肥満の原因は糖質の摂りすぎ
飢餓に対する備えとして、糖質を肝臓と筋肉での蓄えであるグリコーゲンにしてしまったあとは、インスリンがまた山ほど出て、「中性脂肪」という形に変えて、
「内臓脂肪」と「皮下脂肪」に溜め込みます。
食料が安定して供給されなかった原始時代から獲得した
人間の素晴らしい資質です。
しかし、飽食の時代の現在は、飢える時間がないので、
お腹がすいたら、すぐに食事を摂ってしまいます。
中性脂肪をブドウ糖に戻すことなく、補充されて、過剰なものが脂肪細胞として蓄えられてしまうのです。
飢餓に強い遺伝子を獲得した人の方が、太りやすくなります。
これが遺伝子で引き継がれる資質なので、少しだけ食べても太る人は、本当に主食を0にしないと
いけないのが理解できたと思います。
1万4040人の遺伝子解析ー肥満は遺伝的要因も強い!
「『怠惰で意志薄弱だから肥満』は間違い」
痩身者の体重維持に遺伝的優位性を確認
同じような生活環境下にあっても肥満になる人とスリムなままの人が存在し、
一般的に肥満である人はその原因を「怠惰で意志薄弱であるから」とされがちである。
こうした通説を覆す検討結果を、
英・Wellcome Sanger InstituteのFemando Riveros-McKay氏らが
PLoS Genet(2019年1月24日オンライン版)に報告した。
報告によると、健康で痩せている人たちは重度肥満者に比べ
体重を維持する『遺伝的優位性』を有しているという。
肥満、痩身に関与する遺伝子を発見
Riveros-McKay氏らは、新たな肥満の予防・治療戦略を開発するため、
これまでの研究では肥満に焦点を当て、肥満リスクを高める多くの遺伝子、
小児期から重度の肥満を引き起こしうる遺伝子異常などを明らかにしてきた
(GOOS;Genetics of obesity studyなど)。
今回、体重増加を抑制する、
あるいは過剰なカロリーを簡単に消費しうる遺伝子を発見することを目的に、
健康で痩せている人を対象とした研究(STLTS;Study into lean and thin subjects)を行った。
研究では、登録されたBMIが18未満の『健康な痩身者1,622人』を対象とし、
他のコホート研究や調査から得られた小児期からの
『重度肥満者1,985人』および『正常体重者1万433人』のデータを用いて、
『遺伝的構造』について比較検討した。
その結果、重度の肥満に関与する遺伝子領域と、
健康的な痩身に関与する幾つかの遺伝子領域を発見した。
また、既に確立されているBMI関連遺伝子座について遺伝的リスクスコアを算出した。
肥満に関する遺伝的リスクスコアは肥満者群で標準体重者群に比べ高かったが、痩身者群では低かった
〔(肥満者群vs.標準体重者群・痩身者群:オッズ比1.94、 95%CI 1.83~2.07、
肥満者群・標準体重者群vs.痩身者群:オッズ比1.50、95%CI 1.42~1.59)。
痩身者群は肥満リスクを増加させる遺伝子変異をほとんど有していなかった。
共同研究者で英・Cambridge UniversityのFaroqi氏は
「太っていることを批判することは簡単だが、
肥満になる原因は非常に複雑であることが科学によって示された」と述べ、
「好きなものを食べても健康的で痩せたままの人がいるが、
そうした人は肥満リスクを高める遺伝子の影響をあまり受けていないからであり、
意志が強かったり、健康への意識が高かったりするからではない。
われわれが考えているよりも自分の体重をコントロールすることは容易ではない」とコメントした。
さらに、「体重増加を抑制する遺伝子を発見できれば、
新たな体重管理戦略を開発でき、
遺伝的優位性を持たない人々の体重管理を助けられるかもしれない」
と今後の研究に期待を寄せた。(宇佐美陽子)
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