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構造設計一級建築士
スケジュール
・講習日程
 札幌市 9/25・26
 仙台市 9/10・11
 東京都 9/26・27
 名古屋 9/19・20
 大阪府 9/12・13
 広島市 9/19・20
 福岡市 9/30・10/1



・合格発表 1/24(金)まで
重要ポイント
構造コメンタール
 1.1 力とつり合い
 1,2 静定構造物
 1.3 断面の性質と応力度
 1.4 部材の変形
 1.5 不静定構造物
 1.6 座 屈
 1.7 振 動
 1.8 骨組の塑性解析

 2.1 構造設計の基礎
 2.2 構造計画等
 2.3 鉄骨構造
 2.4 鉄筋コンクリート構造
 2.5 鉄骨鉄筋コンクリート構造
 2.6 壁構造
 2.7 木構造
 2.8 基礎構造
 2.9 その他の構造等

建築材料
 1. 木 材
 2. コンクリート
 3. 鋼 材
 4. アルミニウム
 5. その他の材料
カテゴリーアーカイブ

2024年08月23日

令和三年度修了考査 法適合確認 No.1 - 10

令和3年度 構造設計ー級建築士講習

修了考査(法適合確認)

法適合確認
(選択理由記述式4肢択ー問題)

[ No. 1 ]
建築構造設計のあるべき姿に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ

1. 構造物の安全性に関する見解について、組織の上司の発言についておかしいと感じたため、付度することなく上司に対して自分の意見を述べた。


2. 保有水平耐力計算では、ごく稀に遭遇する地震動に対する応答変形は陽に表現されないが、地震後の損傷度に大きく影響するため、別の方法によって応答変形を評価し建築主に説明した。


3. 一貫構造計算プログラムにおいて、部材検定が合格となったとしても、自らが理解していない設計条件を設定してはならない。


4. 構造物の安全性に関する新たな知見により、建築基準法の構造関係規定の改正が公布されても、施行前である場合には、その改正内容を構造設計に反映させるべきではない。



答え

 4
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。

2. 記述の通り。

3. 記述の通り。

4. 改正前であっても新たな知見を取り入れた規定を反映させることは望ましい。改正後に既存不適格になる可能性を避ける事にもなる。




[ No.2 ]
構造関係規定の位置づけにおける次の記述のうち、建築基準法及び建築士法上、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ

1. 建築基準法は、最低基準を定めており、建築士法では、建築士はより質の高い建築物の実現に努める必要があるとしている。


2. 延べ面積が 600 m2である建築基準法第20条第1項第三号の鉄筋コンクリート造の学校について、許容応力度等計算(ルート2-1)を採用した場合、構造設計ー級建築士の資格を保有する建築主事により確認審査が行われるときは、構造計算適合性判定及び構造設計ー級建築士の関与は不要となる。

3. 既存不適格建築物に対して増築を行う場合、一定条件下では、既存部分の現行基準の適用を緩和することができるが、建築物の所有者等には、常時適法な状態に維持するための努力義務がある。


4. 構造設計は行わず、法適合確認のみを行った構造設計ー級建築士は、その確認に係る建築物について、建築基準法上の設計者には含まれない。



答え

 4
[ 解答解説 ]
1.記述の通り。(建築士法第2条の2)

2. 記述の通り。(基準法施行令第9条の3)

3. 記述の通り。(基準法第8条)

4. 構造設計を行っていない場合でも法適合判定を行った場合は設計者に含まれる。(建築士法第20条の2第3項)




[ No. 3 ]
建築基準法における地震力に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ

1. 鉄骨造建築物を耐震計算ルート1-1により設計するに当たり、基礎の耐震計算について上部構造の耐力確保に影響しない部分については、標準せん断力係数を0.2とした。


2. 高さが25mの鉄筋コンクリート造建築物について、屋上部分から突出した冷却塔の地震力を特別な調査又は研究によらないで計算するに当たり、転倒、移動等による危害を防止する措置を講じることとし、水平震度kを1/2に減じて地震力を算定した。


3. 鉄筋コンクリート造建築物の地震力について、建築物の一次固有周期を固有値解析で算定するに当たり、部材のひび割れによる剛性低下を考慮した剛性を用いた。


4. 地震力の算定に当たり、特別な調査又は研究として、地盤種別の判定に用いる地盤周期を基礎底面位置の常時微動測定結果から求めた。



答え

 3
[ 解答解説 ]
1. 記述の通りで問題ない。 (技術基準解説書P434, 15〜19行参照)

2. 記述の通り。 (平12建告第1389号)

3. 地震力を算定する際は構造耐力上主要な部分の初期剛性を用いるもとし、剛性低下は考慮してはならない。 (昭55建告1793号第3)

4. 記述内容で問題ない。 (技術基準解説書P. 305)




[ No. 4 ]
建築基準法における荷重及び外力に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ

1. 多雪区域以外の垂直積雪鍵が15 cm以上である区域における鉄骨造建築物の許容応力度計算に当たり、折板屋根の勾配が15度以下で、かつ、最上端から最下端までの水平投影長さが10m以上の場合、特定緩勾配屋根に該当するものとして、屋根部分に作用する積雪荷重を割り増す必要がある。


2. 構造骨組の風圧力算定用の速度圧を算定するための高さHは、建築物の屋根平均高さで与えられ、設計する建築物にとって一定の値であるが、外装材の風圧に対する設計用の平均速度圧等の算定に用いる高さHは、設計する外装材の各々の高さに応じて与えられる。


3. 床が吹き抜けていない部分の地下外壁に常時水平方向に作用する設計用土圧は、静止土圧を採用することができる。


4. 倉庫業を営む倉痺における床の積載荷重について、実況に応じて計算した数値が2,900 N/m2であっても、3,900 N/m2を採用しなければならない。



答え

 2
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。 (平19国交告第594号第3ホ)

2. 外装材の設計用平均速度圧を求めるときの高さHは構造骨組の風圧力算定用の速度圧と同様に高さと軒高の平均寸法により与えられ一定の値となる。(平12建告第1458号)

3. 記述の通り。 (技術基準解説書P.308)

4. 記述の通り。 (施行令第85条)




[ No. 5 ]
建築基準法における鉄骨造の耐震計算に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ

1. 許容応力度計算(ルート1-2)において、水平力を負担する筋かいを保有耐力接合とする場合、原則として当該筋かい軸部の有効断面積より算出される降伏軸力まで接合部が破断しないことを確認すればよい。


2. 許容応力度等計算(ルート2)において、ラーメンと筋かい併用の混合構造で筋かいの水平力分担率が5/7以上の階では、当該階の地鹿時の部材応力を1.5倍に割り増して設計を行う必要がある。


3. 保有水平耐力計算(ルート3)において、冷間成形角形鋼管柱(BCP、BCR材)を用いた場合、損傷が集中する局部崩壊メカニズムか、損傷が分散する全体崩壊メカニズムかを各階床位置で判断し、局部崩壊の場合には当該床位置の柱耐力を低減して保有水平耐力を算定する必要がある。


4. 保有水平耐力計算(ルート3)において、伸び能力がないアンカーボルトを使用し、保有耐力接合の条件を満足しない露出柱脚を用いる場合は、当該階の柱及び梁の部材群としての種別はDとなる。



答え

 1
[ 解答解説 ]
1. 有効断面積ではなく全断面積が降伏するまで破断しないことが求められ、炭素鋼の場合降伏軸力の1.2倍、ステンレス鋼の場合1.5倍以上必要。(技術基準解説書P.357)

2. 記述の通り。 (昭55建告第1791号)

3. 記述の通り。 (平12国交告第594号第4号三号)

4. 記述の通り。 (技術基準解説書P. 636)




[ No. 6 ]
鉄筋コンクリート造建築物の耐震計算ルート1において、下記の式(1)(平成19年国土交通省告示第593号)を適用する際、次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、下線部を正しく直せ。なお、式(1)の記号は平成19年国土交通省告示第593号による。

 Σ2.5αA w + Σ0.7αA c ≧ ZWA i   式(1)

1. 架構内の鉄筋コンクリート造無開口耐力壁において、壁板の断面積は A w として算定する。


2. 架構内の鉄筋コンクリート造無開口耐力壁において、側柱の断面積は A w として算定する。


3. 架構内の鉄筋コンクリート造そで壁付き柱において、所定の条件を満足するそで壁の断面積は A w として算定する。


4. 架構外の鉄筋コンクリート造壁において、所定の条件を満足する壁板の断面積は A c として算定する。



答え

 2
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。

2. Aw→Ac

3. 記述の通り。

4. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 382)




[ No. 7 ]
木質材料及び木質構造に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ

1. 主に梁に用いる対称異等級構成集成材は、外層と内層のラミナの強度は同じである。


2. 建築基準法第20条第1項第四号の木造建築物の耐力壁の偏心の検討は、いわゆる「四分割法」で行うのが一般的であるが、偏心率の計算を行ってもよい。


3. 木材の長期許容応力度に対する短期許容応力度の比は、2/1.1 である。


4. 木質材料の梁のたわみ計算において、長期荷重に対する変形増大係数は、構造関係規定により2と定められている。



答え


[ 解答解説 ]
1. 対称異等級構成集成材は内層より外層の強度を高くすることにより曲げに対して効果的な組み合わせにしている。

2. 記述の通り。 (平12建告第1352号)

3. 記述の通り。長期許容応力度は1.1F/3、短期は2F/3である。 (施行令第89条)

4. 記述の通り。 (平12建告第1459号)




[ No. 8 ]
耐風設計に関する次の記述のうち、建築基準法上、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ

1. 建築物に作用する設計用の風圧力は、国土交通大臣が定める風速V o 、平均風速の高さ方向の分布を表す係数E r 、ガスト影響係数G f 及び風力係数C f などが考慮されて決められている。


2. 都市計画区域内で都市化が極めて著しいとして特定行政庁が規則で定める地表面粗度区分?Wの区域では、地表付近で建築物等による凹凸により風の乱れが大きくなることから、他の地表面粗度区分の場合に比べて速度圧は小さくなる。


3. 屋根面及び壁面の風力係数 C f は、風洞実験の結果によらない場合、閉鎖型・開放型いずれの建築物でも、建築物の外圧係数 C pe (屋外から当該部分を垂直に押す方向を正)から内圧係数C pi (屋内から当該部分を垂直に押す方向を正)を引いて求める。


4. 建築基準法施行令第87条第2項に規定するEの数値は、平均風速の高さ方向の分布を表す係数E r にガスト影響係数G f を乗じて求める。



答え

 4
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。 (施行令第87条、平12建告第1454号)

2. 記述の通り。 (平12建告第1454号)

3. 記述の通り。(平12建告第1454号)

4. E r ではなく、E r の2乗にG f を乗じて求める。(平12建告第1454号)




[ No. 9 ]
保有水平耐力計算に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ

1. 必要保有水平耐力の計算においては、地震力によって各階に生じる水平力Q udの大きさを、弾性応答1Gの水平力としている。


2. 静的荷重増分解析による保有水平耐力の計算は、地震時の応答変形を求めるものではなく、保有水平耐力に達する時点の変形は、地震時の応答変形とは必ずしも一致しない。


3. 構造特性係数D s は、建築物の塑性変形能力に応じて、建築物に確保すべき安全率である。


4. 地震動によって建築物に生じる力は、その分布が時々刻々変化し、地震力に対する建築物の強さを一義的に定義することはできないため、保有水平耐力は、あらかじめ決められた約束事に基づき計算することとしている。



答え

 3
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。(技術基準解説書P. 341)

2. 記述の通り。(技術基準解説書P. 342)

3. D s は各階の構造特性を表すものとして、建築物の構造耐力上主要な構造方法に応じた減衰性及び各階の靱性に応じて決められた必要保有水平耐カの低減係数である。 (技術基準解説書P.349)

4. 記述の通り。 (技術基準解説書P. 344)




[ No. 10 ]
鉄筋コンクリート造の保有水平耐力計算に関する次の記述のうち、 最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ

1. 建築物に靱性を期待して設計する場合、建築物全体が保有水平耐力に達する以前にせん断破壊を生じさせないだけではなく、崩壊形に達するまでの段階でもせん断破壊を防止する必要がある。


2. 連層耐力壁の脚部が浮上りや沈み込みによる回転系の破壊形式となる場合、脚部の浮上りや沈み込みを考慮して耐力壁の部材種別を定め、D s の算定を行う。


3. A i 分布に基づく外力分布を用いた荷重増分解析によってD s 算定時に崩壊形を形成していない階の崩壊形を求める方法として、余耐力法(荷重増分解析により求まる部材応力と部材耐力をもとに崩壊形を求める方法)がある。


4. 地上部分について保有水平耐力を確認する場合であっても、基礎の二次設計は要求されていない。



答え

 2
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。 (技術基準解説書P. 348)

2. 連層耐震壁の有無にかかわらず浮上りや沈み込みが無いものとしてDsを算定しなければならない。 (技術基準解説書P.402)

3. 記述の通り。(技術基準解説書P. 398)

4. 記述の通り。(技術基準解説書P. 434)



2024年08月21日

令和三年度修了考査 法適合確認(記述式)問題1

法適合確認(記述式)

問題1
一貫構造計算プログラムを用いたツインタワー状の建築物の構造計算に関する設問[ No.1 ]、一貫構造計算プログラムを用いた場合のRC造壁のモデル化に関する設問[ No.2 ]、1階が鉄筋コンクリート造で2階及び3階が木造の立面混構造建築物の構造計算に関する設問[ No.3 ]について解答せよ。

[ No.1 ]
図1に示すような地上階平面をもつ10階建ての建築物がある。1階は全体が一体となっているが、2階以上がツインタワー状になっている。3階床以上にはタワーAとタワーBをつなぐ渡り廊下(図中「つなぎ部」)があるが、タワーB側にExp.Jを設け、XY両方向のローラー支承とすることで、構造的に完全に切り離している。この建築物を、一貫構造計算プログラムで形状どおりにモデル化し、図1に示す説明文に従いプログラムを実行した。ここで、各タワー単独の一次固有周期は、X方向では両者が完全に一致しているが、Y方向では若千異なり、タワー Aで1.00秒、タワーBで1.05秒とする。以下の?@及び?Aの設問について解答せよ。

R03_1_問題1_No.1_3-R階床平面図.jpg
3〜R階床平面

R03_1_問題1_No.1_1,2階床平面図.jpg
1・2階床平面


くモデル化と地震力>
1、2階床を剛床、3階床以上をタワーA、Bの2剛床としてモデル化し、3階床以上のつなぎ部床の重量は、追加荷重として入力する。地震力は、2階以上ではそれぞれのタワーごとにA i 分布で計算し、X、Y方向別に、その階の重心位置に同方向に作用させる。
図1 略平面図と一貫構造計算プログラムの取扱い


?@ この一貫構造計算では、Y方向地震時におけるつなぎ部床の検討が不足しているため、以下の手順で検討を追加するものとする。空欄(あ)〜(え)に適切な数字または語旬を入れよ。

・この一貫構造計算では、主に[ (あ) ]階のつなぎ部床スラブに生じる[ (い) ]に対する検討が不足している。


・つなぎ部床スラプに生じうる最も厳しい応力を計算するため、タワーAとタワーBが[ (う) ]のある動きをする場合を想定する。


・時刻歴応答解析を実施せず、耐震計算ルート3の静的解析のみで構造計算することとしたため、安全側に最も厳しい状態を想定し、タワーAとタワーBに[ (え) ]の地震力を作用させる。


・Exp.Jのクリアランスは、それぞれのタワーの最大応答時の変形の和を想定して、十分余裕をもたせて設定するとともに、つなぎ部床の落下防止にも配慮する。



答え


 (あ):2
 (い):力および変形
 (う):位相差
 (え):逆向き もしくは逆位相




?A このような検討が必要となる理由を、タワーAとタワーBの一次固有周期の観点から述べよ。



答え


一次固有周期が、タワーA側1.00秒、タワーB側1.05秒の場合、1次固有周期で振動すると、21秒で1周期分違い、10.5秒で逆位相になる。そのため、時刻歴応答解析を実施せず、静的解析のみで設計する場合、比較的容易に逆位相になりうることを念頭に置く必要がある。




[ No.2 ]
図2は耐震計算ルート2-1により設計される中低層のRC造剛節架構の中に配置されたRC造壁で、両側に壁高さ分の縦開口があるために、耐霰壁として扱えない壁である。層の水平剛性を高めるとともに水平耐力の余力を確保するため、梁との間にスリットを設けないこととし、この壁を一貫構造計算プログラムでモデル化する際、方立壁(雑壁)として扱い、壁の重量は荷重計算に考慮した。方立壁の水平剛性は応力計算では無視し、剛性率及び偏心率の計算においてのみ考慮した。剛性率及び偏心率の計算に用いる方立壁の水平剛性は、 n倍法を用い、nの値としてデフォルト値の1.0を採用し設定した。ここで、n倍法とは、雑壁の水平剛性Dwを、代表的な中柱の水平剛性Dcをもとに、図中の式で評価する方法のことである。

R03_1_問題1_No.2_図2_両側に壁高さ分の縦開口のある壁.jpg
図2 両側に壁高さ分の縦開口のある壁

この壁の取扱いには不適切な点がある。壁の取扱いに関する以下の?@〜?Bの設問について解答せよ。


?@ この壁のnの値の設定が適切か否か、その理由も含めて述べよ。



答え

 否
方立壁の剛性は、断面積の比率だけでなく、上下の梁の拘束状況により剛性は変化する。また、方立壁の幅が広いほど上下の梁の変形拘束が大きく耐震壁並みの水平剛性を持つ場合もあり、 n=1とすると方立壁の水平剛性を過小評価する可能性があるため。




?A この壁を適切に取扱う方法を具体的に述べよ。ただし、この壁と梁との間にスリットは設けないものとする。



答え


・方立壁の左右両側に通り軸を設け、上下の梁に取り付く耐震壁としてモデル化し評価する。
・周辺架構を含めた部分モデル等により方立壁の水平剛性を評価し、nの値を適切に評価する。
など




?B 一貫構造計算以外に、追加検討すべき事項を一つ述べよ。



答え


・方立壁が取り付くことによる周辺柱梁の応力変動を別途検討し、適切にせん断設計を行う。
・縦開口(スリット)部のはりに生じるせん断力の評価とせん断設計(せん断破壊の防止)
・両側柱の変動軸力の評価とその影響を含めた断面算定
・両側柱の変動軸力等による基礎への影響の評価
などから一つ





[ No.3 ]
図3に示すような1階が鉄筋コンクリート造、2階及び3階が木造の立面混構造建築物の耐震設計に関する以下の?@及び?Aの設問について解答せよ。

R03_1_問題1_No.3_鉄筋コンクリート造と木造の立面混構造建築物.jpg
図3 鉄筋コンクリート造と木造の立面混構造建築物

?@ 本建築物の設計用一次固有周期Tを昭和55年建設省告示第1793号第2に規定されている下式により求めよ。

 T = h(0.02 + 0.01α)(秒)
 ここに、h:建築物の萬さ(m)
 α:木造部分の高さの合計のhに対する比



答え


α = (2.8 + 2.8 + 1.0 )/9.6 = 0.6875

設計用一次固有周期
T = h(0.02+0.01×α)= 9.6x(0.02+0.01x0.6875) = 0.258秒




?A 本建築物の地震力算定用重量を表に示す。この建築物のように2階、3階に比べて1階の重量が大幅に大きい場合には、Ai 分布の算定に当たり、昭和55年建設省告示第1793号第3ただし書きの規定に基づき、1階部分の地震力算定用重量ΣWi を小さくすることができる。これを適用した場合の1階部分の地震力算定用重量ΣWi’を求めよ。

表 地震力算定用重量(kN)
R03_1_問題1_No.3_表_地震力算定用重量.jpg


答え


緩和規定による地震力算定用重量(kN)
R03_1_問題1_No.3_緩和規定による地震力算定用重量.jpg



W 1 +W 2 +W 3 = 800+210+150
      = 1160kN > 2(W 2 +W 3 ) = 2(210+150) = 720 kN
より、
1階部分の地震力算定用重量を2階部分の地震力算定用重量の2倍とする。
1階部分の地震力算定用重量
ΣWi'= 2(W 2 + W 3 ) = 720kN



2024年08月19日

令和三年度修了考査 法適合確認(記述式)問題3

問題3

鉄筋コンクリート造建築物の耐震計算ルート3に関して、図1に示す耐力壁のない剛節架構に左側から水平力Pが作用した場合について、以下の設問に解答せよ。鉛直荷重及び軸方向力による影響は無視するものとし、塑性ヒンジが発生する可能性がある位置等を図2に示す。また、水平力Pによる曲げモーメント図の一例を図3に示す。

R03_1_問題3_図1_架構の軸組図.jpg
       図1 架構の軸組図(単位:mm)

R03_1_問題3_図2_塑性ヒンジの想定位置.jpg
       図2 塑性ヒンジの想定位置

R03_1_問題3_図3_曲げモーメント図の一例.jpg
       図3 曲げモーメント図の一例(単位:mm)

水平力Pにより架構の崩壊形が形成される場合、塑性ヒンジの発生は下記の<その他の諸条件>の(イ) に従って判定するものとする。また、部材の種別は<その他の諸条件>の(ロ)に従って判定するものとする。

<その他の諸条件>

(イ) 塑性ヒンジの発生は、節点位置における曲げモーメント(節点曲げモーメント)を用いて、式(1)、あるいは式(2)により判定する。なお、判定に用いる各部材の節点曲げモーメントは、部材のせん断力を一定として、図2に示す部材の両端部に塑性ヒンジを仮定して曲げ終局モーメント(M u )から算定してよい(図5参照)。ここで、 g M u は梁の節点曲げモーメント、Σ g M u は節点まわりの梁の節点曲げモーメントの和、 c M u は柱の節点曲げモーメントを示す。

・節点まわりの梁端部に塑性ヒンジ発生
 Σ g M u c M u   式(1)

・柱頭部に塑性ヒンジ発生
 Σ g M u > c M u   式(2)

(ロ) 部材の種別は、塑性ヒンジの発生状況に応じて、せん断終局耐力(Q su )が崩壊形形成時のせん断力(Q M )に対して、式(3)、あるいは式(4) を満足する場合にはFA、満足しない場合にはFDとする。なお、破壊形式を除き、各部材において昭和55年建設省告示第1792号第4の種別に関する諸数値は規定値を満足しているものとしてよい。

・部材の両端にヒンジが生じる状態
  Q su ≧ 1.10 Q M   式(3)

・上記以外の状態
  Q su ≧ 1.25 Q M   式(4)


[ No.1 ]
R階のA梁は両側スラブ付き梁(T形梁)であり、スラブが引張側になる曲げ終局モーメントは、有効幅内のスラブ筋により大きく影響される。A梁の曲げ終局モーメント及び種別に関する次の?@〜?Bの設問に解答せよ。その際、A梁の曲げ終局モーメントM u は式(5) によるものとする。ここでは、T形梁の有効せいは長方形梁の有効せいと等しいものとしてよい。A梁の引張側主筋、A梁のM u に考慮する引張側スラブ筋を図4に示す。断面1 では片側約 1m幅のスラブ筋、断面2では片側スパンの約半分に相当する幅のスラブ筋を有効とする。また、A梁及びA柱の両端部に塑性ヒンジが発生した場合の曲げモーメント図を図5に示す。

 M u = 0.9(a t + a s ) ・ s σ y ・d  式(5)

ここに、
 M u :梁の曲げ終局モーメント(N・mm)
 a t :梁の引張側主筋の断面積(mm 2 )
 a s :有効幅内の引張側スラプ筋の断面積(mm 2 )
s σ y :主筋及びスラブ筋の材料強度(N/mm2)で、325 N/mm2としてよい。
 d:長方形梁及びT形梁の有効せい(mm)で、920mmとしてよい。

R03_1_問題3_No.1_R階A梁断面1.jpg
(a) 断面1

R03_1_問題3_No.1_R階A梁断面2.jpg
(b) 断面2

共通事項:
主筋(D25)1本の断面積:507mm 2
スラブ筋(D10)1本の断面積:71 mm 2
図4 A梁の引張側主筋及び有効幅内の引張側スラブ筋


R03_1_問題3_No.1_図5_部材両端部に塑性ヒンジが発生した場合の曲げモーメントA梁.jpg
図5 部材両端部に塑性ヒンジが発生した場合の曲げモーメント

?@ スラブが引張側になる場合、長方形梁としてのM u (M uo )に対する断面1のT形梁のM u (M u1 )の比率(M u1 /M uo )を求めよ。なお、長方形梁の引張側主筋は図4に示すA梁の引張側主筋である。



答え


曲げ終局モーメントは式(5)を用いてそれぞれ以下のように求める。
長方形梁としての曲げ終局モーメントは、
 M u (M uo ) = 0.9 × (4 × 507)・ s σ y ・d
断面1のT形梁の曲げ終局モーメントは、
 M u (M u1 ) =0.9 × (4 × 507 + 10 × 71)・ s σ y ・d
よって、
M u1 /M uo = (4 × 507+10 × 71)/ (4 × 507)
    = 1.35
となる。




?A スラブが引張側になる場合、断面1のT形梁のM u (M u1 )に対する断面2のT形梁のM u (M u2 )の比率(M u2 /M u1 )を求めよ。



答え


同様に断面2のT形梁の曲げ終局モーメントは、
M u (M u2 ) = 0.9 × (4 × 507 + 30 × 71)・ s σ y ・d
よって、
M u2 /M u1 = (4 × 507 + 30 × 71)/(4 × 507 + 10 × 71)
     = 1.52
となる。




?B A梁の両端部に塑性ヒンジが発生した場合(図5 (a))について、A梁の種別を判定し、種別判定の根拠を簡潔に記述せよ。ここで、A梁両端部の塑性ヒンジの曲げ終局モーメントM u は a(kN・m)、A梁のせん断終局耐力Q su は0.60 a(kN)とする。



答え


A梁の両端に塑性ヒンジが生じた時のせん断力は、A梁の内法長さが 5mなので、
 Q M = 2 × a/5 = 0.40a (kN)
A梁の種別は、両端に塑性ヒンジが生じているので式(3)により判定すると、
 Q su = 0.60a (kN) ≧ 1.10Q M = 1.10 × 0.40a = 0.44a (kN)
よって、式(3)を満足しているので A梁の種別はFAである

なお、ここでは問題文に「鉛直荷重及び軸方向力による影響は無視する」とあるので、A梁の常時の鉛直荷重によるせん断力は無視している。




[ No.2 ]
水平力Pの増大により、架構の崩壊形が形成される。各部材の耐力が表1に示す値となるケース?T について、保有水平耐力及び構造特性係数等に関する次の?@〜?Bの設問に解答せよ。

表1 部材の耐力(ケース?T )
R03_1_問題3_No.2_表1_部材の耐力(ケース1).jpg


?@ 架構の崩壊形について、塑性ヒンジの発生位置を解答用紙のフレーム図に●で示せ。その際、図5を参考に、塑性ヒンジが発生している部材の端部に●を表記せよ。



答え



【解答(例)】
水平力Pの増大により、A梁端またはA・B・C柱柱頭のどちらに塑性ヒンジが生じるかは、節点位置における曲げモーメントの釣り合いから判断する。従って、柱頭部及び梁端部の危険断面位置に塑性ヒンジを仮定して、その場合の部材のせん断力から節点曲げモーメントを算出する。次に柱及び梁毎の節点曲げモーメントの総和の小さい方の部材(柱又は梁)に塑性ヒンジを設定して、塑性ヒンジが生じない部材の節点曲げモーメントを修正し、その値から部材のせん断力を修正する(<その他の諸条件>(イ)による)。

作成した崩壊形形成時の曲げモーメント・せん断力図を以下に記載する。
R03_1_問題3_No.2_崩壊形形成時の曲げモーメント・せん断力図.jpg

架構の崩壊形は以下の図となる。
R03_1_問題3_No.2_架構の崩壊形.jpg




?A 架構の保有水平耐力(崩壊形形成時の水平力P ?T )を表1に示すaを用いて答えよ。



答え


架構の保有水平耐力P1は崩壊形形成時の柱のせん断力の合計となるので、
 P ?T = 0.85a + 1.25a + 0.85a = 2.95a (kN)




?B 1階が上記の崩壊形を形成するA柱、B柱及びC柱から構成される場合、1階の構造特性係数 Dsを昭和55年建設省告示第1792号第4に従って求め、その根拠を簡潔に記述せよ。



答え


先ずA梁、A柱、B柱及びC柱の種別を判定する。ここで、A梁には両端にヒンジが生じているので式(3)、A柱、B柱及びC柱は柱頭にヒンジが生じていないので式(4)にて判定する。なお、ここでは問題文に「破壊形式を除き、各部材において昭和55年建設省告示第1792号第4の種別に関する諸数値は規定値を満足しているものとしてよい。」とあるので、式(3)及び式(4)による破壊形式のみにて種別を判定する。

A梁:
 Q su = 0.60a (kN) ≧ 1.10Q M
         = 1.10 x 0.40a = 0.44a (kN)
 ∴ FA

A柱及びC柱:
 Q su = 1.36a (kN) ≧ 1.25Q M
         = 1.25 × 0.85a
         = 1.06a (kN)
 ∴ FA

B柱 :Q su = 1.60a (kN) ≧ 1.25Q M
            = 1.25 × 1.25a
            = 1.56a (kN)
 ∴ FA

上記よりA柱、B柱及びC柱の水平耐力は全て種別FAである柱の耐力となるので、1階の部材群としての種別はAとなる。従って、 1階の構造特性係数 Dsは0.30となる。




[ No.3 ]
架構の変形によりT形梁のスラブの有効幅が増大すると、スラブが引張側となるA梁の右端のM u が増大する。各部材の耐力が表2に示す値となるケースII(A梁右端以外はケース I と同じ)について、保有水平耐力及び部材種別に関する次の?@及び?Aの設問に解答せよ。

表2 部材の耐力(ケースII)
R03_1_問題3_No.3_表2_部材の耐力(ケース2).jpg

?@ 架構の保有水平耐力(崩壊形形成時の水平力P ?U )を表2に示すaを用いて答えよ。



答え


設問[No.2]と同様の方法にて作成した崩壊形形成時の曲げモーメント せん断力図を以下に記載する。なお、崩壊形形成時の塑性ヒンジ発生位置は設問[No.2]の結果と同じである。

R03_1_問題3_No.3_崩壊形形成時の曲げモーメント・せん断力図.jpg

架構の保有水平耐力はP?Uは崩壊形形成時の柱のせん断力の合計となるので、
 P ?U = 0.86a + 1.40a + 0.99a
   = 3.25a (kN)




?A B柱の種別を判定し、種別判定の根拠を簡潔に記述せよ。



答え


B柱の種別は柱頭にヒンジが生じていないので式(4)にて判定する。
 Q su = 1.60a (kN) < 1.25Q M
         = 1.25 × 1.40a
         = 1.75a (kN)
よって、式(4)を満足していないので、せん断破壊形式の部材となり、
種別はFDと判定する。


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