■米国においても2010年から10年間でマル防に従事する中小企業の40%が撤退している
■マル防を維持するためには国有化が必要
以前、ドイツ研究の大家であった篠田 雄次郎先生がご著書で以下のような話をされていました。
ユダヤ人は工作機械をやりたがらないと聞く。何故なら手間暇掛かる割に大当たりが少ないからだ。これは逆に言うと、手間暇惜しまず大当たりを狙わなければ、食いっぱぐれがないということで、これこそドイツ人向けの商売である。
引用元: 日本人とドイツ人—猫背の文化と胸を張る文化 (カッパ・ブックス) 篠田 雄次郎
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マル防もこれに似たものがあります。さらに付け加えるなら、
手間暇惜しまず大当たりを狙わず、官側の理不尽な要求を堪え、毎年受注が来るとは限らない
以上のことを受け入れられる度量が必要です。慈善事業じゃないんですから、こんな商売誰もやりたがらないでしょう。実際、本邦においてマル防から撤退する会社が相次いでいます。実は以前はそうでも無かったのです。管理人が禄を食ませて頂いた某マル防関連会社は利益率の高さで有名でした。それが変化したのは一連の過大請求事案以降でしょうか。
マル防撤退で一番著名なのは、装甲車両をやってたコマツさんでしょうが、これがプライムメーカーでなくサブコンやパーツサプライヤレベルになると枚挙にいとまがありません。
先日、えい航標的の記事をアップした際に、長年えい航標的を製造していた国内メーカーが事業撤退するらしいことが分かって驚きましたが、今後も同じような事業撤退は続くのでしょう。
このようなマル防からの事業撤退は本邦だけと思ってましたが、実は米帝でも同様なんだそうです。以下は Defence One 記事です。
As demand for arms booms, lack of modernization stymies weapons production
Some small firms at the heart of the defense industry see little benefit to automation and digitization.
https://www.defenseone.com/business/2023/10/demand-arms-booms-lack-modernization-stymies-weapons-production/391533/
こちらの記事を要約すると、
●兵器生産は多くの中小部品サプライヤーに依存している
●生産を拡大したいのであれば、これらの小規模工場も生産を拡大する必要がある。
●しかしながら近年、このような中小企業の数は減少している。
●国防総省の調査によると、2010年から2020年の間に防衛産業に従事する中小企業の数は40パーセント減少し、この傾向が続けば今後10年間で推定1万5000社が廃業するとみられる。
●これらの会社には生産増に対応する設備投資を実施する余力はない。また、資金があっても従業員の高齢化により投資意欲が沸かない。
まるで、何処かの某国のことみたいじゃないですか(w
記事では対応策として以下のことを提案しています。
●このような中小企業への依存を減らすために、AIを使って兵器を設計しより一般的で入手可能なコンポーネントを使用する。
●政府所有の製造業の余剰能力を利用して、政府が小規模の下層メーカーから購入するのと同じ種類の部品を製造する。
つまり、カスタム品ではなく出来るだけCOTS品を使い、代替えが効かないものは国有化しろと言っている訳です。まぁ、何処の国でも同じような結論に達するわけです。
本邦でも防衛産業支援法が成立し、企業の設備の国有化が可能になりました。恐らく、国有化した設備を別の事業者へ貸与して生産を続けることになるのでしょう。将来的には戦前の工廠の復活もあり得るかもしれません。
呉海軍工廠(1945年10月)
画像引用元: Asahi Shimbun - Asahi Shimbun - https://www.asahi.com/special/nuclear_peace/gallery/konosekai/019.html, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=138919170 による
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