森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.11.09
XML
森田先生の言葉です。

なおいつでも、大事なことは、人はいたずらに強がり、負け惜しみで、頑張る事をやめる事です。そして弱気に徹すれば、常に安楽になり、結局これが最も強くなる結果にもなるのであります。(森田全集 第5巻 582ページより引用)

今日はこの言葉を分かりやすく解説してみようと思います。
私たちはスポーツでも、勉強でも、仕事でも、容姿でも、持ち物、出世でも人と比べて負けていることが許せない。ライバル視して何とか相手に勝ちたいと思う。
生の欲望が強い神経質性格の場合は特にその傾向が強いように思います。
それがプラスにでると、やる気の源泉になる場合があります。

ところがこの生き方には大きなマイナス面がある。
第一に「かくあるべし」が強化されてしまうことだ。
・絶対に相手を倒さなければならない。
・絶対に相手に勝たなければならない。
・負けるようなことは許されない。
負けてしまうと、自分のすべてがダメなように思えてくる。
・相手を見下ろすような人間にならなければならない。など。
「かくあるべし」という考え方が強化されると、葛藤や苦悩が発生する。
苦しい生き方を受けいれざるを得なくなります。

第二に、自分の欠点や弱点、ミスや失敗を隠蔽し、ごまかすようになる。
そういうものはあってもよいが、人に知られてしまうことは絶対に許せないのである。
事実を素直に受け入れることができないので、言い訳や弁解が多くなる。
事実を捻じ曲げるために様々な工作を行うようになる。
うそやほころびが出てくると、それをごまかすために、また別のうそを重ねる。
そういうことに明け暮れる生活は、実に味気ないものです。

森田先生は、弱気に徹するといわれていますが、別の言葉でいえば、地のままの自分で生きていくということだと思います。
見栄を張って、相手と張り合わない。取り繕うとしない。
誇張した自分、脚色した自分になろうとしない。
つまり、どんなに承服しがたいことがあっても、事実を素直に受け入れて、 自然体で生きていけば 、精神的な葛藤や苦悩は生まれないということです。

自然体と言えば、台風に遭遇した時の柳の木が参考になります。
枝が引きちぎれないほど乱れまくっています。
これを見ていると、人間に置き換えれば、心身の破滅を招くのではないかと思われます。
ところが、事実は違います。台風一過の秋晴れの中で、柳の木は何事もなかったかのように、たたずんでいるではありませんか。とても感動的です。

その一方で、巨大台風が来たとき、樹齢何百年といわれるような巨木が倒壊して無残な姿をさらしています。巨木は大型台風に対して、いつも張り合っていたのだと思います。
これまでの小さな台風には、すべて打ち勝ってきたのです。
力の差を見せつけてきたと言ってもよいと思います。
ところが、今回の巨大台風には勝てなかったということです。
事実を無視して、反旗を翻すということは、最後は負け戦になるということだと思います。
体力が弱くなり、精神的にも気弱になると、形勢は一挙に逆転してしまうのです。

それはちょうど水泳の上手な人が、川上に向かって泳ぐようなものです。
すこしは頑張る事ができるでしょうが、エネルギーの消耗が激しすぎます。
2m進んでも1mは流される。労多くして、実入りが少ない。精魂が尽き果てます。
自然の川の流れに少しでも背くと、とんでもないことになります。
反対に川の流れに沿って泳ぐと、自然の力の応援を得て、自分の実力以上の成果を出すことができます。心身ともに葛藤や苦悩が発生しない。
これが森田理論でいう、素直に事実に従った結果なのです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2020.11.09 06:33:30
コメント(0) | コメントを書く
[観念重視から事実重視への転換] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

© Rakuten Group, Inc.

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: