森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.02.01
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元プロ野球選手の江川卓さんの話です。
キャッチャーには大きく分けて、次の2つのタイプに分けることができると思います。
1 、ピッチャーの良さを引き出して相手を打ちとるタイプ
2 、相手の弱点を徹底的に突いて打ちとるタイプ

1の代表的なキャッチャーは元西武ライオンズの伊藤勤選手を挙げておられます。
西武に在籍していた頃の松坂選手は、ストレートとスライダーを中心に投球を組み立てていました。
本人が1番プライドを持っていたのは、 Max 156キロの速球です。
ところが、伊藤選手と組む前はスライダーの比率が多く、思うような成績は残せませんでした。
キャッチャーが伊藤選手に変わると、配球がストレート中心に変わってきました。
それだけではなく、伊藤選手は松坂選手を乗せるのがうまいし、気持ちよく投げさせることもできました。それで、獅子奮迅の活躍につながっていったのです。

2の代表的なキャッチャーとして、元ヤクルトの古田敦也捕手を挙げておられます。
古田選手は対戦するバッターの弱点を徹底的に研究して、弱点を突いていくというサインを出します。
「頼むから俺の構えたところに投げてくれ」という捕手主導型のリードします。
師匠が野村克也監督ですから、その影響を受けているのでしょう。
コントロールが良くて、指示されたところにきちんと投げられれば打ちとる確率が高くなります。
ところが、ピッチャーがその要求にきちんと答えることができないと痛打されることが多くなります。
下手をするとそういうピッチャーは1軍では通用しないという烙印を押されてしまいます。

ただ、その後古田捕手はピンポイントの要求を変化させました。
例えば、 1995年のオリックスとの日本シリーズでイチローとの対戦がありました。
古田捕手は、高めのストレートを効果的に使ってイチローを封じました。
その時高めのストレートは外角が効果的と言われながら、実際は真ん中のあたりにきていました。
これでいいのです。
もし古田捕手が外角高めのピンポイントを要求したら、ピッチャーは萎縮して球を置きにきたでしょう。
それがプレッシャーとなって高低のコントロールミスが続出していたかもしれません。
(マウンドの心理学 江川卓 廣済堂文庫 159ページより引用)

この話は、集談会で先輩会員が初心者に森田理論を説明する時にも参考になると思います。
神経質性格の人が、神経症を克服し、さらに神経質性格を活かした人生観を獲得するにはどうすればよいのか。
まず、集談会に参加して、森田理論を始めたことを評価して温かく迎えてあげることが必要です。
最初のうちは、傾聴、受容、共感を前面に打ち出した対応が必要です。
集談会は居心地のいい場所だ、続けて参加してみたいという「心の完全基地」を作ってあげることが必要です。
その段階を過ぎると、ただ参加するだけではなく、何らかの役割を分担して担ってもらうことも必要です。これがキャッチャーの1の役割に当たるものだと思います。
相手のやっていることがみんなの役に立っているということを評価してあげることが大切です。
相手の存在を認めてあげることにつながります。
この段階では、性急に森田理論を詰め込まなくてもよい時期です。

次の段階になると、本格的に森田理論学習に取り組んでいくことになります。
まずは基礎的な学習です。神経症の成り立ち、神経質性格の特徴、感情の法則、行動の法則、認識の誤りなどの学習です。基礎的な学習が終わった後は、自分を振り返って体験発表をすることが大切です。
基礎的な学習が終わった後は、応用編の学習に入ります。
これは私が提唱している、「森田理論の全体像」の理解から始めるとよいと思います。
ここでは主に4つの大きな柱の深耕とその関連性について学習していきます。
生の欲望の発揮、欲望と不安の関係・不安との格闘、 「かくあるべし」の発生と苦悩の始まり、事実本位・物事本位の生活態度の養成です。
その後、神経症が治るとはどういうことか、森田理論のキーワードの学習などに取り組みます。
これらのステップを踏んでいくと、いよいよ離陸の時を迎えます。
森田理論を実際に仕事や日常生活にどんどん応用していくのです。
その際これはと思うもの1つか2つに特化して実践することが有効です。
たとえば、「ものそのものになりきる」「物の姓を尽くす」「一人一芸を磨く」などです。
そして自分の体験を、新たに森田理論学習を始めた人に伝えていく役割も担うとよいでしょう。
最初は相手に寄り添い、相手の存在を認めてあげる。
信頼関係ができれば、適切に森田理論の理解につながるように導いてあげることが重要だと思います。






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Last updated  2018.02.01 06:30:12
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