今が生死

今が生死

2013.08.18
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カテゴリ: 健康
私は消化器内視鏡を専門とする医師である。今年の2月ピロリ菌陽性胃炎の治療が保険適応されたことに伴い、多くの人がその検査や治療に来院している。今までの研究からピロリ菌を除菌(退治)すると胃がんに罹る割合が半分以下になることが分かっており、胃がん予防のために治療を希望してくる人が多い。

ピロリ菌が胃がんの基を作り、長年かかって胃がんを顕在化させると考えられており、高齢になってからだと顕在化していなくても既に胃がんの準備がかなり進んでいることがあり、除菌してもその効果は少ないかもしれないが、除菌しないよりは胃がん発生率は少ない。

タレントの逸見政孝さんが胃がんでなくなったが、その方の胃がんは未分化がんと言われる極めて進行の早いがんで、上述したゆっくり進行する胃がんとは別物と考えられている。ピロリ菌が長年月かけて胃がんを作っているとすれば、この進行の早いがんはピロリ菌と関係ないのではないかと思われてきた。

しかし近年の疫学研究によると、この進行の早い胃がんもピロリ菌と関係があり、ピロリ菌を退治することによってこのタイプのがんも予防できるのではないかと期待が持たれている。

もしそれが実証されれば大変な光明で、若いうちにピロリ菌を退治してしまえばどのタイプの胃がんも防げることになる。

肝臓がんの原因もC型肝炎ウイルスやB型肝炎ウイルスと言われている。そこで肝癌予防のためにインターフェロンやリバブリンなどを使ってそのウイルスの退治が行われている。

ピロリ菌やC型肝炎ウイルスなどが発見されていなかった頃は、がんの原因は様々に言われてきたが、これまでの研究によって、細菌やウイルスが発がんに大きく関与していたことが分かってきた。

乳がんや大腸がん、すい臓がん等では遺伝子変異の有無も大きな要因と考えられているが、胃がん研究でここまでわかってきたので、他のがんについても次第にもっと明らかにされていくのではないかと考えている。





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Last updated  2013.08.18 21:02:29
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