森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.03.06
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岡田尊司さんがこんな話を紹介しておられる。

私の同僚だった医師にこんな男がいた。
朝が弱いのでよく遅刻する。看護士が電話をして起こさなければならないことも度々だ。
何事もマイペースでぼんやりしているので、うっかり薬の処方を忘れていたりする。
しかし大きなトラブルになることは意外にない。
担当の看護士が細心の注意を払って、チェックしているからだ。
担当の看護士にすればお守りで大変なはずだが、悪く言う声を聞いたことがない。
そういうキャラクターとして受け入れられ、親しまれていた。

一番の理由は、彼が一度も周囲を責めたり、尊大な態度をとったりしなかったということである。
また、自分から面倒なことを買って出て、損な役回りを引き受けるところもあった。
つまり彼はきっちりした性格ではなかったが、決して利己的ではなかったし、ましてや人に責任を転嫁したり、攻撃したりすることは一切なかったのだ。
他人の気持ちや領分を害さなかったので、仲間として受け入れられたのである。
自分の格好悪い面を隠さずにさらけ出していたことも、彼に対する親しみを増し、拒絶反応を抑えていたのであろう。
出世には興味のない人だったが、その後大学に戻り教授になった。
(人間アレルギー 岡田尊司 新潮社 71ページより引用)

普通こんなに時間にルーズで、いい加減な仕事しかできない人は職場から排除される。
排除されなくても軽蔑されて肩身の狭い思いをして生きていくことになる。
それなのにこの人の場合は、反対に親しみを持って人が集まってきた。
それは彼が人に「かくあるべし」を押しつけなかったからであると思う。
人を非難、叱責、否定することがなかった。
そして人の役に立つことを積極的に引き受けていた。
「人の為に尽くす」の実践を心がけていた。

さらに自分にも「かくあるべし」を押しつけて、自己否定することがなかった。
自分の弱点や欠点を取り繕ったり隠したりすることなくありのままに行動していた。
自分のありのままの姿を承認することができている。
これは森田理論でいうと、事実本位の生活態度を持っていたということである。
事実本位に徹するととらわれのない素晴らしい人間関係を築くことができるという見本のような話である。





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Last updated  2016.03.06 07:31:08
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