初回放映:1978年
フジテレビ系
東京メッツのピッチャー火浦健と阪神タイガースの大島大介のエピソード。放映後、好評だっ
たため前後編合わせた総集編が劇場公開された作品。
「父さんは大馬鹿野郎だ!、だけど俺はもっと大馬鹿野郎だ!!」
(ストーリー:ネタバレ)
甲子園春の選抜大会は雪の降る北国勢の優勝は不利といわれてきた。そのジンクスを覆す男と
言われる白大雪(はくだいせつ)高校1年のピッチャー火浦建は北の狼と言われていた。
地区大会優勝で甲子園行きを決めた白大雪高校であったが、健の父親政の勤める北道建設は暴
力団であった。白大雪高校の理事達は父親がやくざであることを問題視し、地区予選では大目
に見てきたが甲子園出場となるとそうはいかないと健を退部させるように校長に迫った。
校長は健から父にやくざを止めるよう説得してもらうと提案するが、理事たちは火浦は捨て子
で、血のつながりが無い父が聞くはずがないとその可能性を否定した。
同じころ、南の虎と呼ばれる1年生の強打者大島大介率いる熊本の阿蘇高校が甲子園出場を決め
ていた。
健の甲子園出場を祝うため、とんかつを作りながら政は16年前を回想する。
16年前の雪の日、身重の妻を残して出入りに出かけた政が無事帰ってきた時は、母子ともに
帰らぬ人となっていた。数か月後の雪の日、出入りで戦果を挙げた帰り道で政は走り去って行
く若い女性とすれ違う。その先で捨てられている赤ん坊を見つけ家に連れ帰り健と名付けて育
てることにした。
健を育てるようになってから、組では三代目が後目を継ぎ、政も子育てが第一で出入りに参加
しなくなったため三代目との関係が悪くなっていった。育った健は野球を始め、政の日本刀は
抗争にではなく健の投げる球を切るために使われるようになった。中学生となった健の投げる
球を切ることができなくなった政はもう用済みと日本刀を封印する。
高校の合宿所から長屋に帰ってきた健は、校長から言われた通り政にやくざを止めるように頼む
が、怒った政に家を追い出されてしまう。
数日後、政は組に杯を返しに組へ赴くが起こった三代目のリンチにあって命を落としてしまう。
そうとは知らず野球部を退部して長屋に帰ってきた健は政の亡骸と対面する。事情を政の弟分か
ら聞いた健は政の日本刀の封印を破り組に殴り込みをかけ、三代目に切りつけて負傷させてしま
う。
健は逮捕され、パトカーで連行されていった。
健を拾った時にすれ違った女性がもう一人赤ん坊を抱いていたので、こちらが大島大介ではないか
と推測できます。政がこと切れるとき、健の見ていた猿がシンバルを叩くおもちゃが止まってしま
ったと同時に練習中の大介も頭部にデッドボールを受けて倒れてしまうという演出もありました。
通常OPの他に本編が始まると水木一郎の主題歌が流れ、「北の狼南の虎(前編)」のタイトルが
出るまでもう一つのOPがあるようでした。水原勇気編を除くとこのエピソードだけ別EDが流れ
るなど特別な演出となっています。
男手ひとつで長屋暮らしの火浦家、両親そろった裕福な家庭の大島家の対比が甲子園出場祝いの食
事に現れていました。火浦家とんかつ、大島家牛ステーキ。火浦政がとんかつを作るまでには、肉
やの夫婦から肉をおまけしてもらったり、八百屋からキャベツをタダでもらったり、政の方も赤ん
坊の診察を医者に断られた長屋の女性に診察台を融通してあげたり、政が町の人々と助け合って生
活している様が描かれていました。今のドラマではあまり描かれていない人情があふれるシーンが
ほっこりとさせてくれます。
組に殴り込みをかけたのにたまたまその時は手薄だったのか素人の健が三代目に手傷を負わせるこ
とが出来ました。健を捕まえて密かに無きものすることもできなかったのか、警察に連絡して逮捕
させるなんて組の面目は丸つぶれだったのではないでしょうか。
映画パンフレット 「野球狂の詩-北の狼南の虎-」 監督 岡部英二 声の出演 曽我部和行/森功至/大宮悌二
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ウォールストリート・ジャーナル日本版
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