英数字で数えればいいか
漢数字で数えればいいか
悩むね
ああそうだ
名前の無い猫の1日は長くて
服の袖を通す猫の一生は短い
また明日は来るよね
フランスパンにバターを塗るある朝の台所

何にも無くなる
餡でもなくなる
何者でもなくなったら
何か形にしたくなる
透明感のある和菓子屋
ぎゅうひで餡を包み
誰かに売る
息のできないゼラチン状のお菓子の国
早くここから抜け出せ
全部食べる
こんな少ない情報だけじゃ息が詰まりそうになる
楽々とチーズフォンデュを作る男がいる
鳥が空を食べた
厨房に注文
白いコック
ひたすら火と鉄の音が怒号している
鳥はこの世界の厳しさなど目もくれず
ふてぶてしい態度を取る
夕焼け時に車に轢かれて燃えたカラス
チーズの中に溶けていった
今日も注文が入る
この世は弱肉強食だが
すべての生き物はチーズフォンデュに黒胡椒を入れて食べている
植物図鑑の最初のページに苗を植える
黄緑色の幸せは
図書館で寝泊まりする色
不安になる色
地球の裏側のような図鑑
植物図鑑は大草原
図書館に寝泊まりしてまで
最初から幸せを植え付けた
昆虫図鑑
ビートを利かせ
はるばる遠くからやってきた
ビービービービー鳴っている
黄金色に輝くまだらな畑
どこを通ったかは忘れたけれど
畑の土手を通った
道の端を通った
黒猫が僕の肩を叩く
昼から半額セールをするお店
やっと目を開けた
残り物の日の光
白猫はカーテンを開ける
やっと見つけた
朝から閉店セールをするお店
僕はいつの間にか一門無しになってしまった
そろそろ霜で溶けそうな朝がやってくる
雪の溶けた水で顔を洗う
凍りついた草木
黒い土辿るように
季節を忘れたカンガルーが
ぴょんぴょん跳びはね下山する
12月のてっぺんから
1日なんて無かった
一生も無かった
今思えばそんなのは誰かが作った概念で
私が思った理想だった
やっぱり白米の上には梅干しに限る
だけど横からスッとやってきた猫が私のフランスパンの上に梅干しを乗せた