[Stockholm syndrome]...be no-w-here

2024.05.08
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慌しかったゴールデンウィークも終わり、途中になっていた記事にもようやく目処がついた。
少し長くなってしまったので、前後編に分ける。

以前に紹介した「 受動意識仮説 」を参考に、「動物」と「人間」の差について書いてみようと思っていたら、コヤッキースタジオが面白い動画を挙げてくれた。
先ず、こちらからご覧頂きたい。





一般的に、人間には「理性」と「本能」があり、それらは互いに独立し、別々の働きをすると考えられている。
そして、動物的な欲求や感情を司る「本能」を、人間だけが持つ「理性」がコントロールしていると考えられている。
それ故、理性は本能より優れており、理性を持つ人間は本能しか持たない動物より賢いのだと、学校では教えられる。

しかし、果たして本当にそうだろうか。
大学で西洋哲学を学び、独学で東洋哲学と禅の思想に触れ、色々と思索を重ねる中で、これまで教えられて来た理性と本能の関係性に疑問を感じるようになって行った。
何より、日常生活や世界のニュースで見る人間の行動は、理性よりも本能(=感情や嗜好)に起因している事の方が圧倒的に多い。
スマホやSNSが普及してからは、更にその傾向が極端になったように思う。
(つまり、短絡的な思考しかできない人間が増えた、という意味だ)
また、自分自身を観察しても、やはり理性より本能で動いている場合の方が多いように感じた。

こうした考察から僕は、理性とは飽くまで本能の一部分であり、本能が「理性的でいよう」と判断した時にのみ働くのが理性であるという結論に至った。
なので、40歳を過ぎて初めて「受動意識仮説」を読んだ時は、全く何の違和感も無くすんなりと腑に落ちた。

人間が日常的に行っている意思決定の大半(8~9割)は、意識ではなく無意識の部分で行われる
人間が「指を曲げよう」と意識するから脳が指を曲げる指令を出すのではなく、脳が指を曲げる指令を出すから人間に「指を曲げよう」という意識が生まれる
人間の感情や嗜好、言動には、脳内で分泌される神経伝達物質の働きが大きく作用している
人間にそもそも自由意志など無い

これは、酒を呑んで酔っ払った人の行動を思い浮かべてみると理解しやすい。
泥酔した人はよく「昨日の記憶が無い」といった発言をするが、近年の脳化学の研究によれば、これは「記憶が無い」のではなく、呑んでいる最中にそもそも「意識が無い」のだとか。
つまり、酔っ払っている人はほぼ無意識で行動している、という事になる。

それでも、多少なり言動に可笑しな所はあれど、周りの人達と普通にコミュニケーションを取る事もできるし、会話もできて1人で家に帰る事もできる。
裏を返せば、この時、他人から見て「変だ」「普段と違う」と感じる部分が、普段「理性」で補っている部分だとも言える。
それ以外は、本能の働きによって、人間は無意識に勝手に動いている(=動ける)のだ。

そう考えると、人間が日常生活を送るのに、理性が無ければ成立しない場面というのは意外と少ない事に気付くだろう。
そして、普段からこの状態で生きているのが動物だとすれば、人間と動物の間にはさほど差が無いようにも思える。
「遺伝子的に見れば人間と猿の違いは1%しか無い」というコヤッキーの説明にも、違和感が無くなるのではないか。
(脳の大きさの差は、パソコンのCPUと同じで、そこに蓄えられる情報量とその処理能力の差であり、理性と本能の差ではないと僕は考えている)

そして、この状態こそが「理性は本能の一部でしかない」「本能が理性的でいようと判断した時のみ働くのが理性」の証左である、というのが僕の見解だ。
逆に言えば、その僅かな部分こそが、動物と人間を分ける決定的な違いなのではないかと思う。
以上を踏まえた上で、動物を「人間」たらしめているものは何かを、僕なりに考察してみたい。




動物が人間のような仕種や行動をするのではない。
人間がそもそも動物なのだ。
或いは、人間が気付いていないだけで、動物には動物なりの理性があるのかも知れない。

過去の関連記事 →『 動物は、家族や仲間の死を悲しむのか…?










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Last updated  2024.05.11 18:43:05
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