内閣府の調査は、データがCSV形式で公表されているので、耐震診断についてもその内容を更に詳しく知ることができる。
データをみれば、この調査に回答した人のうち、いわゆる旧耐震(昭和56年6月より前に確認申請を取って建築した建築物)の住宅に住んでいる人は全体の4割程度しかなく、6割は新耐震以降の住宅に住んでいる人となっているのだ。
耐震診断が必要とされるのは通常、旧耐震の住宅であり、本来、旧耐震の住宅の人が耐震診断をしたのか、耐震改修をしたのか、ということを問い、その状況を公表することに意味がある。
何も新耐震以降の住宅について積極的に耐震診断をしましょうということを政府はそもそも推進していないのだ。
新耐震のみのデータは調査では1980年以前というくくりになるのだが、耐震診断を実施していない率は74.1%となる。
この数字は内閣府の発表した耐震診断をしていない人が約5割という数字と比べて、はるかに大きな数字であり、これが問題として指摘される必要があるのだ。
内閣府は少しでも、「良い数字」を示したかったのではないか?
実際は耐震診断をしていないのは7割超なのを5割超という数字を使って発表したのには、そうした下心が見え隠れするのだ。
こういう情報操作はまさに厚生労働省が「裁量労働制の方が労働時間が短いケースがある」というデータをわざわざ捏造して国会で紹介したことと同じようなことだ。
それにしても、マスコミの数字に対する鈍感さにはあきれてしまう。
東日本大震災を経験した河北新報でさえも、内閣府の概要ペーパーの耐震診断を実施したのは5割超という数字を鵜呑みにしているからだ。
この5割超の数字は、旧耐震では74%も耐震診断していないのだから、新耐震以降の住宅について6割近くの人がワザワザ耐震診断をしているという恐ろしい結果なのだ。
耐震診断は基本的には旧耐震の建物を診断する物差しであり、新耐震以降の建物を診断するために作られたものではないのだ。
いわゆる耐震リフォーム詐欺を招きかねない内閣府のデータは問題だ。
河北新報の社説より、
防災・減災 備えの主体/自助意識の上滑りを懸念
http://www.kahoku.co.jp/editorial/20180219_01.html
この社説では、
・内閣府が昨年11月に実施した「防災に関する世論調査」の結果が先月末発表された
・調査では、日頃の備えについて依然、不十分な現状が浮き彫りになっている。 2016年4月の熊本地震の影響もあり、地震で最も心配なこととして「建物の倒壊」との答えが7割を超えたが、自宅の耐震診断をしていない人は5割を超えている。
参考)
内閣府の防災に関する世論調査の結果、住宅の耐震診断をしていない人は52%??だそうですが、その前に2階で寝ましょう!
http://www. 耐震.top/article/456514315.html
内閣府の「防災に関する世論調査」は突っ込みどころがいっぱいなのです。
http://www. 耐震.top/article/456553503.html
内閣府の調査から判明!2000年以降に建築された住宅も耐震改修を実施?
http://www. 耐震.top/article/456568327.html
悪質な耐震リフォーム詐欺が心配です。
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