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構造設計一級建築士
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 1.8 骨組の塑性解析

 2.1 構造設計の基礎
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 2.3 鉄骨構造
 2.4 鉄筋コンクリート構造
 2.5 鉄骨鉄筋コンクリート構造
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2024年09月09日

令和四年度修了考査 構造設計(記述式)問題3

構造設計(記述式)

問題3

場所打ち鉄筋コンクリート拡底杭の設計に関する次の [ No.1 ]〜[ No.3 ] の設問に解答せよ。地盤構成と杭の寸法等の諸元は図1のとおりである。

R4-2_問題3_図1_地層構成と杭の諸元.jpg
図1 地層構成と杭の諸元

[ No.1 ]
杭頭をGL–3m、杭先端深さをGL–16 mとした場所打ちコンクリート拡底杭(軸径:2m、杭先端有効径:3m)の 極限先端抵抗力R p 及び 極限周面抵抗力R f を下記のそれぞれの式により算定し、それらの結果を用いて式(1)により 長期許容支持力R αL を算定せよ。

ただし、GL–25〜27mの硬質粘土層は一軸圧縮強さが十分にあり、杭の支持力はその上の砂層で決まるものとする。また、 拡径部の周面抵抗力は考慮しないものとする。

R4-2_問題3_No.1_式(1).jpg


答え


[ 解答解説 ]
計算は有効数字3桁で行い、結果も有効数字3桁で示す。処理は、四捨五入とする。

R αL = 1/3 × ( R p + R f )  式(1)

杭先端有効径 = 3mより、GL−13m〜GL−19m間の平均N値は、
N = (30 + 30 + 60 + 60 + 60 + 60)/6 = 50
極限先端抵抗力R p は、
R p = 100 × N •A p
  =100•50•(3.0/2) 2 ×π
  = 35,325→ 35,300 (kN)
R fs = 3.3N s •L s •ψ
拡底部の周面抵抗力は考慮しないため、
L s = 0 → R fs = 0 (kN)
R fc = 0.5q u •L c •ψ
  = 0.5•100•10•2.0π
  = 3,140 → 3,140 (kN)
極限先端抵抗力R f は、
R f =R fs + R fc = 0 + 3,140 = 3,140 (kN)

したがって、長期許容支持力R αL は、

R αL =1/3 × (35,300 + 3,140)
  = 12,813→ 12,800 (kN)





[ No.2 ]
長期軸力が図1の [ No.1 ]の杭頭に作用するとき、GL–25〜27mの位置の硬質粘土層の圧密沈下の可能性を以下の手順で検討せよ。

?@ 原地盤の硬質粘土層上面位置(GL–25 m)の鉛直有効応力σ o ’を求めよ。ただし、地下水位以深の土の単位体積重量は水中単位体積重量を用い、水の単位体積重量は10 kN/m 3 とする。



答え


[ 解答解説 ]
鉛直有効応力σ' o は、地表面(GL±0m)から硬質粘土層上面位置(GL−25m)の各地盤の単位体積重量γ × 層厚 t の和である。
ここで、地下水位以深となるシルト質粘土層、砂質土層の単位体積重量は水中単位体積重量を用いる。

σ’ o = 15 × 3   (埋土)
  + (16 − 10) × (13 − 3)   シルト質粘土層(GL−3〜−13m)
  + (18 − 10) × (15 − 13)   砂質土層(GL−13〜−15m)
  + (20 − 10) × (25 − 15)   砂質土層(GL−15〜−25m)
 = 221 (kN/m 2 )




?A 杭先端面に長期軸力12,000 kNが等分布に作用し、さらに深さ方向に1:2(幅:高さ)で荷重が分散されると仮定した場合の硬質粘土層上面位置の増加応力Δpを求めよ。



答え


[ 解答解説 ]
杭先端〜硬質粘土層上面までの深さd = 25−16 = 9m
荷重の分散を考慮したとき、硬質粘士層上面において長期軸力が作用する面積AP'は、
A’p = {( 9/2 + 3 + 9/2)/2} 2 •π
  = 113.04 →113 (m 2 )
増加応力Δ p =12,000/113 = 106.2→106 (kN/m 2 )




?B ?@及び?Aより、杭の長期軸力を考慮した硬質粘土層上面位置の鉛直有効応力σ’を求めよ。



答え


[ 解答解説 ]
σ’ = σ’ o + Δ p
 = 221+106 = 327 (kN/m 2 )




?C σ‘と硬質粘土層の圧密降伏応力 p c を比較し、圧密沈下の可能性の有無を判定し、その根拠を簡潔に記述せよ。



答え


[ 解答解説 ]
σ’ = 327 < p c = 400 (kN/m 2 )より、 圧密沈下は生じない。

理由:杭の長期軸力を考慮した硬質粘土層上面位置における鉛直有効応力は圧密降伏応力以下であるため。




[ No.3 ]
杭頭は [ No.1 ]と同じGL–3mのままとし、杭先端深さをGL–16.2m、軸径を2.2m、杭先端有効径dpを3.2mにそれぞれ[ No.1 ]から変更した結果、極限先端抵抗力Rpは40,600 kN、極限周面抵抗力Rf は3,450 kNと算定された。

この杭頭に長期軸力14,000 kNが作用するときの杭の沈下量等に関する設問?@〜?Bに解答せよ。ただし、杭体は十分に軸剛性が大きく、その圧縮量を無視することができ、かつ杭周面抵抗力と沈下量の関係は図2に示すようなバイリニアに、杭先端荷重Pbと杭先端沈下量Sbの関係は図3に示す曲線、式(2)で表されるものとする。

また、粘土層の周面抵抗力の折れ点Sfは6mmと仮定する。

R4-2_問題3_No.3_式(2).jpg

R4-2_問題3_No.3_図2_荷重-沈下量関係.jpg
図2 荷重–沈下量関係(模式図)

R4-2_問題3_No.3_図3_杭先端荷重-杭先端沈下量の関係.jpg
  図3 杭先端荷重–杭先端沈下量関係
  (a = 0.23、n = 2.7)


?@ 杭先端沈下量がSf(= 6mm)を超え、杭周面抵抗力が極限周面抵抗力Rfに達していると仮定したときの杭先端荷重Pbを求めよ。



答え


[ 解答解説 ]
長期軸力 = 杭周面抵抗力 + 杭先端荷重
である。
ここで、杭周面抵抗力が極限周面抵抗力Rrに達していることから、長期軸力 N L = R f + P b
したがって、
杭先端荷重 Pb = 14,000 − 3,450
       = 10,550→ 10,600 (kN)




?A 式(2)にd p , P b . R p , a, nを代入して、杭先端沈下量S b を求めよ。



答え


[ 解答解説 ]
(S b /d p )/0.1 = αP b /R p +(1ーα)(P b /R p ) n  式(2)

d p = 3.2 (m), P b = 10,550 (kN), R p = 40,600 (kN), α= 0.23, n = 2.7を代入してS b を求めると、
S b = 0.1•3.2 (0.23 × 10,600/40,600 + (1- 0.23)(10,600/40,600) 2.7 ) = 0.0258 (m)
よって、
S b = 25.8 (mm)




?B ?Aで求めた杭先端沈下量S b とS f (= 6mm)とを比較して、?@で杭周面抵抗力が極限周面抵抗力R f に達していると仮定したことが、妥当であるか否かを判断し、その根拠を簡潔に記述せよ。



答え


[ 解答解説 ]
S b = 25.8 > S f =6.0 (mm)より、
?@で杭周面抵抗力が極限周面抵抗力R f に達していると仮定したことは妥当である。

理由:算出したS b の値は、仮定条件(S b >6.0mm)と整合するため。


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