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海上自衛隊には、護衛艦・潜水艦などの主力艦艇ばかりに目が行きがちです!
何しろ大きくて格好良いですけどそれ以外にも船はある!
その中であまり知られてないけど、縁の下の力持ちである多用途支援艦はいいぞ!
今日はそんなあまり知られていない、ひうち型多用途支援艦の魅力について!
(前回記事):『 防衛省の華麗なるカレーの乱勃発の記録 』
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(1)ひうち型多用途支援艦ってどんな船?
まずは、ひうち型多用途支援艦がどんな船か見てみましょう!
図1 「ひうち」型多用途支援艦(1番艦「ひうち」)
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ams/hiuchi/img/main_4301.jpg
・主要寸法:全長65.0m×幅12.0m×深さ5.8m×喫水3.5m
・エンジン:ディーゼル2基2軸 出力:5000PS
・速力:約15kt
・乗員:約40名
・主要装備:艦艇えい航装置一式
自走式水上標的・管制装置一式
魚雷回収装置一式
2002年に最初の「ひうち」が就役してから、計5艦が建造されました。
訓練支援のために、自走式水上標的の管制や魚雷の回収を行ったりします。
艦艇をえい航するための装置も付いており、ましゅう型補給艦やひゅうが型護衛艦などの大型艦船もえい航可能となっています。
小さいながらパワフルでいろんな支援をしてくれる大事な艦艇です。
大型船のえい航ができるなど、航洋曳船(オーシャンタグボート)といっても良い船です。
設計に関しては商船型「サプライボート」が参考にされました。
図2 サプライボート
引用URL:http://response.jp/imgs/img_v2/762560.jpg
(石油リグなどに大型荷物を運搬したり、えい航するタイプの船)
そのため、後部は広い甲板スペースがあっていろんな作業や荷物が搭載出来ます。
釣り上げた魚雷や、水上標的などを置いておけます。
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感想(0件)
(2)多用途支援艦に乗艦して航海に出たが・・・!!
私も現職時代に1週間ほどこの「ひうち」型多用途支援艦に乗り組んで支援作業に参加しました。
当時としてはまだ新しい、新型の船でしたので結構楽しみに乗り組みました。
艦内は乗員室の他に支援作業用の乗員室もあり、結構居心地の良い空間です。
支援作業員用談話室にテレビなどがあり、長期航海に耐えられるようになっていました。
支援作業隊の責任者(幹部)なので、食事や打ち合わせ、事務などは士官室で行うことに。
艦橋の一層下に士官室があります。
艦長や船の幹部にあいさつして、さあ出港しました!
(艦長が候補生学校時代のベテラン教官だったので気楽にできました)
そして実感したのが・・・
『揺れるよ!めっちゃ揺れるよ!!』
『めっちゃ艦橋構造物がローリングしてるよ〜!!』
『うえええ、船酔いがあああ〜〜〜!!!』
さらに重いレーダーがマストにあるためもっと揺れる結果に!
「あまくさ」入港シーン
出入港の時はいいのですが、外洋で波が荒れると大変な状況でした。
支援作業は、ベテランの運用の妙により無事に終了しました。
退艦するとき艦長にあいさつにいくと、艦長よりお話が。
『ペンギン〜、この船の特性がよくわかっただろ〜!』
『報告書にちゃんと書いとけよ!横揺れ対策の改良が必要だと!!』
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(3)そして珍しく早期改善が行われた珍しい船に
そんなわけで、1番艦「ひうち」艦長から提出された初年度に提出した、「自衛艦使用実績報告書」(凶器になりそうなくらい分厚い報告書だった)が切っ掛けとなって早期に改善策が取られました。
4番艦以降の艦艇に、減揺タンクが設置されることになりました。
図3 減揺タンクが付いた「げんかい」
引用URL:http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-ea-f9/p_no_kimochi/folder/887165/06/34154806/img_0
(煙突と艦橋構造物の間にある、箱型の構造物が減揺タンク)
珍しく改善要望が早くに反映された事例になりました。
そのため、4番艦「げんかい」と5番艦「えんしゅう」の乗りごこちは改善されてます。
もし体験航海などで、多用途支援艦に乗る機会があれば体感してみてください。
かなりの違いがでています。
ただ、5隻しかいない珍しい船ですので、見かけたときはラッキーですよ!
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多用途支援艦の設計については、搭載や輸送するもの(回収した訓練魚雷・自走式水上標的など)を基本としてそれに見合う船体設計と建造価格低減を考えていました。
搭載物を前面に考えたときに、造船会社側から「サプライボートを手本にしてみませんかい?」といった感じでスペース確保がしやすいサプライボートを基本とした感じです。
(ひうち型建造当時は、防衛庁長官の建造指名制度がまだ運用されてた時代だったので、造船会社と相談ができた)
スペースが確保できるのと、要求性能についてそのころ提示されたサプライボート設計で大体確保できることから、サプライボートをベースに設計したのが「ひうち型」多用途支援艦です。
あの頃は、とにかく防衛費削減が大前提でした。
技術研究本部(今の防衛装備庁)が基本設計したころには、オフショア船の進化型の情報が入ってきたので、似たようなやつ!というオーダーでした。
実際に海上に浮かんでいる訓練用魚雷を揚収作業では、設計での想定以上の横揺れが発生して大問題になりました。
建造前の詳細設計では、ビルジキール拡大・減揺タンクなどいろいろ揺れを抑える提案が会社側からあったのですが、建造価格低減を優先してしまい、あとから減揺タンク搭載を追加設計する羽目になったというのが真実です。
慌てて対策しようとして、船体大幅設計改良の余裕がないため減揺タンクを付けたというのが実際のところです。
デッキの広い部分だけを参考にされたのでしょうか。
掲載された赤い船は、舞鶴で建造されましたが基本設計は北海のoffshore船の設計会社の物で、日本の造船所は生産設計を行っただけです。
定点維持機能(DPシステム)と、その能力を最大限に発揮できる大馬力の推進力が不可欠ですが、DPシステムが付いていれば問題ないと考えがちの方々が多い事が残念です。30年近く北海仕様のサプライボート(オフショア船)に関わってきた者として、
ローリングやピッチング対策を如何に簡単におこなうか、UT755型サプライボートで経験しているので、65m全長、12m幅に本当に減揺タンクが必要であったか疑問です。ビルジキールを最大限に幅広くまた長くする事で、大幅に改善されたのではと思うしだいです。内部を空洞にする事も有りますが。