検索
構造設計一級建築士
スケジュール
・講習日程
 札幌市 9/25・26
 仙台市 9/10・11
 東京都 9/26・27
 名古屋 9/19・20
 大阪府 9/12・13
 広島市 9/19・20
 福岡市 9/30・10/1



・合格発表 1/24(金)まで
重要ポイント
構造コメンタール
 1.1 力とつり合い
 1,2 静定構造物
 1.3 断面の性質と応力度
 1.4 部材の変形
 1.5 不静定構造物
 1.6 座 屈
 1.7 振 動
 1.8 骨組の塑性解析

 2.1 構造設計の基礎
 2.2 構造計画等
 2.3 鉄骨構造
 2.4 鉄筋コンクリート構造
 2.5 鉄骨鉄筋コンクリート構造
 2.6 壁構造
 2.7 木構造
 2.8 基礎構造
 2.9 その他の構造等

建築材料
 1. 木 材
 2. コンクリート
 3. 鋼 材
 4. アルミニウム
 5. その他の材料
カテゴリーアーカイブ

2024年09月28日

令和五年度修了考査 構造設計(4肢択一式) No.1 〜 No.10

構造設計

(選択理由記述式4肢択ー問題)

[ No.1 ]
図のようなスパンL、高さHが同じであり、柱脚の固定条件が異なる2つの骨組A、骨組Bがある。骨組A、骨組Bとも、梁は剛体、柱は完全弾塑性体からなり、全ての柱は同断面、同材料からなる。次の記述のうち、 誤っているものを1つ選び 誤りとする理由を述べよ。

R5-2_No.1_骨組A.jpgR5-2_No.1_骨組B.jpg


1. 水平荷重Pを受ける場合、骨組Aの水平剛性K A 、骨組Bの水平剛性K B の比は、K A : K B =4: 1である。


2. 水平荷重Pを漸増させていくと、塑性崩壊に至る。軸力の影響を考慮しなければ、骨組Aの塑性崩壊荷重P A 、骨組Bの塑性崩壊荷重P B の比は、P A :P B =2: 1である。


3. 骨組Aと骨組Bの固有周期が同じ場合、骨組Aの質量m A 、骨組Bの質量m B の比は、m A : m B = 2: 1である。


4. 水平荷重Pは作用しないものとし、鉛直荷重Vを漸増させていくと座屈が発生する。骨組Aの弾性座屈荷重V A 、骨組Bの弾性座屈荷重V B の比は、V A :V B = 4 : 1 である。



答え

 3
[ 解答解説 ]
1.記述の通り。
変形から剛性を求める。
柱1本あたりの荷重はP/3となり、片持ち梁のたわみの公式から骨組Bの変形は
 δ B = H 3 /3EI × (P/3)

両端固定の場合は長さが1/2の場合の片持ち梁の2倍と同じになるので、
骨組Aの変形は
 δ A = 2(H/2) 3 /3EI × (P/3)
水平剛性 K = P/δより
K A = 36EI/H 3 、K B = 9EI/H 3
よって、K A :K B =4 : 1

2.記述の通り。
塑性破壊が曲げ降伏による崩壊形であるかは記述されていないが、せん断破壊しないものとして検討を行う。

柱の塑性モーメントをM u とすると、骨組Aは柱上下端がM U となり、骨組Bは上端のみM u となる。この時の柱1本あたりのせん断力は骨組Aでは Q A =2Mo/H 骨組BではQ B =Mo/H となるので、P A :P B = 3 × Q A :3 × Q B = 2:1

3.固有周期の公式は T = 2π√(m/k)。 1.より水平剛性の比は4: 1のため、周期が同じとなるためには質量比もm A :m B = 4:1である必要がある。
よって、不適当。

4.記述の通り。
オイラーの座屈荷重は
 P cr = π 2 EI/L k 2
 ここで、L k は座屈長さ
 両端固定で水平拘束なしの場合、
 L k = H よって P crA = π 2 EI/H 2
 片側ピンで水平拘束なしの場合、
 L k = 2H よって P crB = π 2 EI/(2H) 2
よって、V A : V B = P crA : P crB = 4 : 1




[ No. 2 ]
構造材料に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、 不適当とする理由を述べよ。

1. 鋼材の引張試験から得られた応カーひずみ関係は、通常の設計で使用するような塑性ひずみの小さな範囲では圧縮側でも成立するとして、座屈を考慮しない範囲で同じ値が適用される。


2. ステンレス鋼の機械的性質の特徴は、明瞭な降伏点を示さないラウンドハウス形の応カーひずみ関係をもつこと、降伏比が高いことである。


3. コンクリートの応カ-ひずみ関係は、設計基準強度によってヤング係数が変わり、圧縮強度が高いほど剛性も高い。


4. 木材の含水率が繊維飽和点(おおむね30%)以下では、含水率の低下に伴ってその強度は増加する。



答え

 2
[ 解答解説 ]
1.記述の通り。
(テキスト第Il 編第1章2-1鋼材P. 123)

2.降伏比は低いので、不適当。
 SUS304 約0.4 < SS400 約0.6
(テキスト第Il 編第1章2-2鋼材 P. 126)

3.記述の通り。
(テキスト第Il編第1章2-2鉄筋コンクリート P. 131)

4.記述の通り。
(テキスト第Il編第1章2-3木材 P. 134)




[ No. 3 ]
構造計画・構造解析に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、 不適当とする理由を述べよ。

1. 同断面積で鋼管厚が同厚のCFT柱では、角形鋼管より円形鋼管のほうが、充填コンクリートのコンファインド効果が大きく、曲げ剛性も大きい。


2. L形の平面形をした建築物の構造計画において、基礎免震構造を採用し、免震層の剛心を上部構造の重心位置と一致させることにより、偏心の影響を小さくすることができる。


3. 大きな吹抜けのある鉄骨造建築物の耐震設計を行うに当たり、構造解析においてスラブの面内変形を考慮し、柱•梁•スラブなどの部材設計を行った。


4. 鉄筋コンクリート造建築物において、偏心を小さくするために耐力壁にスリットを設ける場合があるが、偏心が多少大き<なっても耐力壁の量を確保したほうが耐震性能として優れている場合もある。



答え

 1
[ 解答解説 ]
1.コンファインド効果の説明は正しいが、曲げ剛性は向きによっては角型鋼管の方が大きくなるので不適当。

2.記述の通り。

3.記述の通り。

4.記述の通り。




[ No. 4 ]
耐震設計に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、 不適当とする理由を述べよ。

1. 建築物の地震力を求める場合、一次設計の標準せん断力係数Coは0.2以上としなければならないが、地盤が著しく軟弱な区域として特定行政庁が規則で指定する区域内の木造建築物(除外規定あり)にあっては0.3以上とする必要がある。


2. 地盤の液状化現象は、一般に、均ーで緩い砂質地盤において地下水位が浅い場合に、地震の揺れによって間隙水圧が低下し土粒子間のせん断抵抗を失うことによって生じる。


3. 保有水平耐力計算において、構造物が水平力を受けて崩壊形が形成されるときの層せん断力を、保有水平耐力とする。


4. 時刻歴応答解析による耐震設計において、地震動に与える表層地盤の影響は、工学的基盤より上部の地盤による入力地震動の増幅を評価することで考慮される。



答え

 2
[ 解答解説 ]
1.記述の通り。
(施行令第88条第2項)

2.液状化は間隙水圧の上昇によって有効応力が減少することで発生するため、誤り。
(テキスト第II編第3章7-2地盤に関する基礎知識P. 333)

3.記述の通り。
(テキスト第II編第2章2-2耐震設計法P. 177)

4.記述の通り。
(テキスト第1I編第2章2-3時刻歴応答解析による耐震設計P. 185)




[ No. 5 ]
鉄骨構造に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、 不適当とする理由を述べよ。

1.鋼材の降伏比が小さいほど、塑性ひずみが部材の長さ方向に広がるため、粘りのある部材となる。


2. 冷間成形角形鋼管の柱に筋かい材のガセットプレートを取り付ける場合には、筋かいの力による鋼管板要素の面外変形などの局部的な変形を防止する必要がある。


3. 細長比が弾性限界細長比以下の圧縮材が繰返し軸力を受け曲げ座屈すると、座屈後の軸耐力が低下し、ある一定値に漸近するような荷重ー変形挙動を示す。


4. 同じスパンの単純梁において、均等曲げを受ける場合と逆対称曲げを受ける場合では、均等曲げを受ける場合のほうが、横座屈曲げ耐力が大きくなる。



答え

 4
[ 解答解説 ]
1.記述の通り。
(テキスト第II編第1章2-1鋼材P. 123)

2.記述の通り。

3.記述の通り。
(テキスト第II編第3章2-2部材の設計P. 255)

4.モーメント勾配がある場合は、等曲げの場合に比べて横座屈耐力は大きくなるので、均等曲げを受ける場合の方が、横座屈曲げ耐力は小さくなる。
よって誤り。 (テキスト第II 編第3章2-1鋼材の特性P. 256)




[ No. 6 ]
鉄筋コンクリート造の構造設計に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、 不適当とする理由を述べよ。

1. 柱梁接合部の鉄筋折曲げ定着部において、折曲げ内法直径が小さいほど折曲げ部分の内側に発生する支圧力が大きくなるので、コンクリートの局部圧縮破壊を避けるために、鉄筋の折曲げ内法直径の最小値が規定されている。


2. コンクリートの乾燥収縮は、水セメント比が同じであれば、セメント量の多い調合のものほど大きくなる。


3. 必要保有水平耐力の算定に当たり、コンクリートの設計基準強度 Fcに対する崩壊メカニズム時の柱の平均せん断応力度τuの比が大きくFC部材になったので、せん断補強筋を増やして FA部材とした。


4. 1階をピロティとした計画において、2階の耐力壁の下枠梁に、1階柱の主筋が十分に定着できる梁せいを確保し、耐力壁の下枠梁の主筋は、2階耐力壁の水平せん断力の1/2 程度を負担できる量を確保した。



答え

 3
[ 解答解説 ]
1.記述の通り。

2.記述の通り。

3.柱の部材種別の決定のうちせん断に関するものは、τu/Fc の数値であり、せん断補強筋を増やしても部材種別は変更できないため、不適当。(昭 55建告第1792号第4)

4.記述の通り。




[ No. 7 ]
木質構造等の構造設計に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選ひ、 不適当とする理由を述べよ。

1. スキップフロアを有する木造建築物においては、スキップ境界面に接して直交方向に面材張り耐力壁等を設けるのが望ましい。


2. 1階が鉄筋コンクリート造で2階及び3階が木造の建築物において、1階を耐力壁の多い構造としておけば、木造階の剛性率が0.6以下の場合であっても、剛性率による割増し(Fs)は必要ない。


3. 耐力壁を主たる水平耐力要素とする木造建築物では、一般に、水平力に対する各層の荷重変形性能は独立とみなせる。


4. 曲げ応力を受ける横架材の引張側に欠込みがある場合、欠込み部分の曲げの検定では、欠込み部分を除いた断面に対する断面係数を用いた。



答え

 2
[ 解答解説 ]
1.記述の通り。

2.混構造の場合、木造階の剛性率は0. 6以上を満足する必要があるため、不適当。
(テキスト第1I編第3章1-1木質構造建築物の概要P. 224)

3.記述の通り。

4.記述の通り。




[ No. 8 ]
免震構造•制振構造に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、 不適当とする理由を述べよ。

1. 制振ダンパーの接合部は、変形能力を確保するために、剛性を小さく設計することが望ましい。


2. 免震建築物における免震層の固有周期は長くすることによって応答加速度を小さくできるが、上部構造の固有周期は長くするより短くし、免震層に振動エネルギーを集中させることが望ましい。


3. 免震構造では、免震層を含む建築物の固有周期が長くなるため、免震層上部の応答加速度は減少するが、地面に対する応答変位は増大する。


4. 制振建築物の計画において、長周期地震動や台風などの多数の繰返し振動によって制振ダンパーの性能が低下する場合があるので、その性能低下を考慮に入れた構造設計を行う必要がある。



答え

 1
[ 解答解説 ]
1.制振ダンパーの接合部は、ダンパー軸剛性•軸耐力に対して十分な剛性を有している必要があり、不適当。
(テキスト第 ?U 編第3章6-2制振構造P. 329)

2.記述の通り。
(テキスト第 ?U 編第3章6-1免震構造P. 319)

3.記述の通り。
(テキスト第 ?U 編第3章6-1免震構造P. 319)

4.記述の通り。




[ No. 9 ]
地盤•基礎に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、 不適当とする理由を述べよ。

1.地震動を受ける地盤では、地盤のせん断ひずみの増大とともに、せん断剛性Gは低下し、減衰定数hは増大する。


2. 地盤中から採取した粘性土の室内力学試験を行う際に、試料採取深さが比較的深い場合には、三軸圧縮試験(UU試験)より一軸圧縮試験のほうが有効である。


3. 原位置で固化材(主にセメント)と地盤を攪拌混合する地盤改良では、地盤及びセメントの特性によっては、改良体から六価クロムの溶出の可能性があるので、事前に溶出試験を行うことが重要である。


4. 杭の鉛直方向の抵抗要素として先端抵抗と周面摩擦抵抗があり、杭頭部に鉛直力が作用したときに、沈下の発生とともに周面摩擦抵抗が先行して発揮され、沈下が増加すると先端抵抗が発揮される。



答え

 2
[ 解答解説 ]
1.記述の通り。

2.サンプリング深さが深い場合には、サンプリングから試験時までに応力開放などで資料にひび割れなどが発生することがあるため、3軸圧縮試験を行うのが望ましいため、不適当。
(テキスト第 ?U 編第3章7-2地盤に関する基礎知識P. 334)

3.記述の通り。
(テキスト第 ?U 編第3章7-4基礎構造計画P. 340)

4.記述の通り。
(テキスト第 ?U 編第3章7-5基礎の設計P. 347)




[ N'o. 10 ]
建築物の耐震診断•耐震補強に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、 不適当とする理由を述べよ。

1. 鋼構造建築物の耐震診断において、床面の面内剛性が小さく、地震時にその形状保持が難しいと判断される場合は、必要に応じて平面骨組に分け、骨組の形状、荷重の伝達と各部の挙動を考慮した検討が必要である。


2. 「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準•同解説」において、第1次から第3次までの3種の診断レベルが用意されており、第2次診断は、柱、壁に加えて梁の耐力を考慮して耐震性能を評価するなど、第1次診断より計算精度の改善を図っている。


3. 鋼構造建築物の耐震補強において、補強設計時には、耐震診断時の実態調査結果の確認を行うとともに、ボルト接合部や溶接接合部については必要に応じて追加確認をすることが重要である。


4. 鉄筋コンクリート造建築物の耐震補強において、既存柱に対する鋼板の巻き付けによる補強は、極脆性柱や下階壁抜け柱のせん断耐力改善に効果が期待できる工法である。



答え

 2
[ 解答解説 ]
1.記述の通り。
(テキスト第II編第4章3-2耐震性の判定P. 387)

2.第2次診断で想定しているのは柱崩壊型の構造特性で、梁は剛強と考え計算では考慮しないため、不適当。
(テキスト第II編第4章2-2耐震性の判定P. 381)

3.記述の通り。
(テキスト第II編第4章3-2耐震性の判定P. 387)

4.記述の通り。


2024年09月26日

令和五年度修了考査 構造設計(記述式)問題1

構造設計(記述式)

問題1

次の直接基礎(独立フーチング基礎)の設計に関する設問 [ No.1 ] 及び杭基礎の鉛直支持力等に関する設問 [ No.2 ] について解答せよ。

[ No.1 ]
次に示す硬質粘土地盤を支持層とする直接基礎(独立フーチング基礎)で設計する場合の長期許容鉛直支持力及び即時沈下量の検討に関する次の?@〜?Dの設問について解答せよ。

く検討の対象とする独立フーチング基礎の概要>
長期鉛直荷重 W: 700kN(フーチング自重含む、荷重の偏心及び傾斜なし)
底版形状   :正方形(2m × 2m)

く支持地盤の概要•地盤係数等>
土  質     :洪積粘性土
一軸圧縮強さq u   :200 kN/m 2
地盤のヤング係数E s :15,000 kN/m 2
地盤のポアソン比V s : 0.4
単位体積重量γ   : 16kN/m 3
地下水位      : GL−2.0m

?@ 地盤の長期許容鉛直支持力q αL を式(1)により求めよ。ただし、根入れの影響は無視する。



答え


[ 解答解説 ]
解答例中で計算結果を表示する場合は、途中表示も含めて有効数字3桁とする。

q αL =1/3 ×( a•c•N c + β•γ 1 •B•N γ + γ 2 •D f •N q ) ・・・式(1)

支持地盤の土質が粘性土であることから内部摩擦角φ= 0.0° なので、
表1よりN c = 5.10、N γ = 0.0、N q = 1.00となる。

底版形状は 2m × 2mなので
B = 2.00、L = 2.00より
α= 1.0 + 0.2×(2/2) = 1.2

問題文より c = q u /2 = 200/2 = 100(kN/m 2 )となり、
 α•c•N c = 1.20•100•5.10 = 612(kN/m 2
 β•γ 1 •B•N γ = 0.0(kN/m 2
また問題文中に「根入れの影響は無視する」とあるので、
D f = 0.0であり、
γ 2 •D f •N q = 0.0(kN/m 2
したがって式(1)より算定される地盤の長期許容鉛直支持力は、

q αL = 1/3 ×( a•c•N c + β•γ 1 •B•N γ + γ 2 •D f •N q ) 
  = 1/3 ×( 612 + 0.0 + 0.0 ) 
  = 204(kN/m 2




?A 検討の対象とする独立フーチング基礎の長期接地圧p(基礎底版に作用する単位面積当たりの荷重)を求めよ。



答え


[ 解答解説 ]
長期接地圧pは、長期鉛直荷重Wを底版面積A f で除して求める。
底板形状は2m × 2mなので、
 A f = 2.00 X 2.00 = 4.00(m 2 )
したがって
 p = w/A f = 700/4.00 = 175(kN/m 2




?B 長期許容鉛直支持力qαLと長期接地圧Pの比較により、支持地盤の安全性を検証せよ。

q αL =1/3・( a•c•N c + β•γ 1 •B•Nγ + γ 2 •D f •N q ) ・・・式(1)

 q αL :長期許容鉛直支持力(kN/m 2
 α,β:基礎の形状係数で、長方形基礎(短辺B、長辺L)の場合には、
    α = 1.0+ 0.2B/L、β= 0.5 − 0.2B/L
N c 、N γ 、N q :支持力係数(表1参照)
  c:支持地盤の粘着力(kN/m 2 )(c = q u /2としてよい)
  γ 1 :支持地盤の単位体積重量(kN/m 3
  γ 2 :根入れ部分の土の単位体積重量(kN/m 3
  D f :根入れ深さ(m)

表1 支持力係数
R5-2_問題1_No.1_表1_支持力係数.jpg
(日本建築学会:建築基礎構造設計指針より)


答え


[ 解答解説 ]
p = 175 < q αL = 204より、
長期許容鉛直支持力が長期接地圧を上回っていることから、支持地盤の安全性に問題はない。




?C 検討の対象とする独立フーチング基礎の即時沈下量 S E を式(2)により求めよ。



答え


[ 解答解説 ]
 S E = Is•( 1 – νs 2 ) / E s ・p•B ・・・式(2)
基礎の剛性は∞と考え、底面形状は正方形であることから、表2より、
 l s = 0.88
また、v s = 0.40, E s = 15000(kN/m 2 ), p = 175(kN/m 2 ), B = 2.00(m)より
 S E = I s •( 1 – ν s 2 )/ E s ・p•B
  = 0.88•(1−0.40 2 )/15000・175・2.00
  = 0.0172(m)




?D 算出した即時沈下最S E より、独立フーチング基礎に対する安全性を検証せよ。ただし、十分に剛性のある基礎を想定する。また、本建築物の即時沈下の総沈下醤の限界値は20mmとする。

S E = l s •(1−ν s 2 )/E s × p •B ・・・式(2)
S E :即時沈下量(m)
l s :基礎底面の形状と剛性によって決まる沈下係数で、表2による。
ν s :地盤のポアソン比
E s :地盤のヤング係数(kN/m 2
p:長期接地圧(kN/m 2
B:基礎の短辺長さ(m)
L:基礎の長辺長さ(m)

表2 沈下係数
R5-2_問題1_No.1_表2_沈下係数.jpg
(日本建築学会:建築基礎構造設計指針より)


答え


[ 解答解説 ]
問題文に「十分に剛性のある基礎と想定する」とあるので、
?Cで考えた通り、S E = 0.0172(m)=17.2(mm)である。
したがってS E =17.2(mm)< 本建物の即時沈下量の限界値=20(mm)
より、算定した即時沈下量は限界値を下回っていることから、
安全性に問題はない。





[ No.2 ]
図1のような地盤に、杭頭をGL−2.0 m、杭先端をGL−23.0mとした場所打ち鉄筋コンクリート拡底杭(軸径2.0m、杭先端有効径3.0m)を造成する場合の杭の鉛直支持力等に関する次の?@〜?Dの設問について解答せよ。ただし、杭の長期許容鉛直支持力の算定には式(3)を用いるものとし、拡底部の周面摩擦抵抗力は考慮しないものとする。

R5-2_問題1_No.2_図1_地盤構成及び杭の概要.jpg
図1 地盤構成及び杭の概要

R αL = 1/3 × (R p + R f ) ・・・式(3)

R αL :杭の長期許容鉛直支持力(kN)
R p :極限先端抵抗力(kN)で、R p = 100・ N ・A p
ただし、100 N の上限を7,500とする。
N :杭先端から下に1d p (d p は杭先端有効径)、上に1d p 間の平均N値
A p :杭の先端面積(m 2
R f :極限周面摩擦抵抗力(kN)で、R f = R fs + R fc
R fs :砂質土層の極限周面磨擦抵抗力(kN)で、R fs = Σ3.3•N s •L s •ψ
N s :砂質土層の杭周面のN値で、上限を50とする。
L s :砂質土層の長さ(m)
ψ:杭の周長(m)
R fc :粘土層の極限周面摩擦抵抗力(kN)
   R fc = Σ(1/2•q u •L c •ψ)
q u :粘土層の杭周面の一軸圧縮強さ(kN/m 2 )で、上限を200とする。
L c :粘土層の長さ(m)


?@杭の極限先端抵抗力R p を求めよ。



答え


[ 解答解説 ]
問題文より杭先端有効径 d p = 3.00(m)であることから、 は杭先端から下に3.00(m)、上に 3.00(m)間の平均N値となる。したがって
N = (1/6)× (30.0 + 30.0 + 54.0 + 54.0 × 3) = 46.0
 100• N = 100•46.0 = 4600 < 7500
 A P = 1.50 × 1.50 × π = 7.07(m 2
以上より、杭の極限先端抵抗力は
 R p = 100• N •A P = 4600•7.07
  = 32500(kN)




?A 当該地盤において、液状化の検討を必要とするすべての地盤種別を挙げ、その理由を3つ述べよ。



答え


[ 解答解説 ]
2020年版建築物の構造関係技術基準解説書P.562より液状化のおそれのある地盤は、次に該当するような砂質地盤とされている。
・地表面から20m以内の深さにあること
・砂質土で粒径が比較的均ーな中粒砂等からなること
・地下水で飽和していること
・N値が概ね15以下であること
そこで液状化の検討を必要とする地盤種別は次の2つ、
埋土(砂質土)
シルト混じり細砂
とし、その理由は以下の3つとする。
(1) 地表面から20m以内の深さにある
(2) 地下水で飽和した砂質土である
(3) N値が15以下である




?B 液状化判定の結果、GL–10 mより浅い埋土層及びシルト混じり細砂層は、液状化の可能性が高いことが判明した。その結果を考慮し地震直後にも長期の安定性を確保することを目標にして、当該地盤における砂質シルト土層の極限周面摩擦抵抗力R fs を求めよ。



答え


[ 解答解説 ]
砂質シルト層について、
N s= 15.0、L s = 7.00(m)、ψ= 2.00 × π=6.28(m)より、
 R fs =Σ3.3•N s •L s •ψ
   = 3.3•15.0•7.00•6.28
   = 2180(kN)




?C 当該地盤におけるシルト質粘土層の極限周面摩擦抵抗力R fc を求めよ。



答え


[ 解答解説 ]
シルト質粘士層について、
q u =200(kN/m 2 )、L c = 3.00(m), ψ = 6.28(m)より、
 R fc = Σ( 1/2•q u •L c •ψ)
   = 1/2•200•3.00•6.28
   = 1880(kN)




?D 以上より、杭の長期許容鉛直支持力R αL を求めよ。



答え


[ 解答解説 ]
R αL = (1/3)×(R p +R f ) ・・・式(3)
?@よりR p = 32500(kN)
?BよりR fs = 2180(kN)
ここで、液状化層の扱いは長期の安定性に配慮し、GL−10m以浅の周面摩擦抵抗力は無視した。
?Cと問題文中「拡底部の周面摩擦抵抗力は考慮しない」とあるので、R fc = 1880(kN)
よって
 R f = R fs + R fc
  = 2180 + 1880 = 4060(kN)
したがって、杭の長期許容鉛直支持力Rは
 R αL = (1/3)×(R p +R f )
   = (1/3)×(32500 + 4060)
   = 12200(kN)


2024年09月25日

令和五年度修了考査 構造設計(記述式)問題2

構造設計(記述式)

問題2

図1に示す偏心K形筋かい付き鉄骨架構の柱頭部に水平力が作用した場合について、次の[ No.1 ]〜[ No.4 ]の設問について解答せよ。各部材の断面形状、材料特性、断面性能の諸元を表1に示す。部材の終局耐力の計算にはF値を用いることとし、1.1倍しない。なお、節点B、節点Eは、構面外拘束されているものとする。

R5-2_問題2_図1_偏心K形筋階付き門形骨組.jpg
図1 偏心K形筋かい付き門形骨組(単位:mm)

表1 各部材の断面形状•材料特性•断面性能
R5-2_問題2_表1_各部材の断面形状・材料特性・断面性能.jpg

計算は有効数字3桁で行い、結果も有効数字3桁で示す。処理は、四捨五入とする。

[ No.1 ]
梁の全塑性モーメントM p を求めよ。なお、軸力の影響は考慮しなくてよい。



答え


[ 解答解説 ]
M p = Z p (塑性断面係数)× 材料強度(= F値)
  =2.1 × 10 6 × 235
  = 4.94 × 10 8 (Nmm)
  = 494 (kNm)




[ No.2 ]
筋かいACと筋かいDFは座屈せず圧縮・引張が同一軸力で降伏する座屈拘束ブレースとし、軸降伏耐力は 1,200 kNである。梁にせん断降伏や横座屈が生じないものと仮定した場合のメカニズム時のモーメント図及びせん断力図を描け。また、その値を記入し、モーメントは引張側に描くこと。



答え


[ 解答解説 ]
水平力を受ける架構の曲げモーメントは下図のようになる。

R5-2_問題2_No.2_モーメント図(M図).jpg

この際、筋かいが軸降伏せずC点、D点において塑性ヒンジが形成されるメカニズムを仮定すると
C点、D点における M = M p =494(kNm)
BC間ならびにDE間のせん断力は
(M – M )/L
= (494 – 0.0) /3.0 (m)
= { 0.0 – ( –494)} /3.0 (m)
=165(kN)

CD間のせん断力は
(M – M )/L
= {( –494) – 494} /1.0(m)
= –988 (kN)
となる。

この際、C点ならびにD点でのせん断力の変化より、AC筋かい軸力の鉛直成分は、
C点{165 – ( –988)} = 1150 (kN)、
D点{( –988) – 165) = –1150 (kN)であり
筋かいの軸力Nは、
N =1150 (kN) /4.0 (m) × √(3.0 2 + 4.0 2 )
 = 1438 (kN)
となるため、筋かいの軸降伏耐力1200 (kN)を超えている。
以上より、メカニズムはAC筋かい、DF筋かいの軸降伏で生じていることが確認された。

上記の計算結果より、AC筋かいおよびDF筋かいの軸降伏によるメカニズム時の応力は
C点、D点における曲げモーメント、494 × (1200/1438)= 412 (kNm)
BC間ならびにDE間のせん断力、165 × (1200/1438) = 138 (kN)
CD間のせん断力、-988 × (1200/1438) = −824 (kN)となる。
なお、柱AB、EF、ならびに筋かいAC、DFは両端ピンで中間荷重が無いため、曲げモーメントならびにせん断力は生じていない。

R5-2_問題2_No.2_終局時モーメント図(M図).jpg
M図(単位:kN•m)

R5-2_問題2_No.2_せん断力図(Q図).jpg
Q図(単位:kN)




[ No.3 ]
梁CDのウェブの降伏せん断力Q y を求めよ。また、梁CDは曲げ降伏するかせん断降伏するかを判定せよ。



答え


[ 解答解説 ]

終局せん断耐力を算定する際の材料強度は、
F/ √3 = 235/√3 =136 (N/mm 2
ウェブ断面積
A w = (500 − 2 ×16) × 10 =4680 (mm 2
Q y =136 × Aw =136 × 4680 = 636000 (N)
  = 636 (kN)
[No.2]より、C点、D点において塑性ヒンジが形成されると仮定した場合の、CD間のせん断力は 988 (kN)であり、
上記 Q y = 636 (kN)より大きい。
よって、 梁CDはせん断降伏する。




[ No.4 ]
以上の解答を踏まえて、ブレースと梁の接合部が答案用紙の架構図のような場合、座屈拘束ブレースが安定してエネルギー吸収を行うために、 構面外の安定性に対する補剛とせん断耐力に対する補強を行った梁CDの接合部の 納まりをスケッチせよ。ただし、補剛・補強範囲は破線枠内とする。



答え


[ 解答解説 ]

[ No.3 ]より、ウェブ降伏せん断耐力は Q y = 636 (kN)であり、
[ No.2 ]の、ブレース軸降伏によるメカニズムにおけるせん断力823 (kN)より小さい。
よって、CD間のウェブ降伏せん断耐力を大きくするための補強が必要である。
また、梁ウェブの幅厚比は(500 −16 × 2) /10=46.8となっており、
幅厚比(43√ (235/F) = 43)を満足していないため、中断に水平リブを設ける。

補強方法として板あて補強を採用した際の必要補強断面積および補強板の板厚は以下となる。
 必要補強断面積={ (823 – 636) × 1000/136} = 1375 (mm 2 ) → 1380 (mm 2 )
 1枚の補強板のせいを
(500mm – 50mm × 2 – 100mm) /2 =150 (mm)
 とすると、
 補強板の必要板厚は、
 1380mm 2 /150mm/ 4枚=2.30 (mm)
となる。
必要補強量は上記のように少ないが、十分に安全とするため、ウェブ両側に t=6 (mm) の板を溶接により接合して補強する。
また、梁下フランジにブレースが接合する位置の構面外への変形を防止するためC点、D点位置に対して補剛を行う。
R5-2_問題2_No.4_A型ブレース接合部.jpg



2024年09月24日

令和五年度修了考査 構造設計(記述式)問題3

構造設計(記述式)

問題3

図1に示すような、1層の鉄筋コンクリート造平面架構を考える。図のように梁BCの中心軸に沿って、水平方向に荷重Pを加えたところ、図1に示すように梁の両端と両柱の柱脚に降伏ヒンジが生じた。なお、梁の降伏位置は図1に示す通り柱面、柱の降伏位置は柱底面であるとする。また、梁の終局モーメントは108kN•mである。柱の終局モーメントM u と作用している軸力Nの間には、図2及び式(1) に示すような相関関係がある。コンクリートの設計基準強度は18N/mm 2 、梁の有効せいdは断面せいDに対して d = 0.9D、柱の引張鉄筋比ptは 0.7%、地震地域係数Z、振動特性係数R t 、及び形状係数F es はすべて1.0とする。また、柱•梁部材はともに、せん断破壊等の脆性的な破壊に対しては十分な安全率を有しているものとする。次の[ No.1 ]〜[ No.3 ]の設問について解答せよ。


く平面架構の諸元>
柱:600 mm × 600 mm
梁:梁幅B 300mm × 断面せいD 500mm
屋上階の重量:360kN(その他の部分の重さは無視する)

R5-2_問題3_図1_平面架構.jpg
図1 平面架構(単位:mm)

R5-2_問題3_図2_柱の終局モーメントMuと軸力Nの関係.jpg
図2 柱の終局モーメントM u と軸力Nの関係


[ No.1 ]
次の記述の空欄 [ ?@ ] 〜 [ ?G ] に入る数値を記入せよ。

荷重Pが作用することによりすべての降伏ヒンジが形成されて崩壊メカニズムが形成されたとき、柱ABには引張方向に、柱DCには圧縮方向に変動軸力 N = [ ?@ ] kNが作用する。柱AB及び柱DC に作用している軸力はそれぞれ、N AB = [ ?A ] kN、N DC = [ ?B ] kNとなる。図2及び式(1)より、柱AB及び柱DCの終局モーメントM u はそれぞれ、M uAB [ ?C ] 、M uDC = [ ?D ] kN•mとなる。よって、崩壊メカニズム時に柱AB及び柱DCが負担する水平力はそれぞれ、P AB = [ ?E ] kN、P DC = [ ?F ] kNとなり、この架構の保有水平耐力Q u = [ ?G ] kNとなる。



答え


[ 解答解説 ]
梁が終局曲げモーメントに達した際の応力概念図を以下に示す。
なお、以降の計算において、軸力は圧縮側を正とする。

R5-2_問題3_No.1_梁の終局曲げモーメント時の応力概念図.jpg

梁の終局曲げモーメントM u は問題文より108kNmであり、これが柱フェイス位置で作用するものと考えると、柱内法スパンは6m – 0.6m = 5.4mであることから、大梁のせん断力は以下となる。
 Q Gu = 108 × 2 / 5.4 = 40kN
このせん断力が柱に対する変動軸力となるので、
?@ N E = 40kN
柱の長期軸力N L は重量が360kNであることから、
 N L = 360 / 2 =180kN
よって柱AB及び柱DCに作用する軸力は以下のようになる。
?AN AB = 180 – 40 = 140kN
?BN DC = 180 + 40 = 220kN

柱の終局曲げモーメントは式(1)をM u について展開すると、以下のように求められる。
?C柱 AB : M uAB = 3/8 × (N AB + 220) = 135kNm
?D柱 DC : M uDC = 3/8 ×(N DC + 220) = 165kNm

柱頭部の梁芯位置における曲げモーメントは柱AB,柱DC共に、
M c = M u + Q Gu × 0.3m
  = 108 + 40 × 0.3
  = 120kNm

柱脚部の曲げモーメントは前述の?C、?Dとなるので、柱AB及び柱DCに作用する水平力は、即ち柱のせん断力となるため、
?E 柱 AB : P AB = (120 + 135) / 3.0 = 85kN
?F 柱 DC : P DC = (120 + 165) / 3.0 = 95kN
(せん断力算出用の階高を梁芯からとしている点に注意)

よって、この架構の保有水平耐力は、
?GQ u = 85 + 95 = 180kN
となる。





[ No.2 ]
この架構の必要保有水平耐力Q un を求めよ。なお、部材種別判定は表2に従う。ただし、τ u の計算において長期荷重によるせん断応力は無視してよい。また、構造特性係数D s は、柱・梁の部材群の種別に応じて、A:0.30、B:0.35、C:0.40、D:0.45である。

表2 部材種別判定表
R5-2_問題3_No.2_表2_部材種別判定表.jpg


答え


[ 解答解説 ]
柱及び梁の部材ランクを判定する。
柱について
 h o /D = (3000 –250) / 600 = 4.58
 σ o /F c = (220000 / 600 2 ) /18 = 0.0340
 P t = 0.7%
 τ u /F c = (95000/600 2 )/18 = 0.0147 < 0.10
 以上より、柱はFAランク

梁について
 τ u /F c = (40000/300/500)/18 = 0.0148 < 0.15
 以上より、梁はFAランク

以上より架構のランクはFAとなり、構造特性係数D s = 0.30となる。
よって必要保有水平耐力Q un は以下のようになる。
Q un = Z•R t •A i •Co•D s •Fes•W
  = 1.0 × 1.0 × 1.0 × 1.0 × 0.30 × 1.0 × 360
  = 108kN




[ No.3 ]
p t が小さい柱の場合、破壊形式は曲げ破壊が先行し、部材は表2のFA又はFBに分類される。しかし、p t が大きくなると部材が表2のFDに分類されるような破壊形式になる。p t の上限はこの破壊形式の防止を目的として規定されている。 その破壊形式とその力学的特徴を簡潔に記述せよ。



答え


[ 解答解説 ]
黄色本 P395 「6.4.4(2) 鉄筋コンクリート造の構造特性係数D s の算出方法」 参照

c)柱のせん断力に起因するもう一つの脆性破壊の形式として,異形鉄筋を主筋とする柱の付着割裂破壊がある。一般に鉄筋コンクリート造部材の曲げ補強筋として用いられる異形鉄筋とコンクリートとの付着性能は非常によく,鉄筋がコンクリートから抜け出すことはまずない。しかしながら,抜け出さない代わりに, 鉄筋周囲のコンクリートを局部的に破壊し,結果的に抜出しと同じくコンクリートと鉄筋がばらばらになる状態に至る 。これを付着割裂破壊と呼ぶが、この破壊形式は抜出しとは異なり,引張側のかぶりコンクリート部分が剥落するので逆向きの曲げ応力の下では部材せいの減少による耐力低下も生じる。

この破壊形式は、引張鉄筋の存在応力の材長方向の変化が大きい時,すなわち,曲げ応力とせん断力とがともに大きい時に, 1本の引張鉄筋に対するコンクリート断面の幅が小さい部材で生じる。具体的には,引張側で多数の鉄筋が一列に並ぶ部材で引張側のかぶりコンクリートが

【破壊形式】
付着割裂破壊

【力学的特徴】
引張鉄筋の存在応力の材長方向の変化が大きい時、即ち、曲げ応力とせん断力とがともに大きい時に、1本の引張鉄筋に対するコンクリート断面の幅が小さい部材で生じる。鉄筋周囲のコンクリートを局部的に破壊し、コンクリートと鉄筋がばらばらになる破壊状態となる。


Build a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: