森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.01.11
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対人恐怖を治そうとしないという決意を固めて、目の前の課題に取り組むことができるようになった人に参考になる話をします。

1、人間関係は森田理論の「不即不離」を応用することです。
1990年11月号の生活の発見誌に、人は親しくなることを目的として付き合うわけではありません。活動の場を通じて引っ付いたり、離れたりしています。
対人恐怖症の人は、コップ一杯に満たされた親密な人間関係を築こうとしている人が多いようです。コップに1割程度しか飲み物が入っていないささやかな人間関係が普通なのではありませんか。神経質者は人間関係にのめりこむことがあります。これは極めて危険ですよ。
薄くて幅広い人間関係作りを目指すことで、ストレスは大きく軽減されます。
必要な時に、必要に応じて、必要なだけの人間関係を築いていきましょう。
そのためには生活の幅を広げて、自分の方から積極的に声をかけていくことが大切です。
こういう人間関係が身についてくると、無理がなくなり肩の力が抜けてきます。

2、人に役に立つ人間をめざす。他人を喜ばす芸を身につける。
森田先生は人の役に立つことを見つけて実行しなさいと言われています。
私は集談会で世話役を長らく引き受けてきました。今も続けています。
このブログはなんとか神経症で苦しんでいる人のお役に立ちたいと思って始めました。
自分の症状のことはさておいて、他人の役に立つことを探して実行することが大切です。
自分の症状のことは、その後で考えようと思っているうちに、神経症の苦しみは楽になっていくものです。

つぎに、森田先生は鶯の綱渡り、民謡などいろんな宴会芸を持っておられました。
私は、これに学びアルトサックス、どじょう掬い、獅子舞、腹話術、浪曲奇術などを身に着けて、老人ホームの慰問活動をしています。もっとも下手なものばかりですが・・・。
するとそこでいろんな芸を持った人と知り合いになりました。
ボランティアで一芸を身に着けている人は、一言でいうと面白い人の塊です。
こういう人間関係に囲まれて暮らしている私は幸せ者です。

3、高良武久先生は、対人恐怖の人はエキスパートを目指しなさいと言われています。
世の中で役立つ知識や技術や能力を身につけなさいと言われているのです。
10年ぐらい一つのことに真剣に取り組めば、その道の専門家になれます。
そうなれば、自然に人が集まり、人間関係がうまくいくようになるといわれています。

1992年6月号の生活の発見誌に曽野綾子さんが次のように書かれている。
ある板前さんで、妻から「お父さんは、経済のことは何も知らない。カラオケに行けば音程がでたらめ、麻雀ではみんなにカモにされる。ゴルフも下手くそ。何をやらせてもダメ。そばにいる私が恥ずかしくなる」と皮肉を言われている。
その話を聞きながら、当の板前さんは、悠々と笑いものになって平然としている。
それは料理にかけては誰にも負けないという聖域を持っているからなのです。
聖域を持つということは生きる自信を生み出しているのです。
これは実に胸に響く言葉ですね。
仕事でなくてもよいのです。特技や趣味、家庭菜園、ペットのしつけでもよいのです。
10年ぐらいかけてそういう聖域を一つだけ作ってみませんか。

4、対人恐怖で苦しんだことは無駄ではなかった。
対人恐怖で苦しんだおかげで、森田理論に出会い、人生をより深く考えることができました。
自助組織の生活の発見会にも参加し、素晴らしい経験を積み重ねることができました。
即それは仕事、社会活動の面で大いに活用し応用できました。

そして、とりわけ素晴らしい全国の仲間と知り合い交流することができました。
発見会にやってくる人は、頭の回転がよい。優秀な人間集団です。
好奇心が旺盛でいろんな趣味を持っている。
親切で思いやりがある。いざというときなんでも相談に乗ってくれる。
人生についてより深く考えている。素晴らしい経験をたくさん持っている。
こんな人と交流できることは、普通に暮らしていてはあり得ないと思います。
素晴らしい人の出会いは、人生のオアシスを見つけたようなものです。
これはいくらお金を積んでも買い求めることはできません。
望外の喜びでした。

確かに神経症の苦しみの渦中は苦しいことの連続でした。
いっそのこと死にたいと思ったこともあります。
今考えると、その時は苦しかったけれども、それ以上に得たものが限りなく大きかった。
計り知れない多くのものを受けとることができました。

「神様は乗り越えられない試練は与えない」と聞いたことがあります。
多分有意義な人生を築き上げるための試練として、神経症という課題を与えられたのではないかと思います。それをどう料理していくのか、どう味付けをしていくのか、あなたの腕の見せ所です。「人生に無駄なことは一つもない」と言いますが、まさにこのことを指しているのではないでしょうか。どうぞ災い転じて福となしてください。

以上で、4日間にわたり対人恐怖症で苦しんでいる人の為にいろいろと話してきました。
これに刺激を受けて元気を取り戻してくださる人が一人でもいてくれたらと願っております。
これで対人恐怖症の乗り越え方の説明は一旦終了とさせていただきます。





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Last updated  2021.01.11 07:15:00
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