森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.01.10
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対人恐怖症克服に向けての3日目の投稿です。

対人恐怖症の人は、他人から自分の存在を軽々しく扱われることを極端に嫌がります。
他人から非難、叱責、否定されることには耐えられないといいます。

これをよくよく考えてみると、そのような出来事が起きた結果、 不快感、不安感、恐怖感が湧き上がってくることに耐えられないということだと思います。

もう少し細かく見てみましょう。不安、怖れ、おびえ、腹立たしい、むかつく、イライラする、侮辱される、非難される、けなされる、悲観する、見捨てられる、孤独になる、悲しい、憂うつになる、疲れ果てる、力が抜ける、傷つく、絶望する、無気力になることに耐えられなくなる。
イライラしてすぐに取り除いてしまいたくなるのです。
実際に起きた出来事ではなく、そこから発生した感情を問題にしているのです。
ここは勘違いしやすいところですから、しっかりと理解してください。

注射針を打たれたような痛みを感じる。
注射針の場合は、覚悟を決めて、少し我慢すれば、すぐに楽になります。
ところが、不快感、不安感、恐怖感は耐えることができない。我慢することができない。
自分自身が精神的に混乱し、取り乱すことを見逃すわけにはいかないと考えるのです。
また一方では、そういうものは適切な手を打てば取り除くことができるものだと考えているからだと思います。逃避するというのは、一時的ではありますが、簡単に不快感から逃れることができます。カンフル剤のようなものになるのです。

実際には、そのような手っ取り早い手段を使って、解決しようとすることが、症状をどんどん増悪させていくのです。そのことが頭で分かるのではなく、心の底から体感できるかどうかが、その後の展開を大きく左右します。そのためには何度も失敗を繰り返して、いったんは絶体絶命のところまで落ち込むという体験が有効になるのです。中途半端はあまり効果がありません。

これは不安神経症の場合は、生きるか死ぬかという切実な問題が突き付けられるのでそういう体験がすぐにできます。
強迫神経症は生死に直結しないのでそういう心境に追い込まれないのです。
なんとかなる、救いの道があるはずだと考えている段階では、いつまで経っても、その覚悟を固めることができないのです。
私がスタート地点にたどり着くまでに15年かかった原因はここにあります。



そういうマイナスの感情を放置することができるとどうなるのか。
オリンピックのマラソン選手が選考レースを勝ち抜いて、スタートラインに立つことができたようなものだと思います。日本人の出場枠は3人程度です。
並みいる強敵に打ち勝ち出場権を得るまでは大変な努力と実績が必要になります。
でもここでスタートラインに立てたという意味は大きいと思います。
その先にはまた大きな試練が待っているのですが、まず出場権を得ないことには、メダルを獲得することは、絵に描いた餅になってしまいます。森田も同じです。
神経症を治そうとしないという覚悟を決めることがとても重要になるのです。
神経症が治るかどうかのポイントはここにあるといっても過言ではありません。

対人恐怖症の人が、不快感、不安感、恐怖感を取り除くことを断念すると、今まで無駄に使っていたそのエネルギーを別な方面に振り分けることができるようになります。
家でいえば、コンクリートの基礎(土台)がしっかりと完成したので、その上に自分の思い描いた家を建てることができるようになるのです。

森田ではその方向に向かうことを「生の欲望の発揮」といいます。
出発点から、目線を一歩上に向けて、問題点、課題、目標の達成に向けて歩みだすことができるようになるのです。生産的。建設的、創造的な行動がとれるようになるのです。
治そうという態度ではそんなところに注意が向かないと思います。
とくかく神経症の苦しみを取り除くことが最優先になるからです。

対人恐怖症の人が、不快感、不安感、恐怖感に襲われたとき、難しいことですが、深入りしないでさっと流し、目の前のなすべきことに取り組めるようになったときが対人恐怖症を克服した時です。

症状が治ったかどうかを詮索するよりも、不快感、不安感、恐怖感などを、我慢して受け入れられるようになったかどうかを問題にすることがより重要になります。
そしてスタート地点に立ち、目の前のやすべきこと、課題などにエネルギーを投入できるようになった人は、ほぼ対人恐怖症を克服した人です。

そういう視点で、対人恐怖症を克服した人を集談会の中で探してみましょう。
そして、どうすれば不安などに耐えられるのか、我慢して受け入れられるのか聞いてみてください。さて明日は対人恐怖の私が、生活の発見会活動の中で、学んだこと、役に立ったこと、実践していることを紹介します。





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Last updated  2021.01.10 06:20:05
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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