今が生死

今が生死

2009.06.23
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カテゴリ: 教育
今日の午後は大腸鏡検査の日で2例の検査を行ってきた。比較的やさしいケースだったので難無く行えたがS状結腸が長い例や、手術歴等によっては大変難しくて難儀する。

大腸鏡は大腸がんを見つけるのを主目的にした検査だがそれが痛かったり苦しみを与えるものでは受診者が敬遠してしまい、どうしても受けなければならない人でも、あの検査は苦しいからと受けないでいて進行させてしまうこともある。

従って検査する側としては如何に苦痛少なく検査するかが至上課題である。大腸の走行は人によって異なり、特に直腸に続くS状結腸が長い人では中々先に進まず大変難しい。それでも多くの先達が様々な挿入法を工夫して後進達に教えている。

私が見学に行った島根県の出雲中央クリニックの宮脇哲丸先生は、勤務医時代、ボーナスと給料をはたいて、車等には目もくれず、個人で何百万円もする大腸スコープを買い、勤務が終わった夜10時から12時まで大腸模型を使って毎日練習を繰り返したとのことである。

右手でスコープを持って挿入し左手で、スコープの先端を上下左右に動かすチャンネルをうごかすので、左手で箸をもって、左手が自由に使えるように何か月も訓練したそうである。

私が見学に行った時は十数人の大腸鏡検査を行っていたが、誰にも全然苦痛を与えないで患者さんと話をしながら楽々と検査をしていた。大腸鏡は苦しいものと思っている人にとっては大きな驚きだと思う。

しかしそこに到達するまでには何百万円もするスコープを始め、各種の講習会やセミナーなど莫大のお金と訓練の時間を使っているのである。当に学問に王道なしで、一見優れた技術や能力を持っている人は、そこに到達するまでに並大抵ではない労苦と訓練を重ねてきていることを思い知った。

私の技術はまだ未熟である。技術向上のための講習会等への参加費等それなりのお金は使っているが宮脇先生の比ではない。自宅で大腸鏡の本を読んだり、目をつむってイメージトレーニングなども行うが、毎晩2時間も模型を使っての実践トレーニングなどは行っていない。その時間は晩酌のお酒を飲んでパソコンを見て寝てしまうのが関の山で、えらい違いである。

でも宮脇先生の目的に向かっての火のような情熱と不動の信念に触れ、技術はともかく、心構えは向上したと思う。少しでも痛みの少ない検査を目指してひたむきに努力していきたいと思っている。





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Last updated  2009.06.24 08:36:42
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