森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.02.24
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昨日の続きです。
親に対する恨みや怒りに対してどう対応すればよいのでしょうか。
これを、取り除こうとすることは森田理論ではお勧めしていません。
どんなに激しい怒りの感情も、台風と同じ自然現象ですから取り除くことはできません。

感情は、人間の内なる自然現象のひとつであって、意志の力でコントロールできるものではありません。

ですからそれにエネルギーを投入することは無駄な努力に終わってしまいます。
このことが分かっていないと、不快な感情を取り除こうとするのです。
凝り固まった親に対する怨みや怒りはどうすることもできないと観念することです。
この法則が体験的に分かっている人は、無理で無駄なことにエネルギーを投入しません。

森田では、恨みや怒りはそのままに放任するという方法をお勧めしています。
憂うつでやりきれない感情を持ったままに生きていくことをお勧めしています。
そんな事をすれば、ストレスで精神的にも肉体的にもダメになるのではありませんかという反発が聞こえてきそうです。
確かに今までの既成観念で考えるとその通りになるかもしれません。

この点森田理論の感情の法則ではどのように説明しているのか考えてみましょう。
感情の法則4では次のように説明しています。

感情は、その刺激が継続しておこるとき、注意をこれに集中するときに、ますます強くなるものである。

これは、親への恨みや怒りという感情に対して、絶えず注意や意識を向けていると精神交互作用によってどんどん悪化してくることを説明しています。最後に怨念となって固着します。
ですから、とるべき手段は、次々に刺激を加えることを中断すればよいのです。
精神的にも肉体的にもダメになるというのは、そのことに注意や意識を集中するために起こるのです。逆に言えば、どんなに激しい恨みや怒りであっても、継続して刺激を与えなければ、薄まってしまうのです。そして時間が経過を待ち、居場所を変え、新たな行動を起こしていけば、恨みや怒りの感情は、意識の中から消えていたという状態になります。
そんな時間が増えてくれば、心の底には依然として存在しますが、恨みや怒りに振り回されることはなくなります。ここが大事なところです。


森田理論では、 「不愉快な感情もそのまま感じながら、必要な行動をしていくとき、感情は自然に流れ去り、行動したという事実だけが残ります」 と言っています。
親に対する怨みや怒りでパニックになっているときは、感情に振り回されていて、必要な行動がお留守になっているときです。
規則正しい生活、日常生活に対しての凡事徹底が放置されている場合が多いように思います。

親に対する怨みや怒りでいっぱいでも、介護が必要ならばイヤな気持ちを抱えたままで手を出していくのです。恨みや怒りを抱えながら行動していると、感情はもしかすると変化することがあるかもしれないと希望を持つことです。
そういう親も祖父や祖母から「かくあるべし」を押し付けられて苦渋の人生を歩んできた助け合う仲間だったと思えるようになるかもしれません。

それと今まさに犬猿の仲の親子関係に陥っている場合は、適度な距離を保つことが大切です。
朝から晩まで一緒にいるのではなく、ある程度距離を置いて、お互い別々のことに取り組む。
干渉しないでお互いに自由に生活することが有効です。
あるいは離れて暮らして、時々様子を見に行くようにする。
そうしないとやることなすことすべてが癪に障り、反発しあうことになると思います。
森田では、こうした方法を「不即不離」という言葉で説明しています。





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Last updated  2024.04.07 20:30:25
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