている会社ですので、今後自衛隊装備にも反映できるかもしれません。
搭載量の限られる艦載戦闘機用対艦ミサイルとして一つの答えかもしれません。
そんなSPEAR3ミサイルは、どんなミサイルなのでしょう?
\F-35を知ろう!PR/
価格: 2,037円
(2021/2/6 14:33時点)
感想(1件)
\PR!/
(2)いっぱい搭載するよ!ドローンみたいに集まるよ!
SPEAR3対艦ミサイルについては、注目の機能が搭載されており今後に期待できます。
大型化する対艦ミサイルに対するアンチテーゼとなるでしょう!
2.1 小型軽量の対艦ミサイル!
SPEAR3対艦ミサイルについて何よりも注目されるのは、小型軽量ということです。
図6 小型軽量ミサイル
引用URL:https://www.armytimes.com/resizer/twmZ7BS9v6GmTPXY69uhRgNqSzY=/1200x630/filters:quality(100)/cloudfront-us-east-1.images.arcpublishing.com/mco/LUMUQJKIVVAGBPFVHAHYIHP4JQ.jpg
人間との対比写真としてちょうどよい画像があったので掲載します。
ミサイル本体は、
?@重量:100kg以下
?A全長:2m
?B直径:180mm
?C射程:140km
といったほど小型軽量のミサイルとなっています。
そのため、通常の大型対艦ミサイルを搭載するパイロンに4発のSPEAR3が搭載できます。
図7 パイロン搭載
引用URL:https://g7a6v6x7.rocketcdn.me/wp-content/uploads/2021/01/SPEAR3-mini-cruise-missiles-to-provide-ASUW-capability-to-British-F-35B-770x410.jpg
通常の4倍の対艦ミサイル搭載量となります。
小さくても物量戦でとにかく弾を当て続ければ勝ちといえます。
2.2 スウォーム(群集)戦術が取れる!
SPEAR3ミサイルの特徴として、昨今のドローン戦争で有名になったスウォーム戦術を取れることです。
図8 スウォーム戦術
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/D3oRWSDU8AEd7tz.png
スウォームは、群集戦術と呼ばれるAIを使った自立飛行と協調飛行を行い目標に殺到する戦術です。
2020年にアルメニアとアゼルバイジャンの紛争では、防空システムが破壊されるほどの圧倒的な実力を見せつけました。
そんな戦術を対艦ミサイルとステルス機で行おうというのです。
気づいた時には、数十の対艦ミサイルが接近しているのは恐怖としか言いようがありません。
2.3 電子戦やデコイにも?
SPEAR3ミサイルについては、空対艦ミサイルのほかにいろんなミサイルとして派生型が考えられています。
中には、電子戦(EW)用の妨害電波ミサイル型も提案が行われています。
その他にも、小型軽量の特性を生かした精密攻撃弾やデコイ(おとり)としても使える可能性があります。
図9 MALD−J
引用URL:https://i2.wp.com/defpost.com/wp-content/uploads/2018/08/MALD-X.jpg
米軍にはすでに、デコイと電子戦を兼用する小型ミサイル 「MALD-J(ADM-160C)」が存在します。
小型軽量ということで、量産性の高さを応用して派生型を増やすこともできるでしょう。
\吊るしものを学ぶにはこれだ!PR/
石川潤一の軍用機ウエポン事典 基本知識から実践・応用編まで、軍用機ウエポンを詳し (イカロスmook) [ 石川潤一 ]
価格: 1,980円
(2021/2/6 14:36時点)
感想(0件)
\PR!/
(3)F-35Bは小型兵器にて活躍するか?!
F-35B戦闘機は、艦載戦闘機としてハリアー戦闘機を継承する革命的な戦闘機となるでしょう。
(参考記事):『 【自衛隊】F35B戦闘機の導入が決定したけれど・・・ 』
しかし、大量の兵装にて艦上から離陸することは難しいことを理解する必要があります。
3.1 ならば小型兵装だ!
自衛隊で、F-35B戦闘機を運用するときに目的とするものは何でしょうか?
対空ミサイルフル搭載で空戦?F-35A戦闘機に任せればよいでしょう。
対艦ミサイルフル装備で対艦攻撃?F-2戦闘機やP-1哨戒機・水上艦などに任せても十分です。
F-35B戦闘機を自衛隊で運用する最大の利点は、ステルス性と奇襲能力です。
重いミサイルや爆弾を抱えて飛び立つよりも、小型兵装で奇襲的に攻撃することがステルス性を生かせます。
図10 いずも運用構想
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/pdf/20190801.pdf
防衛大綱(30大綱)にて、いずも型護衛艦の運用構想について書かれていましたが、
『敵空母部隊と太平洋にて空戦』
を運用構想の念頭に置いています。
その時に、大量の小型兵装にて数の暴力で圧倒することが求められます。
少ない搭載機には、小型兵装で多くの敵を制圧することが効率的といえます。
3.2 水陸機動団への支援
敵空母を撃破した後は、逆上陸する水陸機動団への空中支援が求められます。
有限な艦内搭載量を確保して十分な対地支援には、小型兵器が便利です。
導入が進んでいるGBU-39爆弾も、水陸機動団への支援に有効です。
F-2戦闘機や護衛艦からの主砲射撃に加えて、F-35B戦闘機の支援は大きな力になります。
図11 ビーストモード
引用URL:https://i1.wp.com/migiyori.work/wp-content/uploads/2018/10/lockheed-martin-f-35-lightning-ii-2880x1800-stealth-fighter-us-air-6698.jpg?resize=800%2C500&ssl=1
大量の兵装にて水陸機動団を支援するF-35Bは、新時代の自衛隊の象徴といえます。
今後、F-35B戦闘機用装備の継続的支援も必要でしょう。
3.3 ASM-3系はF-2に任せるべき!
超音速対艦ミサイルASM-3Aの調達が発表されましたが、F-35B戦闘機への適合は行われないでしょう。
何しろ大きさが巨大となりさらに射程延伸となります。
図12 ASM-3
引用URL:https://g7a6v6x7.rocketcdn.me/wp-content/uploads/2020/12/ASM-3-test-launch-ATLA.png
無理にF-35AやF-35B戦闘機に適合させようとすると、余計な費用が掛かります。
F-2戦闘機にはASM-3系統を搭載して、F-35BにはSPEAR3小型対艦ミサイルで武装するのが理想といえます。
対艦ミサイル戦闘は、数の勝負だからこそSPEAR3小型対艦ミサイルは使えますよ!
\PR!/
防衛・軍事ランキング
↑ブログ主の更新意欲維持の為↑バナーをクリック↑
↑していただければブログ主が↑頑張ります↑
UAVは、ナゴルノカラバフ戦争にて効果的な対空ユニット・戦車撃破の成果を上げたことで注目度が上がっています。
自衛隊でも、情報収集用などで導入が始まりましたがまだまだといったところです。
「無人化」と「UAV・無人機」に何をさせて、どんな任務達成を目目指すかという「無人機の連立方程式」が、自衛隊の中でまだ確定していないのが現状でしょう。(某方の「連立方程式」という表現は、無人機の使い方について名言だと思います。)
近年の装備品高額化については、民生品の利用や民生技術にスピンオンにて価格を下げるべきでしょう。
併せて、大量生産も視野に入れていくべきです。
段階的開発であれば、費用対効果も最終的には良好になると考えます。
主砲の射程外での対空ミサイルでの対艦攻撃は、SM-6のようにNIFC-CAを使った誘導や、アクティブホーミング誘導型の対空ミサイル(ESSMブロック?U)などであれば今後検討対象にはなると思います。
(今までの対空ミサイルはセミアクティブ誘導で、イルミネーター照射の必要がありました。)
ただkeenedge1999さまの話にあるとおり、確実な撃破を求めると対空ミサイルでは威力不足になってしまいます。
費用と効果のつり合いが検討対象でしょうね。
対空ミサイルだと、やはり船体内部までの貫通力に欠けるところがあり、必要なダメージを与えられませんね。
keenedge1999さまの、航空・誘導武器関連の知識にいつも助けられています。
また、最近は兵器の高額化が顕著ですが、費用対効果はどうのでしょう? 自国製造に舵を切る国々も出てきましたし、日本のそうりゅう型は通常動力型として、それをもたない米国からクレームもなく、上手く裁けています。
このように対空ミサイルと対艦ミサイルでは機能的に異なる部分が多く、対艦ミサイルとして使用するのはあくまでも緊急時に限られると思われます。
なお、余談ですが空自の中にはミッションキルではなく確実にキル(沈没)させるために、大威力の爆弾が必要という意見も根強くあります。
海上自衛隊では、現場レベルでは対空ミサイルをいざとなったら対艦用に打ち込もうという工夫はしています。
私が乗っていた護衛艦でも、「いざとなったら対艦攻撃でもきっちり誘導して見せますよ!」とシステム員が胸を張っていました。
ただ、シースパローやスタンダードミサイルを転用する考えはあんまり公式にはありませんでした。
ミサイルの値段が高いのと、対空ミサイルを誘導できる水上射程なら砲撃のほうがいいんじゃない?という考えがあります。
艦艇開発隊では、ESSM導入時に不審船舶用対艦攻撃の実験計画が持ち上がりましたが、アメリカで実験済みということで没になりました。
SM-6だと、NIFC-CAにより対艦攻撃も可能になるため検討はされるでしょう。
ただし対艦誘導弾との価格の兼ね合い次第でしょうね。SM-3みたいな高額だと、対艦用に使用するのは厳しいでしょう。
1発2〜4億円で納められるか次第です。
ご指摘ありがとうございます、文章を修正いたしました。
F-35C導入話と話しが混ざって変に認識していました、F-35Bだけの導入でした。
技術的な話になると、keenedge1999さまのお話がとても参考になり感謝しております。
SPEAR3も結構技術的にすごいミサイルとなんってきたんですね。
wikiも拝見させていただきます。
水陸機動団への支援については洋上基地故に近くまで進出できることから、ターンアラウンドが短く、オンコールしてすぐ来てくれる頼もしい存在となるかもしれません(空自はオンコールしてもまず来ない)
ところで、wikipediaにASM-2Bと改善弾について投稿しました。お時間がある際にでもご覧いただければ幸甚です。