[Stockholm syndrome]...be no-w-here

2021.11.12
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カテゴリ: 宝塚
急に寒くなったせいか今週は喫茶店がずっと暇で、感想も一気に纏まってしまった。
複雑な気持ちを抱えつつ、早速どうぞ(笑)。



柚香光に感化されたか、クラノスケ役の永久輝せあもこれ迄になく自然な芝居を見せている。
雪組【壬生義士伝】の頃には「まだまだ想定内の芝居しかしていない」と評した永久輝だが、本作で初めて「お、こんな芝居もできるんだ」と嬉しい驚きがあった。
まだまだ公演も始まったばかりだし、内容もコメディなので、これを好機と捉え色々と表現を試してみて欲しい。
それが自信に繋がれば、更に演技の幅が広がり、役者としての貫禄も増すだろう。
(別箱での主演も決まり、リーダーとしての存在感も求められるようになる)
面白くなって来た。

時計の謎を巡りクロノスケと対峙するのが、水美舞斗が演じる宿敵コウズケノスケ。
史実における吉良上野介の評価は未だ定まっておらず、浅野内匠頭との一件も諸説あるが、本作では完全に悪役だ。
とは言え、配下の女性達から親愛を得たり、博打に呆けるクラノスケにも警戒を怠らないなど、単なる下衆とは違う才量のある人物として描かれている。
だからこそ、あのラストにも説得力が出る。
そんな難しい役柄を、水美は男役のありったけを注ぎ込み、魅力たっぷりに演じていた。
(或いは、水美舞斗が演じると、どんなに悪い男も魅力的に見えてしまうのかも知れないが…笑)

自由に振る舞い笑いを誘う柚香や永久輝とは対照的に、ヨシヤス役の優波慧とタクミノカミ役の聖乃あすかは、水美と共に物語を引き締める役割だ。
優波と聖乃も限られた出番の中で、しっかりと存在感を示していた。
優波の退団は残念だが、聖乃はまだまだ成長する姿を楽しませてくれるだろう。
聖乃の後に、誰が頭角を現して来るかにも期待したい。



しかし、本作における真の主役は、将軍ツナヨシ役を演じた音くり寿ではないかと思う。
(まあ、将軍なので、ある意味誰よりも主役なのだが…笑)
本作では皆が弾けた演技を見せているが、彼女のエキセントリックさは群を抜いていた。

徳川綱吉と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、やはり「生類憐みの令」だろう。
世間一般には天下の悪法と揶揄され、綱吉自身の評価も下げる事になった政策だが、実は保護されたのは動物だけでなく、捨て子や高齢者、行き倒れた傷病人なども含まれており、近年では「戦国の気風が残る殺伐とした世相を、生命を大事にする太平の世へと変革しようとした法令」として再評価する動きも出ている。
当時の価値観からすれば、あまりに極端で拙速に過ぎたため酷評されはしたが、その基本理念は現代の動物愛護や社会的弱者への支援と同じなのである。
(生類憐みの令の一環として出された「捨て子禁止令」は綱吉の死後も続いた事から、子供を遺棄する事が許される社会から許されない社会への転換点になったとも言われる)

また、儒教の影響を強く受けていた綱吉は武断政治を嫌い、学問や教育によって国を治める文治政治を推し進めた。
そうした視点から観ると、争い事を嫌うツナヨシの性格はかなり的を得ており、大好きな飼い犬を亡くした経験がやがて生類憐みの令に繋がったと受け取れなくもない。
あのエキセントリックな芝居も、徳川綱吉の「やり過ぎ感」を表現するためのものだと考えると面白い。
彼女にとって演じ易い役だったのか、難しい役だったのかは定かではないが(笑)、将軍としての大役を立派に果たしたと言える。
あっぱれ!!

また、普段は男役ばかり観ている僕だが、本作ではケイショウイン役の美風舞良、リク役の華雅りりか、スラレ役の真鳳つぐみ、カエデ役の美羽愛、ツバキ役の星空美咲など、気になる娘役が何人もいた。
男役だけでも目が足りないのに、娘役にまで注目したら、僕の目は一体幾つ必要なんだ!!(笑)

ありがとう!!

レビュー【The Fascination!】の感想は次回の観劇(12月7日)後に、改めて。
(と言っても、まだ3週間以上も先だが…笑)





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Last updated  2021.11.13 20:32:01


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