本を読んでいるとそれからあれへと、こう考えたりああ考えたりする。
今月も読んでいる本に触発されたり、興味あることがらから選んだ本だったり、本との付き合いからいろいろの思いが浮かんでくる。
といっても今月の冊数は少ない。 『戦争と平和』(三)(四) を読んでやっとこの本を読了した。年越してしまった。
戦争をバックに恋愛物語と簡単にとらえるにはトルストイの歴史観、哲学観がぎっちりとあってその重圧に圧倒されてしまった。
恋愛の方はナターシャとマリヤがしあわせになってちょっと拍子抜けだけれども、めでたしめでたし。若いころ読んだらきっと感激していい気持ちになったと思う。
その若者達のはつらつした苦しみ、悩み、生命の躍動、高揚を挿しはさんで、地に流れる歴史のとらえかたの叙述に目を見張らされた。
「歴史が動いていくのは一人の英雄傑物の意思ではなく、おおぜいのひとびとの総意である」というような、少々辟易の感もあったが(文章が饒舌で)なるほどと思った。
それにしても権力や地位を得るために権謀術策、懊悩辛苦、滑稽喜劇を演じる様までいきいきと、トルストイの描写はさすが。ナポレオン皇帝やアレクサンドル皇帝という実人物も登場させて総勢500人余の登場人物、怒涛の名作ではあった。
そうか、歴史が動いていくのはある一人の指導的人物の命令ではなく、それを受け取る人々の命令通りにやるか、やらないか、付け加えるか、勝手にやるかの総合した意思なのか。
そりゃそうだ。特に戦争状態、緊急状態の時と場合によって、状況変化もあろうし、個人の利権を優先する気持ちの変化もあるだろう。
ひるがえっておおげさだけれども、日本のこの下降している状態も歴史的に観られればいい、渦中で右往左往しているからどうなるかさっぱりわからないんだと思う。
わたしの頭ではこの辺までで、もっと勉強しなければとて身近に本があったので 新書『イスラエルとパレスチナ』 を読んだ。お陰でパレスチナ関係の新聞記事が読めるようになって、ちょっとおもしろくなってきたところ。
など、他の新書類もぱらぱらしていたところ、MSKさんのブログ記事で 武者小路実篤『友情』 についてあり、わたしが過去にコメントしたそうな。
いかん、すっかり忘れていたとあわてて『友情』を読む。中学の時は感激したと思うのだが、再読してみてさすが文章は平明、構成もいい名作ではあるが、主人公をあわれには思えなかった。
主人公の野島はいまひとつ空気の読めない、しかしいい人ではあるが、失恋をばねに強く生きるというのはなさけなく、こんな人に同情したのかな~。むしろ強靭に自分の意思を貫いた杉子がいきいきとしていた。間に入った親友の大宮はちゃっかりだよ。( ストーリーはMSKさんのブログで )
そうそう、武者小路実篤もトルストイに心服していたのだが…。
という今月の読書だった。
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