音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2012年02月02日
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 1966年と言えば、ビートルズが来日公演を行った年である。この年の(というか、そもそもこの前後がそうなわけだけれど)ロック界では、相次いで名盤が生み出された。1966年のリリースのものをいくつか挙げると、ローリング・ストーンズの 『アフターマス(余波)』 、ビートルズの『リボルバー』、ボブ・ディランの『ブロンド・オン・ブロンド』、ビーチ・ボーイズの 『ペットサウンズ』 といった具合に、後に名盤と評される作品が目白押しである。こうした時代に、「今、何が熱いのか」を問い、「現時点でイケている旬の音楽」としてブルース・ロック、あるいはホワイト・ブルースに目を付けた制作者がいた。そうして、エレクトラ・レコードから、レーベルを超えたアーティスト編成で構成されたのが、本盤『ホワッツ・シェイキン(What's Shakin')』である。

 参加アーティストは全5組で、計14曲収録。ジャケットの記載順でアーティスト名を挙げると、ザ・ラヴィン・スプーンフル(The Lovin’ Spoonful)、ザ・ポール・バターフィールド・ブルース・バンド(The Paul Butterfield Blues Band)、トム・ラッシュ(Tom Rush)アル・クーパー(Al Kooper)、そして、エリック・クラプトン&ザ・パワーハウス(Eric Clapton and the Powerhouse)である。オムニバス盤なので全体の統一感に欠けるのは事実である。しかし、というか、それでもなお、熱さが伝わってくる好盤なのである。

 アルバムは、ザ・ラヴィン・スプーンフルの2曲で幕を開ける。ジョン・セバスチャン率いる彼らの曲は、セバスチャンのオリジナル曲2曲(1.「グッド・タイム・ミュージック」、2.「オールモスト・グロウン」)に加え、アルバム後半には、カバーの2曲(12.「ドント・ルック・バック・オン・イット・ベイビー」、13.「サーチン」)が収録されている。このラヴィン・スプーンフルの参加曲で“ブルース・ロックなの?フォーク・ロックなの?”という疑問が湧いてくる人もいるだろう。

 まず、ザ・ラヴィン・スプーンフルの面々がアルバムのジャケットを飾っている。さらには、参加アーティスト名がジャケットに連記されているが、彼らの名前がいちばん目立つ位置・サイズで表記されている。これらの点は多少差っぴいて考えた方がいいかもしれない。というのも、本盤リリース時点での人気度という点では、ザ・ラヴィン・スプーンフルが圧倒的であった。65年にデビューし、翌年にあたるこのリリース年には、「デイドリーム」(全米2位)、「サマー・イン・ザ・シティ」(全米1位)といったヒットを飛ばしている。要は、このオムニバス盤の売上を考慮して、ジャケットの“見た目”という意味では、彼らを表紙に持ってくるのが得策だったろう。

 けれども、ザ・ラヴィン・スプーンフルの参加は別の意味で重要なのである。彼らは一般に“フォーク・ロック”という括り方をされる。それがなぜブルース・ロック志向のアルバムに参加なのか。実は、米国でのブルース・ロックの潮流の背景には、フォーク側の影響も多分にある。とくに古き良きロックンロール、さらには南部的R&Bといった音楽を媒介するかたちで、米国におけるフォーク・ロックとブルース・ロックは双子の兄弟と言えなくもない。

 つまるところ、66年時点から見て将来のブルース・ロック像というよりは、66年時点のブルース・ロックの潮流にいたる過程を如実に表しているのが、ジョン・せバスティアンなりザ・ラヴィン・スプーンフルなりがやっている音楽であり、本盤への彼らの参加だったと解釈できる。

 この志向性は、1曲(11.「アイ・アム・イン・ラヴ」)のみ参加のトム・ラッシュにも当てはまるだろう。トム・ラッシュは、最初はボストンのフォークシーンから登場したシンガーであるが、だんだんと泥臭い方向を向いていくことになる。

 長くなってきたので、ここらへんで日をあらため、別記事として後半に続けることにしたい。


後編 へつづく(収録曲のデータは後編をご覧ください)。





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Last updated  2012年02月04日 07時30分02秒
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