森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.11.24
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森田先生の精神療法はイタリアのマリア・モンテッソーリの影響を受けているといわれている。

森田先生の考え方はこうだ。
特に上から指示命令するのではなく、誰もが持っている心身の自然発動を促す。
神経質性格を抑圧するのではなく、むしろこれを利用して、人間の元々持っている能力を最大限に発揮させることが肝心だ。これはモンテッソーリの教育方針そのものだ。

今日はモンテッソーリの児童教育について紹介してみたい。
モンテッソーリはイタリアで「子どもの家」を運営していた。
2歳半から7歳までの児童を50名ほど預かっていた。
貧困家庭で子供の世話が十分にできない子供を預かって教育していたのである。
ここから困難に打ち勝ち、積極的で、好奇心が強く、社会に調和した子供たちが生みだされたという。
時間は冬は朝9時から夕方5時まで、夏は朝8時から夕方6時までだった。
教師は全員女性で、同じ共同住宅に住みこんで子供たちの模範となることが求められた。

基本的な教育方針は、人間は元々あらゆる障害を自ら乗り越えて運命を切り開いていくという宿命を背負っている。そのために私たち教育者は、子供たちに完全な自由を与えて、子供たちが興味や関心を示すような教育、教材の提供、環境整備が重要であると考えた。
先生が子供の活動を指示や叱責によって、子供の自然発動の芽を摘んでしまうことは、子供の生命そのものを窒息させてしまうと考えていた。間違いを指摘することもタブーとされていた。

指導者は子供に奉仕するが、子供たちが自分でできることには安易に手を出さないという忍耐強い教育であった。
子供に知らないことをたくさん教え込むという教育ではなく、子供たちを一人一人よく観察して記録をとることを重視していた。
教師が魂を持って一人一人の子供に接して、彼らの内なる生命を目覚めさせるところに注力していた。

またモンテッソーリは感覚教育を重視していた。触覚、視覚、聴覚の訓練のための様々な教具を考案している。その教具は子供たちに喜ばれ、子供の持っているエネルギーが発揮されるように工夫されていた。
目隠しして物の形を識別する様々な練習器具や、紙やすりで粗さの段階が識別できる感触を訓練する器具。色と形、大きさの違いを識別できる視覚ゲーム。ハーブを使った音響の識別とリズム感覚の訓練もおこなった。

このような教育によって、「こどもの家」からは、豊かな感情、鋭い感覚、すぐれた知性を備え、外からは「小さな大人」あるいは「熟慮する裁判官」に見える子供たちが育ったという。
しかも、驚くことに、どの学校よりも規律がとれていたという。

森田先生もこういう人間に成長してもらいたいという人間愛にあふれていた。
モッテソーリの書物によって人間教育を学ばれたに違いない。





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