今が生死

今が生死

2009.08.16
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カテゴリ: 教育
アメリカの医学教育は4年間の一般大学を卒業した後、4年間のメディカルスクールに進学して、その後インターンをして3~6年の臨床研修を終えて、一般内科医、一般外科医などの称号が与えられ、さらに専門医資格を得るには3~10年の専門医研修が必要となり、その後の試験に合格して循環器内科専門医などの称号が与えられる。

一般大学からメディカルスクールに進学するには2年間のボランテア活動が必須とされており、試験も難しく狭き門と言われている。めでたくメディカルスクールに進学できてもその後の4年間の専門教育と臨床実習を受けたあと臨床実習を受けなければならず、ざっと計算しただけでも医師になるには一般の4年生大学+4年の専門教育+インターン、臨床実習 3~6年+専門研修3~10年で高校卒業後医師になるまでには15~25年かかる。

翻って我が国の医学教育では6年の医学部教育を修了して国家試験に合格すれば医師になれる。最近2年間の臨床実習が義務ずけられたので、6+2で実質8年で実地診療医師になれるがそれに比べるとアメリカのそれは気が遠くなるように長い。

長ければいいというものではない。我々の学生時代は6年の医学部を終えて国家試験に合格すれば、内科でも、耳鼻科でも、外科でも何科でも開業できた。実際には卒業後大学医局とかその他の病院の専門科で数年経験してから開業する場合が多いが、その年数には決まりはなかった。卒後3年位で開業した人もいた。

アメリカではいっぱしの医師になるまでには高齢化してしまい、若い人に比べて能力的に下り坂になってしまう。また教育年限が長いのでその分給料も高くしなければならず、アメリカの医療費が高い原因にもなっている。定年をなくしたとのことだが、高齢医師ばかりでは技術的に高いところが望めなくなってしまうことが問題で、私はアメリカはもっと医学教育期間を短縮すべきだと思っている。

日本の医学部の2年間の一般教育課程に相当するアメリカの4年間の一般大学は2年以下に短縮すべきだと思う。若いうちに教育することが必要で、若くて吸収力旺盛な時代を一般教養の時代だからと称して漫然と過ごさせるべきではない。

我々の医学部時代は6年のうち、最初の2年間を一般教養として高校の延長のような授業で、その後の4年間が医学専門教育だが、そのうち解剖学や病理学、生化学等がかなりの比重をしめ、実地診療技術の訓練期間は短く、実際に診療できる実力がないまま卒業していた。

最近10年位前から教養の2年間にも医学的授業を少しずつ組み入れるようになり、後半の4年間も臨床実習を多くして、卒業後はある程度診療できる実力をつけさせた上で卒業させるシステムをとってきた大学も多い。

どの職業でもそうだが、少しでも若いうちから訓練した方がいい職人になる。長い間漫然と教育を受けて頭でっかちになっている高齢医師候補者達に難しい医学的技術を教えてもものにならない。

若くて吸収力旺盛の時代に、大切な医学教育を修了して、早く現場に出せるような教育がベストと考える。現場に出てそこで様々な症例や場面に遭遇しながら力量を上げていくことができる。アメリカの医学教育の年限は、半分以下にすべきだと思っている。

日本でも現在必須の臨床研修2年を加えて8年になっているが、6年の医学部教育の中で実地診療能力を高めていけば余計な2年は必要なくなると思う。

日本でも諸外国、というよりアメリカのマネをして2年の臨床研修を必須化したが、教育年限を長くするのではなく、若いうちに必要なことをいかに身につけさせるかが重要で、如何に効率的に教えられるかを考えながらカリキュラムを作ってもらいたいと思う。





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Last updated  2009.08.16 13:16:43
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