修了考査(法適合確認)
法適合確認
(選択理由記述式4肢択ー問題)
[ No. 1 ]
建築構造設計のあるべき姿に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 構造物の安全性に関する見解について、組織の上司の発言についておかしいと感じたため、付度することなく上司に対して自分の意見を述べた。
2. 保有水平耐力計算では、ごく稀に遭遇する地震動に対する応答変形は陽に表現されないが、地震後の損傷度に大きく影響するため、別の方法によって応答変形を評価し建築主に説明した。
3. 一貫構造計算プログラムにおいて、部材検定が合格となったとしても、自らが理解していない設計条件を設定してはならない。
4. 構造物の安全性に関する新たな知見により、建築基準法の構造関係規定の改正が公布されても、施行前である場合には、その改正内容を構造設計に反映させるべきではない。
答え
4
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。
2. 記述の通り。
3. 記述の通り。
4. 改正前であっても新たな知見を取り入れた規定を反映させることは望ましい。改正後に既存不適格になる可能性を避ける事にもなる。
[ No.2 ]
構造関係規定の位置づけにおける次の記述のうち、建築基準法及び建築士法上、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 建築基準法は、最低基準を定めており、建築士法では、建築士はより質の高い建築物の実現に努める必要があるとしている。
2. 延べ面積が 600 m2である建築基準法第20条第1項第三号の鉄筋コンクリート造の学校について、許容応力度等計算(ルート2-1)を採用した場合、構造設計ー級建築士の資格を保有する建築主事により確認審査が行われるときは、構造計算適合性判定及び構造設計ー級建築士の関与は不要となる。
3. 既存不適格建築物に対して増築を行う場合、一定条件下では、既存部分の現行基準の適用を緩和することができるが、建築物の所有者等には、常時適法な状態に維持するための努力義務がある。
4. 構造設計は行わず、法適合確認のみを行った構造設計ー級建築士は、その確認に係る建築物について、建築基準法上の設計者には含まれない。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.記述の通り。(建築士法第2条の2)
2. 記述の通り。(基準法施行令第9条の3)
3. 記述の通り。(基準法第8条)
4. 構造設計を行っていない場合でも法適合判定を行った場合は設計者に含まれる。(建築士法第20条の2第3項)
[ No. 3 ]
建築基準法における地震力に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 鉄骨造建築物を耐震計算ルート1-1により設計するに当たり、基礎の耐震計算について上部構造の耐力確保に影響しない部分については、標準せん断力係数を0.2とした。
2. 高さが25mの鉄筋コンクリート造建築物について、屋上部分から突出した冷却塔の地震力を特別な調査又は研究によらないで計算するに当たり、転倒、移動等による危害を防止する措置を講じることとし、水平震度kを1/2に減じて地震力を算定した。
3. 鉄筋コンクリート造建築物の地震力について、建築物の一次固有周期を固有値解析で算定するに当たり、部材のひび割れによる剛性低下を考慮した剛性を用いた。
4. 地震力の算定に当たり、特別な調査又は研究として、地盤種別の判定に用いる地盤周期を基礎底面位置の常時微動測定結果から求めた。
答え
3
[ 解答解説 ]
1. 記述の通りで問題ない。 (技術基準解説書P434, 15〜19行参照)
2. 記述の通り。 (平12建告第1389号)
3. 地震力を算定する際は構造耐力上主要な部分の初期剛性を用いるもとし、剛性低下は考慮してはならない。 (昭55建告1793号第3)
4. 記述内容で問題ない。 (技術基準解説書P. 305)
[ No. 4 ]
建築基準法における荷重及び外力に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 多雪区域以外の垂直積雪鍵が15 cm以上である区域における鉄骨造建築物の許容応力度計算に当たり、折板屋根の勾配が15度以下で、かつ、最上端から最下端までの水平投影長さが10m以上の場合、特定緩勾配屋根に該当するものとして、屋根部分に作用する積雪荷重を割り増す必要がある。
2. 構造骨組の風圧力算定用の速度圧を算定するための高さHは、建築物の屋根平均高さで与えられ、設計する建築物にとって一定の値であるが、外装材の風圧に対する設計用の平均速度圧等の算定に用いる高さHは、設計する外装材の各々の高さに応じて与えられる。
3. 床が吹き抜けていない部分の地下外壁に常時水平方向に作用する設計用土圧は、静止土圧を採用することができる。
4. 倉庫業を営む倉痺における床の積載荷重について、実況に応じて計算した数値が2,900 N/m2であっても、3,900 N/m2を採用しなければならない。
答え
2
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。 (平19国交告第594号第3ホ)
2. 外装材の設計用平均速度圧を求めるときの高さHは構造骨組の風圧力算定用の速度圧と同様に高さと軒高の平均寸法により与えられ一定の値となる。(平12建告第1458号)
3. 記述の通り。 (技術基準解説書P.308)
4. 記述の通り。 (施行令第85条)
[ No. 5 ]
建築基準法における鉄骨造の耐震計算に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 許容応力度計算(ルート1-2)において、水平力を負担する筋かいを保有耐力接合とする場合、原則として当該筋かい軸部の有効断面積より算出される降伏軸力まで接合部が破断しないことを確認すればよい。
2. 許容応力度等計算(ルート2)において、ラーメンと筋かい併用の混合構造で筋かいの水平力分担率が5/7以上の階では、当該階の地鹿時の部材応力を1.5倍に割り増して設計を行う必要がある。
3. 保有水平耐力計算(ルート3)において、冷間成形角形鋼管柱(BCP、BCR材)を用いた場合、損傷が集中する局部崩壊メカニズムか、損傷が分散する全体崩壊メカニズムかを各階床位置で判断し、局部崩壊の場合には当該床位置の柱耐力を低減して保有水平耐力を算定する必要がある。
4. 保有水平耐力計算(ルート3)において、伸び能力がないアンカーボルトを使用し、保有耐力接合の条件を満足しない露出柱脚を用いる場合は、当該階の柱及び梁の部材群としての種別はDとなる。
答え
1
[ 解答解説 ]
1. 有効断面積ではなく全断面積が降伏するまで破断しないことが求められ、炭素鋼の場合降伏軸力の1.2倍、ステンレス鋼の場合1.5倍以上必要。(技術基準解説書P.357)
2. 記述の通り。 (昭55建告第1791号)
3. 記述の通り。 (平12国交告第594号第4号三号)
4. 記述の通り。 (技術基準解説書P. 636)
[ No. 6 ]
鉄筋コンクリート造建築物の耐震計算ルート1において、下記の式(1)(平成19年国土交通省告示第593号)を適用する際、次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、下線部を正しく直せ。なお、式(1)の記号は平成19年国土交通省告示第593号による。
Σ2.5αA w + Σ0.7αA c ≧ ZWA i 式(1)
1. 架構内の鉄筋コンクリート造無開口耐力壁において、壁板の断面積は A w として算定する。
2. 架構内の鉄筋コンクリート造無開口耐力壁において、側柱の断面積は A w として算定する。
3. 架構内の鉄筋コンクリート造そで壁付き柱において、所定の条件を満足するそで壁の断面積は A w として算定する。
4. 架構外の鉄筋コンクリート造壁において、所定の条件を満足する壁板の断面積は A c として算定する。
答え
2
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。
2. Aw→Ac
3. 記述の通り。
4. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 382)
[ No. 7 ]
木質材料及び木質構造に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 主に梁に用いる対称異等級構成集成材は、外層と内層のラミナの強度は同じである。
2. 建築基準法第20条第1項第四号の木造建築物の耐力壁の偏心の検討は、いわゆる「四分割法」で行うのが一般的であるが、偏心率の計算を行ってもよい。
3. 木材の長期許容応力度に対する短期許容応力度の比は、2/1.1 である。
4. 木質材料の梁のたわみ計算において、長期荷重に対する変形増大係数は、構造関係規定により2と定められている。
答え
1
[ 解答解説 ]
1. 対称異等級構成集成材は内層より外層の強度を高くすることにより曲げに対して効果的な組み合わせにしている。
2. 記述の通り。 (平12建告第1352号)
3. 記述の通り。長期許容応力度は1.1F/3、短期は2F/3である。 (施行令第89条)
4. 記述の通り。 (平12建告第1459号)
[ No. 8 ]
耐風設計に関する次の記述のうち、建築基準法上、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 建築物に作用する設計用の風圧力は、国土交通大臣が定める風速V o 、平均風速の高さ方向の分布を表す係数E r 、ガスト影響係数G f 及び風力係数C f などが考慮されて決められている。
2. 都市計画区域内で都市化が極めて著しいとして特定行政庁が規則で定める地表面粗度区分?Wの区域では、地表付近で建築物等による凹凸により風の乱れが大きくなることから、他の地表面粗度区分の場合に比べて速度圧は小さくなる。
3. 屋根面及び壁面の風力係数 C f は、風洞実験の結果によらない場合、閉鎖型・開放型いずれの建築物でも、建築物の外圧係数 C pe (屋外から当該部分を垂直に押す方向を正)から内圧係数C pi (屋内から当該部分を垂直に押す方向を正)を引いて求める。
4. 建築基準法施行令第87条第2項に規定するEの数値は、平均風速の高さ方向の分布を表す係数E r にガスト影響係数G f を乗じて求める。
答え
4
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。 (施行令第87条、平12建告第1454号)
2. 記述の通り。 (平12建告第1454号)
3. 記述の通り。(平12建告第1454号)
4. E r
ではなく、E r
の2乗にG f
を乗じて求める。(平12建告第1454号)
[ No. 9 ]
保有水平耐力計算に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 必要保有水平耐力の計算においては、地震力によって各階に生じる水平力Q udの大きさを、弾性応答1Gの水平力としている。
2. 静的荷重増分解析による保有水平耐力の計算は、地震時の応答変形を求めるものではなく、保有水平耐力に達する時点の変形は、地震時の応答変形とは必ずしも一致しない。
3. 構造特性係数D s は、建築物の塑性変形能力に応じて、建築物に確保すべき安全率である。
4. 地震動によって建築物に生じる力は、その分布が時々刻々変化し、地震力に対する建築物の強さを一義的に定義することはできないため、保有水平耐力は、あらかじめ決められた約束事に基づき計算することとしている。
答え
3
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。(技術基準解説書P. 341)
2. 記述の通り。(技術基準解説書P. 342)
3. D s
は各階の構造特性を表すものとして、建築物の構造耐力上主要な構造方法に応じた減衰性及び各階の靱性に応じて決められた必要保有水平耐カの低減係数である。 (技術基準解説書P.349)
4. 記述の通り。 (技術基準解説書P. 344)
[ No. 10 ]
鉄筋コンクリート造の保有水平耐力計算に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 建築物に靱性を期待して設計する場合、建築物全体が保有水平耐力に達する以前にせん断破壊を生じさせないだけではなく、崩壊形に達するまでの段階でもせん断破壊を防止する必要がある。
2. 連層耐力壁の脚部が浮上りや沈み込みによる回転系の破壊形式となる場合、脚部の浮上りや沈み込みを考慮して耐力壁の部材種別を定め、D s の算定を行う。
3. A i 分布に基づく外力分布を用いた荷重増分解析によってD s 算定時に崩壊形を形成していない階の崩壊形を求める方法として、余耐力法(荷重増分解析により求まる部材応力と部材耐力をもとに崩壊形を求める方法)がある。
4. 地上部分について保有水平耐力を確認する場合であっても、基礎の二次設計は要求されていない。
答え
2
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。 (技術基準解説書P. 348)
2. 連層耐震壁の有無にかかわらず浮上りや沈み込みが無いものとしてDsを算定しなければならない。 (技術基準解説書P.402)
3. 記述の通り。(技術基準解説書P. 398)
4. 記述の通り。(技術基準解説書P. 434)