ペンギン船務士江田島に行くまで大忙し!

『船務士、初出航から大忙し!』

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前回、ついに船務士として護衛艦勤務を開始したペンギン船務士です!

本来ならば、江田島の幹部任務課程を修了してから本格的に活動のはずでした!

しかし忙しいので入校日まで、出航・一般公開・体験航海までやることに!

まさに、現場で仕事を叩き込まれる忙しさ!
経済的徴兵制が実施される!と叫ぶ皆様方へ
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(1)ヘリが着艦する!航空機発着艦部署用意!!

前回、船務士として何とか出航の初仕事をやり遂げました。

(参考記事) 海上自衛隊】船務士も出港時にはお仕事いっぱいだよ!

次に待っているのは、航空機搭載部署です。

ヘリコプター搭載護衛艦になると、出航後に哨戒ヘリコプター(通称HS)を搭載します。

海上自衛隊では、陸上にいるHSを洋上出航後に搭載します。
(海上保安庁では、出航前にHSが飛んでくるそうです)

洋上でHSを搭載する航空機発着艦部署は、結構神経を使う部署です。

図1 HS着艦の光景
HS着艦.jpg
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/4el/samidare_tokusyuu01/001smd.jpg

ヘリ運航を取り仕切る飛行長にとっては、狭いヘリ甲板に安全に航空機を着艦させるため全神経を使います。

また艦橋でも非常に神経を使う時間帯です。

HSの発着艦においては大原則があります。
『揺らすな!』『針路を変えるな!』
これは、航空機の発着艦に大きく影響を及ぼします。

『(飛行長)着艦中に変針したらどうなるか分かってるだろうな・・・(怒)』
と飛行長からの(愛情ある?)通信が、LSOから流れてきます(汗)

さすがに、HSの機長や飛行長の手慣れた様子で無事着艦して、航空機が格納されました。

着艦作業中は、早く着艦してくれええ〜!と胃が痛くなるような思いになります。

これが実習幹部と違い、護衛艦の船務士として実際に勤務を始めたんだ!と実感できる体験です。
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(2)一般公開・体験航海の港に到着!一般公開はケガに注意だよ!!

夜間のワッチ(当直)も何とかこなし、一般公開・体験航海を行う港に入港しました。

海上自衛隊の艦艇の一般公開・体験航海は広報展示という名称で行われます。

地方協力本部(当時は地方連絡部)の募集広報の一環で、地本主催で実施します。

広報展示では、入港完了後に入港歓迎行事が待っています。

そのため、大急ぎで入港作業を終了させる必要があります。もやい縄を岸壁に結んだからすぐ終わるわけではありません。

各種閉鎖部署の開放・甲板作業用具の片づけ・舷梯(艦からの階段)の設置など結構時間がかかります。

さらに、入港作業完了直後に歓迎行事参加の人員も選抜しておく必要があります。
図2 入港歓迎行事の様子
入港歓迎行事.jpg
引用URL:http://www.mod.go.jp/pco/iwate/images/ninohe/ninohe280721_03.jpg

艦長が参加するのは、あらかじめ決まっています。

その他列席するのは、比較的入港後手空きになる乗員が参加します。

『セシ!(船務士の略語)お前も入港歓迎行事に参加な!』

幹部自衛官では、大抵科長級と飛行長、ヘリパイと若手の士(さむらい)が参列者になります。

若手の士(さむらい)は、その後の協力会会長など艦内見学者の案内を任されます。

2.1 一般公開は危険がないようにケガに注意!

一般公開や艦内見学で乗員が特に気を遣うのが、見学者にケガをさせないことです。

護衛艦などの艦内は、ラッタル(階段)などいろんな危険個所が潜んでいます。

乗員では慣れているけど、見学のお客さんだと気づかない場合が良くあります。

そのため、いろんな配慮を苦心して行っています。

図3 ラッタル(急こう配の階段)に進行方向をつけたり・・・
艦橋へのラッタル.jpg
引用URL:https://stat.ameba.jp/user_images/20170411/00/pvtcoots/8f/a6/j/o3000200813911122368.jpg?caw=800

結構注意すべき点は多くあります。

2.2 一般公開で何をすれば?見学ルートをウロチョロしとれ!

さて一般公開が始まるけど、船務士って一般公開では何やればいいの?

他の幹部は、自分の持ち場で説明するのが一般的です。

しかし船務士だとCICが持ち場なので、一般公開のルートには入ってません。

なので上司の船務長に、士官室で見学客の接遇が仕事ですか?と聞いてみました。

返答は、
『見学ルートをウロチョロしてあちこちで見学者の質問に答えるように。士官室には戻ってこなくてよい』
と言われました。

さてどういうことかな?と思い、実際に動いてみると納得することがありました。

見学ルートの要所には、説明役の乗員がいますが、そのほかの場所で聞きたいという見学者も多くいます。

『あの突き出た二本の棒は何ですか?』などいろんな質問を受けることがありました。
図4 質問された物体
antena.jpg
引用URL:http://www.webzakki.com/image2011/z111215_05.jpg

『あれは通信用のアンテナです』
『煙突のところについてるんですか!』


いろいろ聞いてみたいけど、乗員が近くにいない場合に答えられる人間が必要だったのです。

船務長の、ウロチョロしとれ!の意味がよく分かりました。

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(3)体験航海は大変な航海だったよ!

体験航海は、一般見学者を乗せて1〜2時間程度の航海を行います。

これがなかなか乗員として経験すると大変なことが待ってました。

入隊前は気楽に体験航海に乗ってましたが、いざ自分が乗員側になると大変でした。

3.1 艦の位置が入らない〜!

体験航海では、それほど遠方に行かずに海岸線を航海します。

出入港作業は一度体験したので、やり方は把握できていました。

しかし大変なのは、出港後に規制が解かれて、艦橋内にも見学者が入ってるときです。

『ぎゃ〜!艦の位置が入れにくい〜!』
図5 体験航海時の艦橋の様子(イメージ)
体験航海中の艦橋.jpg
引用URL:https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-25-fe/utecht_86/folder/886612/18/22484118/img_0

艦橋内に、体験航海のお客さんが多くいるため、ウィングでの作業がしにくい状態になりました。

地文航法では、レピーター(コンパス)を使って、地上目標の方位から、艦の位置を図ります。

図6 レピーターコンパス
コンパス.jpg
引用URL:http://livedoor.blogimg.jp/zipangya/imgs/d/6/d6ffe36a.jpg

何とか、位置を入れながら航海を続けます。

3.2  この船に乗って何年なんですか?「ヴぇ・・・!」

何とか余裕が出てきて、見学客の質問に答えられるようになってきました。

その中で艦長席の近くで見学されていたVIPの方から、
『若い幹部もきびきび動いていますね。この船に乗って何年ですか?』
という質問が!
(ペンギン船務士)
『ヴぇ!え〜と・・・?(実は乗艦してまだ4日目)』
(不安がらせては、まずいよな〜と思っている)

この時艦長から助け舟が出され、
『彼は、先週まで練習艦隊の実習幹部として乗艦していて、半年ほど鍛えられていますよ』
と何とか、フォローしてもらうことができました。

そんな予想外の質問も飛び出る、冷や汗が止まらない体験航海を2度も経験しました。
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(4)ようやく江田島に向けて再度出発!!

そんなこんなで幹部任務課程に入校する前に、船務士としての仕事をいろいろ体験することになりました。

※幹部任務課程とは
幹部任務課程は、海上自衛隊の初級幹部(3尉、2尉)で水上艦に勤務する船務士、通信士、砲術士、水雷士、機関士、応急士等(以下「船務士等」という。)について必要な知識・技能を習得させる課程です。
江田島の第1術科学校と、横須賀の第2術科学校で実施しています。

(機関士、応急士・応急長などは、横須賀で実施)

半年前に卒業したけど、また江田島に約2か月ほど戻ることになります。

『(飛行長)船務士は、任務課程に行かなくても仕事やれるんじゃね?』
そんな言葉が士官室で飛び出して、笑い話になるほど濃密な1週間でした。

まさか、遠洋練習航海から帰国してすぐに濃密な船務士の仕事をするとは思ってもいませんでした。

と激励されて下艦、出港を見送ります。

ようやく一息つける・・・

そんなことを、同期の水雷士と共に言いながら、江田島に向かうことになりました。

ホント、艦隊勤務は大変だぜええ(涙)!!!
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2020年02月18日

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