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イタリアに留学して、些細なことで人に冷たくされ、考えられないことが起こるたびに、教会の椅子に腰掛けて涙を浮かべておりました。ミサが始まると薄暗かった教会が光輝くように、蝋燭や照明で彩られ、荘厳な音楽が始まり、祈りや賛美歌を歌います。「私もこのミサにちゃんと参加出来るようになりたい」と思ったことが、信仰を持つ切掛けとなりました。11月21日発売となった森麻季のニューアルバム「ピエ・イエス-祈りを込めて」をAmazonのインターネットショップで購入しました。送料込みで3000円だったのですが、iTuneショップでは2400円となっていましたので、他のショップではもっと安く購入出来たのかも知れません。高音の透明感に、コロラトゥーラ・ソプラノとして抜群の才能を発揮している森麻季さん。 モーツアルト2曲のコロラトゥーラ・ソプラノが売りのCDだと思われ、聴き出しました。勿論モーツアルト・バッハも良かったのですが、寧ろフォーレやフランクの宗教曲に秀逸さがありました。 静かに唄うのは、自分の性格も吐露することが要求される気がしますので、単なるオペラ・アリアより難しいのだと思われますが、その点このCDではフォーレの「ピエ・イエス」は聴きものです。Pie Jesu domine, dona eis requiem,sempiternam requiem.慈悲深い主なるイエスよ彼らに安息を与え給え永遠の安息をその繊細な歌唱は、日本人に脈々と流れ伝えられて来た芸妓に対する感性の反映とは言えないだろうか。日本人離れした彼女の歌唱には、日本人としての美しさが見事に共存している。異文化の中で、心の平安を求めてキリスト教に入信しつつ、日本人として自己の確立をして来ているのではないかと理解出来ます。キリ・テ・カナワ女史の様には圧倒的な声量はありませんが、高音の透明感には素晴らしいものがあり、それを生かして今後どのようなアルバムを出して行くのか注目しています。
2007.11.29
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Amazonで「ドボルザーク・ガラ・コンサート1993」と言うCDを購入しました。その中にあったユモレスク第7番は、このコンサートの為にモラヴェッツ氏がバイオリンとチェロと管弦楽伴奏に編曲したと記載されていました。元来がピアノ曲で、クライスラーがバイオリンに編曲したことで、バイオリンの名曲で知られていますが、バイオリンとチェロと管弦楽伴奏はなかなかの聴きものでした。パールマン、ヨーヨーマ、小澤の組み合わせでは、良くない訳が無いのですから当然かも知れません。この演奏、YouTubeでもDVD映像がアップされています。ユモレスク(Humoresque)とはフランス語で、ユーモアがありいくらか気まぐれで明るい性格を持ち諧謔に満ちた器楽曲を指していて、ユモレスクとかヒューモレスク、フモレスケと呼ばれています。シューマンのピアノ曲op.20などがあり、特に、ドボルザークの作品で有名になりました。
2007.11.22
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2007年11月8日、浜離宮朝日ホールに行って来ました。1992年オープンした中規模で室内楽専用のホール、壁面・床も板張りで、反響音が柔らかで良いホールだと思われました。菅野潤(ピアノ) & ザルツブルガー・ゾリステン(八重奏団)モーツァルト ピアノ四重奏曲変ホ長調KV.493 ドヴォルザーク 弦楽五重奏曲ト長調Op.77 シューベルト ピアノ五重奏曲イ長調D.667「ます」菅野潤氏は1956年生れ、桐朋学園ピアノ科卒業。1984年よりパリを拠点とした演奏活動を行っている。ザルツブルガー・ゾリステンは、1979年ザルツブルグ出身のヴァイオリニスト、ルッツ・レスコヴィッツ(Luz Leskowitz)氏が才能ある有望な演奏家達を集めて結成。レスコヴィッツ氏は1707年製造のストラディバリウス“Ex-Prihoda”を演奏に使用している。先ずは、モーツァルトのピアノ四重奏曲が演奏されたのですが、多分スタインウェイ製のピアノだったのでしょう、ダイナミックさと張りのある音質は素晴らしいのですが、ピアノと弦楽器の音量に差があり過ぎて一寸不満でした。モーツアルトの時代にはピアノ(クラヴィコードと呼ばれる小型のもの)は発達途上で大きな音量はそれ程出せず、それを念頭に作曲されたのでしょうから、そのアンサンブルが生かされていないと思ったのです。ベーゼンドルファー製は1828年創業の製造方法を維持しピアノ本来の「木の響き」を現代に受け継いでいるとされていますが、どんなアンサンブルになるのかと思いながら聴いてしまいました。シューベルトの「ます」では、コントラバスが入っている影響でしょうか、モーツアルトに感じた違和感は薄れていました。僅か30年程の年月の違いしか無いのですが、その期間でピアノが発達、その大音量特性をシューベルトは上手く生かしているのではと、理解することにしたのです。別にその当時の古楽器編成で聴こうとは思いませんが、何とか作曲者の意図は理解しつつアンサンブル第一義に演奏して頂きたいものです。時代の制約は避けることが出来ませんので・・
2007.11.10
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伝説的なリパッティの演奏がYouTubeにアップロードされています。揺らめく蝋燭光の画像へのBGMとしてリパッティ頌歌(Homage to Dinu Lipatti)となっている様ですが、有難いことです。彼は1950年12月に白血病で亡くなったのですが、病を押して集中的に録音されたものの内、7月初旬に演奏されたバッハの作品です。BWV147(イエス、人の望みの喜びよ)& BWV.1031(フルートソナタからシチリアーノ)何とも柔らかなタッチですが、彼なりの主張があった様で、あるWebサイトでは次のように述べられています。リパッティの良さは指奏法の完璧な修錬と、抑制されたペダリングから来ている。指奏法はモーツァルトの時代には主流だった奏法で、肩・肘・手首などの動きを最小限にして、指の加減のみによって弾くものといって良いだろう。それが、ロマン派の時代を経るに従い廃れ継承されなくなった。ロマン派の音楽が手首や肘や肩や体全体による表現を総動員する必要性を要求したからである。モーツァルトの鍵盤作品は表現の幅は限られているにも関わらず、転調時における微妙な感情表現など奥が深い。これは、今日とは異なる当時の楽器の性質もあるが、弦を叩いて出る自然な美しさを追求しているためであり、楽器のもつ本来の美しさを引き出す奏法とも言える。次第に廃れてしまった指奏法の伝統をリパッティは20世紀において継承したピアニストであり、更にペダル使用を抑制しているため、響きの純粋さが輪をかけて助長され妙味を発揮した。パルティータ(BWV825)の演奏はこちらですクララ・ハスキルは10年後の1960年12月に逝去する迄、気品ある演奏で「ピアノの聖人」とされ賞賛されていたのですが、その稀有な天才でもあった彼女がリパッティの才能について絶大な評価をしているのは、「天才は天才を知る」と言う証でしょうか?How I envy you for your talent. It should go to the devil. Why should you have so much talent and I so little? Is that justice on earth?悪魔の所業とも思われる貴方の才能は何と羨ましいことでしょう。貴方には沢山の才能があり、私には殆んど無いのは何故? これがこの世の正義と言うものなのでしょうか?クララ・ハスキルの紹介はこちらです
2007.11.08
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浅田真央選手が優勝した女子フィギアスケートのカナダ大会を見ていましたら、バックミュージックとしてオルフ作曲のカルミナ・ブラーナを採用した選手がいました。スポーツとは言え、見世物の一面も窺え、優美なバレー的な要素も多い女子フィギアには、強烈なリズム感が結構マッチしている音楽だと感心しながら、見て・聴いてしまいました。YouTubeで見つけたカルミナ・ブラーナ、人間の愚かさを示す寓意画を見ながら聴いてみるのも一興ですカルミナ・ブラーナ(Carmina Burana)は、カール・オルフ作曲の世俗カンタータ。本来舞台上で独唱者、舞踊手が音楽を象徴的に表現する作品であり、酒や男女の睦み合いなどを歌った詞に、シンプルな和音及び強烈なリズムが特徴となっている。O Fortunavelut luna statu variabilis, semper crescis aut decrescis;vita detestabilis nunc obdurate et tunc curat ludo mentis aciem;egestatem, potestatem dissolvit ut glaciem.Sors immanis et inanis, rota tu volubilis, status malus,vana salus semper dissolubilis, obumbrata et velata michi quoque niteris; nunc per ludum dorsum nudum fero tui sceleris.Sors salutis et virtutis michi nunc contraria, est affectus et defectus semper in angaria. Hac in hora sine mora corde pulsum tangite;quod per sortem sternit fortem, mecum omnes plangite! O Fortuna おお、運命の女神よ運命の女神よ、貴女は月の如く満ちたり欠けたり、常に定まらない。人生も同じ、確かなものは何もなく、運命に弄ばれ貧乏も権力も 氷のように無に帰する。恐るべき空虚な運命よ、おまえは車輪の如く回ってゆく。信頼能わず、隠れたら現れ、健康と徳を授けたらすぐに 欲情と背反をよこす。我らは常に憂悶しながら、たえず恐れおののく。さあ、運を掴んだ者も投げ落とされた者も、私と共に運命に泣こう!
2007.11.06
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この盤は廃盤の様で、アマゾン本社・アマゾン日本でも見つけることが出来ません。若き日のバーンスタインの華やかさが良く発揮された名盤だと思っています。このアナログレコードはプレーヤーが無いので聴くことが出来ず、テープにコピー録音したものを時々聴いています。CBS盤:OS254録音 1959年5月2日録音場所 カーネギーホール、NY指揮者:レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)演奏:ニューヨークフィルハーモニックオーケストラソプラノ:アデーレ・アディソン、テノール:ジョン・マッカラムオースティン・ウォルター合唱指揮 ルットガース大学合唱団The trumpet's loud clangour excites us to arms,With shrill notes of anger and mortal alarms,The double-double-double beat,Of the thund'ring drum,Cries hark! Hark! Cries hark the foes come!Charge! Charge! Charge! Charge!'Tis too late, 'tis too late to retreat!Charge 'tis too late, too late to retreat!トランペットの高い響きが怒りと死への警告となって我等が武装するのを鼓舞してくれている雷鳴の様に太鼓も連続して叩かれている叫び声が聞こえる、敵が来る叫び声だ突撃だ、突撃、突撃、突撃だもう遅すぎる、退却するには遅すぎるのだ突撃だ、もう遅い、退却するには遅すぎるのだYouTubeで見つけたものは、画像・音質とも良くありません聖セシリア(Saint Cecilia)は、ローマ帝国貴族の女性でキリスト教の聖人。紀元230年頃ローマ皇帝の弾圧に遭い殉教したと伝えられていたが、実際は176年~180年の間にシチリア島で非業の死を遂げたらしい。セシリアは楽器を奏でながら神を賛美したと伝えられており、これが様々な芸術分野において霊感の出所となってきた。絵画作品ではラファエロやルーベンスによる聖セシリア像、文学作品ではチョーサーの小説やドライデンの有名な頌があり、音楽作品では、パーセルやスカルラッティ、ヘンデル、グノー、などが作曲している。
2007.11.01
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今朝は何気なく、グスタフ・レオンハルト(Gustav Leonhardt)の演奏するCDを聴いていました。バロック音楽のメドレー風に収録したもので、1988年にオランダ・ハーレム市で録音されており、それ程古い物ではありません。その中から可愛らしい名曲として知られるマクダレーナの「メヌエット」をアップしましたので、聴いてみて下さい。この小さな名曲は、今日の研究でクリスティアン・ペツォルト Christian Petzold(1677-1733)の作であることが判明しているそうです。グスタフ・レオンハルトの演奏するメヌエットグスタフ・レオンハルト(Gustav Leonhardt 1928年~)は、オランダのチェンバロ奏者として知られています。1967年、映画「アンナ・マクダレーナ・バッハの日記」にヨハン・ゼバスチャン・バッハ役で出演して演奏の腕前を披露しているそうですが・・「アンナ・マクダレーナ・バッハの日記」は「バッハの思い出」と言うタイトルで出版されています
2007.06.26
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昨日は、紀尾井ホールで催されたアンサンブル・ウィーンの昼興行(マチネー)コンサートに行って来ました。昼興行らしく軽いウィンナワルツが殆どでしたが、聴きものは第2セッション最初に演奏された、ヨーゼフ・ランナーの「モーツァルト党」だった様に思います。この曲、2006年ウィーンフィルのニューイヤーコンサートで、大変話題となったとのことでしたが、不幸にして知りませんでした。「魔笛」序曲のフリーメーソン和音で始まり、オペラ冒頭からタミーノの「助けてくれ」、夜の女王の断片等を引用した後、「ドン・ジョヴァンニ」から「酒の歌」、「第一幕のフィナーレ」等々を四分の三拍子で聴かせたあと、最後は又「魔笛」序曲で締めくくると言うモーツアルト好きには面白いメロディメドレー曲でした。紀尾井ホールは内部が殆ど木製パネルで構成されていることから、音の響きがとても柔らかく、特に弦楽器演奏には最適では無いかと思っています。第1ヴァイオリンを担当するライナー・ホーネックのヴァイオリンは、オーストリア国立銀行から貸与されている1714年製ストラディバリウスであることから、素晴らしい音色と響きでした。この弦楽四重奏団は通常とは異なる特殊な編成で、ヴァイオリン2、ヴィオラ1、コントラバス1でチェロが無いのです。第1ヴァイオリンはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団においてコンサートマスターを務めるライナー・ホーネック(Rainer Honeck)、第2ヴァイオリンはライムンド・リシ-(Raimund Lissy)、ヴィオラがペーター・ゲッツェル(Peter Goetzel)、コントラバスがヨーゼフ・ニーダーハマー(Josef Niederhammer)となっていました。何故かと言うと、往時、ウィーン酒場等で流し演奏することの多い楽団にとって、「椅子」に座らないと演奏出来ないチェロがいてはなにかと不便だからと言われていますが、果たしてどうでしょうか?確かに演奏舞台には通常設置されている椅子が全く無く、全員立ったままで全ての演奏を行っていました。昨日は昼興行が午後2時から、夜興行が午後7時からと、一日2興行でしたが、人気のある演奏団で東京興行ですから切符も売れていたのでしょう。しかし、あまりに人気のある演奏団も大変の様です。
2007.05.12
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冒頭に10本以上のトランペットがファンファーレを響かせて演奏が始まる。クラシック伝統的なソナタ形式を廃した5楽章からなる、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」は聴きものでした。タン・ムーハイ指揮の都響第641回定期演奏会は3月30日、東京文化会館で行われました。此処に入ったのは30年振りになるのですが、響きが柔らかく、トゥッティ・フォルテになっても音が割れて聴こえることの無い素晴らしいホールでした。古いホールですから、エスカレータも無く、席も少し狭く感じるのですが、音楽ホール全体設計的に余裕があって、音響的にもかなり工夫されているのです。演奏舞台の後ろには構造的に複雑なパイプオルガンも無く、曲面を駆使した反響板があるだけで、この存在が素晴らしい響きを特徴つけているのかも知れません。ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」、配布されたパンフレットによりますと、次の様に解説されています。この曲は伝統的な意味での交響曲のスタイルから遠く掛け離れている。伝統的な主題による展開法とは異なり、民族的な動機を発展させて行くヤナーチェク独自の手法が用いられている。特に冒頭と終楽章終結部で金管の別動隊のファンファーレが響く点がユニークだ。作曲家自身は「この作品は、自由、平等、喜び、時代に立ち向かう勇気と勝利への意思を表したもの」と言いつつ、一方では幼児期に聴いた軍楽隊ファンファーレの思い出も込めたとも述べている。敷衍して聴けば、ヨハネ黙示録での「最後の審判」のラッパが鳴り響く様子もこの様では無いかと、思わないでもありません。
2007.03.31
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近頃、インターネット音楽配信が盛況となり、CD/DVDソフト製品を販売する音楽ストアは営業不振で、閉店する処も多くなって来ました。一昨日、ショッピングモールにある店が閉店セールをしていて、全て半額と言うことでしたので、目についたフルトヴェングラー演奏のベートーヴェン第9番CDを750円で買って来ました。2004年が、ドイツの名指揮者フルトヴェングラーの没後50年と言うことで、音楽ストアでも、数多いCDが並べられていましたのですが、その売れ残りだと思います。ジャケット裏側には“ウィルヘルム・フルトヴェングラーの芸術-フルトヴェングラー指揮するベートーヴェン第9番”となっていて、解説には“ナチス協力者の汚名も晴れ、1951年7月29日バイロイト祝祭は再開となり、記念オープニング演奏されたのが本CDの第9である” と書かれています。音質の悪さを懸念しながら聴きだしたのですが、豊かでは無いものの古い録音特有のスクラッチノイズは気になりませんでした。2005年3月に購入しました第2番/第8番がカップリングCDは音質が極めて悪く、特に第2番はスクラッチノイズの入り方が酷く、まるで古いSP盤を蓄音機で聴いているようでした今回のCDは「永遠のフルトヴェングラー」シリーズの一つですが、将に「音の世界遺産」と呼んでも良いものかも知れません。このCD「足音入り」と演奏前の状況がカップリングされていますが、マニアでは無いので余計で、2回目からはトラック2から聴くようにしています。YouTubeに1ヶ月後の1951年8月31日SalzburgでのFurtwanglerのウィーン・フィル指揮映像が残されていますが、あまり鮮明ではありません
2007.02.24
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ベートーベンの記念すべき作品番号1を飾るピアノトリオ作品です。出版されたのは1795年ウィーンですが、作曲・演奏されたのは2年前の1793年とされています。彼のボン時代に既に2曲のピアノトリオが作曲されていますので、実際には最初の作品ではありませんが、チェロを従来的な通奏低音の役割から開放してアンサンブル・メロディー楽器として改編する等、格段の進歩があったとされています。 Beethoven op1/1-2(第2楽章)Adagio Cantabile Beethoven op1/1-4(第4楽章)Presto(Finale)演奏しているポリゴン・トリオ(Polygon Trio)は、主宰のバイオリン奏者サスマンハウス(Kurt Sassmannshaus)、チェロ奏者グラブ(William Grubb)、ピアノ奏者ワインストック(Frank Weinstock)が構成メンバーとなっています。サスマンハウス(Sassmannshaus)は、中国・北京に、万里長城音楽院(Great Wall International Music Academy)を創始し、音楽家の音楽家育成に意を注いでいる音楽家とされています。この演奏は200年10月、オハイオ州のシンシナティ大学音楽ホール(University of Cincinnati College Conservatory of Music)で行われたライブ(Live)録画の様です。ピアノトリオ4番「町の歌」の解説はこちらです
2007.02.22
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先日、音楽ストアを徘徊して見つけた東芝EMIレーベル「ベルリオーズ 幻想交響曲-ミュンシュ」を購入しました。元来、1967年10月録音で1968年度レコード・アカデミー賞を受賞している名盤なのですが、デジタル・リマスタリングされて2001年に発売されている定価1700円のCDでした。我が家に古くからあるのはPhilipsレーベルのコーリン・デービス指揮ロンドン交響楽団の音楽テープですが久しく聴きません。改めて買って来ましたCDを聴きますと、古いのに音が痩せていませんので、リマスター技術にも感心してしまいました。それに、指揮者のシャルル・ミュンシュはフランス音楽、取り分けベルリオーズ音楽を得意としていましたので、パリ管弦楽団との折り合いも良く、存在感は抜群でした。このCD解説では第5楽章「サバの夜の夢」となっていますが、通常は「ワルプルギスの夜の夢」とされている筈で、可笑しなことと思いつつ読んでみますと、作曲者ベルリオーズ自身が標題を2回変更しているとのことで、解説は初版に拠ったものと書かれていますので、その影響かも知れません。シャルル・ミュンシュ(1891~1968)は長いコンビだったボストン交響楽団との演奏がRCAレーベルに、晩年のパリ管弦楽団との録音がEMIレーベルに主として残し、小澤征爾やシャルル・デュトワを教えたことでも知られている。ミュンシュが最も得意とし、名刺代わりのように世界各地で演奏した回数は数知れず、ライヴも含めると6種類の演奏がCD化されている。RCAレーベルのボストン響1954年盤は、パリ管弦楽団1967年盤に匹敵する熱気を孕みながら、アンサンブルの充実度で勝るとされています。ミュンシュ=ボストン響の組み合わせによる最初期のステレオ録音の一つでもある。1960年代には、エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団の「ベルリオーズ 幻想交響曲」レコードも名盤とされていたと記憶していますが、廃盤とでもなっているのでしょうか、インターネット検索ではチェック出来ませんでした。
2007.02.08
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YouTube Webサイトで、伝説的なチェロ奏者ジャクリーヌ・デュ・プレが加わって、シューベルトのピアノ五重奏曲「鱒」を演奏しているDVDを見つけました。1969年8月のライブ録画ですから、彼女も多発性硬化症(Multiple sclerosis)を発症しておらず、のびのびと演奏して様子が如何にも優美に見えます。共演しているのが、ピアノがバレンボイム、バイオリンはパールマン、ビオラがズーカーマン、コントラバスは何と指揮者ズービン・メータ、今では各々大家になって共演するのが難しい顔ぶれですから、驚いてしまいます。いずれも若さ一杯で、音楽を楽しみながらのびのびと演奏する様子は、聴いているだけで楽しくなって来て音楽の醍醐味を満喫出来るのは間違いありません。第3楽章 スケルツォ(プレスト) 演奏時間4’37”第4楽章 「鱒」主題と変奏曲この作品(D667)は第4楽章が歌曲「鱒」D550 の旋律による変奏曲であるために、「鱒(ます、独:Die Forelle)」と言う副題が付いています。通常のピアノ五重奏の編成(ピアノ1台と弦楽四重奏)とは異なり、シューベルトの作品では、ピアノ、バイオリン、ビオラ、チェロおよびコントラバスという編成がとられている。作曲を依頼したのは裕福な鉱山技師で、木管楽器とチェロの愛好家であったパウムガルトナーである。シューベルトが依頼を受けたのは1819年7月、友人フォーグル(1768 - 1840)と共に北オーストリアのシュタイアーを訪れた際のことであった。フォーグルは、後に歌曲集「冬の旅」を初演した名歌手として知られる。なお歌曲「鱒」の旋律に基づく変奏曲を加えることは、このパウムガルトナーからの依頼であったと言う。ジャクリーヌ・デュ・プレの紹介はこちらです
2007.02.02
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昨日でNHKの「毎日モーツアルト」番組が終了しました。最後は代表作「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク(K. 525)」でしたが、静かに彼を思いやるにはこの「ラウダテ・ドミヌム(K. 339)」の方が良いかなとも思っています。キリ・テ・カナワ女史ソプラノ独唱ですSafari、Netscapeの方はこちらをクリックしてください!キリ・テ・カナワ女史ソプラノ独唱、コーリン・デービス指揮ロンドン交響楽団の演奏です盛儀晩祷(ヴェスペレ:ハ長調 K. 339)は、 モーツァルトがザルツブルク時代最後の年(1780年)にザルツブルクの教会のために書いた曲で、 翌年はコロレド大司教と決別してザルツブルクを去りウィーンに出て行きます。 「ラウダテ・ドミヌム」とは「主を崇めよ」と言う意味でその5番目、ソプラノ独唱の類い稀な響きと一切教会的なものに無頓着な表現と詩情溢れる曲で、その後シューベルト迄は比すべき曲が無いと言われています。"Laudate dominum" Laudate Dominum omnes gentes, laudate eum omnes populi: Quoniam confirmata est supernos misericordia ejus. et veritas, veritas Dominum manet, manet in aeternum. Gloria patri et filio et spiritui sancto, sicut erat in principio et nunc et semper et in saecula saeculorum. Amen. "ラウダテ・ドミヌム/詩編117" 全ての国よ、主を崇めよ。 全ての民よ、主を褒め讃えよ。 主の慈しみと真は 永久に私達を超えて力強い。 父と子と聖霊に栄光がありますように。 始まりがそうであったように、 そして今もそうであるように、 そして世代を超えていつもそうであるように。 アーメン! 良い年をお迎えください!
2006.12.30
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ハチ公前で待ち合わせた人との打合せも済みましたので、道玄坂を登って行き、百軒店(ひゃっけんだな)商店街の奥にあります名曲喫茶「ライオン」へ久しぶりに行ってみました。百軒店通り入口にはアダルトショップがあり、隣にはストリップ劇場、飲み屋もあって、夜は歓楽街となるのでしょうが、昼の人通りは少なくなっています。昔は駅前も含めて、沢山あった名曲喫茶があり、その中でも「ライオン」は、場違いな感じに位置する処にあったのですが、名曲喫茶は此処だけになってしまいました。40年以上昔から変わりませんのも奇妙ですが、効率経営に転向せず趣味の世界を徹していると言うことの様です。店に入ってみますと、ウィークデイ午後2時頃にも拘わらず、客が意外に多いのです。流れてくるクラシック音楽を聴きながら、読書をしたり、勉強をしたりする若い世代も多いので、昔日の姿が戻ったのかと吃驚です。テレビ番組「のだめカンタービレ」の影響で、クラシック音楽ブームが若い世代に来ているのかも知れません。このような傾向が一過性でなく、長く続く様に願っていますが、近頃はライフサイクルが極端に短くなっているので、何とも分かりません。40年以上に亘って変らない店内の様子、椅子・テーブルもそのまま大事に使っていますので、昔にタイムスリップするには困難はありませんし、不易で貴重な存在となりました。名曲喫茶ライオン紹介日記はこちらです
2006.12.24
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12月12日紀尾井ホールで行われた、ウィーン・サロンオーケストラと東京トルヴェール合唱団の合同公演コンサートに行って来ました。「家族で楽しむクリスマス音楽」とのキャッチフレーズで、ライトミュージックをメドレー風に演奏するコンサートでした。前半のオーケストラ演奏では、ウィンナワルツの他、グルックの「精霊の踊り」等、後半の合同演奏ではクリスマス・キャロルの他、「雪の降る町を」等日本の歌もありましたが、スタンダード・ナンバーを生演奏で聴いたと言う以外、特別の感想はありません。半額チケット販売のチケット・ポンテを随分長い期間利用しているのですが、良いコンサート・チケットが販売されなくなりました。近頃、景気回復と個人志向の昂まり、「のだめカンタービレ」の影響もあってか、クラシック演奏会も人気が出て、売れ残りチケットが無いのかも知れません。紀尾井ホールはホテル・ニューオータニの前にある、室内オーケストラ演奏に最適なホールです。ホール内は殆どが木造パネルとなっていますので、音の反響が柔らかくて、優しい響きを楽しむことが出来ました。室内オーケストラの演奏に最もふさわしい音響空間を創造するために、欧州の伝統的スタイルであるシューボックス形式をとりました。そしてオープンステージと、2階のみならず1階にも設けたバルコニー席が、ステージと客席の一体感、親密感を盛り上げます。クロークをはじめバーコーナーなども設置したホワイエは、外堀土手の豊かな緑に向かって眺望がひらけており、音楽を話題に交流の輪を広げられるくつろぎの場となっています。
2006.12.15
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リヒテルが逝去してから9年も経ちましたが、「20世紀最後の巨匠ピアニスト」と呼ばれたことから、未だに人気が高い様です。その昔は「スビャトスラフ・リフテル」と言っていたのですが、何時の頃からか「リヒテル」と変った様で、原音に近いのでしょう!リヒテルが愛用したピアノはヤマハだったことは良く知られています。「柔軟で感受性が鋭く、特にピアニシモが非常に美しい」と語り、ヤマハを訪問して演奏会を行ったことが、NHKのドキュメンタリー番組プロジェクトXでも取り上げられていました。種々の作品がアップされていて、最後のピアノソナタNo. 32 in C minor(通称 ワン・イレブン)を聴いていました。どうもNHK教育テレビのビデオテープ版をアップした様で、画質・音質とも荒れていました。それにYouTubeでは、規約として「演奏時間を10分以内」との制限がある様で、第2楽章18分の編集が上手く行っていないのが、残念でした。 そこで、ピアノ小品「バガテル(Bagatelle)」を視聴してみました。作品番号 op.126は6つのバガテルからなっているのですが、第1曲のト長調のみです。 Richter plays Beethoven 演奏時間03:30これも、最初に日本語のスーパーが出てきますので、NHK教育テレビ放送がオリジナルの様ですが、デンマークの青年がアップしている画像音声です。上記ワン・イレブンよりは多少画質良いのですが、デンマークでNHK教育テレビ放送番組が買われて放送されたと言うことでしょうか?私のお気に入りのレコード「シューベルトの遺作 (D. 960)」はアップされていません。多分録音はあるのでしょうが、録画画像が無いと言うことでしょう!
2006.12.08
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ベートーベンは晩年になると、弦楽4重奏曲作曲に意欲を注ぎ、この最後の4重奏曲第16番は作品番号135となっています。彼はこの4重奏曲を書き上げた後、難解と不評だった第13番の第4楽章を書き直していて、それが遺作・作品番号136となるのですが、この第16番が事実上最後の作品だと思っています。ベートーベンの音の中に溢れるあの懐かしい感情を思い起こして欲しい。激しく突き上げる興奮と衝動を、誰にも訴えることの出来ない悲しい旋律を、それこそ誰もが心の奥に持った感情なのだ。それはただひたすらに生きようとする切実な感情であると共に、感情が現実の壁にぶち当たって、どうしようもなく自己の中へ折れ込んでしまったつらい思いだ。怒りだ。そしてまた母の胎内へ出来ることならもう一度帰りたいと言う切なる願いだ。ベートーベンの音楽が強い力で僕らの魂を揺さぶる根源が其処にある。 -井上和雄 著 「ベートーベン 闘いの軌跡」(音楽の友社)第3楽章 Hagen Quartet演奏 07:54 Lento assai cantabile e tranquillo(かなりゆったり、静かに唄う様に)と言う指定されていて、悲しみと諦めの感情が濃厚に表現されています。第4楽章 Hagen Quartet演奏 08:03 最初にドイツ語で Der schwer gefasste Entschluss, Muss es sein?, Es muss sein!, Es muss sein!(ようやくついた決心、そうでなければならぬのか? そうでなければならぬ!)と注釈をつけて、真面目な情感の高まりと虚ろな明るさのある戯れを対比させています。人間の究極はまるで、「悲しくても精一杯戯れるしかない」とでも言っている様で、闘い続けた「楽聖ベートーベン」の人生総括としては悲しいものがあります。
2006.12.04
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このDVD-Videoはドイツ・グラモフォン(Deutsche Grammophon)から今年4月発売となり、タワーレコード日本(Tower.jp)Webサイトでは、定価¥3,980(税込)をキャンペーン価格¥2,990(税込)で販売されています。内田光子が、2001年ピアノ演奏をしつつ、カメラータ・ザルツブルクを指揮したもので、ピアノ協奏曲13番(K. 415)と20番(K. 466)がカップリングされているものです。今まではPHILIPSレーベルで、指揮者ジェフリー・テートとのコンビで多数録音されCDが販売されて来ましたので、今回のDeutsche Grammophonレーベルには奇異な感じもしますが、クラシック音楽界もDVD/CD販売の不振から、色々な模索が始まっているのだと推測出来ます。しかし、その全ての内容を早くもYouTubeの無料サイトで楽しむことが出来ます。その内、ピアノ協奏曲13番(K. 415)は次の4ファイルに分割され、動画画像は劣化していますが何とか見れますし、音はなかなかの品質でアップされていました。13番第1楽章 5'06"第1楽章続き 5'38"13番第2楽章 8'35"13番第3楽章 9'46"彼女は、演奏に際して感情移入が激しく、指揮には向かない演奏家だと思っていました。案の定、指揮に際しては、一時のカラヤン宜しく、目をつぶって彼女の溢れてくる感情の中に没入しているのです。従来の様に、冷静な人に指揮を任せ、ピアノ演奏に専念する方が彼女には向いていると思うのですが、激動のクラシック音楽界では、マルチな活動が求められつつあり、そうは行かないのかも知れません。
2006.11.28
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ポゴレリチの演奏するバッハ・イギリス組曲3番(BWV808)がYouTubeでアップロードされています。独特の演奏スタイルをもっており、とりわけテンポの設定や強弱のつけ方は作品のあらたな魅力の発見と結びつくことが少なくないと言われています。バッハ弾きとして時代を作ったグールドに触発されたと思われますが、テンポが極めて速く、強弱の付け方も強烈です。ポゴレリチは1958年、旧ユーゴ、ベオグラード生まれの名ピアニスト。近頃は額も上がって、目つきも柔和となっている様です。この演奏では髪も豊かですので1990年頃と思われますが、定かではありません。Prelude 3'22”Allemande 3'54”Courante 2'40”Sarabande 9'04”Gavotte 4'08”Gigue 3'42”しかし、このDVD、アマゾン日本Webサイトで見ますと5040円するのですが、無料のYouTubeで各楽章ごとにアップされています。これでは、DVDを購入する人がいなくなってしまいそうな気がします。イーヴォ・ポゴレリチ(Ivo Pogorelich)の日記はこちらです
2006.11.27
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シューベルトのセレナーデと言えば、やはり文語調の訳詩が良く似合う様に思います。しめやかに 闇を縫う 我が調べ静けさは 果てもなし 来よや君ひそむる木の葉に もるる月影 もるる月影人目は届かじ たゆたいそアルフレッド・ブレンデル伴奏によるフィッシャー=ディスカウの独唱でお聴き下さい!Leise flehen meine Lieder Durch dei Nacht zu dir;In den stillen Hain hernieder, Liechen, komm zu mir!Fluesternd schlanke Wipfel rauschen In des Mondes Licht,Der Verraeters feindlich Lauschen Fuerchte, Holde, nicht私の歌は夜の闇を通って ひっそりとあなたに訴えかけます、恋人よ、この静かな森に、私の側にいらっしゃいと。ほっそりした梢が、月の光を浴びて さらさら音を立てています、裏切り者が意地悪く耳を澄ましていても、優しい人よ、怖がることは無いと。
2006.11.01
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先日、NHK番組「トップランナー」に、ソプラノ歌手の森麻季さんが出演されていました。ソプラノ歌手とは思えない程スリムな体ですが、コロラトゥーラ歌唱を駆使して、世界的活躍をしているのに、それを誇るでも無く淡々と受け答えする態度には、感心させられました。番組中に放映された、ヘンデル歌劇「リナルド」からの「涙のながれるままに」は、細くて美しい歌声でしたが、叙情あふれる絶品の一言でした。出席されていた聴衆との質疑応答にも、奥ゆかしい人間性が感じられ、感心させられました。「今まで挫折に近い岐路があったでしょうか? 又あったとしたら、どの様に克服されたのでしょうか?」「それはイタリアとドイツに留学している時にぶつかった色々な試練や壁でしょうか。留学するまでは、小さいころから勉強して来た延長線上に音楽がありました。西洋優先と言う苦い経験をする内に、どうして音楽を続けるのかという自問自答をさせられ考えさせられました。」「しかし、そんな自分が必要とされていないと言う絶望の中で、歌が好きだと言う思いが自分を支えてくれました。日本人でありながら西洋音楽を志す目的、自国の文化とは違うオペラなどを勉強し続けて行く意味などを見つけて現在に至りました。一流の劇場でなくても、少人数でも聞いて下さるので有れば歌い続けようとの思いで克服することが出来ました。」とさらりと応じたのです。このような「大和撫子」が、活躍しているのは素晴らしいことで、良い番組を見ることが出来たと思っています。
2006.09.24
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昨日、映画でのモーツアルト音楽と言う2枚組CDを2000円で購入して聴いていましたら、ピアノソナタ第11番「トルコ行進曲付」の第1楽章アンダンテ・グラツィオーソの主題がありました。東芝EMIのCDからコピーした第1楽章Andante Graziosoの主題ThemeですWindows Media Playerで開きますと、ピアノフォルテが強調され過ぎ弱音がよく聞こえない程小さいのですが、MacのQuick Time Playerで聴きますとそれ程違和感はありません。この曲は46年前のNHK教育テレビ「ドイツ語講座」のテーマミュージックであったことを思い出してしまいました。記憶と言うものは不思議なもので、その時の講師は東大助教授の岩崎英二郎氏、アシスタントはヘルムガルト・クリューガー女史と言う物静かで理知的な女性だったことを鮮明に思い出したのです。遠い過去を鮮明に思い出すと言うのは、自分でも奇妙に思われ、近い過去の記憶が薄れると言うことでアルツハイマー症候群の一歩手前であるかも知れません。インターネット検索してみますと、岩崎英二郎氏はその後慶応大学に移り、名誉教授としてご存命であることが分かりましたが、それでも、三菱財閥の創始者岩崎弥太郎氏の曾孫であることは初めて知りました。ヘルムガルト・クリューガー女史は日本語片仮名でも、「Helmgart Kruger」として検索して何も表示されません。帰国後、結婚されて姓が変わってしまったのだろうと思われますが、私の記憶の中にはその顔も話し方も鮮明に残っていますのも奇妙なことです。
2006.09.09
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今朝のNHK「毎日がモーツアルト」はピアノ協奏曲第21番(K. 467)の第2楽章でした。1968年に公開されたスウェーデン映画「みじかくも美しく燃え(原題 Elvira Madigan)」のテーマ音楽に使われて話題を呼び、それ以来モーツアルト音楽の代表的作品となりました。甘美なメロディに潜む悲しさが悲恋映画にマッチしていた様に記憶しています。又、確認はしていませんが、映画ではカラヤン指揮リパッティのピアノ演奏が採用されたと言われています。リパッティは1950年に33才で白血病により亡くなった伝説的なピアニストで、死後18年経った1968年時点でもシューマンのピアノ協奏曲とカップリングされたピアノ協奏曲第21番(K. 467)は広く名盤と言われていたのです。リパッティの紹介はこちらです。映画「みじかくも美しく燃え(原題 Elvira Madigan)」の解説:1889年にスウェーデンで実際に起きた事件を描いた美しい悲恋物語。妻子ある伯爵スパーレ中尉はサーカスの綱渡り芸人エルヴィラ・マディガン(Elvira Madigan)と愛し合い逃亡。友人の制止も聞かずあてどない逃走を重ね、やがて金も尽き、着たきり雀で野宿が常となる。しかし、北欧の夏は短い。行く末を儚んだ二人は晴れ渡った一日をピクニックに過ごし、銃で心中する。そのラストシーン、痛ましい結末まで見せず野原の上で蝶に心奪われ、それを追うエルヴィラのストップ・モーションに銃声が被る--という余韻の持たせ方が秀逸。素晴らしいクラシックの佳曲の彩りも巧緻だった。
2006.07.10
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チェロは弦楽器の中で最も音域の広く、“人間の声と同じ音域”とされ、音色も優しく、心に染み入る響きを持つと言われています。チェロは16世紀前半に作り出されたと推測され、ヴィオラ・ダ・ガンバ(脚の間にはさんで弾く6弦の楽器)がその前身であるという説もあります。18世紀に入ると、ビバルディ、バッハの登場によって発展を遂げ、モーツアルトと同時代に生きたチェロ名手のボッケリーニは28曲のチェロ・ソナタを作曲して、その分野の発展に貢献した様です。天才モーツアルトはこの楽器が好みで無かったのか、又は作曲依頼が無かったのか、何れにせよチェロ・ソナタ作品はありません。結局このチェロ・ソナタ分野はベートーベンによって確立された様です。バッハ(1685-1750)は「チェロの旧約聖書」と言われる無伴奏チェロ組曲の他、ビオラ・ダ・ガンバ・ソナタ3曲を作曲。これらの曲は今日ではチェロとピアノで演奏されることが多く「チェロ・ソナタ」とされています。ベートーベン(1770-1827)は5曲のチェロ・ソナタと3曲のチェロとピアノのための変奏曲を作曲しました。特に5曲のチェロ・ソナタは「チェロの新約聖書」ともいわれ重要なチェロ作品で、特に3番が有名で演奏会で取り上げられることが多い様です。伝説のチェリストと言えば、先ずスペインのパブロ・カザルス、1971年国連本部にて演奏会は圧巻でした。その後はピエール・フルニエ、ムスティラフ・ロストロポービッチと引き継がれますが、28歳の若さで引退を余儀なくされたイギリスが生んだ天才ジャクリーヌ・デュ・プレもそれらの一人です。現在はヨーヨーマ、マイスキーが活躍していますが、個人的にはどちらかと言えばマイスキーの方が好みです。 デュ・プレの演奏するチェロ・ソナタ3番ですフルニエの演奏するヘンデル「ユダ・マカベウスー勇者は還りぬ」の主題による変奏曲です
2006.05.27
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「みなとみらいアフタヌーンコンサート」と銘打って、手頃な値段で気軽に楽しめる昼興業(マチネー)が3月から7月まで毎月1回ずつ開催されています。5月は「5月のそよ風」と題したクラリネット演奏の大御所とされるカール・ライスターのクラリネット・リサイタルで、5月16日午後1時半から「みなとみらい大ホール」で行われました。カール・ライスター氏は1937年生まれですから、今年69才になります。生演奏を聴くのは1997年の60才記念コンサートを拝聴して以来のこととなります9年振りとなります。老齢になって演奏が衰えているのではと心配しましたが、杞憂でした。金管管楽器演奏には、弦楽器・ピアノ等と異なり、大きな肺活量が必要ですので老齢になりますと演奏を止めなければなりませんが、木管楽器ですとそれ程でも無いのかも知れません。この日の演奏ではメンデルスゾーンのソナタが秀逸でしたし、アンコールもメンデルスゾーンの「5月のそよ風」、「春の歌」が楽しめました。J.X.フェーブル:ソナタ5番F.シューベルト:美しき水車小屋の娘 他F.ダンツィ/クラリネット・ソナタ変ロ長調G.ロッシーニ:ファンタジーF.メンデルスゾーン:クラリネット・ソナタ変ホ長調 他カール・ライスター氏は1937年生まれで、今年69才。56才までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1ソロ・クラリネット奏者として34年間活躍しましたが、退団してベルリンのハンス・アイスラー音楽大学教授に就任し、音楽の普及に勤しむと共に、自由な演奏活動を行っている。ベルリン・フィルハーモニー管楽アンサンブルの創立者の一人。サイトウ・キネン・オーケストラにも参加している。ピアノは日本人の加藤洋之氏、東京生まれで東京芸大卒業し、1990年ジュネーヴ国際音楽コンクール第3位入賞後、ハンガリー国立リスト音楽院に留学。ハンガリーを中心に東欧各国で演奏活動を行っていたが、1996年より拠点をケルンに移し、ドイツ各地での演奏活動が中心となっている。9年前の演奏はブラームス「クラリネット5重奏曲」素晴らしかった記憶があります
2006.05.18
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第4楽章フィナーレ、フーガとソナタ形式の渾然一体となったこの楽章こそ、透徹した意志と原始的情念が一体となって謳いあげられた音楽は、ベートーベンの中でもそれ程無い。弦楽四重奏曲でありながら、この後に着手される第五交響曲の第一楽章に匹敵する迫力をもっている。ロマン・ロランが「熱情」に付いて語った見事な言葉を借りるなら、ベートーベンは此処で遂に、「運命を引き砕く自然の剥き出しの暴力を楽しむ」地点に立ち至ったのである。其処にこそ、ベートーベンの時代を超絶した力がある。音楽之友社出版の「ベートーベン 闘いの軌跡」で著者の井上和雄氏は上記の様に述べています。この曲はベートーベン中期の名曲でCDも多く、バリリ四重奏団、ラサール四重奏団、スメタナ四重奏団等による名演奏がありますが、やはりアルバン・ベルク四重奏団のものが一番緊張感が高いように思います。今年のアルバン・ベルク四重奏団訪日に際しては、ビオラ奏者トマス・カクシュカが健康上の理由により来日が不可能となり、代ってイザベル・カリシウスとなっています。イザベル・カリシウスはトマス・カクシュカに師事し、現在ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のビオラ奏者であることから、今回限りのピンチヒッターと思われます。昨日CDショップで見かけたのはアルバン・ベルク四重奏団のCDですが、ビオラ奏者が初代のハット・バイエルレ、録音が1978年と古くEMI Classics決定版1300シリーズとして、1300円で発売されているものでした。録音はアナログだった様で、デジタル・24 bitリマスタリングされていますこともあり音質的な魅力はありませんが、室内楽ですからそれ程気になりません。初代ビオラ奏者バイエルレは、第1バイオリンでリーダ格のピヒラーより7才年上でジェネレーションの違いに依る為か、もう一つ意見が合わなかったとも言われていたのですが、返ってアンサンブルとしての緊張感に溢れ、若々しい感性の躍動感も感じられる演奏だった様です。
2006.03.24
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1月30日からNHK BSで、「毎日モーツァルト」と言う番組が始まっていまして、月曜から金曜迄、僅か10分の放映で240曲を紹介して行くそうです。昨日2月2日はバイオリンソナタK. 6でしたが、ベルサイユ宮殿でルイ15世での御前演奏を行った逸話が、宮殿内外の美しい画像と共に紹介されていました。NHKのWebページには次の様に掲載されています。朝のさわやかな時間帯、あるいは夕べや夜半の落ち着いたひととき、モーツァルトの珠玉の調べが、毎日、流れる。一日一曲、作曲年代順に、モーツァルトの人生のエピソードとともに名曲をお届けする。ほんの10分、ちょっと立ち止まって耳を傾け、美しいヨーロッパの映像をお楽しみいただく。35年という短い生涯の間に、ゆうに600曲を超える作品を残したモーツァルト。生誕250年を記念して、その中から240曲をセレクトし、「超有名曲」は言うに及ばず、クラシックファンも納得の佳品、さらには、ふだんめったに耳にすることのない“掘り出し物”の作品まで、たっぷりお聞きいただく。映像はモーツァルトゆかりの風景などを撮影した映像。音楽は一流演奏家による名演の音源を使用する。我が家には上記のK. 6は無く、ヘブラー女史演奏のK. 1~5のピアノソナタ、ランパル演奏のK. 10~15フルートソナタがありますが、天才の片鱗を垣間見るだけでそれ程音楽的にも優れたものとも思えず、稀にしか聴くことはありません。私のWebページにあるヘブラー女史演奏のK. 4を聴いて見て下さい!
2006.02.03
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昨日はモーツアルトの誕生日でしたので、テレビ各局も特集を組んでいました。NHKBS2では、夕刻7時半から9時半まで、ゲストを交えてモーツアルトの人と成り、曲・メロディーの秘密などを紹介していました。あまり長いのでずっと見ていた訳ではありませんが、ベートーベンとモーツアルトの自筆楽譜の比較等は、音楽の質を知る上で参考となりました。しかし、私にはCDジャケットに書かれていた次の解説が彼に一番ふさわしいのではと思っています。開拓者であり冒険家であるハイドン、夢遊病者とも言えるシューベルトとの間に位置するモーツアルトとベートーベンは建築家と言って良い。しかしながら、両者の建築方法は何と違っていることだろう!ベートーベンは、最初のひとかけらの石から一つ一つ矯めつ眇めつ、順番にまるで建築関係法に遵守する如く積み上げて建物を構築して行く。一方、モーツアルトは出来合いの部品を素晴らしいメロディーで繋ぎ合わせて、作り上げて行くことを選んでいる。それも、その他のアレンジ法が無い様な素晴らしい結果を得ているのだ。 Between Haydn, the explorer and adventurer, and Schubert, the sleepwalker, Mozart and Beethoven are considered as architects.But how differently did they build !From the beginning of piece, Beethoven places stone by stone, constructing and justifying his edifice as it were in accordance with the laws of statics.Mozart, on the other hand, prefers to join together the most wonderful melodic ideas as prefabricated components. He arranged one element after another; as though it could not be otherwise. ブレンデルの演奏で「コンチェルト・ロンド K.382」をお聴き下さい
2006.01.28
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バロック後期のイタリアの作曲家でバイオリン奏者でもあったアルカンジェロ・コレルリ(Arcangello Corelli、1653-1713)は、イタリアバロック音楽を代表する作曲家ヴィヴァルディ(Antonio Vivaldi)の師匠でもありました。1700年に出版された作品5「12曲のバイオリンソナタ集」は、ヨーロッパ各地で数十回も再販されるほどの人気作品となり、バロック器楽形式における「ソナタ」の構造を完成させ、後進の手本となったとされています。彼の作品は独自の気品と格調によって貫かれており、柔らかい旋律は極めて端正且つ高貴であり、しかも生きた肌の暖かさを伝えて呉れる様で、聴いていて快い気分になります。先日、何かのCMのBGMとしてコレルリのガボットが使われているのに気が付きましたが、癒し系の商品紹介には打って付けの音楽かも知れないと思われました。バイオリンソナタ第10番からのガボットを聴いてみて下さい!これは彼が、宮廷音楽家として活躍し堅実な奏法でローマ楽派を確立すると共に、古代ギリシャの古典美に憧れる文化人グループの有力メンバーであったことによることにも起因しているかも知れません。
2006.01.15
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今日はクリスマスイブ、聖誕祭前日です。キリストの生誕は実際には6月とのことですが、ローマカトリック教会は真冬でこれから日が長くなる12月25日を希望が満ちあふれる前兆とも重ねて、聖誕祭と定めた様です。キリストの生誕紀元前6年6月説については、こちらをご覧下さいこの日こそ、聖母賛歌の名曲として知られる「アヴェマリア」を静かに聴いてみるのが良く、穏やかで包み込むような調べで、神聖な気持ちにさせてくれる様な気がします。これはソルトレーク市にあるモルモン総本山タバナックル教会にある、有名な黄金のパイプオルガンですが、聖母マリアの優しさにあふれた世界に浸ってみたいものです。此処で収録されたバッハ/グノーの「アヴェマリア」、名ソプラノ歌手キリ・テ・カナワの熱唱でお聴き下さい!
2005.12.24
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今日12月5日はモーツアルトの命日とされています。命日を記念する曲と言いますと、最後の未完曲とされる「レクイエム(鎮魂歌 K. 626)」や最後のモテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス(K. 618)」等が、死の直前のモーツアルトを思い浮かばせるものとして演奏される場合が多い様です。ウィーン王宮庭園内にある「モーツアルト」像ですしかしながら、しっとりとした気分に浸るには「ラウダテ・ドミヌム(Laudate Dominum)」を静かに聴くのが良いかも知れません。盛儀晩祷(ヴェスペレ:ハ長調 K. 339)の中の5番目の曲で「ラウダテ・ドミヌム」とは「主を崇めよ」と言う意味ですが、20才半ばの作曲ですので、それ程円熟した境地になっている訳では無いのですが、詩情溢れるメロディーが素晴らしいのです。キリ・テ・カナワによる「ラウダテ・ドミヌム」独唱を聴いて下さい過去の日記を読み返して見ますと、毎年モーツアルトの命日には何か聴ける曲をアップしている様です。昨年は「春への憧れ(K. 596)」をアップしていました一昨年は「メヌエット(K. 4)」をアップしていましたので、聴いてみて下さい
2005.12.05
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秋も深まって日も短くなり夜の寒さも高じて来ますと、侘びしさも感じて“更けゆく秋の夜・・”と小学唱歌「旅愁」を思い起こします。更け行く秋の夜 旅の空の侘びしき思いに ひとり悩む恋しやふるさと なつかし父母夢路にたどるは 故郷(さと)の家路窓うつ嵐に 夢もやぶれ遥けき彼方に こころ迷う恋しやふるさと なつかし父母思いに浮かぶは 杜(もり)のこずえこの歌、今までスコットランド民謡だと思っていたのですが、インターネット検索してみて、アメリカの歌だったと認識したのです。それに、作詞(訳詩)者の実体験に基づく悲しい想いも反映されていることも初めて知りました。Dreaming of home, dear old home! Home of my childhood and mother; Oft when I wake 'tis sweet to find, I've been dreaming of home and mother; Home, Dear home, childhood happy home, When I played with sister and with brother, 'T was the sweetest joy when we did roam,Over hill and thro' dale with mother.作曲のジョン・オードウェイ(John P. Ordway:1824~1880)は、フォスターと同時期に活躍していた音楽家で、楽譜出版業も兼ねていました。「旅愁」の元になった "Dreaming of Home and Mother" は、アメリカではほとんど忘れられているようです。日本語詞を作った犬童(いんどう)球渓(きゅうけい)は熊本県人吉市出身、苦学して東京の音楽学校を卒業後、兵庫県の柏原中学に音楽教師として赴任しましたが、現地の西洋音楽排斥運動に出遭い、1年足らずで辞めて、新潟の女学校へ替わりました。この新潟時代に作ったのが「旅愁」と「故郷の廃家」です。「旅愁」の歌詞には、柏原中学で味わった挫折感と故郷人吉への郷愁が反映されていると言われています。上記解説はこのWebサイトから拝借しました、MIDI音楽もありますので聴いてみて下さい!歌いなれている為か、原詩より心に浸み込んで来るような気がします。
2005.11.21
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Vanguard Classicsとして昨年5月にコロンビアから発売された「無伴奏バイオリンの為のソナタとパルティータ(全6曲)」を先日購入しました。ヴァンガード名盤選は相当古い録音をデジタル再生したもので、CD1枚で税込み1260円とCD2枚で2100円の価格設定で発売されています。それにしても何と言う緊迫感でしょうか、50年前のモノーラル録音ですので「録音が古い為一部お聞き苦しい箇所がありますが、オリジナルテープにあるものですからご了承下さい」との注意書きもあったのですが、全く気になりませんでした。シゲティの演奏は虚飾も無く、曲に対する情熱に満ち溢れていますが、バッハの無伴奏バイオリン演奏は将にその通りでした。モーツアルトのバイオリンソナタですと音の揺らぎも気になりますが、バッハではそれも感じさせない名演奏でした。久しぶりに天袋の戸棚に死蔵しているアナログレコードを取り出してみましたが、1968年キングレコードからVanguard盤として、1枚2000円、計3枚で発売されていました。その頃は物価が今の1/10程度でしょうから、現在の感覚で6万円相当と言うことになりますので、今回のコロンビアから発売されたCD2枚で2100円と比べますと、高価な娯楽だったことを思い出してしまいました。私のフリーページに記しましたシゲティの紹介記事はこちらです。パルティータ3番の「ガボット」演奏はこちらです!
2005.11.18
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昨日新宿にある東京オペラシティコンサートホールで行われたコッソット女史のリサイタルに行って来ました。イタリアオペラ史上最高のメゾソプラノと言われるフィオレンツァ・コッソットは1935年生まれで今年70才になったとのことですが、何と言う声量でしょうか、響きも充分で将に矍鑠(カクシャク)たるものでした。クラシック声楽の発声法とは大したもので、マイクも使わず大きなホール一杯に響かせてしまうのですから日頃の鍛錬も凄まじいものがあるのでしょう。流石に高音域に艶はありませんでしたが、全く大したものです。同年生まれのテノール歌手パバロッティが昨年既に引退をしたことを考えますと、メゾソプラノの音域で高音を響かせる制約が無いとは言え、70才で現役を続ける姿は凄いとの一言かも知れません。モーツアルト「フィガロの結婚」ケルビーノのアリアに始まりヴェルディに終わるプログラムは休憩を挟んで1時間半余、二曲ずつ歌っては楽屋で休憩を取っては歌い継ぐシステムはあまり経験したことはありませんが、70才の高齢を意識してか貫禄におされてか、聴衆が心得て大人しく待っている様子も、リサイタルが何か仲良しクラブになった様で微笑ましい感じがしました。プログラムは以下の通りでした。-モーツアルト フィガロの結婚 から2曲-マスカーニ カバレリア・ルスティカーナ から2曲-ヴェルディ 2曲-ビゼー、ジョルダーニ、ピッチンニ、マルティーニ、チレア 各1曲入り口で貰いましたパンフレットには次の様に紹介されていました。約50年のキャリアの中で、スランプと私生活での困難さにより、60才から数年ステージから遠ざかった時期があったコッソット。誰もが「このまま引退か」と思っていたのですが、何と65才から「私の歌を待って下さる方が一人でもいる限り、歌い続けなければならない」と決意、血のにじむ様な努力と精進の末、奇蹟とも言えるカムバックを果たしました。年令を重ねて輝くコッソットの姿は、単に歌を歌うと言う行為を超えて、人々に大きな希望と勇気を与えてくれます。定期プログラムを終えて疲れた様子でしたので、アンコールをしないのでは懸念していましたら、聴衆の拍手に押されて「カタリカタリ」から始まり中々終わりません。4曲目には「君が代」を披露したので此れでお仕舞いと思ったのですが、まだまだ続きましたのは驚きでした。そろそろ終わらせなければ可哀想と思われる程でした。2004年の日本公演は4回あったそうですが、今年2005年は東京(11月13日)、大阪(11月20日)の僅か2回と言うのも少し寂しく感じられますが、矍鑠たる姿少しでも今後長く見たいものだと思います。
2005.11.14
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昨日、紀尾井ホールでのプラハ・モーツァルティシモ・アンサンブル(Prague Mozartissimo Ensemble)の演奏会に行って来ました。半額で知られるチケット・ポンテWebサイトで手数料込み3315円、演奏される曲目も知らなかったのですが、入って見て演奏舞台に椅子が3つしか無いのが奇異に感じました。この紀尾井ホール、楽器演奏では気にならないのですが、アリア熱唱の声が割れて聞こえて来るのが残念です。天井から釣り下がっている豪華なシャンデリアが邪魔をして残響音が複雑になっているのかも知れません。パンフレットには「モーツァルトの活躍した18世紀、貴族の間に流行した邸内コンサートが時間を超え蘇える!」とあり、どうも啓蒙音楽コンサートに近いものでした。日本各地でコンサートが行われていますが、その中には小学生聴衆を目的とした入場料500円の演奏会もある様です。1997年9月結成。モーツァルトが活躍した時代に、チェコ貴族邸宅などで開かれていた 木管楽器の室内楽伴奏によるモーツァルト・オペラ・アリア・コンサートを現代に復活させ、 モーツァルトが活躍したことで有名なプラハのスタヴォフスケー劇場で公演している。編成はオーボエ、クラリネット、ファゴットの木管楽器三本で、オーケストラ版の旋律をそれぞれの楽器の性格にあわせて 配分した編曲版を採用している。プラハ国立劇場やその他のヨーロッパにある劇場のスターなど、 有名な歌手たちを招いて公演するのが常である。オーボエ、クラリネット、ファゴットの木管楽器演奏者3名とソプラノ2名、バリトン1名の6人編成でモーツアルトのオペラ・アリアを楽しく聴かせるコンサートで、演奏者は全て18世紀の服装を纏い、「フィガロの結婚」、「ドン・ジョバンニ」、「後宮からの誘拐」、「魔笛」での有名なアリアを熱唱していました。それなりに気楽に楽しめたのですが、私にとっての聴きものはベートーベンの「ドン・ジョバンニの主題による三重奏曲(Op. 87)」でした。ベートーベンは1794年「2本のオーボエとイングリッシュ・ホルンの三重奏曲」で初演、その後弦楽三重奏曲に編曲、1797年には「オーボエ、クラリネット、ファゴットの三重奏曲」に再編曲して演奏されたことから、このモーツアルトのメロディはお気に入りだった様です。自宅にハインツ・ホリガー演奏のCD、若しくはテープがあったと思って探したのですが見当たりません。お蔵入りになった古いアナログ・レコードだったのかも知れません。
2005.09.22
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デュ・プレ女史の才能を高く評価した或るスポンサーが彼女の才能にあったチェロを演奏して貰う様に提供したもので、1713年にストラディバリウスが製作したとされる通称“ダヴィドフ”。 現在は、中国系アメリカ人のヨー・ヨー・マ氏が使用しているとのことです。ヨー・ヨー・マ氏はNHK「新シルクロード」番組の音楽を担当していますので、放映中に流される流麗なメロディーは、デュ・プレの愛用したチェロ“ダヴィドフ”に寄るものだと思うと感慨深いものがあります。デュ・プレのエルガー「チェロ協奏曲」は2回録音されていて、何れも名演奏の誉れが高いのですが、昨日聴いたものは1970年11月にフィラデルフィアでライブ録音されたもの。これは1976年に発売されていたのですが、そのオリジナル・テープをDSD(Direct Stream Digital)と言うデジタル方式でリマスタリングし、Sonyレーベル「ベストクラシック100」として昨年11月に定価1680円で再発売したものでした。ライブ録音でもありデジタル処理もされていない時代ですから、ダイナミックさに欠け、音が隠っている感じは否めませんが、作曲者エルガーが戦争の惨禍を感じて深い悲しみを込めて作曲したと言われる、この「チェロ協奏曲」を演じ切っている様でした。第1~3楽章迄のメランコリックな悲哀から冥想的な第4楽章に移行し、緊張感のある締めくくりは見事なものでした。DVD「ジャクリーヌ・デュ・プレの思い出」の紹介はこちらですが、もう販売していない気もしています!彼女が演奏するハイドンのチェロ協奏曲についての日記はこちらです。
2005.09.10
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昨日から何とは無しに、バッハのチェロソナタBWV1027~1029を聴いていました。今朝、蝉の鳴き声の聞こえない静かな日曜日の朝に再度聴いてみますと静かに落ち着いて来ますのが良いと思っています。チェロがマイスキー、ピアノはアルゲリッチ、1985年にデジタル録音されたものですが、アルゲリッチの抑制を効かした演奏が秀逸です。この曲は元来、ビオラ・ダ・ガンバ(脚のビオラ)とチェンバロの為のトリオ・ソナタで、双方の楽器は優しい音色ですが音量の小さいものですので、極めて地味な感じのする曲でした。オリジナル構成の楽器によるアルヒーブ盤のアナログレコードは地味すぎて、あまり聴くことが無かったような気がします。(無論、現在はプレイヤーが無いので全く聴けませんが!)しかし、マイスキー・アルゲリッチによる共演では、チェロ・ピアノと言う音量の大きい楽器を使い、且つピアノ演奏に抑制を効かせたことでバランスの良い見事な出来映えになっていると思います。インターネット検索する次の様に紹介されています。バッハは1730年以降、ビオラ・ダ・ガンバのために作曲はしていない。と言う説がずっとまかり通ってきましたが、近年は、寧ろこの3曲はライプチヒ中期の作曲であるという見解が強いようです。さて、ビオラ・ダ・ガンバの「ガンバ」とは「脚」という意味で、「脚のビオラ」です。ただし「ビオラ」と付いていますが、バイオリン属ではありません。ガンバとは別に「ビオラ・ダ・ブッチョ(腕のビオラ)」があって、そこから派生したのがバイオリン属になります。ガンバはというと「ビオール属」になります。ガンバにも小さいトレブル(ソプラノ)から大きいビオローネまであって、主に17世紀に同属によるコンソートが栄えていました。ガンバは原則的に6弦で、特徴的なのは指板にガットを巻いてフレットを作っていることです。また、その名の通り、ビオローネ以外は脚に挟んで弾きます。チェロなどの機動力の高い楽器に比べると、繊細、優美な表現に向いています。バッハも、この楽器の言語をよく理解しており、「葬送カンタータ第106番」や「マタイ受難曲」などにおいて、非常に効果的に用いています。そして、このビオラ・ダ・ガンバとオブリガート・チェンバロのためのトリオ・ソナタがあるわけですが、「トリオ・ソナタ」はイタリアのコレッリによって確立された室内楽形式です。しかし、バッハはこのトリオ・ソナタを思いがけない方法で書きます。独奏楽器とオブリガート・クラビアという2人だけで奏する形です。その場合、独奏楽器に相対する旋律はクラヴィーアの右手で、左手は一手に通奏低音の役割を担います。これは、たった2人で完全なる3声部の室内楽を実現しており、古典派以降に見られる独奏楽器とピアノ伴奏によるものなどとは、まったく趣を異にした密度の高い音楽です。もちろん、この3曲のガンバ・ソナタもその書法が用いられています。特にト長調(BWV1027)の稿には2本のフルートと通奏低音によるトリオ・ソナタ編成の原曲があり、他の2曲も原曲の存在が推測されています。したがって、3声部の緊密なやり取りがこの3曲の鍵となり、モダンのチェロとピアノではバランスが悪いというが実情です。バッハの全室内楽作品の中でも、最高峰の品位を誇る作品だと思います。ピアノは音量が強過ぎるのですが、アルゲリッチ女史はそれを見込んで抑制した演奏し、チェロとのバランスを見事に調和させています。
2005.09.04
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イタリアの作曲家ボッケリーニは弦楽五重奏曲を100曲以上作曲し、その中から「ボッケリーニのメヌエット」と言う甘美なメロディを生み出したことで知られています。スペイン生活の長かった為か、民族楽器ギターからも刺激を受け、ギター五重奏曲を12曲作っています。表題の付いている曲は第4番「ファンダンゴ」と第9番「マドリードの帰営ラッパ」があり、楽しく聴くことが出来ます。「マドリードの帰営ラッパ」は、オリジナル曲では無く、既存の「ピアノ五重奏曲」「弦楽五重奏曲」から1799年に編曲されたものです。最終楽章では、帰営ラッパに促された兵士達の兵舎に向かって行進する様子が、ピアニシモで近づいて来て、フォルテシモで勇ましく整然とした隊列が目の前を通り過ぎ、ピアニシモで遠ざかる様として、情感豊かに表現されています。ボッケリーニ(Luigi Boccherini:1743~1805)はイタリアの作曲家で、13才でデビューしたチェロ奏者でもありました。1768年、パリでのコンサートにて演奏、スペインの大使に気に入られ、マドリードへと移りますが、国王直属の宮廷音楽家にはなれず、漸く1770年に国王弟ルイス親王に好条件で作曲家兼演奏家として迎えられました。しかし、1785年ルイス親王は死去してしまうのですが、国王は礼拝堂の主席チェロ奏者として処遇されますし、翌1786年プロシャ王フリードリッヒ2世からは作曲家として任命されることになりました。しかし、幸せで裕福な時は長く続かなかった様で、1788年スペイン国王の死去が災いとなったのか、1796年までの10年間、全く消息を断ってしまいます1798年フリードリッヒ2世の死後、新しいプロシャ国王にはボッケリーニの作曲家採用を拒否されて、困窮が始まり、漸く1800年マドリッドへ大使として来たフランス人ボナパルトが後援を申し出たとされています。パトロンには恵まれていた様に思われるボッケリーニでしたが、1802年に2人の娘を亡くし1804年にも三女も妻にも先立たれ1805年逝去、晩年は精神的にも辛く、病苦と貧困の内で過ごした様です。同時代のモーツアルトはパトロンの庇護から脱却して致し方無く独立音楽家として活躍しましたが、人気低迷と共にやはり貧困の内に死亡し共同墓地に埋葬されました。18世紀後半は現在とは違い、作曲家、絵描き等の芸術家達にはつらい時代だったのでしょう。
2005.08.23
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1783年からモーツァルトはウィーンで独立音楽家としての新生活に入りましたが、その夏、妻のコンスタンツェとともにザルツブルクの父と姉を訪れています。このザルツブルクに滞在中、かつての同僚で尊敬するヨーゼフ・ハイドンの弟でもあった、ミヒャエル・ハイドンは大司教のコロレドから二重奏曲を6曲つくるよう依頼されていました。しかし、ハイドンは4曲作ったところで病気になって果せなかったので、モーツァルトは友情から残りを引き受けて作曲したと言われています。K423、K424の二重奏曲は珍しい楽器構成ですのであまり演奏されることは無いようですが、渋い味わいがある曲です。我が家にありますのは、フランスのエラート盤でパスキエ兄弟による演奏のものですが、兄弟が密かに話し合う様な掛け合いが絶妙で、好きなCDの一つです。「モーツアルト」で日本のモーツアルト好きを高揚させた小林秀雄氏は、この曲について次の様に言っている様です。「カルテット、クインテットに好きなものが多いな。変わったものじゃバイオリンとビオラの二重奏曲など好きだな。弦楽器と言うのは本当に人間的な感じが強いものだ。それに比べてピアノは機械的過ぎるんじゃないかな」疾走するモーツアルト-講談社学術文庫(高橋英夫 著)この序章で、上記の逸話を紹介していますが、それに続き「ピアノの打鍵と弦楽器の発する声とは異質なものかも知れませんが、異質な二つの音が出会い、絡み合い、譲ったり、逃げたりしながら拡がりを形作って行くところに、音楽のドラマがある筈です。ところがバイオリンとビオラなら、同質の音がさながら蝶が2羽もつれながら舞うように美しい音型を描き出します。そういうものに惹きつけられた小林秀雄は、感性の好みを通じて彼の精神の傾向を示していた訳です」と解釈を披露しています。成る程と思えないでもありませんが、一寸穿った見方に過ぎるような気もします。感性は悟性と異なり、時々の事情、培った経験によって変化し「行く川の水は絶えずして、しかも元の流れにあらず」となるような気がしますから・・この著者の自薦モーツアルト・ベスト・テンについては、こちらをご覧下さい!
2005.08.20
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編集TOPページを見ると、開設から1000日経過していました。日記全件数は839件で記載率84%、思えばよく続いたものです。当初の目的であった旅の備忘録は1年程でほぼ達成しましたので、その後は読書評、クラシック音楽アラカルト、時事問題、技術動向、花の写真、マイタウン・周辺紹介、を加えて思いつくまま取りとめも無く、徒然なるままに週6日のペースで日記更新をして来ました。「初めあるものは終わりあり」と言うことで、途中止めようかと思ったことは何回もありますが、惰性と言うのも恐ろしいものでなかなか思い切れません。1000日経過しましたの契機として、本日から2週間程度日記を休止してみようと思います。その間ご来場頂いた方は、私の好きなクラシック音楽を楽しんで行って頂ければ幸甚です!ハイドン交響曲第31番「ホルン信号付き」この曲はNHKの「名曲アルバム選」でイギリスの名ホルン奏者デニス・ブレインの演奏が忘れられませんが、勿論我が家にはありません。この演奏は、8月下旬の或る朝に、ジュネーブを散歩しながらレマン湖畔の音楽ショップで買ったCDからコピーしたものです。上記の写真は多分、その店の前からレマン湖の大噴水を撮った時のものだと思います。
2005.07.11
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今年3月発売の新譜CDでフジ子・ヘミング女史演奏によるラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」第18変奏を聴いてみました。第18変奏はアンダンテ・カンタービレですので、豊かなピアノの音でロマンチックに悠揚と演奏されているのはフジ子・ヘミング女史の真骨頂かも知れません。唯、この演奏は2004年9月渋谷Bunkamuraオーチャードホールでのライブ録音とのことで、協演するオーケストラの音質がこもった様でクリアでは無くピアノとの整合性に欠けるような感じがしたのは残念でした。前からオーチャードホールの演奏舞台の天井は高すぎるのではと思っていましたが、そのせいで集音マイクの位置が悪くてそうなったのかも知れませんし、フジ子女史の自由闊達な演奏にオーケストラが気後れしたのかもとも思ったり、協演オーケストラがウィリス指揮スーパーワールドオーケストラとなっていますので常設でないせいかも知れませんし、その辺は定かでありません。スーパーワールドオーケストラは東京国際音楽祭で結成される臨時のオーケストラで、世界のトップオーケストラのメンバー達が楽団員となっていると言われていますので、技量はトップクラスなのでしょうがアンサンブルは普段から心がけているオーケストラには敵わないのではないかと思います。東京国際音楽祭は音楽愛好家や、クラシック音楽界における日本の国際的ポジションの向上を目的に1999年以来オーケストラのフェティバルとして始まった音楽祭。毎回、斬新な企画と著名なマエストロを迎えることで、世界からの注目を集めているそうです。このCDにカップリングされているショパンのピアノ協奏曲第二番は2004年3月のスタジオ録音で、音質もクリアで、若いショパンの感性と瑞々しい旋律が再現されていて、青春の息吹を感じさせる名演のようでした。
2005.06.04
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昨日は豊洲に行った帰りに渋谷に寄って、久しぶりに「名曲喫茶ライオン」に行ってみました。一年前に訪問した時の日記です。土曜日の午後ということもあって、店内に随分大勢の人がいて驚きました。所謂「馴染みの伯父さん」族が多くて、好きな曲をリクエスト等して小さな席で静かに聴いています。此処の音響設備は東京一と言われていますので、家で聴くより迫力が違うのだと思います。丁度午後3時となり「ライオン・コンサート」が始まりました。昨日は4月新譜の「ベートーベン ピアノソナタ全集(7)」で奏者は迫昭嘉、曲目は6番、11番、20番、15番の4曲で、録音状態も良くメリハリの利いた良い演奏でした。カメラ-タ・トウキョウ(http://www.camerata.co.jp/)発売で2001年12月神戸でのライヴ録音なのだそうです。名曲喫茶ライオンの「コンサート」は午後3時と午後7時の2回日替わりで行われ、他の時間はリクエスト曲を演奏されるそうです。ピアノソナタ11番と言いますと、やはりエミール・ギレリス最後の録音となったCDで何時も聴いていますので、家に戻ってから再度掛けてしまいました。エミール・ギレリスの紹介はこちらです。
2005.05.29
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NHK FM放送でピアノ協奏曲第26番「載冠式」(K. 537)とピアノ三重奏曲 K. 542を2日続けて聴いてしまいました。最初は4月14日の午後、城山湖から戻る車中のカーステレオで、次は翌朝、再放送番組を買い物に出掛ける車中で聴いたのです。放送の解説によると、ピアノ三重奏曲 K. 542は1788年の6月から10月にかけて、三大交響曲をはさんで3曲の三重奏曲(K. 542、548、564)が作曲された初めの曲でK. 502と並ぶ傑作とされています。このK. 542は織物商を営んでいたプフベルク家の音楽会のために作曲されたもので、晩年のモーツアルトに唯一借金に応じてくれたお礼を兼ねた経緯もあるようでした。演奏はトリオ・フォントネで バイオリン:ミヒャエル・ミュッケ チェロ:ニクラス・シュミット ピアノ:ヴォルフ・ハルデンで1980年に西ドイツで結成されたトリオだそうです。我が家には、モーツアルト ピアノ三重奏曲全曲集はあるのですが、25年前に購入したカセットテープですので、劣化して聴けない心配がありました。フィリップス盤のカセット2枚組みで録音は1967年、演奏はメナヘム・プレスラー(Menaham Pressler)率いるボーザール・トリオ(Beaux Arts Trio)、K. 254、K. 496、K. 502、K. 542、K. 548、K. 564の6曲が入っています。恐るおそる、カセット・デッキにテープを入れて再生してみました所、何とか聴くことが出来ました。如何にも音が痩せていてダイナミック感はありませんが、静かな室内楽ですから、まあ十分楽しめました。何年ぶりのことだったのでしょうか?ボーザール・トリオ(Beaux Arts Trio)演奏するベートーベン ピアノ三重奏曲全曲集はこちらの日記にあります。
2005.04.18
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桜が咲き出し、開花情報が気になる頃となりました。今日は夏日との予報が出され、一挙に満開になってしまう処も多くなるのかも知れません。春が来た喜びを唄った歌は数多くありますが、モーツアルト晩年の傑作「春への憧れ-K. 596」に如くものは無いと言っても良いでしょうか?エリー・アーメリング女史が唄う「春への憧れ-K. 596」をお聴きくださいオーストリアの春は翌月の5月で、日本より1ヶ月遅れの様です!来て、気持ちの良い5月よ、木々を緑にして! そして小川の畔にはスミレを咲かせて! スミレを見るのが本当に好き! ああ、気持ちの良い5月、散歩に出て行きたいな! 勿論、冬にだって、色々な楽しみがあり、 雪の中を走ったり、晩の遊びもあって、 カードで小さな家を造ったり、鬼ごっことか罰ゲーム、 広い畑に橇に乗っても行けるのだが、 小鳥達がさえずり、僕たちが喜んで外に出て、 緑の芝で飛び回るとなると、全く違うものなのだ! 竹馬はあそこの隅に、あるしかないし、 庭は泥んこで、歩けたものじゃない! 気にしているのはロットヒェンが悲しんでいること、 可哀相なあの子は、花の季節を待ちわびてばかり! 気を紛らわせようと玩具を持って行っても、 あの子は椅子に掛けたまま、卵を抱く雌鳥の様だ! ああ、外が爽やかに、緑になれば良い! 来て、気持ちの良い5月よ、僕たちはお願いするだけ! 来て、何より先ずスミレを沢山持ってきて! ホトトギスと美しい郭公も一緒に連れて来て! 子供向けの愛らしい歌曲として作曲された3曲の一つですが、普遍的な名曲として歌い継がれています。作品的にはVeilchen(すみれ)-K. 476が格調も高く、モーツアルト歌曲の代表作だと思いますが、可憐さは春への憧れ-K. 596が勝ります。
2005.04.06
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トリオソナタは文字通り「二つの旋律楽器+通奏低音」、つまり3つの楽器の為の「ソナタ」と言う意味で、バッハ・ヘンデルの時代まで広く用いられた室内楽形式です。先日近くの音楽ストアに入ってみましたら、DENON CREST100シリーズが並んでいました。録音は古いのですが一流レーベルにも拘わらず、1050円と格安です。その中に「ヘンデル:トリオソナタ選集」がありましたので、購入して来ました。演奏者がハインツ・ホリガーで好きなオーボエ奏者であったこともあります。ヘンデルのトリオソナタは通常の形式に則した作品で、彼らしい闊達な曲想で、まあ楽しめたのですが何となくしっくり来ないのです。オラトリオという音楽形式を創始発展させたヘンデルもトリオソナタでは全く旧来の伝統を踏襲しているだけだと感じてしまったからでしょうか?そこでバッハのトリオソナタの代表的作品を聴いてみました。盲目の天才ワルヒャがリューベック・ヤコブ教会のオルガンで演奏したBWV525・530、録音は極めて古く1954年ですから50年以上前のものでしたが、ヘンデルのトリオソナタよりも静謐な感じの精神性高い作品でした。バッハのトリオソナタは通奏低音に乗って二つの声部が互いに旋律を紡ぎ出していく室内楽的作品となっていて、有名なオルガン曲「トッカータとフーガ」「前奏曲とフーガ」とは異なるオルガンの世界が展開されるのです。「トッカータ」の様に壮大な気分や技巧的な見せ場は無いのですが成熟した落ち着いた雰囲気があり、そして何より伝統形式を自分流に取り組む革新性がある様に思えたのです。一般にソナタと言えば、多くは独奏楽器のための作品で、バッハでもトリオソナタは少ないとされているが、果たしてどうなのでしょう?バッハはこの点改革者の様で、通奏低音であるチェンバロに二声部を演奏させることで、トリオ形式を二つの楽器で実現させ変質させました。バイオリンソナタ(BWV1014~1018)、チェロソナタ(BWV1027~1029)、フルートソナタ(BWV1030~1032)が代表格と言われています。しかし、バッハはポリフォニー鍵盤楽器であるオルガンにも発展させ「二つの手鍵盤とペダルの為のソナタ」では、厳格な三声部形式で両手と足の完全な独立を要求しています。オルガンソナタ(BWV525~530)がそうした意味で特異な存在となっています。トリオソナタの形式を借りたオルガン曲であり、楽章構成から見ると急・緩・急の3楽章構成の曲が多いのも特徴的である様です。又、彼不朽の傑作とされる無伴奏バイオリンソナタ・パルティータ(BWV1001~1006)、無伴奏チェロ組曲(BWV1007~1012)では、三声以上の和音が見られ、モノフォニー楽器にも単声の動きの内に隠された潜在的ポリフォニーを展開させています。現代の楽器では再現が難しく、古楽器特有の表現だと言われていますが定説では無く、彼の呈示した和音とポリフォニーを求めて、ハイドンの弦楽四重奏曲に繋がって行くのかも知れません。
2005.03.27
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私はベートーヴェン交響曲の中で一番良く聴くのは第8番「小さな交響曲」だろうと思います。遠い昔、自分で最初に購入したLPはカール・ベーム指揮ウィーンフィルの第7番、次が第8番と言うことで、追憶と思い入れがあるのでしょう。この曲はベートーヴェンの9交響曲の中で、最も短く、華やかさもありませんが、音楽を内面から楽しむ雰囲気が溢れていて、作曲者自身も「小さな交響曲」と呼んで、気に入っていたとされています。ベートーヴェンの深刻癖や仰々しさを嫌う人達が、女性的な偶数番の交響曲を好む傾向にあるともされていますが、この第8番は地味でその筆頭かも知れません。昨年2004年が、ベートーヴェン演奏で名を馳せたドイツの名指揮者フルトヴェングラーの没後50年と言うことで、音楽ショップでも、彼の演奏CDが並べられていました。今年になっても、その名残はありますので、一昨日偶数番の交響曲第2番と第8番がカップリングされたCDを購入して来ました。戦後の混乱期における1948年演奏会公開録音盤ということですので、音質は極めて悪く、特に第2番はスクラッチノイズの入り方が酷く、まるで古いSP盤を蓄音機で聴いているようでした。第8番のストックホルムのライブ録音は、それ程スクラッチノイズは入っていないのですが、音質が悪いことに変わりはありませんでした。それに、奇数番交響曲の様に大仰に演奏している感があり、少なからず違和感がありました。それでも響きの充実感は素晴らしく、第2楽章のゆっくりとしたテンポ、第3楽章も悠々と流れるよう様な感覚でトリオのホルンと木管の対話もソフトで魅力がありました。フィナーレ第4楽章も軽快感がありませんが、スピード感と美しいカンタービレと説得力のある演奏でした。人それぞれ好みはあるのですが、フルトヴェングラー独特のリズム感の良さが生きている一つの演奏を聴いたなと感じる一時でした。しかし、音質が悪いので、フルトヴェングラーマニア及びオタクは別にして、音楽を良い演奏で楽しもうとする人達にはお薦め出来ないCDでもありました。
2005.03.12
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昨日久しぶりに自宅にある古い音楽カセットを聴きました。タイトルは「20 Beloved German Folk Songs(愛唱独民謡)Heidenroeslein(野薔薇)」、多分15年程前プロジェクトマネージャとして、毎月アメリカを往復している頃Oxnard市の小さな店で買ったグラモフォンMusikfest盤です。その中に収められている「Muss i denn, muss i denn」、唄っているのは今は亡きヘルマン・プライ(Hermann Prey)、原曲は南ドイツ・シュヴァーベン地方の民謡「別れ」、Stuttgartが中心都市の山・丘陵が深い地域の為、正調なドイツ語とは違う様で、本来ならば「Muss Ich denn, muss Ich denn」と言う所なのでしょう。「Koenig」も「ケーニッヒ」と発音すべきところを「ケーニク」と直されたのはStuttgartだった記憶も残っています。原曲の歌詞は以下の通りとなっています。Muss i denn, muss i denn zum Staedtele 'naus,Staedtele 'naus, und du, mein Schatz, bleibst hier?Wenn i komm', wenn i komm', wenn i wiedrum komm',wiedrum komm', kehr' i ein, mein Schaz, bei dir.Kann i gleich nit allweil bei dir sein, han i doch mein' Freud' an dir;wenn i komm', wenn i komm', wenn i wiedrum komm',wiedrum komm' kehr' i ein, mein Schatz, bei dir!インターネット検索しますと、訳詞としては次のようになっています。遠い町へ今日旅立つ 旅立つ、おまえを残し戻ってきたら真っ先に 真っ先におまえに逢おういつもそばにいられたら どんなに楽しかろう戻ってきたら真っ先に 真っ先におまえに逢おうわたしの門出をおまえは おまえはなぜにそう嘆くきれいな娘見たとて 見たとて浮気はしない心は変わらぬに どうして嘆くきれいな娘見たとて 見たとて浮気はしない学校唱歌として、以下の訳詩が紹介されています。さらばさらば 我がふるさとふるさと遠く 旅ゆくさらばさらば 我がふるさとふるさと遠く 旅ゆくいざ共にぞ忍べ しばしの別れさらばさらば 我がふるさとふるさと 今別れゆく私がこの歌を習いましたのは中学校だったのか定かでないのですが、50年以上も記憶に残っている歌詞は全く違うのです友よ 行こう 広い原へランララ ランララ 日は麗(うら)ら静かな森よ 萌える若葉よ雲雀 ララ ランララ 囀(さえず)り我らを 喜び招くこの民謡は私にとって、未だに「別れの曲」でなく春の訪れを唄う「春の歌」なのです。インターネット検索しましても、この様な歌詞は見つからないので歴史の時間の中で淘汰されてしまいました。しかし、この曲そのものは、プレスリーもWOODEN HEART(さらばふるさと)とアレンジして唄っていますので、全世界での愛唱歌のようです。
2005.02.13
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バッハの宗教カンタータBWV51(Jauchzet Gott in allen Landen)、この華麗な曲は良く聴きます。コロラトゥーラ・ソプラノ独唱の為のカンタータで、トランペットと弦楽(バイオリン2、ビオラ1)と通奏低音との協奏曲風になっています。特に冒頭のアリアは、高らかに鳴るトランペットと共に「神に向って歓呼せよ」と歌う華々しいもので、気分が高揚して来ます。我が家にあるものは、1971~1972年録音のカール・リヒター指揮ミュンヘン管弦楽団、エディット・マティス独唱のもので、カップリングの違ったものが2枚、共にArchiv盤です。エディット・マティスは1938年スイス生まれのソプラノ歌手、1956年ルツェルンでデビュー、透き通る様な声に定評があり、1963年ベルリン・ドイツオペラの一員となり1970年代に来日した時は、「フィガロの結婚」でケルビーノ役として、透き通る声と共にその愛くるしさが話題となりました。カンタータBWV51の標題は「Jauchzet Gott in allen Landen」、英語訳は「Rejoice unto God in all lands」となっていますので、日本語でも「全ての地で、神に向って歓呼せよ」となる筈ですが、定訳では「全地よ、神に向かいて歓呼せよ」となっているようです。Jauchzet Gott in allen Landen!Was der Himmel und die WeltAn Geschoepfen in sich haelt,Muessen dessen Ruhm erhoehen,Und wir wollen unserm GottGleichfalls itzt ein Opfer bringen,Dass er uns in Kreuz und NotAllezeit hat beigestanden.全地よ、神に向かいて歓呼せよ。天と地に満てる造られしものは主の誉れを讃えまつるべし。我らもまた我らの神に今、同じ感謝の捧げものを奉らんとす。神は十字架と苦難の中に我らを絶えず支えたまえり。エディット・マティスが歌うバッハの世俗カンタータ、農民カンタータ(BWV212)はこちらにあります。これも、リヒター指揮の古いArchiv盤です。拙宅ではバッハと言いますと、グールドのピアノ演奏以外は、Archiv盤が多いのです。
2005.02.10
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今年の音楽会初めはウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団のニューイヤー・コンサートでした。1月8日渋谷オーチャードホールの昼興業で、先年暮れにインターネットWebサイト「チケット・ポンテ」の半額チケットを確保してありました。S席7500円が半額、手数料315円で4000円余なので助かります。このサイトには購入履歴がリストアップされていましたので、見てみましたら昨年は3回のみでした。音楽会もこの程度に安くなるともっと頻繁に出掛けるのですが、残念ながらこのサイトは「売れ残りチケット販売」が原則ですので人気の高いオーケストラものは滅多に売り出されることがありません。特に人気随一のNHK交響楽団定期演奏会は殆ど出なかったと思います。ところで、「音楽の都」ウィーンでも、ヨハン・シュトラウスの名を冠したこの管弦楽団は、シュトラウス王朝を伝承する正統なオーケストラとして、本国オーストリアでは尊敬され人気がある様ですが、その人気の秘密は、心躍るワルツやポルカの演奏、愉快なパフォーマンスにあると言われています。毎回ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団のプログラムは多彩で、世界中で愛されているシュトラウス・ファミリーのワルツやポルカを中心に曲目を組み立てていて、この日の演奏プログラムは下記の様でした。1.「ジプシー男爵」序曲2.ポルカ・マズルカ「遠方から」3.よろこびのポルカ4.チェロと管弦楽のためのロマンス5.トリッチ・トラッチ ポルカ6.ワルツ「南国のばら」7.ポルカ・シュネル「ハンガリー万歳」8.ロシアの行進曲的幻想曲9.電気盆ポルカ10.ケッテンブリュッケ・ワルツ 11.仮面舞踏会のカドリーユ12.ピチカート・ポルカ13.ポルカ「クラップフェンの森で」14.ワルツ「美しく青きドナウ」何曲かアンコールがあって、恒例の「ラデツキー行進曲」でコンサートが終了となりました。私には軽快なワルツより、協奏曲風の「チェロと管弦楽のためのロマンス」、弦楽4重奏風の「ケッテンブリュッケ・ワルツ(吊り橋ワルツ)」の方が好みでしたが・・2005年という年は、ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団が結成されてから180年目、ヨハン・シュトラウス父が、息子が誕生するのを機に自分の楽団を作ったのが始まりで、「ウィーン・フィル」の創立より二十年も早い1825年、その年に生まれたヨハン・シュトラウス?世 も、生誕180年ということになるそうです。1971年に初来日して以来、日本の熱狂的なファンの要望に応えるべく、度々訪れるようになったウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団は、今回でちょうど25回目の来日ニューイヤー・コンサートは楽しいものでした。
2005.01.09
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