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月城かなとが、大劇場公演に続き【チェ・ゲバラ】も休演する事が発表された。思った以上に怪我の具合か悪いのか、それとも無理をさせて長引くよりは、このタイミングでしっかり療養させようという事なのか…。劇団にとっては、別箱よりも大劇場の次回作【I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-】を成功させる事の方が肝要だろうし、月城は将来のトップスター候補でもある。(個人的には、その前に鳳月杏をトップにしてあげて欲しいが…)大事をとっての休演だと思いたい。そうでも思わないと、気持ちが落ち着かない…(笑)。そんな中、美弥るりかが最後となる【カフェブレイク】に出演した。タカラジェンヌとして過ごす日々も残り僅かだ。僕にとって最も思い出深い美弥るりかの役は、何と言っても【グランドホテル】のオットー・クリンゲラインだろう。本人にとっても思い入れの深い役だからでもあるのだろうが、この作品での美弥は本当に素晴らしかった。男役という枠を超え、1人の人間として、オットーの人生を全身全霊で演じてみせてくれた。正直、「これがサヨナラ公演だったら良かったのに…」と思う。それでも、今回の【夢現無双】で演じた佐々木小次郎に対する彼女の深い考察には、舌を巻いた。特に、「モノクロだった小次郎の人生が、武蔵と出逢ってカラーになった」という解釈には、ハンマーで頭を殴られたような衝撃があった。そこまで役を掘り下げたからこそ、あの限られた出番と所作の中で、小次郎の圧倒的な存在感を体現できたのだろう。正に、今の美弥るりかでしか演じられない、無双の剣士像だと思う。そんな知性と美貌を兼ね備えたタカラジェンヌの卒業は、悲しいというより残念という気持ちの方が強い。僕は【NOBUNAGA<信長>-下天の夢-】で初めて彼女の芝居を観てから、まだたった5作なので、どうしても「もっと観たかった…」と思ってしまうのだ。しかし、時間を巻き戻す事はできないし、美弥るりかの新たな旅立ちを祝福したい。宝塚大劇場での挨拶で、「勇気を出して次の一歩を踏み出す」と語っていたのが印象的だったが、きっと彼女ならどんな未来でも叶えられるだろう。宝塚在団中にはできなかった事に、(スキンヘッドも含めて…笑)ぜひ色々と挑戦して欲しい。個人的には、同期の七海ひろきと一緒に何かしてくれると凄く嬉しいのだが。更に、後々はそこに明日海りお達も加わって、「895(はちきゅうファイブ)」的なユニットを組んで、コンサートとかしてくれたら…、というのが僕の理想の妄想だ(笑)。89期は、初心者の僕にとっても特別な存在なだけに、こんな夢の舞台が実現したら、さすがの僕も奮発して観に行くと思う。(まあ、ディナーショー並みの値段だったら、絶対に無理だが…笑)最後となる【カフェブレイク】で、彼女が珠城りょうとの思い出を振り返りながら、「今の月組にいられて良かった」と言ってくれたのは、何より最高の贈り物だ。寧ろ、「美弥るりかが月組にいてくれて良かった」と感謝すべきは、僕達の方なのに…。その優しさで、これからも千波万波に立ち向かう月組の組子達を見守って欲しい。そして、色紙に書いた「これが私の道」と呼べる宝物を、これからの人生で見つけて欲しい。きっと、貴方が幸せでいてくれる事が、ファンにとっては一番の恩返しだと思うから…。本当にありがとう!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
2019.06.04
この作品を宝塚で舞台化するとして、鍵となるのはやはりミアとセブの「別れ」の場面だろう。何しろ、この作品でアカデミー主演女優賞を獲得したエマ・ストーンが銀幕で演じても、日本人には伝わらなかったのである。宝塚のトップコンビがどれだけ上手かろうと、客席から離れた舞台上の芝居から、観客がそれを読み取るのは絶対に不可能だ。きっと「セブが可哀想…」という感想で終わってしまうに違いない(笑)。あの場面をどう描写するか…。夏目漱石が「I love you」を「今夜は月が綺麗ですね」と翻訳したように、日本人の感性に寄せながら、しかし決して明け透けに「別れ」を観客に意識させない、繊細な言葉選びが必要になる。正に、脚本家の腕の見せ所と言えるだろう。ラストに関しても、宝塚版なのだから、思い切ってハッピーエンドという手もあるが、「2人は決して結ばれない」というのはチャゼル監督が最後まで拘った演出でもあるため、ハッピーエンドにしてしまうと、もはや【ラ・ラ・ランド】ではなくなってしまう。(実際、配給会社からハッピーエンドにするよう言われても、彼は頑なにこのラストシーンを変えなかったという)加えて、台詞が一切無いので、これをどう演出するかも、作品全体の印象を決める重要な箇所となるだろう。それによって、観劇後の余韻も違ってくる。逆に、そこさえ正しく観客に伝われば、後は楽なのではないかと思う。「いかにもハリウッド映画」の部分を「いかにも宝塚歌劇」に変えるだけで済むからだ。ハリウッドも宝塚も「人々に夢を見せる」という点では共通している。更に、【ラ・ラ・ランド】はミュージカルもある。伝えたい事を簡潔明瞭に表現できれば、「宝塚で【ラ・ラ・ランド】を観て良かった」と感じてもらえる作品になるに違いない。内容的には90分で収まるが、歌とダンスで華やかさを加えれば、一本立てでも行けるだろう。(ただし、間延びする危険性も同時に高まるが…笑)まあ、それ以前に、舞台化する事自体が難しい作品なのかも知れない。という訳で、ようやく全部書き上げた。普段、映画の内容についてこんなに詳しく書く事が無いせいか、何だか妙に疲れた。(しかも、半年以上前に観た作品だ)知恵熱が出そうだ(笑)。とりあえず、書きたい事はひと通り書いたので、暫くはブログの更新も滞るだろう。下書き中の話題は幾つかあるので、気が向いたものから適当に書いて行き、纏まれば載せたい。では、また…
2019.05.16
何故かは知らないが、「映画よりも、面白いでござる…(笑)」というタイトルで書いた宙組【オーシャンズ11】の感想に、アクセスが集中している。昨日だけでも閲覧数が32もあり、記事を載せてから僅か1週間でその数は100を超えた。こんな事は初めてだ。そんなに特別な感想を書いたつもりはないのだが…(笑)。それにしても、ブログ村にも参加していないこんな場末のブログに、皆一体どうやって辿り着くのだろうか…。まあ、どれだけ期待されようと批判されようと、僕は自分の感性に従ってしか感想を書けないし、そのためのブログなので、それで構わなければ今後ともどうぞお見知りおきを。では、後半を。敵役となるテリー・ベネディクトを演じた桜木みなとは、孤軍奮闘の頑張りを見せてくれた。何より、真風涼帆を相手に一歩も引かず、オーシャン達と対等に渡り合っていたのが素晴らしい。これまでの若いイメージから脱皮して、人の上に立つ「大人」の胆力が備わって来た感じだ。欲を言えば、ベネディクトの「裏の顔」にもっと冷淡さが感じられると良かったが、その辺りは公演を重ねる内にどんどん役が深まって来るだろう。歌にも力強さが増し、公演毎に着実に成長しているのが分かる。これからが更に楽しみだ。また、最後はオーシャンに出し抜かれるとは言え、そこで心が折れるのではなく、その悔しさを次に繋げる逞しさがベネディクトにはあり、敵役ながら観ていて共感できた。彼がどうしてホテル王を志したのかも、歌の中でしっかりと説明されているので感情移入し易い。彼はまた這い上がって来るだろう。負けるな、ずん!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆と、今公演はともすればイケメンばかりに気を取られがちになるが(笑)、彼ら以上に強烈なキャラクターで楽しませてくれたのが、今公演で退団する純矢ちとせだ。我が儘で威圧的で、星風まどか演じるテスを何かと目の敵にするクイーン・ダイアナ役なのだが、何故か憎めない魅力がある。ラストも格好良く、ずんには申し訳ないが「ベネディクト、ざまあ見ろ!」と思ってしまった(笑)。彼女の跡を継ぐ娘役が現れる事を期待している。トップ娘役の星風まどかもいつの間にか大人の色気を感じさせる女性に成長し、素晴らしい演技で魅せてくれた。彼女も公演毎に成長していくのが分かり、見ていて楽しい。それ以外でも、留依蒔世や3ジュエルズ、若翔りつなどの脇役達もしっかりと個性を発揮し、舞台を盛り上げていた。そして、【オーシャンズ11】という映画を、ここまでエンターテインメント性の高い舞台作品に作り変えた小池修一郎の才能にも感服した。映像を効果的に使えるようになった事も、娯楽性を高めた要因だろう。ありがとう!!それと、今公演では105期生のお披露目があった。聞くところによると、なかなか舞台に熱い子達らしい。将来、彼らが宝塚にどんな風を吹かせるのか、楽しみにしながら見守りたい。そう言えば、今公演から、宝塚歌劇オーケストラの演奏者氏名が劇場内インフォメーション横に掲示される事になった。月組感想の際に、「裏方スタッフ」への感謝を書いたからだろうか(自意識過剰…笑)。普通紙に氏名が印刷されている程度だと思っていたのだが、実際に見たらもの凄く豪華で驚いた。しかも、各楽器の配置まで丁寧に示してあり、ちょっと感動すら覚えた。あんな狭いスペースに、どうやってオーケストラが並んでいるのか、ずっと気になっていたのだ。ありがとう!!という事で、今回はここまで。次回の観劇は6月11日の雪組公演【壬生義士伝】だ。5月中は何の予定も無いので、唐突ではあるが映画【ラ・ラ・ランド】について書いてみようと思っている。実は、2月だか3月だったか、『Amazonプライム・ビデオ』の感想欄に「ミアがセブを裏切って…」と書き込まれているのを偶然読んで、「ああ、分かってないな〜」と思ってしまったのだ。普段なら、「映画なんてその人の感性で観れば良い」と思っているし、ネタバレにもなるので解説などしないのだが、今回に限ってはあまりの誤解の多さに「せめて、僕のブログを読んている人達には、ちゃんと理解してもらった方が良いのかな…」と考えるに至ったのだ。それ位、あの映画を正しく解釈し批評できている人は、ネット上にはほとんどいなかった。(Wikipediaにすら間違った解説が載っているのだから、苦笑いするしかない)ただ、まあ、「これが正解だ!」と断言してしまうとさすがに語弊があるので、飽くまでも「僕なりの正解」としておこう(笑)。と、その前に、先ずはゴールデンウィークの10連休だ。とりあえず最初の3日は普段通りだったが、万全を期しておきたいので、特に大きな話題でも無い限り更新は滞ると思う。それでは、また…
2019.04.30
最近は、各組がどんどん個性を発揮しようと切磋琢磨しているのが舞台から伝わって来るので、どの組も観ていて楽しい。宙組も、真風涼帆という個性の下で、宙組にしか出せない、宙組だからこそ出せる魅力を身に付けつつある。その魅力が、今回【オーシャンズ11】という作品に出会う事で爆発した。主役の真風涼帆はダニー・オーシャンそのものだし、芹香斗亜が演じるラスティ・ライアンは軽妙洒脱な雰囲気が堪らなくセクシーだ。2人とも派手なスーツに身を包んでいながら、見事に着こなしているし、周りから少しも浮いていないのが凄い。彼らの貫禄と風格がそうさせるのだろう。これで笑いも取れるのだから、男として完璧じゃないかッ!! (笑)最高で最強のコンビだ。他の仲間達の中で、今回最も印象深かったのが、リビングストン役の瑠風輝だ。最初、カラフルな衣装と眼鏡で誰だか分からなくて、双眼鏡で覗いたら瑠風だったので驚いた。まさか、彼女にあんな弾(はじ)けた芝居ができるとは…。彼女に対しては、かつて苦言を呈した事もあったが、今回の役で一皮剥けたか。バウ公演の初主演も決まり、これを切っ掛けに更に新しい自分を見付け、飛躍して欲しい。頑張れ、もえこ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ライナスを演じた和希そらも、こちらは一皮剥けずに弱音ばかり吐いている青年を、自らの持ち味を活かしながら好演していた。実力は折り紙つきなだけに、今後は渋さや貫禄を身に付け、更に役の幅を広げて欲しい。見事な曲芸で楽しませてくれた同期の秋音光も良かった。彼女の事は以前から知ってはいたものの、これまで今一つ目立つ役が無かったので話題にして来なかったが、節目の10年目を迎え今後の活躍が楽しみだ。出番は限られていたが、モロイ兄弟を演じた優希しおんと鷹翔千空も、ハツラツとした演技でしっかりと印象を残していた。2人とも将来の宝塚を背負って行くであろう若手だけに、更なる成長を期待したい。一方、ソール・ブルーム役の寿つかさと、ルーベン役の凛城きらは、タイプこそ違えど渋さと貫禄のある芝居で魅せてくれた。特に、ソールは茶目っ気もたっぷりで、オーシャン達の父親的な存在。酸いも甘いも嚙み分けて来た寿の懐の深さが、そのまま役柄に表れていた。凛城きらも意外なほど老け役が似合っており、新たな魅力を発見したような感じだ。今公演で退団となる澄輝さやとと蒼羽りくも、個性的なキャラクターで楽しませてくれた。2人と言えば【王妃の館】での警官&オカマコンビが印象深いが、彼らの息の合ったやり取りがもう見られなくなるのは寂しい。このように、11人もいながら個々が輝ける舞台になっている事が、この【オーシャンズ11】の素晴らしい所だろう。そして、そのキャラクターをしっかりと自分の個性として表現できている宙組の面々も見事だ。と、今回はここまで。後半は、また明日。
2019.04.29
星組の次期トップコンビに、礼真琴と舞空瞳が就任する事が発表された。先ずは、おめでとうを言いたい。まあ、まこっつあんに関しては、もう少し男役として熟成させてからトップに就けて欲しかったというのが正直な所だが、逆にトップスターとして成熟して行く姿を楽しむ時間が増えたとも言えるし、ここは前向きに捉えよう。1作品でも多く、舞台に立ってくれる事を切に願う。そして、今日は月組【ON THE TOWN】のチケット先行販売日。仕事の合間に、いそいそと会員ページを開いたのだが…。………ん? (´・_・`)って、「休演日」じゃねぇかよぉおおおおッ!!!!?(#`Д´)ノノ⌒★┻━┻ マジかよ…。((( ̄д ̄;)そりゃあ、日程を事前に確認しなかった僕も悪いけどさ、ポスターにあんなキャッチコピーまで載せておいて、この仕打ちって……。そんな事する…!?貴方、ドSですか…!? (笑)まあ、とは言え、それならそれで仕方が無い。今回は、潔く諦めよう。さすがに、お客さんを放ったらかしにしてまで、宝塚を優先する訳にはいかない。いくらARIの事が大好きとは言え、夢と現のケジメはしっかりとつけなければ…。それにしても、まさかこんな結末が待っているとは思わなかった…。ある意味「奇跡」だな(笑)。
2019.04.26
2週間ぶりに訪れた花のみちは、桜が散り、既に初夏の装いを始めていた。そんな新緑の景色を抜けて、今日は宙組公演【オーシャンズ11】を観劇して来た。2001年に公開されたジョージ・クルーニー主演の映画は、勿論観ている。ただ、内容はほとんど覚えていない。凄く豪華な俳優陣がスタイリッシュに大金を奪う…、といった程度の記憶だ。だから「もしかすると面白くなかったのかな…?」と、観るまではちょっと不安だった。しかし今日、実際に宙組の舞台を鑑賞してみて、「これは絶対に映画より面白い」と確信した。エンターテインメントの全てが、ここに詰まっている。このまま本場のラスベガスで上演しても通用するのではないか、と思える程の完成度だ。更に、一本立てのミュージカルでありながら、芝居の中にショーの要素が絶妙なバランスで配分されており、宝塚ファンにとっては両方を同時に楽しめる贅沢な内容になっている。主人公オーシャン(真風涼帆)の仲間達にしても、観劇するまでは「10人もいたら、個々の印象が薄くなってしまうんじゃないか…?」と心配していたが、全くそんな事はなく、一人ひとりの個性をしっかりと活かした役作りができていた。(映画版では、ブラッド・ピットくらいしか記憶にない…)彼らをスカウトする場面展開も小気味良く、それでいて感情移入しやすいエピソードが全員にちゃんとあるので、観ている内にどんどん楽しくなってくる。そんな「オーシャンズ11」達と見事に対峙してみせた、桜木みなとの成長にも拍手だ。それにしても、芹香斗亜のジョンソン医師は反則だろう…(笑)。とんでもない髪形と極太まゆ毛で現れた時は何事かと思ったが、まさかそういうアドリブで来るとは思わず、大笑いしてしまった。スリルとロマンスの駆け引きをきっちりと描きつつ、こうした息抜きのギャグも外さない辺りが、今作の魅力ではないだろうか。というように、今公演は文句のつけようが無いくらい楽しかった。おかげで、「DVDは1年に1枚だけ」と言っていたのに、欲しい作品がまた増えてしまった。(こうなったら、大阪にカジノを誘致して、一攫千金を狙うしかないか…笑)別に感想なんて書かなくても、「観れば分かる!!」とだけ言えば全て伝わる面白さだが、なるべく今月中にキャスト別の感想を纏めたいと思う。
2019.04.23
朝夏まなとのInstagramに、七海ひろきが登場!!すっかり女性らしくなったまぁ様に対し、まだまだイケメン盛りの七海ひろき。2人の笑顔に癒されると同時に、「こういう普段の姿が見られるのも、卒業したからなんだな…」と、しみじみ思った。実咲凜音や咲妃みゆの元気そうな姿も見られて、まぁ様に感謝だ。そう言えば、俺っていつから「まぁ様」って呼ぶようになったんだ…?
2019.04.19
他の話題の下書きをしたり、突然の体調不良で全く書けない日があったりしている内に、いつの間にか観劇から1週間以上経っていた。宝塚大劇場での月組公演も終わり、明日からはもう宙組公演【オーシャンズ11】と、若干タイミングを逸した感があるが、何とかレビュー【クルンテープ 天使の都】の感想を書き上げた。今回のレビューは、個人的にはかなり良かった。オープニングから宝塚の華やかさとタイの煌びやかな装飾が見事に嵌まり、荘厳華麗な異国情緒に溢れている。眩(まばゆ)いほど黄金色に彩られていても嫌味が無いのは、その表現が仏教信仰に基づいたものだからだろう。珠城りょうと美園さくらに純朴なイメージがある事も、ただ派手なだけではなく、どこか敬虔な雰囲気を感じさせる要因になった。並んで立つ2人は本当に幸福そうで、僕は何となくブータンの国王夫婦に重ねがら見ていた。そのせいもあってか、僕の中で今回のレビューは「幸福度No.1」という副題が付く事に…(笑)。たまきちと美弥るりかの並びも美しかった。特に、第10場『ブーア(蓮の花)』は、この世のものとは思えない幽玄さで、2人の魂が昇華されるかのような演出が涙を誘う。正に、一蓮托生と呼ぶに相応しい場面だ。涙を誘うと言えば、美弥るりかの銀橋ソロ・第21場『マカプジャ(万仏祭)』も素晴らしかった。ここの楽曲は公演の途中に変更されるというハプニングがあったが、2回目の観劇時の方が感動が大きかったので、個人的には変更されて良かったのかな、と思う。(DVDで映像として残る事を考えれば、尚更だろう)もう1曲変更された第11場『ケングエング(元気)』も、どちらも楽しかったので特に問題無し。曲そのものよりも、千海華蘭のダンスがキレッキレだったのが、一番印象に残っている(笑)。ところで、3年目の真実だが、宝塚を観始めて実はあまり歌詞を聴いていない事に気付いた。中学生の頃から洋楽ばかり聴いて来たせいか、ヴォーカルは「楽器」の一つと捉えるようになっていて、どうしても歌詞の内容より歌唱力や音色に注意が向いてしまうのだ。更に、洋画は字幕が出るので、余計に歌詞に意識を傾ける事をしなくなってしまっていた。ミュージカルを鑑賞する上でこれは明らかに致命的で、これから直して行かなければならないと再確認した。場面は前後するが、月城かなととARIによる第7・8場『ルンム(若さ)』でのムエタイもコミカルで楽しかった。しかも、結構長い時間で、ファンとしては嬉しい限り。朝美絢とのコンビも良かったが、月城とのコンビも大人っぽい雰囲気が出ていて良い。今のところ、ショーではコミカルな役回りが多い2人だが、今回のたまきちと美弥のように、いつか彼らが妖艶に絡むシーンも観てみたいものだ。そして、驚いたのが、第12場での輝月ゆうまの歌唱力だ。これまで、彼女の歌には特に注目していなかったが(…失礼)、ここまで伸びやかに歌えるとは知らず聴き入ってしまった。表現力もあって、1人でも充分に舞台を埋められる存在感を持っている。男役でのソロもぜひ観てみたい。ソロと言えば、第9場の風間柚乃も爽やかな歌声を聴かせてくれた。新公主演も大好評だったようで、これから更なる飛躍が期待される。とは言え、まだまだ若さは隠し切れない。男役としても決して大きい方ではないので、舞台上でいかに自分を大きく見せるかを研究して行けば、やがて本当の意味で目が離せない男役になるだろう。第17場『ライキンドクン(傷)』で女役を務めるARIは、何度観ても感動する。単なる女装ではなく、たまきちの恋人役として女心をしっかりと表現しているのが素晴らしい。一方、第15場や第22場では男役として格好良い群舞を見せてくれて、最初から最後まで極上の時間を過ごす事ができた。DVDでどこまで彼女の表情がクローズアップされているかは不明だが、【カフェブレイク】での映像と併せて楽しみたいと思う。それ以外の場面も月組ファンとしては印象深いものばかりで、更にARIの成長記録としても、ぜひこのDVDは買わなければならないと実感した。ありがとう!!
2019.04.18
ようやく、他のキャストの感想を。気が付けば、ずっとARIの事しか書いてなかった(笑)。2回目の観劇となる【夢現無双】は、前回と同様に「推察しなければいけない情報量が多いのに、展開が早いので、感情移入している暇が無い」という印象を受けた。ストーリーも理解しているのだが、「結局、武蔵は何を求めて生きていたのか?」という本質的な部分が、最後まで見えて来なかったように思う。それでも、珠城りょう演じる武蔵はとても魅力的で、男が見ても惚れ惚れする格好良さがあった。独行道を極めんとする武蔵の生き様と、男役道を極めんとする珠城の姿勢が重なるからだろうか。実在の人物を描いているのに、まるで珠城に当て書きしたかのように映る。一方の美弥るりかも、武蔵とは好対照な清冷な佇まいで佐々木小次郎を体現していた。彼(女)が舞台に現れると、その場の空気がぴしりと張り詰め、存在感だけで只ならぬ強さを感じさせたのは見事と言う他ない。小次郎が実際にどんな人物だったかは知らないが、美弥を通してその生き様を見せてもらったような気がする。また、最後は武蔵に敗れるとは言え、彼を剣豪として無双の高みに導いたという意味では、「若きトップスターとそれを導く熟練の2番手」という2人の関係性にも重なる部分があるのではないか、という感じがした。勿論、彼女自身もトップスターへの夢を追い続けてはいたのだろうが、それ以上に周りを気遣い、慈しむ優しさがあった。(今日の日刊スポーツのインタビューにも、「(卒業後は)応援して下さった方々へ、恩返しの期間を作りたい」と彼女らしいコメントが載っていた)だからこそ、たまきちも美弥を信頼し、トップとしての重責を背負って来られたのだろう。【グランドホテル】の感想の時からずっと書いているが、今の月組に彼女がいてくれて本当に良かったと思う。今公演で卒業にはなるが、これからもその大きな慈愛の瞳で組子達を見守って欲しい。新トップ娘役の美園さくらは、急激な状況の変化にまだ戸惑いもあるのか、少し演技に硬さが見られたものの、武蔵を慕うお通の気持ちはしっかりと伝わって来た。公演を重ねれば、もっと馴染んでくるだろう。(実際、9日に観た時は、前回よりも良くなっていた)たまきちとの相性も良い。愛希れいかとのコンビは「同志」という印象だったが、美園とは「夫婦」という感じがする。レビューでは婚礼の場面もあり、たまきちを見る美園の表情には愛情と信頼が溢れていた。見ていて微笑ましくなる関係性だ。武蔵の幼馴染・又八役の月城かなとは、全くうだつの上がらない駄目男を、愛嬌たっぷりに演じていた。どれだけやさぐれてもどこか憎めない又八のキャラクターと、生粋の美形ながら親しみやすさを感じる月城の人柄とが見事に相まって、奥行きのある人物像に仕上がっている。命を顧みず、強さを競い合うばかりの男達の中にあって、ある意味最も人間らしく、見ていてホッとできる存在だ。同期の輝月ゆうまも、武士でありながら本当はただ調子が良いだけの駄目男・祇園藤次を好演していた。こちらは、最初は凛々しかったのに、だんだん情けない感じになっていく様が見ていて面白い。2人共、役の幅をしっかりと広げ、どんどん頼もしくなっている。これで貫禄や風格が備わって来れば、いよいよダンディズム香る男の領域は目の前だ。彼らに続く夢奈瑠音や蓮つかさも、更に個性に磨きがかかり、安定感が増しているように感じた。今後、どんな男役になって行くのか楽しみだ。また、海乃美月や叶羽時、結愛かれんなど新公ヒロイン経験者らもしっかりとした存在感を示していた。こうした姿を見ると、やはり新人公演では1人でも多くの若手にチャンスをあげて欲しいと思う。それ以外の組子達も、それぞれの役を生き、武蔵と小次郎が生きた時代を鮮やかに蘇らせていた。そこに脇役はいない。老若男女の違いはあれど、皆それぞれの人生を歩みながら、今そこにいる。そうした人々が出会い交わるからこそ、そこにドラマが生まれ、物語が始まるのだ。月組の芝居からは「自分が演じる役の主演は自分だ」という熱意が伝わって来た。だからこそ、どの登場人物達も個性的で活き活きとしていたのだろう。上演時間が随分と長く感じたのは、組子達の芝居の濃さも関係していたかも知れない。ありがとう!!という事で、【夢現無双】の感想はここまで。次の宙組観劇(23日)までまだ日があるので、その間にレビュー【クルンテープ 天使の都】の感想も書いてしまおうと思う。
2019.04.11
き、奇跡が起きたッ!!星組【霧深きエルベのほとり】での七海ひろきに続き、月組レビュー【クルンテープ 天使の都】の階段降りで、今度は何とARIが僕の目の前に!!こんな幸運が続いて良いのだろうか…?今日のA席27列目は抽選方式で当たったものなので、これはもう運命的と言って良いだろう。そして、何と…煌めく笑顔とハイタッチをARIから貰いましたッ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆これまで、頑張って応援して来たご褒美だろうか…。それとも、交通事故の帳尻合わせとして、神様が用意してくれたのだろうか。(ただ、逆にハイタッチの対価が交通事故なのだとしたら、この先ちょっと身が保たないが…笑)普段なら、ジェンヌ達が目の前に来ても恥ずかしくてハイタッチなんて求めないのだが、相手がARIとなれば話は別だ。そして、出掛ける前に何気なく観ていたEテレ【知恵泉】の中で、立川談志が言った「欲しいものは取りに行け」という言葉が妙に印象に残っていて、今回は勇気を出して手を伸ばした。そんな僕にでも笑顔でハイタッチしてくれたARIに感謝だ。更に、近くで見ていて気付いたが、ARIは手を伸ばしてる人がいないかちゃんと探しながら、最後まで皆とハイタッチしており、その優しさにも感動した。その気持ちを忘れず、1人でも多くのファンから愛される男役になって欲しい。ありがとう、ARI !!この奇跡を忘れないために、DVDを購入する事に決めた。ここまでしてもらって、「やっぱり買わない」とは死んでも言えない。後は、楽曲の差し替えが無い事を祈るばかりだ。 桜も綺麗だった。
2019.04.09
「暁千星が大人になっている…」今回の【夢現無双】で、吉岡清十郎を演じるARIが舞台に現れた時、最初に感じたのがそれだった。前回に観た【カンパニー】では等身大の青年を好演していたが、今回はそれ以上の存在感で、京最強と謳われる剣豪のオーラと男の色気を醸し出していた。1年振りの再会だからこそ、余計にその変化がはっきりと感じられる。出番は限られていたが、吉岡清十郎の立ち居振る舞いからは、彼がどんな人間なのか、これまでどんな半生を送って来たのかが、言葉にせずとも伝わって来た。それは、ARIの演じたものが清十郎という「人物」ではなく、彼の「生き様」だったからだろう。星組【霧深きエルベのほとり】の感想でも書いたが、男には生き様が必要だ。何を信念とし、何を守り、何に命を懸けるか…。迷いは不安を生み、不安は後悔を生む。だから、男は自分の進む道に覚悟を決めなければならない。その覚悟が男を精神的に強くし、自由にし、唯一無二の存在にする。ARIの演技からは、そうした男の生き様が感じられた。だから、清十郎はあれだけ魅力的に映ったのだろう。ドスをきかせた声や、女性のあしらい方も随分と様になり、すっかり役者が板に付いて来た。背伸びをせずに、こうした役を演じられるようになったのは、ファンとしては嬉しい限りだ。最近、ARIを巡っては「オラみ」と「バブみ」という言葉をよく目にするが、正にこの振り幅の大きさが、今後更にARIの個性となり武器となるだろう。そして、印象的だったのは、公演プログラムに書いてあった「最後は彼女(朱実)のことを思って突き放すところに彼の人柄が表れている」というコメントだ。以前にも書いた事があるが、ARIの芝居にはいつも「演じる役の良心を拾い上げようとする優しさ」が滲み出る。この姿勢は、【舞音-MANON-】の新人公演でクオン役を演じた頃から何も変わっていない。どんどん成長し変わって行くARIの中に、変わらない部分を見付けたような気がして嬉しかった。レビュー【クルンテープ 天使の都】でのARIも、様々な表情で魅せてくれた。男役ではダンディに、女役ではセクシーにと、今公演ではとにかく大人の色気が増している。これまで自分なりに試行錯誤し、もがきながら培って来たものが、はっきりと形になって表れて来ている証拠だ。第17場『ライキンドクーン(傷)』での女役は、本当に素敵だった。舞台が始まるまでは、セクシーなARIを目の当たりにしたら恥ずかしくて直視できないのではないかと心配していたが(笑)、実際は成長した彼女の姿に感動して、ずっと見入ってしまった。3年前に僕が思い描いた未来の男役像に、この公演でARIは成った。さあ、これから3年後のARIは、どんな男役になっているだろうか。(研10から研11に上がる頃だ)きっと、僕が想像もつかないくらい素敵な男役になっているに違いない。これまでは、何か少しでもアドバイスができるようにと、僕はできるだけ彼女の前を歩いてきたつもりだが、これからはその逞しくなった背中を見守る事になりそうだ。ARIは、もう立派に自分の道を歩んでいる。その道の先に、どんな景色が待っているのか…。楽しみにしながら、これからも応援したい。どこまでも君について行くよ、ARI !! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ 4月(APRIL)は、ARIの季節?今週は他事に気を取られて感想が遅くなったので、他のキャストに関しては、9日以降に改めて書こうと思う。そう言えば、宙組の亜音有星(103期)が新人公演でテリー・ベネディクト役に抜擢されて驚いた。入団当初から注目はしていたが、まさかこんなに早く大役に抜擢されるとは思ってもみなかった。僕の記憶の中では、まだあどけなさの残る印象の彼女だが、果たしてどんなベネディクト像を見せるのか…。本役がずんというのも、何か縁を感じる。たくさん学んで、たくさん楽しんで欲しい。頑張れ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
2019.04.05
七海ひろきの卒業から2日後、今度は美弥るりかの退団公演となる月組【夢現無双】を観て来た。なかなか気持ちの落ち着かない日程だ。しかし、それだけではない。約1年振りに観る月組の舞台には、もう宇月颯も愛希れいかもいなかった。時間は確実に過ぎて行くのだ…。それでも、美園さくらを新トップ娘役に迎えた月組は、いつもと変わらぬ舞台を見せてくれた。いや、「変わらぬ」というのは語弊があるか。前回の感想でも書いたが、組子達はこれまでよりも明らかに押し出しが強くなり、個性の輪郭がはっきりして来ているように感じた。正直、今回の作品は脚本的には弱いと言わざるを得ないのだが、それでも最後まで楽しむ事ができたのは、組子達の個性が前面にしっかりと押し出されていたおかげだ。月組は変わっていないが、変わっていたのだ。それを感じられただけでも、僕にとっては観る価値のある舞台だったと言える。僕は、本当に月組が好きだ。勿論、どの組も好きだが、月組が僕に一番元気を与えてくれる。そして、月組の舞台を観る度に、僕は我が家に帰って来たような気持ちになる。たとえ言葉は交わさなくとも、愛しい人達がそこにいる安心感に包まれるのだ。今回、1年振りに彼らと再会して、改めてその想いを強くした。大好きだよ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆と、話が逸れた…(笑)。先程も書いたように、宮本武蔵の半生を描いた今回の【夢現無双】は、どうにも掴み所の無い印象を受けた。原作小説のエピソードをできるだけ網羅しようと気負うあまり、舞台作品としては却って物語の焦点が見え難くなってしまっている。いっそ、もっと割り切って、武蔵の生き方の本質的な部分だけを切り取って見せた方が、感情移入もし易かったのではないか。(その一方で、武蔵の胸の内をいちいちアナウンスで流したのは、余計な演出だった)武蔵にあまり思い入れの無い僕には、次々と場面展開して行く光景が、RPG(ロールプレイング・ゲーム)の「誰かに会った、何かを得た、レベルが上がった、敵を倒した」の繰り返しのように感じられた。クライマックスとなるはずの巌流島での決闘も、その中の一つで終わってしまったのは残念。まあ、そうは言いつつ、あれだけのエピソードを90分の尺に収めた技量は凄いと思うし、そこに月組の「芝居圧」とも言うべき熱量が加わった事で、体感的には2時間を超える濃密度な舞台に仕上がっていた。登場人物達もそれぞれ魅力的に描かれており、観ていて飽きる事はない。それにしても、この舞台転換の多さは、裏方スタッフは本当に大変なのではないだろうか…(笑)。ありがとう!!という事で、今回はここまで。次回の観劇日(4月9日)までまだ余裕があるので、キャスト別の感想とレビュー【クルンテープ 天使の都】の感想をゆっくり書いて行こうと思う。因みに、タイを舞台にした【クルンテープ】は、個人的には凄く楽しかった。これのためだけにでも、DVDを購入しようか迷っている。昨日、いきなり使用楽曲の変更が発表されたが、これがDVD化へ向けての対応なら、前向きに検討しても良い。(ただ、DVDの購入は1年に1枚だけと決めているので、慎重に選ぶ必要があるが…笑)そう言えば、朝夏まなとのInstagramで久し振りに見た宇月颯は、髪も伸びて普通に可愛い女子になっていた。この人に髭が生えていたなんて、とても信じられない(笑)。まあ様も綺麗だ。
2019.03.30
先日観た映画【カメラを止めるな!】は、作品自体は幼稚で退屈だったものの、改めて宝塚の裏方スタッフに感謝する良い機会になった。彼らは毎日黙々と舞台装置を動かし、照明や音響を操作し、楽器を演奏し、ジェンヌ達と見事な連携を見せながら舞台を作り上げて行く。表立って感謝される事の無い立場だが、彼らがいい加減に仕事をしていては舞台は成立しない。ジェンヌ達が舞台に集中できるのも、裏方への信頼があってこそだ。ありがとう!!そんな本物のプロ達が本気で作り上げる月組公演【夢現無双 / クルンテープ 天使の都】を、今日26日(火)に観て来た。細かい感想は後日に回すが、個人的にはとても楽しめたと言っておこう。約1年ぶりの月組観劇だからなのか、それとも前回【エリザベート】の経験が組子達を成長させたからなのか、個々の押し出しが強くなっているように感じ、凄く濃密な時間を過ごす事ができた。そして、何よりARIの成長に驚いた。たった1年で、人はここまで変わるものなのか…。芝居で演じた吉岡清十郎にしても、ショーでの男役・女役にしても「大人の色気」が半端なくて、僕はずっと見惚れっぱなしだった。彼女はもう完全に殻を破り、次のステップへ進んでいる。3年前、星組【こうもり】を観劇した時、「ARIがまこっつあん位にまで成長してくれたら、もう何も言う事は無いな~」と思ったが、今日見た彼女は正にそれだった。誤解の無いように断っておくが、ARIがまこっつあんと実力で並んだという話ではない。あの時僕が思い描いた未来の男役像に、ARIが「成った」という意味だ。大丈夫だ、もう迷う事は無い。後は、ただ真っ直ぐに、その道を進めば良い。ARI、君は本当に凄いよ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
2019.03.26
昨日、七海ひろきが最後の【カフェブレイク】に出演した。普段なら待ち遠しいこの日も、今回だけはどこか寂しい気持ちになる…。しかし、自身の退団に際しても、彼女の口から出て来る言葉は、宝塚への愛で溢れていた。僕が過去を振り返り、ちょっと感傷的になっている時に、彼女は宝塚の未来を見て語っている。その想いの真っ直ぐさに、改めて心を打たれた。そうした姿勢は、今公演で演じるトビアス役にも表れていたように思う。本人が「頑張り過ぎない」と言っていたように、良い具合に肩の力が抜けた芝居からは、自然とトビアスの生き様が滲み出し、それは七海ひろきの生き様とも重なって見えた。真っ直ぐで、男気があって、懐が深く、それでいて爽やかな色気が漂う男役…。でも、凄く純粋な部分もあって、時折見せる少年っぽい笑顔が可愛くてキュンとなる。(何を語ってるんだ、俺は…笑)そんな稀有な魅力を持ったタカラジェンヌだった。舞台映像を見ていると、今でも退団する(=男役を卒業する)人だとはとても思えない。寧ろ、これから更に渋さが増して、ダンディズムを自然体で演じられる男役になるだろう…、と期待感ばかりが膨らんでしまう。しかし、七海ひろきは、最も輝き、愛されている時の退団を選んだ。きっと、これから宝塚の舞台を観ている最中に、そこに彼女がいない寂しさに不意に襲われる事もあるだろう。それでも、七海ひろきが男役として爽やかに宝塚を去ろうと言うなら、僕も笑顔で見送りたい。勿論、これは飽くまでも僕個人の態度であり、見送り方は人それぞれだろう。寂しいものは寂しいし、悲しいものは悲しい。ただ、人によってその表現の仕方が違うだけだ。そうした想いがたくさん集まって、1つの大きな「愛」の花束となり、彼女に届けば良いと思う。僕は僕らしく、ここから笑顔で手を振ろう。「俺と付き合ってくれ!」「はい、喜んで♡」*・゜゚・*:.。 。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。 。.:*・゜゚・*って、お前じゃねぇだろ、馬鹿ッ!!o(#`∧´)−⊃))*д °;) ドカァッ!!前前前世から、五体投地でやり直して来いッ!!
2019.03.18
しまった、また油断していた…。と言うより、最近は衝撃的な発表が続くあまり、無意識に宝塚の話題を頭から追い出そうとしているせいか、全く予想すらしていなかった。更に、映画を観る事に気を取られ、公式HPで発表を見たのは、映画の感想を纏めた20時過ぎ。花組トップスター、明日海りおが退団。ついに、この日が来てしまった…。彼女は、僕が初めて生で観劇したトップスターというだけでなく、「清く、正しく、美しく」という宝塚のイメージを最も体現するトップスターでもあった。宝塚駅前にある像は、僕にはいつも明日海りおに見えていたし、きっとこれからもそうなのだろうと思う。その彼女が、宝塚を去る事を決めた。僕が宝塚を観始めてから唯一残っていたトップという事もあり、僕にとっては正に一つの時代が終わるような感じだ。しかし、寂しいというよりも、今は何故か「お疲れ様」という労(ねぎら)いの気持ちの方が強い。一時期、随分と痩せた印象を受け、健康面を心配した事もあるだけに、本人が退団を決意したなら、そうさせてあげたいと思うからだ。男役としては決して恵まれた体格ではない彼女が、5年もの間トップとして舞台に立ち続け、花組だけでなく宝塚全体を牽引してくれた事は感謝しかない。いや、彼女がこれまで背負って来たものの大きさを考えれば、「感謝」などという言葉では軽すぎる位だ。常にチケット難だった明日海りおのサヨナラ公演となれば、若輩者の僕などが手に入れられる可能性はほとんど無いだろうが、申し込みだけはしてみようと思う。たとえチケットが取れなくても、その分彼女を愛するファンが1回でも多く観られるなら、その方が良いような気もするし、今回は贅沢を言わず謙虚な姿勢で臨みたい
2019.03.13
できる事なら、今の記憶をリセットして、ARIとずん位しか知らなかった3年前に戻して欲しい。そうすれば、各組の集合日が来る度に、こんなに胸を痛めずに済むのに…。あの頃は、ただ単純に舞台を楽しみ、男役の格好良さに酔いしれているだけで良かった。それが、少しずつ色々なジェンヌを知り、彼らに対して愛着を覚えるようになるにつれ、その人達の退団が単なる「卒業」というよりは「損失」と感じるようになってしまった。勿論、その間にも若手が育ち、ファンは新たな個性を見付け、劇団は新陳代謝を繰り返して行くのだが、その一方で確実に何かが欠落するような思いも経験するのだ。それが辛い。ファン歴の長い人達がよく「宝塚を離れていた時期がある」と書いている事の意味が、最近になって理解できるようになって来た。純矢ちとせ澄輝さやと蒼羽りくこの3人の同時退団は、本当にショックだし信じられない。【オーシャンズ11】を1回だけでも観られて良かった。それにしても、劇団はこの状況をどう受けて止めているのだろうか…。これを良しとしているのだろうか…。
2019.03.08
花粉なのかPM2.5なのか、最近やけに目が痒い。鼻詰まりは毎年の事ながら、それでも2月から症状が出る事はなかったし、今年は例年よりも酷い気がする。これがいつまで続くのか…。とりあえず、花組【CASANOVA】の感想を纏めてしまおう。カサノヴァ(明日海りお)が本気で恋をする女性ベアトリーチェを演じるのが、今公演で退団する仙名彩世だ。非常に女性的でありながら、同時に芯の強さも感じさせる演技が彼女の持ち味だが、今回のベアトリーチェはちょっとおてんばな印象もある快活な役柄で、最後の公演で新たな魅力を見せてくれたと言える。(まあ、僕が観た彼女の作品はごく限られているので、飽くまでも私感だが…)芝居と歌唱に関しては、文句無し。明日海りおとの絡みは、いかにも理想のカップルと言った感じで、どんな役柄であろうと安心して観ていられる。退団後も、ぜひ舞台を続けて欲しいが、どうなんだろう…。カサノヴァの相棒(?)となるバルビ神父を演じる水美舞斗は、どんどん良くなっている。芝居心があり、男臭さを感じさせる役者で、今やその存在感は柚香光に引けを取らないまでになっている。さすがに、ここまでの急成長は、僕にも予測できなかった。今後の更なる飛躍が楽しみだ。対する柚香も、楽しそうに敵役のコンデュルメルを演じていた。【ME AND MY GIRL】のパーチェスター役の時も感じたが、彼女はコメディに向いているのかも知れない。それでも、妻(鳳月杏)と絡む場面では、非常に複雑な表情を見せる巧みさも持ち合わせており、2番手としての役割をしっかりと果たしていたと思う。互いに切磋琢磨し合い、95期を更に盛り上げて欲しい。(個人的には、95期のトップ就任はもう少し待って欲しい気もするが…)カジノの場面での、綺城ひか理や聖乃あすからも良かった。彼らの役どころは、新思想の自由人達「アヴァンチュリエ」だが、正に宝塚の次世代を担うであろう若手達が、個性を発揮しようと熱演する姿は、観ていて微笑ましかった。あそこは、個人的にお気に入りの場面だ。特に聖乃は、新人公演主演の経験から肝が据わって来たのか、どっしりとした演技を見せるようになり、グループの中心的存在という印象を受けた。(その落ち着き具合は、イカサマ賭博師という役柄にも合っていたように思う)「フェアリー系を返上する」という言葉通り、少し男っぽさも増して、これからの成長がますます楽しみだ。綺城も体当たりの演技を見せ、観客を楽しませてくれた。飛龍つかさは…。彼女もきっと良い男役なのだろうが、僕はまだその魅力を見出せないでいる。今後に期待したい。出番は限られていたが、きちんと存在感を示した瀬戸かずやの上手さは、さすがの一言だった。夏美ようや高翔みず希の演技も、若者達のドタバタ劇の中で良いアクセントとなり、物語を引き締めていた。(夏美演じるミケーレ伯爵の正体は「ああ、そうか!!」という意外性があって面白かった)こうして、ベテランと若手がバランス良く活躍できているのが、今作品の見所でもあるだろう。それにしても、鳳月杏の美しさはどうした事だろう…。彼女の女装(?)姿は【ME AND MY GIRL】のジャッキー役でも見ているが、今回の妖艶で神秘的な色気はとてもその比ではない。何故、コンデュルメルが彼女を放ったらかしにするのか、全く理解できない(笑)。(まあ、そういう話だから仕方が無いのだが…)そして、更に魅了されたのが、その歌声の素晴らしさだ。特に高音の伸びは圧巻で、それはまるでセイレーンかローレライのように僕の心を虜にし、永遠に愛の海を彷徨(さまよ)わせるほどの魔力を持っていた。気絶するほど悩ましいとは、正にこの事だ。客席の拍手も、ひと際大きかったように思う。このコンデュルメル夫妻の気持ちのすれ違いが、物語の中で上手く機能していなかった事が、今作品で一番残念な所と言えるだろうか。鳳月と柚香の表情から、2人の仲が必ずしも冷え切った関係でない事は分かるのだが、その描き方が不十分なため、どうしてもラストの展開が唐突に感じてしまったのだ。もう少し、素直になれない男女の気持ちを、丁寧かつ明確に描写して欲しかった。(今回は、鳳月と柚香の演技力に救われた感じだ)という事で、花組公演【CASANOVA】の感想はここまで。最初にも書いた通り、脚本的には甘い部分があるものの、それを補って余りある魅力をジェンヌ達が振り撒いてくれているので、宝塚の舞台としては充分に成功していると言えるのではないか。ドーヴ・アチアが提供した楽曲も聴き応えがあり、フランク・ワイルドホーンとはまた違う魅力を感じた。特に、サビのメロディが個性的で耳に残った。ありがとう!!次回は、月組公演【夢現無双】だ。【エリザベート】を見逃しているので、約1年振りの月組観劇となる。ARIには勿論、月組の皆と再会できる事が楽しみでならない。観劇日は、3月26日と4月9日(どちらも15時公演)の2回。そして、宙組公演【オーシャンズ11】は、抽選方式で4月23日分の席を確保でき、何とか最悪の事態だけは避ける事ができた。(先着順方式は、案の定あっという間に売り切れて撃沈された…笑)ずんの悪役ぶりに注目したい。因みに、タイトルは日本のミュージシャンChar(チャー)の曲【気絶するほど悩ましい】から。作詞は、阿久悠だ。
2019.03.03
月組による次回大劇場公演の演目が【I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調べ-】に決定した。母国オーストリアではかなり話題の作品らしく、外国語による上演は宝塚歌劇団が初となる。YouTubeで見た限り、明るく前向きで、爽やかな感動を届けてくれる作品のようだ。今の月組のイメージには合っているのではないだろうか。鳳月杏が参加する初の月組公演でもあるが、今から配役が楽しみだ。映像に出て来るお婆ちゃんが、妙に気になって仕方がない(笑)。オーストリアの第二の国歌とも称される主題歌【I AM FROM AUSTRIA】も、歌詞の意味は分からないが、メロディが美しく一緒に歌いたくなる曲だ。宝塚では、どんな日本語訳の歌詞が付くのだろうか。
2019.02.26
若い頃は、確かに「女性にモテたい」と思っていた。「もっと、格好良く生まれていれば…」と(笑)。しかし、離婚して齢も40を過ぎると、逆に「モテたらモテたで、色々と大変だろうな…」と思うようになった。女性の期待や要望に応え続けるのは、至難の技だ。僕のように貧乏暇無しで、女心も分からない男は、独りの方が性に合っている。なんて事を、一度だってモテた試しが無い男が言うと、ただの「負け惜しみ」に聞こえるので、この辺で止めておこう(笑)。今は、遠くからすみれの花達を愛でるだけで精一杯だ。そんな僕とは恐らく真逆の生き方をして来たであろう男が、今回の花組公演【CASANOVA】で、明日海りおが演じている主人公のジャコモ・カサノヴァだ。しかし、これは「演じている」と言うより、むしろ「明日海りおの魅力をカサノヴァに喩えて見せている」と言った方が良いのかも知れない。それ位、今回の舞台では両者が重なって映った。ファンも、カサノヴァの物語と言いながら、絶対に明日海りお本人に酔いしれていたに違いない。(彼女の「だろうな」という声が聞こえて来そうだ…笑)その美貌と美声、耽美な空気感に触れていると、彼(女)がたとえ自分一人だけのものではないと知りながらも、今だけはその愛に包まれていたいと思ってしまう。また会ってくれるなら、そのひと時のために、彼(女)の罪深さを許してしまいたくなる。そんな稀代のプレイボーイ像を、「宝塚のカサノヴァ」明日海りおが、愛と包容力を持って完璧に体現してくれた。これはもう、溺れるしかない(笑)。(【宝塚GRAPH / 2018年2月号】より)という事で、短いが今回はここまで。他のキャストの感想も書いてはいるのだが、どうも上手く纏らず、文章が細切れ状態なのだ。全部を書き上げていたら、一体いつになるか分からないので(笑)、とりあえず纏った分だけを。
2019.02.25
僕は常々「望海風斗は宝塚のスケールを超えている」と言って来たが、今回はポスター画像の段階から既に宝塚のイメージを凌駕するリアル感と完成度で驚かせてくれた。彩風咲奈と真彩希帆の表情も素晴らしく、本当に宝塚じゃないみたいだ…(笑)。(今回はあまりに見事なので、公式HPの画像を一切編集せず、そのまま載せる事に)原作は浅田次郎の小説で、中井貴一を主演に映画化もされているが、僕は観ていない。観劇する前に映画で予習するべきか、それとも予備知識を何も入れずに観劇するべきか、今真剣に悩んでいる…(笑)。
2019.02.23
北翔海莉の母親に脱税疑惑が持ち上がり、驚いている。新聞記事を読む限りでは、申告漏れがあったのは事実のようだ。(問題は、それが単なるミスなのか、それとも故意なのかという事なのだろう)僕は、誰かの私設ファンクラブに入った事もなければ、その個人事務所やFCがどのように運営されているのかも知らないので、これについて何かを語れる立場にないが、宝塚の関係者、特に大好きなみっちゃんがこのような形で好奇の目に晒される事になってしまったのは、残念で仕方がない。つい数ヶ月前に、結婚というおめでたい報告があったばかりなだけに尚更だ。本当に、昨年末から色々な出来事が続いて、気持ちが追い付かない。(実は、先月も、常連さんの息子が警察に逮捕される事件を起こしたと聞いて、驚いたばかりだ)自分の不幸なら、いくらでも笑い話にできるのだが…。しかし、まあ、動揺してばかりもいられないので、気を取り直して花組公演【CASANOVA】の感想を書いて行こう。キャスト別の感想は後回しにして、今回は作品全体の印象を。18世紀のヴェネツィアに生まれ、1000人もの女性と浮名を流した男、ジャコモ・カサノヴァ。彼にとって、恋は生き甲斐のようなものだった。しかし、どれだけ恋を重ねようと、本当に愛する事ができる相手は、世界にただ1人だけ。そんな運命の女性ベアトリーチェと巡り逢いながらも、今度は過去の自分の行いが障壁となり、彼は彼女に辿り着く事ができない…。花組【CASANOVA】の内容を簡単に説明すると、そんな感じになるだろうか。直前に観た【ファントム】や【深きエルベのほとり】の濃密さ、濃厚さに比べると、今作はもっと軽いテイストの「オードブル」のような作品だ。イタリアの人生訓よろしく『マンジャーレ(食べて)、カンターレ(歌って)、アモーレ(恋をして)』いる内に、何となく舞台が終わる。だから、観終わった後も、大きな満腹感は無い。僕のように、脚本に重点を置いて観る向きには、物足りなさを感じる内容だろう。実際、全体的に予定調和な印象は否めず、特に第二幕は物語を一気に収束させようとするあまり、唐突さや強引さを感じる展開が目立った。登場人物達の会話や表情から、表現したい事はそれなりに伝わって来るのだが、何故そうなったのかを観る側にきちんと納得させるだけの根拠に欠けた。ただ、そうは言いつつも、一本立てだけあって、ベテランから若手まで満遍なく見せ場があり、そういう意味でオードブルのように楽しめる作品である事は間違いない。特に、明日海りおの魅力に溺れたい人には、これ程お誂(あつら)え向きな作品は無いだろう。その辺りも含めて、次回はそれぞれのキャストについて書いてみようと思う。ところで、どうでも良い指摘かも知れないが、あの場面はやはり【アナと雪の女王】をイメージしたのだろうか。ベアトリーチェが歌いながら階段を上って行く姿を観ながら、僕の頭の中で『Let It Go』が流れて来て「何だか似てるな〜」と思ったのだ。終演後にはすっかり忘れてしまっていたが、感想を書いてからいつものように【薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス】をチェックしたら、彼もその事に触れていて、同じように感じた人がいたと知り嬉しかった(笑)。
2019.02.21
七海ひろき卒業の感傷に浸るあまり、気にも留めていなかったが、そうだった。その可能性がある事をすっかり忘れていた。星組トップコンビ、紅ゆずると綺咲愛里が退団発表……。正直、2人に対しては、頑張って欲しいとは思っていたが、特に何かを期待してはいなかった。寧ろ、七海ひろきと礼真琴、そして瀬央ゆりあばかりに注目していた。しかし、公演を重ねるにつれ、組子達が徐々に個性を発揮し、組が輝きを増して行く様を見て、自分の見立てが間違っていた事に気付かされた。彼らがトップになるには、やはりそれだけの理由があったのだ。今回の【霧深きエルベのほとり】でも見事な演技を見せており、次回作で退団なんて想像すらしていなかった。そして、今日の発表に、思った以上に動揺している自分がいる。僕はいつの間に、こんなにも彼らを好きになっていたのか…。寂しい……。
2019.02.05
また月が欠ける…。鳳月杏の組替えが決まった時点で、何かあるだろう事は予測できたが、できればそれは誰もが喜べる方向であって欲しいと思っていた。しかし、劇団から発表されたのは、悲しい報せだった。たとえそれが彼らの宿命とは言え、あまりに満ち欠けが激し過ぎて、僕はどんな気持ちで夜空を見上げれば良いのか…。彼女が今の月組にもたらしてくれた恩恵は、余りに大きい。それは、ファンに限らず誰もが認める所だろう。それだけに、この結末にどう言葉を掛けて良いのか分からない。美弥るりか退団…。鳳月と同じ舞台に立つ事も無い。3週間前のあの喜びは何だったのか…。いつでも、月はそこにあるのに……。今はまた、涙で滲んでしまっている。とりあえず、気を取り直して、2度目の星組公演【霧深きエルベのほとり】観劇の感想を。言葉を選んでいたら、思ったよりも時間が掛かってしまった。ストーリーが頭に入っているからだろうか、3週間前に観た時以上に感情が込み上げて来て、涙をこらえるのに必死だった(笑)。前回はオーバーアクションに感じた紅ゆずるの芝居も、カールの人柄を知るにつけ、どことなく愛おしく思えて来る。そんな「動」のカールに対して、終始「静」の姿勢で周りと接していたのがフロリアンだ。礼真琴は、まだ僕が求める「覚醒」には至っていないが、フロリアンが抱える複雑な想いを、誠実さを持って丁寧に演じていた。【ファントム】でキャリエールを演じた彩風咲奈に続き、良い配役に巡り会えたと言えるだろう。話が逸れるが、今の芹香斗亜や美弥るりかがそうであるように、僕は「2番手はトップと双璧をなさなければならない」と考えている。それが、組の魅力をより一層際立たせる。翻って、現在の星組は、やはり紅ゆずるの色が非常に濃く、礼はどこか一歩引いて振舞っているように映る。今回のフロリアン役は、そうした彼女の姿勢が上手く作用し好演に結び付いたが、彼女はもっと我を出して良いように思う。そこから見えて来る景色が、必ずあるはずだ。全国ツアーで、ひと皮剥けるか…。話を戻そう。思った事を口にできるカールに対し、常に受け身のフロリアンは誰よりも辛い立場にある。迷う時もあれば、心が折れそうになる時もあるだろう。それでも、その場の感情に流されず、誰に対しても公平であろうとする彼の姿勢は尊敬に値する。自分の気持ちを偽る事と、心を強く保つ事は全く意味が違う。彼は、自分の弱さと真摯に向き合える信頼できる若者だ。カールのように振る舞う事はできても、フロリアンのように生きる事は難しい。そんな彼が、自らの言動の拠り所とするのが「真心」だ。偏った価値観の上流階級にあって、何故あそこまで誠実な青年が育ったのかは興味深い所だが、彼は常に私心を捨て、自身の信じる「真心」に従って行動する。それは、相手がどうとか、得とか損とかという問題ではない。「自分がどう生きるか」という彼自身の信条の問題であり、覚悟の問題だ。白洲次郎の言葉を借りれば「プリンシプル(原理・原則)」という事になるだろう。その真心を素直に表現できるフロリアンと、照れ隠しからつい憎まれ口を叩いててしまうカール。出自も生き方も全く違う2人ではあるが、自分の幸せよりもマルギットの幸せを優先しようとする部分ではどこか分かり合っていたような気がするし、そこに奇妙な男の友情を感じさせた。マルギットの傍にいる男性がフロリアンだったからこそ、カールもまた自ら憎まれ役を買って出て、身を引いたのではないか。そんなカールとフロリアンの態度を見ながら、僕は漫画【北斗の拳】の最終章で描かれたバットの姿を思い出した。バットも、愛する女性リンと結婚できる立場にありながら、「それは彼女の本当の幸せではない」と言って、リンをケンシロウに託し自らは身を引こうとする。状況は全く違うが、「自分の幸せは愛する人が幸せになる事であり、自分が愛する人と一緒になる事ではない」という、頑(かたく)ななまでに不器用な男の愛の形は、彼らに共通しているだろう。自由と権利の名の下に、自己主張と承認欲求ばかりが強くなり、「忍耐」と「我慢」の違いが分からなくなっている現代社会では理解され難い生き方ではあるだろうが、僕はカールとフロリアンの中に確かな男気を見た。格好良い男には、ただ普通に生きるのとは違う、男としての「生き様」が必要だ。そして、その生き様を見せてくれるのが、宝塚の男役にほかならない。だからこそ、僕は宝塚が好きなのだ。(どこぞの宮家の婚約者にも、これ位の気概を持って欲しいものだが…)そんな2人の男の「真心」に触れたマルギットは、その後どうなるだろうか…。最後の場面、マルギットもフロリアンも何も語らないまま幕が降りるので、ここからは僕の想像になるが、もしマルギットがカールの愛と優しさに気付ける女性なら、やがて必ずフロリアンの愛と優しさにも気付く日が来るだろう。(そもそも、彼女が家出したのは父への反発心からであり、フロリアンを嫌っての事ではない)カールと出会い、誰かを愛する事、そして愛される事の意味を知った今なら尚更だろう。【霧深きエルベのほとり】は、世間知らずだったお嬢様が、一人の大人の女性へと成長する過程の物語でもある、と僕は思う。(願わくは、妹のシュザンヌもそうであって欲しい)そうでなければ、マルギットにヒロインとしての資格は無い。綺咲愛里の芝居は、そうしたマルギットの「イノセント(罪の無い)」な雰囲気をとてもよく出していた。レビューでも大人の色気が漂い、思わず見惚れてしまった程だ。これまでは「可愛さ」が先に立ち、紅ゆずるの背中を必死に追い掛ける姿に好感が持てたが、今回の舞台ではひと皮剥け、トップ娘役としての成長をしっかりと感じさせてくれた。紅・綺咲コンビに、また新たな代表作が加わったと言えるだろう。カールの水夫仲間達は、出番は限られていたが、それぞれに個性を出そうと頑張っていた。その中で、今回特に印象に残ったのが、オリバー役を演じる麻央侑希だ。頭は鈍(とろ)いが心優しくおっとりとした彼は、騒々しい連中の中にあって癒し的な存在になっている。そんなキャラクターを麻央は、素直に表現していた。後は、ヨーニー役の天飛華音だろうか。8日の公演を観た時に「そんなに声を張り上げて、千秋楽まで喉は保つんだろうか…?」と余計な心配をしてしまったのだが(笑)、3週間後に観た時も同じように叫んでいたので、きっと喉が丈夫なのだろう。(しかし、ケアだけは忘れずに…)七海ひろきのトビアスも相変わらず格好良く、カールの不器用さとは違い、最初から最後までスマートな男の生き様を見せてくれた。勿論、見えない所では色々な苦労をして来たのだろうが、だからこそ身に付けられる余裕や器の大きさを感じさせ、それはそのまま七海自身の生き様とも重なって見えた。いつだったか「彼女には(男役というより)唯一無二の七海ひろきを極めて欲しい」と書いたが、今回のトビアス役は正にそれを体現する芝居だったのではないか。最後の台詞も、そんな七海ひろきらしさが表れた実に爽やかな一言で、涙と笑顔が一緒に出てしまった(笑)。七海ひろき、おめでとう!!そして、星組の皆んなありがとう!!……………あ、レビュー【ESTRELLAS(エストレージャス)】の感想を書くスペースが無くなった…(笑)。
2019.02.02
アイドルグループの嵐が、2020年末をもって活動を休止する事が発表された。スポーツ紙だけでなく、朝日新聞も朝刊の1面でニュースを報じており、改めてその存在感と影響力の大きさを感じさせた。嵐に限らず、ジャニーズ関連のニュースを読む度に、アイドルも1人の人間であり、弱さや脆さ、事務所やファンに対する不満や葛藤、本音と建て前があるのだと考えさせられる。(結局、「アイドル」とは、それを求め欲する者にとっての「偶像(=理想)」なのだろう)今回も、メンバー5人にそれぞれの想いがある上での活動休止なのだという事が、会見内容から垣間見れて興味深かった。僕は別に嵐のファンではないし、曲すらほとんど聴いた事がない人間だが、彼らがその結束力と努力でこれまで築き上げて来たもの、そして世間に対して貢献して来たであろう事の大きさには、最大限の敬意を表したい。と、ここからは、普通に宝塚の話題。遅ればせながら、宙組【オーシャンズ11】について。最初は、星組観劇の感想と併せて軽く触れる程度でいたのだが、思ったより長くなったので、単体で載せる事にした。それにしても、凄くスタイリッシュなポスター画像だ。映画のポスターと言われても違和感が無いくらい格好良い。これで、またチケットが取り難くなるんじゃないだろうか…(笑)。桜木みなとは、期待通り敵役のベネディクトに選ばれた。今後のずんの成長のためには、今回のベネディクトはどうしても経験しておかなければならない重要な役だ。(その意味でも、【異人たちのルネサンス】の感想では「芹香斗亜や愛月ひかるの芝居をよく観察するように」とアドバイスした)正直、ポスター画像を初めて見た時は「もっと黒くて(=ワルくて)良い」と思ったが、後になって「これは、もしかして衣装も関係しているのか…?」と考え直すようになった。つまり、オーシャンズの面々と服装が被ってしまっているために、敵役という印象が前面に出ていない、という事だ。(過去2度のポスター画像を見る限りでは、ベネディクト役を演じた紅ゆずると望海風斗も服装で敵役と分かる程度で、特に「ワルい」表情はしていない)いずれにせよ、ここからどれだけ「成功者」や「権力者」の存在感が出せるかだろう。社会的に見れば、オーシャン達の方が明らかに「敗者」であり、ベネディクトは「あんな奴等に負ける訳が無い」と思っている。彼は常に「勝者」なのだ。(裏の顔を覗かせつつ)その雰囲気をいかに表現できるか。頑張れ、ずん!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆オーシャンズ相手に遠慮はいらない!!せっかくなので、「お約束」も。「wink!!」ズギュゥゥウウウンッ!!!!*・゜゚*.。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。.*゜゚・*咲ちゃん、君もかい…?(笑)次回は、【霧深きエルベのほとり】で礼真琴が演じるフロリアンを中心に語ってみたいと思う。怪我の具合は、何だか面倒臭い事になって来た。処方された湿布薬もきつかったのか、貼り始めて10日程で炎症が起きて、患部が赤くただれてしまったのだ。今は市販の塗り薬で様子を見ているが、とりあえず暫く湿布は使えない。コルセットも、付けて3日目位に背中に張りが出て外してしまったし、事故の痛みよりも、そこから派生する他の痛みに悩まされる羽目になっている。熟睡もできないので疲れも抜けないし、踏んだり蹴ったりだ。これが、いつまで続くのか…。そして、理由は聞かなかったが、塗り薬を購入した際、薬剤師の人から「甘い物は控えて下さい」と言われた。スイーツ男子の僕に、甘い物を我慢しろだとぉぉおおおおッ!!!?早く全快したいよ、トホホ……。(´Д` ;)う〜ん、今年に入ってから弱音ばかり吐いてるな…。
2019.01.28
15日(火)は、9時から病院へ行って診察してもらった。(ただし、名前を呼ばれたのは、受け付けしてから2時間半以上も経ってから…笑)11日のCT検査では異常無しと言われていたのだが、改めて超音波検査したところ、「右肋骨が軽く折れている」と言われ、1ヶ月後に再度通院してレントゲンを撮る事になった。処方されたのが胸に巻くコルセットと湿布薬だけなので、大した症状ではないのだろうが、とりあえずあの痛みが真っ当なものであった事が証明されて安心した。実は、誰にも気付いてもらえなかった事で、「あれ、もしかして俺が大袈裟に痛がってるだけで、本当は大した怪我じゃないのか…?」と、ちょっと弱気になっていたのだ(笑)。星組観劇を優先していたら、骨折に気付かぬまま更に1週間を過ごす事になっていたし、今回は僕のへなちょこ判断も大目に見てもらえるだろう(笑)。その代わり、事故処理がひと段落したという事で、改めてチケットを購入し直し、29日(火)の15時公演を観に行く事にした。席は2階の一番端っこだが、あれだけ見事な内容の作品で、尚且つ七海ひろきの最後の晴れ舞台を、たった1回で終わらせる訳にはいかない。という事で、キャスト別の感想は次回の観劇後にして、今回は【霧深きエルベのほとり】作品自体の魅力を書こうと思う。それだけでも書く価値のある、紛れもない名作だ。この作品を現代に甦らせてくれた、上田久美子に感謝したい。とにかく、台詞の一つひとつが奏でるハーモニーが美しい。観劇しながら、僕はずっと心の中でタクト(指揮棒)を振っていた(笑)。それ位、何度も再演を繰り返す中で研ぎ澄まされて行ったであろう言葉達は、どの場面でも過不足なく五線譜(脚本)の上に並び、気持ち良く心に響いて来た。しかも、理路整然としていながら、そのどれもがしっかりと叙情的であるという素晴らしさ。若い脚本家には、ぜひこのレベルを目指して欲しい。台詞だけではない。登場人物達が心情を語る、その語らせ方も実に見事だ。特に、第12場でのフロリアン(礼真琴)、第13場や第15場Bでのカール(紅ゆずる)のように、単に本人の言葉として想いを語るのではなく、兄や小説家など「他の誰かに見立て」て語らせる手法は、もはや神業と言って良い。これにより、場面のテンポや音色が変わり、作品全体にえも言われぬ哀愁や深みが生まれるのだ。更に、そこまで饒舌に想いを語らせつつ、逆にラスト第16・17場は敢えて何も語らせないという余韻の作り方も上手い。この作品に携わる事ができた星組生達は、本当に幸運だと思う。そして、菊田一夫と上田久美子という2つの才能が出会う事で生まれた「トビアス」という役で、宝塚を送り出してもらえる七海ひろきも、また幸福だと言えるだろう。というように、僕は大絶賛したいほど気に入った【霧深きエルベのほとり】だが、確かに全体を通して古臭い印象は否めない。この前時代的とも言える物語が、現代のファンの感性ににどこまで響くかは未知数だ。しかし、105周年というタイミングで、本作が再演された事は、今後の作品の傾向を占う試金石となるかも知れない。歌舞伎や落語にも古典と新作があるように、宝塚にも次の100年に向けて、未来に伝えるべき「古典」が出て来るのは当然の事だ。映画にしろ舞台にしろ、名作と呼ばれるか否かは、その作品に「時代を超える力」があるかどうかだと思う。どの時代の人間が観ても、訴えかけて来るものがあるかどうか…。その力がある作品は、時代を超えて残って行くだろう。それを見極めようという動きが、劇団内にあるのかも知れない。もしそうなら、「新作主義」と言われる宝塚にあって、この試みは新たな挑戦となるだろう。と、ここまで書いていたら、昨日(18日)のデイリースポーツ紙で、小川友次理事長が今年のテーマを『温故創作』だと語っていた。「過去の作品をリボーンする」と。事故の痛みにかまけて感想を後回しにしていたら、先に正解が出てしまった…(笑)。(しかも、これだけはっきり宣言されてしまうと、僕が頑張って推察した意味が…笑)話を続けよう。同じデイリースポーツ、11日掲載のインタビューの中で、紅ゆずるは「この作品は、現代では忘れかけられている人情というか、他人のために自分が犠牲になる事も厭わないといった気持ちが描かれている。(中略〜)この作品を通して、現代では忘れられているものを、思い出してもらえれば嬉しいですね」と語っていた。もしかすると、演出した上田久美子も、本作に対するファンの評価を、時代の「バロメーター」にしようと考えているのかも知れない。目先の「損得」が人々の行動原理となり、自分の意見や感情を相手に押し付ける事が「正しさ」であり「権利」であると考えられるようになった現代において、この【霧深きエルベのほとり】がどこまで人々の心に届くか……。「変わりゆくもの」と「変わらないもの」、或いは「変えなければいけないもの」と「変えてはいけないもの」。彼女は、紅の個性を借りて、それを推し量ろうとしているのではないか。インタビューの最後に語られた「この作品を通して、現代では忘れられているものを、思い出してもらえれば嬉しいですね」という言葉は、紅だけではなく、実は上田から託されたファンへのメッセージなのではないかと思う。僕達がそれを正しく受け取れるかどうか…。そう言えば、前回の記事の中で、僕は本作の印象を映画【男はつらいよ】に喩えたが、先述のインタビュー内で紅が「(主人公カールのイメージは)強いて言うなら【男はつらいよ】の寅さんかな(笑)」と同じ事を語っているのを読んで、安堵した。僕としては一番分かりやすい例として【男はつらいよ】を挙げたのだが、正直これで作品のイメージが上手く伝わるかどうか、ちょっと心配だったのだ。読む人の感性や世代によっては、ミスリードになる可能性もある。しかし、演じている本人が、車寅次郎を思い浮かべているのなら大丈夫だろう。(まあ、紅自身も「強いて言うなら」と断りを入れているが…)因みに、【男はつらいよ】の第1作目が公開されたのは1969年。対する【霧深きー】の初演は1963年と、宝塚の方が実は先になる。…………あれ?という事は、もしかして寅さんのモデルは、カール・シュナイダー…?(笑)
2019.01.19
生きてます!! (^-^)(当たり前だ)でも、痛いです…。(T^T)(うん、まあ、それはご愁傷さま…)右膝と右胸の痛みに耐えながら、結局1日も休まず営業し、何とか3連休を乗り切った。(12日だけは、さすがに午前中だけで閉店したが…)寝起きは確かにもの凄く痛いのだが、仕事を始めると集中するせいかあまり痛みを感じなくなり、思ったよりも動けるのだ。また、外傷が一切無く、僕も自分から言うタイプではないので、お客さんは誰も僕が前日に車と接触した事に気付かず(笑)、表面的にはいつも通りの連休となった。まあ、客なんてそんなもんだよな…(笑)。ちぃいなぁあつぅううううッ!!!(どさくさに紛れて、初めてちなつ呼びしてみる…笑)鳳月杏が、月組に帰って来る!!!(でも、月組にいた頃の彼女を全く知らない…笑)多くの人達が書いているように「何故、今このタイミングで…?」という疑問は確かにあるが、基本的に人事考察はしない主義なので、とにかく今は大好きな鳳月杏が月組に戻って来るという事実を喜びたい。何より、ARIと鳳月を同じ舞台で観られるという奇跡に興奮している。まるで、交通事故にでも遭ったような衝撃だ(笑)。花組で数々の男(漢)を魅力的に演じて来た鳳月から、若いARIが学ぶ事も多いだろう。新年の挨拶で「今年はもっと男らしい役にも挑戦したい」と語っていたし、鳳月のようなタイプは正にうってつけなのではないか。こんな言葉がある。「目より先に、手が肥(こ)える事はない」ものの良し悪しを見抜く『目』を養わなければ、作品を生み出す『手』の成長は望めない。『目』の良い者の上達速度は、そうでない者のそれを遥かに上回る。これは表現者の間でよく使われる文句らしいが、役者にも当てはまる言葉だろう。「観る」とは「観察する」事だ。トップスターは勿論、上級生達の「実力」と「個性」がどこから生まれているのか、ARIだけでなく若手にはよく観察し、分析し、比較し、自分の成長の糧として欲しい。頑張れ、皆んな!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
2019.01.14
「あれ、今度は6回目じゃないの…?」という尤もな指摘は無視して(笑)、今回は先ず七海ひろきの感想から書きたい。き、奇跡が起きた!!先日観劇した、星組【霧深きエルベのほとり】の『第8場 フェスト ー大捜索ー』の場面で、客席降りして来た七海ひろきが、何と僕の目の前まで来たのだ。(僕は、1階A席27列目に座っていた)確かに、これまでにも下級生がA席の方まで来てくれる事は何度かあった。しかし、もっとスターの、しかも大好きな七海ひろきが、これで最後となる公演で、まさかこんな傍にまで来てくれるなんて、一体誰が予想するだろうか。これはもはや奇跡と言うほかない。あまりの出来事に鳥肌が立って、思わず心の中で「お兄様…」と呟いてしまった程だ(笑)。思えば、僕は随分と恵まれたファンだったと思う。あの日、初めて七海ひろきへの想いを叫んだ時から、その3週間後にはバウ公演初主演が発表され、「七海ひろきの羽根が見たい!!」と書けば、続く【ANOTHER WORLD】では小さいながらも希望の羽根を背負い大階段を降りて来てくれた。【カフェブレイク】にも毎回出演してくれるようになり、僕は七海ひろきが輝きを増して行く姿だけを見続けて来られた。だから、僕が願い続ければ、彼女はいつまでも羽ばたき続け、そしていつかトップスターになってくれるに違いないと思っていた。いや、そう思おうとしていた……。彼女に残された時間を考えれば、その道程がかなり困難である事は分かっていたから。だから、僕は目を閉じて、夢だけを見ようとしていたのだ。目を開きさえしなければ、夢を見続けられると…。けれど、時間は残酷に過ぎて行く。現実と向き合わなければならない時が、必ず訪れる。そして今回、彼女の最後の勇姿を見届けようと、僕は刮目していたのだ。そんな万感の公演で、まさか彼女が僕の目の前まで来てくれるなんて…。この幸運には、感謝してもし切れない。果たして、間近に見た七海ひろきは、役柄のトビアスそのままに、宝塚という荒波に揉まれながらも宝塚を愛し、その大海原を生き抜いて来た、逞しい海の男だった。彼女は僕に背を向けて立っていたが、舞台からのライトに照らされたそのシルエットは、新たな光に向かって進もうとする男の姿にも似て、頼もしく、そして誇らしく見えた。皆が同じ舞台を観ながら、この光景は僕だけの特別な思い出だ。また、今回のトビアスという役は、七海のために上田久美子が作り上げたオリジナルのキャラクターらしいが、七海ひろきという男役の個性と魅力を見事に引き出してくれた事にも感謝だ。テンガロンハットが似合い過ぎて、見惚れてしまう(笑)。レビュー【ESTRELLAS(エストレージャス) 〜星たち〜】でも、彼女の表情に感傷的な湿っぽさは一切無い。飽くまでも爽やかに、軽やかに、そしてスマートに、ファンを「七海ひろきの世界」へとエスコートしてくれる。紅ゆずる、礼真琴と形作るトライアングルも、冬の大三角のごとく豪華で美しい。そして、フィナーレでは遂に3番手の羽根を背負い、これまでで最も眩(まばゆ)い光を放ちながら、僕達の前に現われてくれた。彼女はシリウスにこそなれなかったが、数多(あまた)に輝く宝塚の星々の中で、紛れもなく1等星になれたのだ。だからだろうか、寂しさや悲しさよりも、僕には喜びの方が大きかった。いや、この舞台を通して、ずっとそうだったかも知れない。七海ひろきの格好良さや爽やかさに魅せられて、悲しむ暇など無かった。本当、貴方って人は、最後まで罪作りな男だよ(笑)。でも、そんな貴方に出会えて嬉しかった。好きになれて楽しかった。ありがとう!!僕の言葉は、少しでも貴方を笑顔にできただろうか……?そして、今回の舞台で、宝塚が、七海ひろきのような功労者がちゃんと報われる劇団である事を確認できて良かった。暴言を吐かずに済んだ事を、感謝したい。次回は、改めて【霧深きエルベのほとり】についての感想を書こうと思う。因みに、個人的にはかなり気に入った、と言っておこう。(映画【男はつらいよ】のような人情喜劇が好きな人なら、充分に楽しめるのではないか)来週15日(火)にも観劇なので、更新はそれ以降になる予定だ。あ、そう言えば、第8場で「マルギット似の女」を演じている美稀千種、僕はちゃんと双眼鏡で見逃さなかったよ!!(笑)やっぱり、貴方は最高だぁあああッ!! (≧▽≦)
2019.01.10
昨日の【カフェブレイク】に、桜木みなとが登場した。さっそく行ってみよう。 「wink!!」 「ウフ♡」ズギュゥゥウウウンッ!!!! *・゜゚*.。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。.*゜゚・*「ア、アニータ……」「アニィイイタァアアアアッ!!!」「パズゥウウウウッ!!!」「すり抜けながら、かっさらえッ!!!」…………いや、これ違うな…(笑)。前回は叱られたので、今回はどうなるのかドキドキしていたが、流石はずん、飴と鞭の使い分けをちゃんと心得ている(笑)。いや、この場合は、プロデュースした愛月ひかるに感謝すべきか。ありがとう、愛!! (≧▽≦)そう言えば、彼女からずんへのこの見事なキラーパスも、これで見納めだ。次回からどうなるのか、またドキドキしながら待とう(笑)。専科へ異動になる愛月にも、また何らかの形で番組に出演して欲しい。それにしても、ずんの出演が年明け1回目で本当に良かった。誕生日に贈った【Here Comes The Sun】の和訳そのままに、ずんの笑顔が正月の嫌な出来事を全て忘れさせてくれた。本当にありがとう。舞台での凛々しい姿もじっくり見られ、桜木みなとファンとしては【異人たちのルネサンス】は決して駄作ではなかったな、と改めて思う。それに、今回【カフェブレイク】に出演する宙組メンバーは瑠風以外は敵役ばかりで、今作の配役がいかに偏っていたかが分かる。これでは、メディチ家の面々ばかりに目を奪われても致し方ないだろう(笑)。そして、ついにこの時が来てしまった……。明日は、星組【霧深きエルベのほとり】の観劇日だ。発表があってから、何となくその話題に触れるのが怖くて避けて来た部分があったが、それももうできない。嫌でも、七海ひろきの退団と向き合わなければならない時が来たのだ。ならば、寧ろ最後の勇姿を見届けるため、こちらも全身全霊で臨まなければならないだろう。それが、宝塚を愛し、男役を極めんと鍛錬して来た彼女への礼儀だ。キャストボイスの「愛を込めて」という言葉には泣かされた。人の真心は、必ず語る言葉に表れる。短いながらも、あの文章には宝塚に対する彼女の深い愛情と覚悟が詰まっており、それを読みながら「見届けるこちら側も襟を正さなければ…」と、身の引き締まる気持ちになった。愛には愛で応えなければならない。そう言えば、全然関係の無い話だが、つい先日このブログで話題にしたQUEENのブライアン・メイが、今度は本日付のツイッターとインスタグラムで、沖縄の海(サンゴ礁)が環境破壊されることを理由に、普天間基地の移設に伴う辺野古埋め立ての中止を求める署名を呼び掛けたらしい。10万人を目標とした署名は、7日14時時点で既に18万5000人超の署名を獲得しているとか。う〜ん、ブライアン・メイの話題がまさかこんな形で繋がって行くとは…。何かが動き出そうとしているのだろうか…?
2019.01.07
ずん、誕生日おめでとおぉぉおおうッ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆「あぁりがとぉおおうッ!!」(とは、言ってない…笑)ARIに「おめでとう」を言って、ずんに言わないのは不公平なので、今回も叫んでみた(笑)。今年のずんは、ザナンザの笑顔と強さ、アニータの自由と愛、ジュリアーノの苦悶と渇望と、本当に様々な表情で魅せてくれた。そして、大きな感動を届けてくれた。『明日へのエナジー』で見せてくれた煌めく笑顔は、永遠に僕の宝物だ。ありがとう!! (*^_^*)これから更に成長し、ますます魅力的な男役になって行くのが楽しみだ。そして、それを見守る事ができる喜びを噛みしめながら、来年以降も応援して行きたい。そんなずんに、今回初めて歌を贈ろうと思う。「ずん(Zun)」は僕の「太陽(Sun)」だという事で、THE BEATLESの曲の中から、太陽について歌っている曲を選んでみた。何故THE BEATLESかは、何となくだ(笑)。(まあ、今月初めに観た映画【バックビート】の影響だろう)最初は、単に曲の動画を載せるだけのつもりでいたのだが、ずんに出会えた喜びを上手く歌詞に織り込められないかと思い立ち、かなり強引な解釈ではあるが和訳してみた。想いが伝われば良いのだが…。ところで、以前、ARIの誕生日は僕の弟と1日違いだと書いた事があるが、よく考えたら、ずんの誕生日も姪っ子(弟の娘)と1日違いだという事に気付いた。2人揃ってこんなに素敵な縁があるなんて、何だか嬉しい。(でも、この場合、縁があるのは僕じゃなくて弟の方だよな…笑)因みに、このブログを始めてから、今回初めて「予約投稿」というものをしてみた。曲のタイトルを意識して、12月27日の兵庫県の日の出時間「7時5分」に合わせてみたのだが、上手く投稿されているだろうか…。THE BEATLES【Here Comes The Sun】(1969年) 歌詞&和訳(作詞作曲:ジョージ・ハリスン)Here comes the sun太陽が現れたHere comes the sun, and I say太陽のような君が現れたから、僕は言うんだIt's all right「もう大丈夫だ」ってLittle darling, it's been a long cold lonely winter愛しい人、僕はずっと寒くて心細い日々を送っていたLittle darling, it feels like years since it's been here可愛い人、僕はこの冬に終わりが来ないような気がしてたけどHere comes the sun太陽が現れたんだHere comes the sun, and I say太陽のような君が現れたから、僕は言うよIt's all right「もう大丈夫だ」ってLittle darling, the smiles returning to the faces愛しい人、君は皆を笑顔にしてくれるLittle darling, it seems like years since it's been here可愛い人、君はそれまでの嫌な出来事を、全て忘れさせてくれるHere comes the sun太陽が現れたからHere comes the sun, and I say太陽のような君が現れたから、僕は言うんだIt's all right「もう大丈夫だ」ってSun, sun, sun, here it comesほら、太陽が、太陽の君がやって来るLittle darling, I feel that ice is slowly melting愛しい人、凍っていた僕の心がゆっくりととけて行くLittle darling, it seems like years since it's been clear可愛い人、あんなにふさぎ込んでいた気持ちが嘘のようだHere comes the sun君が現れたからHere comes the sun太陽のような君が現れたからIt's all rightもう大丈夫だよせっかくなので、太陽を歌ったTHE BEATLESの曲をもう一つ紹介しておこう。【Here Comes The Sun】はジョージの作詞作曲だが、こちらはポール・マッカートニー。
2018.12.27
花組の集合日に、突然、亜蓮冬馬の退団が発表された。しかも、12月25日付けなので、再び舞台に立つ事が無いままの退団となる。そんなに怪我の具合が悪かったのだろうか…。正にこれからというタイミングでの退団は残念でならないが、これによって陽向春輝、輝生かなでに続き、99期生の有望な若手が同時期に3人も退団するという状況に。100期生の台頭が著しいとは言え、3人にもまだ新公主演のチャンスは残っていただけに、それぞれ事情がある事は百も承知ながら、何だか複雑な心境になる…。しかし、決まってしまったものは仕方が無い。彼らのこれからが、幸多きものになる事を願っている。そして、花組【CASANOVA】の配役が発表された。鳳月杏はコンデュルメル夫人と、再びの女性役だ。正直、彼女の女性役は【ME AND MY GIRL】で堪能しているし、ファンとしては男役の彼女を観たい所だが、まあ、こちらも決まってしまったものは仕方が無い。それに、こんな事を言いつつ、観たら観たで、きっとまた心を奪われるに違いないのだ(笑)。
2018.12.26
「今年は色々あった」と言いながら、クリスマス・イヴは今年も何も起きなかった…。まあ、貧乏人の僕にとっては、何も無い方が良いのかも知れないが…。ケーキを手に取って1人レジに並ぶ勇気が無かったので、シュークリームにしておいた(笑)。【宝塚GRAPH / 1月号】に掲載されたARIとずんのポートレートを見て、心を奪われた。そんな揺るぎのない凛とした眼差しで見つめられたら、もう僕は彼らの前に傅(かしず)いて、永遠の忠誠を誓うしかない。 特に、ARIはこの1年で本当に変わった。【カンパニー】の感想で「同じ努力でも、これからはその表れ方が今までとは違って来るだろう」と書いたが、正にその通りになりつつある。これまでのARIのポートレートは、表情を作ってはいても、まだまだ「ARIっぽい」という範囲内の印象だったが、今年に入ってからは「おお、そう来たか!?」と驚かされる事ばかりだった。ARI本来の魅力と、これまでに培って来た経験とが見事に融合し、「男役・暁千星」の個性がしっかりと形成されて来た証拠だろう。今回のポートレートも、一見すると「可愛い」という印象を受けるのだが、そこには安易には近寄りがたい神秘さが漂っている。それは正に、ウィリアム・アドルフ・ブグローが描くクピド(キューピッド)のように、僕の心を射抜き微動だにできなくさせる。(因みに、クピドは別名アモルとも呼ばれ、それはラテン語で「愛」を意味する)一方のずんも、爽やかな若さの中に確かな自信と風格が漂い始め、さながら太陽神アポロンのような気高さを感じさせる。 (左:クピド / 右:太陽神アポロン)そんな彼らをもっと上手に褒め称えなければならないのに、僕の貧弱な感性と語彙力では言葉が出て来ない。という事で、今回も他人の力を借りる事にした(笑)。選んだのは、QUEENの【Breakthru(ブレイクスルー)】。タイトルからも分かるように、本当は【カンパニー】に絡めて紹介するつもりだった曲だが、曲名以外は公演と何の繋がりも無い上に、和訳もしていなかったので、タイミングを失っていた。今回、ARIとずんの魅力を伝えるのに最適だと思い、半年以上経ってようやく日の目を見る事に。今年は映画も随分と話題になったし、まだまだ旬な選曲と言えるだろう。2人のタカラジェンヌに魅せられた僕の恍惚感と、それを上手く言葉にできないもどかしさとを、あまり意訳せずなるべく素直にQUEENの歌に乗せてみた。QUEEN【Breakthru】(1989年) 歌詞&和訳 When love breaks up恋が終わる時When the dawn light wakes upそして、朝陽が昇る時A new life is bornそれは共に、新しい自分が生まれる瞬間Somehow I have to make this final breakthru何としても、この最後の障壁を突破しなければNow!今こそ! I wake up, feel just fine朝目覚めると、とても気分が良いYour face fills my mind君の顔が、僕の心を満たしてくれるからだI get religion quick僕はたちまち信仰心に目覚める'Cos you're looking divine君があまりに神々しく見えるからHoney you're touching something君には何かあるんだYou're touchin' me僕の琴線に触れる何かがI'm under your thumb, under your spell僕は君の虜になって、その魅力から逃れられなくなるCan't you see ?分かるかい?If I could only reach youもし君にこの言葉が届くならIf I could make you smileそれで君を笑顔にする事ができたならIf I could only reach youこの言葉が君に届きさえすればThat would really be a breakthru それが間違いなく突破口になるんだ Breakthru, these barriers of pain突破するんだ、僕を悩ませるこの障壁をBreakthru, to the sunshine from the rain突破するんだ、雨を抜けて陽の当たる場所へMake my feelings known towards you僕が感じている事を、君に知ってもらいたいTurn my heart inside and out for you nowこの心を裏返して、隅から隅まで見てもらいたいSomehow I have to make this final breakthru何とかして、この最後の障壁を突破しなければNow!今こそ!Your smile speaks books to me君の笑顔は、僕に色々な事を語りかけて来るI break up with each and every one of your looks at me君の眼差しの一つひとつが、僕を粉々に打ち砕いて行くHoney you're starting something deep inside of me僕の心の奥深くで、君は何かをしようとしてるんだHoney you're sparking something, this fire in me僕の中で火花が飛んで、炎が燃え上がるI'm outta controlもうコントロールできないI wanna rush headlong into this ecstasy今直ぐ、この狂喜に飛び込んでしまいたい気分だIf I could only reach youもし君にこの言葉が届くならIf I could make you smileそれで君を笑顔にする事ができたならIf I could only reach youこの言葉が君に届きさえすればThat would really be a breakthru それが間違いなく突破口になるんだBreakthru突破するんだ
2018.12.24
毎年、この時期になると「今年も何も無かった…」的な事を書いているが、今年は地震に台風、祖母の死と大きな出来事が続き、あまり良くない方に記憶に残る1年になった。更に、巷で「平成最後の◯◯」という謳い文句がよく聞かれたせいか、余計に特別な年という印象が強まったように思う。来年は元号も変わるし、ぜひ良い事がたくさん記憶に残る1年になって欲しい。という事で、今回も宝塚観劇のまとめを。先回も書いたが、大劇場公演を2本も見逃した割には、観劇回数は昨年より1回少ないだけで、表面的にはいつも通り。しかし、【ポーの一族】と【エリザベート】という2018年の目玉作品を2つも見逃しているので、やはり物足りなさは感じる。ARIにも2回しか会えなかったし…。月組 … 1公演(計2回)【カンパニー】× 2回宙組 … 3公演(計5回)【天は赤い河のほとり】× 2回【WEST SIDE STORY】×1回【異人たちのルネサンス】× 2回花組 … 1公演(計1回)【MESSIAH】× 1回星組 … 1公演(計2回)【ANOTHER WORLD】× 2回雪組 … 2公演(計3回)【凱旋門】× 2回【ファントム】× 1回こうして並べると、月・花・星組が1公演しか観られなかったのに対し、宙組が3公演5回と今年は随分と偏った観劇になった。まあ、その分、ずんには何度も会えたので良かったが(笑)、やはりもう少し均等に観たいというのが正直な気持ちだ。とは言え、全てはチケット次第なので、来年もどうなるか…(笑)。そんな中、特に印象に残った舞台は、宙組【WEST SIDE STORY】と雪組【ファントム】だ。総合的な評価としては【ファントム】に軍配が上がるものの、真風涼帆を始めとした宙組生の新たな魅力と成長を感じさせてくれた【WSS】も素晴らしく、個人的には甲乙つけ難い。また、【凱旋門】や【MESSIAH】という、人間の尊厳を扱った作品も見応えがあり、新旧共に良作に恵まれた年だったように思う。来年以降も、こうした作品と出会える事を楽しみにしている。また、作品に限らず、今年は個人的にこれからの活躍が楽しみなジェンヌ達が、たくさん現れた年にもなった。花組の水美舞斗は、その筆頭だろう。彼らが今以上に成長し、組の中で存在感を増せば、舞台は更に面白いものになるはずだ。皆んな、個性を伸ばして頑張れ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ARIは新人公演を卒業し、ずんは10年目を迎えるなど、どちらも節目となる1年を過ごした。これからまた、新たな地平を求めて、歩みを続ける事になる。彼らがどんな景色を僕達に見せてくれるか、とても楽しみだ。2人とも、来年もまた美しく、そして情熱的に僕の心を奪ってくれ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆その一方、愛希れいかを始め、宇月颯や星条海斗など悲しい別れもあった。トップスターが、就任した瞬間から心のどこかで「退団」を意識させるのと違い、他の組子達は本当に突然なので、驚きも一層だ。来年には、七海ひろきも宝塚を卒業する。それは彼女にとって新たなスタートでもあり、決して悲しいばかりではないはずなのだが、「宝塚の舞台で観られなくなる」「男役としての七海ひろきを観られなくなる」という気持ちの方が先になるため、どうしても悲しみが強くなる。とりあえず、1月8日(火)と15(火)の2回分はチケットを確保したので、しっかりと見届けたい。後は、(まあ、これが一番大事な事かも知れないが…)来年は怪我や体調不良で休演者が出ない事を願うばかりだ。今年は特に休演者が多かったような気がするし、亜蓮冬馬と亜音有星の怪我の具合も気になる。もう大丈夫なのだろうか…。全ては健康あっての物種だけに、1年を無事に過ごして欲しい。という訳で、今回はここまで。来年はどんな感動と出会えるだろうか。そして、ARIとずんはどんな表情を見せてくれるだろうか。僕ももっと上手に彼らを褒められるように、言葉や表現を磨いて行きたい。とりあえず、来年は「ドナテッロの彫刻のように美しい」を超える誉め言葉を考える事が目標だ。(それにしても、あれって偶然なのかな…?)
2018.12.17
大阪では土曜日から急に寒くなり、日曜日は今冬初めて店で暖房を入れた。朝も布団から出るのが億劫で、ついに冬が訪れたという感じだ。あかぎれも一気に酷くなり、洗い物が怖い(笑)。(と言うか、指を曲げるだけでもひび割れて痛い、グスン…(;_;))とりあえず、風邪を引かないように気を付けながら、大晦日まで頑張りたい。そんな寒さの中、ようやくARIが出演した回の【カフェブレイク】が放送された。今回は【エリザベート】を観劇できなかった事もあり、随分と待ったような気がする。外は寒いが、ARIに会えた喜びで、心はほっこりした。 「アン!!」ズギュゥゥウウウンッ!!!! *・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*て、天使だ!!大好きだぁあああッ!!!! ♪――――O(≧∇≦)O――――♪そうか、「天国」とはARIがいる場所の事を言うんだな(笑)。もし、ARIがトートなら、僕はいつでも喜んでこの命を差し出そう。(でも、きっと速攻で「いや、要らないけど…」って言われる…笑) 「よしよしヾ(・ω・`)」そして、ちゃぴ……。最高のプロデュース、ありがとう!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆おかげで、今年の最後に思い切り癒された(笑)。そして、遅まきながら、卒業おめでとう!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆僕は、愛希れいかの舞台を4作品しか観られなかったが、その都度違ったキャラクターで楽しませてくれた。たまきちとの相性も素晴らしく、2人の演じる恋はいつもロマンチックだった。それが、もう観られないのは残念だ。とは言え、彼女の舞台人生がこれで終わる訳ではない。寧ろ、宝塚では表現できなかったジャンルや作品に挑戦できるという意味では、これからの彼女は更に自分の可能性を広げるだろう。そんな彼女の未来に、光が満ちますように。ちゃぴも大好きだよーッ!! ♪──―─O(≧∇≦)O────♪ 今回は、新人公演でヒロインを務め、新トップ娘役にも選ばれた美園さくらが一緒だったが、相手が後輩という事もあってか、いつもとはまた違うARIの表情が見られて楽しかった。それにしても、美園さくらは独特な雰囲気を持った人だ。第一印象は「肝っ玉母さん」という感じで(笑)、何があってもあまり動じないタイプに見えた。庶民派のたまきちとは、案外良い「夫婦(めおと)」コンビになるのではないか(笑)。美園が一緒という事で、今回は新人公演の話が中心になった。(その代わり、本公演の話は来週聞けるので、またARIに会える!!)観劇した人達がリポートしていたように、確かに東京公演でのARIは喉の調子が悪そうだった。しかし、それが却ってトートの「人ならざる」雰囲気を強める事に繋がり、宝塚公演の時より完成度は上がっていたように思う。何より、そんな状況でも見事に主役を演じ切ったARIに拍手だ。きっと、この経験が、ARIをまた一回り成長させたに違いない。新公を卒業し、これから節目の10年に向けて、ARIがどんな男役になって行くのか楽しみだ。これからは、進んだ距離や速さよりも、その一歩にどんな想いを込めて来たが大切になるだろう。焦らなくて良い。3年後に振り返った時、「自分が歩いて来た道だ」と自信が持てるような日々を過ごして欲しい。喜びも悲しみも、人生の全てを武器にできるのが役者ならば、これまでの君の努力は間違いなく、今の「暁千星」を育てている。勿論、これからもそうだ。君が自分で語らなくても、君が踏みしめて来た足跡の一つひとつが、暁千星という男役の魅力を語ってくれるに違いない。ぜひ、「背中で語れる」男役になって欲しいと思う。自分の力を信じて進め、ARI!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆という事で、新公を卒業するARIと、新たにトップ娘役に就任する美園に、今回も歌を贈ろう。元々はARIのために選んだ曲だが、内容的には、美園への応援歌という印象が強いかも知れない。色々と大変だろうが、周りの雑音に惑わされず、自分の力を信じて自分らしく頑張って欲しい。そんな2人に贈る曲は、アイルランドのロックバンド、THIN LIZZY(シン・リジィ)の【Do Anything You Want To】だ。(どうしても選曲が洋楽ロックに偏ってしまうのは、ご愛嬌という事で…笑)THIN LIZZYと聞いて直ぐに分かる人がどれだけいるかは怪しいが、今回の曲でギターを弾いているゲイリー・ムーアと、バンドのリーダーであるフィル・ライノット(Vo/B)が共作した曲が、かつてフィギュアスケートの羽生結弦がショート・プログラムで使用した【パリの散歩道(Parisienne Walkways)】と言われれば、少しは親近感が湧くのではないか。今回は、特に意訳せず、言い回しを工夫しながら、なるべく直訳で挑んでみた。THIN LIZZY【Do Anything You Want To】(1979年) 歌詞&和訳There are people that will investigate you君の事を査定しようとする人達がいるThey'll insinuate, intimidate and complicate you彼らは君に皮肉を言い、怖じ気づかせ、困惑させようとするDon't ever wait or hesitate to state the fate that awaits those whoそうやって君の足を引っ張ろうとする連中には、躊躇する事なくTry to shake or take you最後にはどうなるか教えてやれば良いDon't let them break you彼らのような人間に潰されちゃ駄目だYou can do anything you want to do君は何だってやりたい事ができるIt's not wrong what I sing it's true僕が言ってる事は間違いじゃない 本当だYou can do anything you want to doやりたい事ができるんだDo what you want to君はただ、思うがままに演じれば良いんだPeople that despise you will analyse then criticise you君の事を気に入らない人達は、君を分析して批判するThey'll scandalise and tell lies until they realize 君をうんざりさせようと、根も葉もない事を言ったりするYou are someone they should have apologised toけれど、彼らはいつか、謝るべきは自分達の方だったと気付くだろうDon't let these people compromise youそんな連中から傷付けられないように気を付けるんだBe wise tooそして賢くなれYou can do anything you want to do君は何だってやりたい事ができるIt's not wrong what I sing it's true僕は的外れな事は言ってない 本当だ You can do anything you want to doやりたい事ができるんだDo what you want to君はただ、思うがままに演じれば良いんだHey you you're not their puppet on a string君は誰の操(あやつ)り人形でもないYou can do everything何だって出できるIt's true if you really want to本当さ 君が本当に望むならYou can do anything you want君は何だってできるんだせっかくなので、2人が共演した【パリの散歩道】のライヴ映像も。この曲に、実は歌詞が付いている事を知らない人も結構いるのでは?
2018.12.10
先週は、祖母の訃報に七海ひろきの退団発表、また愛希れいかの卒業と色々続いたせいか、気持ちが追い付かず、一つひとつを落ち着いて纏める余裕が無かった。これらに関しては、後日改めて書く機会があるだろう。そんな中、20日(火)は雪組公演【ファントム】の観劇日。とりあえず、記憶が確かな内に、こちらの感想を先に書いてしまう事に。以前、【ひかりふる路(みち)】を観劇した際、「望海と真彩のスケールは宝塚の枠を超えている」と評価したが、今回も正に圧巻の舞台を見せ付けた。上手いを通り越して、上手過ぎる位だ(笑)。繊細な感情表現と、圧倒的な歌唱力が、観る者の心を物語の世界に引き込んで放さない。確かに、脚本だけ見れば疑問に感じる部分もあるのだが、彼らの歌声が聞こえて来た瞬間、全身全霊が歌に集中して、些細な事はどうでも良くなってしまうのだ。彼らの実力が最大限に発揮される舞台こそ【ファントム】であり、【ファントム】の魅力を最大限に表現できるトップコンビこそ望海と真彩だと言えるだろう。そんな運命的な巡り合わせの作品に、1回だけではあるが触れる機会に恵まれた事に感謝したい。しかし、素晴らしかったのはこの2人だけではない。彼らを支える組子達の熱演にも、目を見張るものがあった。その中で最も印象に残ったのが、キャリエール役の彩風咲奈だ。正直、彼女に対しては、これまで二番手として実力的に物足りなさを感じて来たが、今回は芝居に随分と深みが出て見応えがあった。更に、歌唱面でも驚くべき成長を見せ、『第2幕・第7場』における望海との掛け合いでは、望海に引けを取らない情感溢れる歌声で感動させてくれた。本作はエリック(望海)とクリスティーヌ(真彩)の恋だけでなく、エリックとキャリエールの関係性にも重点が置かれているだけに、そこをしっかりと説得力を持って演じ切った彩風に拍手だ。まだまだ伸びしろはありそうだし、今後の更なる成長を楽しみにしたい。もっともっと、俺に君の可能性を見せてくれ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆そして、もう1人。忘れてならないのが、カルロッタ役の舞咲りんだ。いや、これが忘れたくても忘れられないくらい強烈なキャラクターで、まるで水を得た魚のように舞台を掻き回してくれた(笑)。全体的に悲劇的な色合いの強い【ファントム】にあって、絶妙な匙加減で笑いを演出してくれた舞咲は、正に陰(かげ)の功労者と言える。と、ここでふと思い出して調べてみたら、やはり彼女は【私立探偵ケイレブ・ハント】で、アパートの管理人を演じた人だった。その時も「あの芝居は、経験とセンスが無ければなかなかできない」と書いているが、今回のカルロッタ役も実力があってこその表現であり、こういう役者はとても貴重だと改めて実感した。彼女の夫アラン・ショレ役を演じた彩凪翔も、これまでにないコミカルな芝居で魅せてくれた。妻の尻に敷かれながらも、意外とそれを楽しんでいる様子が可笑しくて、憎めないキャラだ。彩凪は、シャンドン伯爵役の朝美絢と役替りだが、観劇した限りでは、役柄的に今回の「役替りB」の方がお互いの持ち味に合っているのではないか、という印象を受けた。アランはそれなりに人生経験を積んでいる人物なので、まだ若さを隠し切れない朝美では百戦錬磨の舞咲とは釣り合わないように感じるし、逆にシャンドン伯爵は歌のパートが結構あるので、こちらは彩凪よりも歌唱力のある朝美の方が相応しいような気がする。まあ、両方を観られれば一番問題無いのだが(笑)、個人的には役替りBで良かったと思う。また、過去の【ファントム】を観ていないので比較はできないが、今回はCG映像を多用して物語の世界観をより視覚的に演出していた。特にオープニングの映像は、まるでテーマパークのアトラクションのようで、観客の期待感を煽るのに成功している。まあ、生の舞台である以上、そればかりに頼られても困るのだが(笑)、時代の流れと共に時にはこうした試みも面白いだろう。フィナーレでは美しい黒燕尾の群舞も観られて、最初から最後まで宝塚らしい舞台を存分に堪能する事ができた。ありがとう!!という事で、今年の観劇予定はこれで終わり。花組【ポーの一族】と月組【エリザベート】を見逃したわりには、回数的には8公演を計13回と、昨年より1回少ないだけだった。(昨年は9公演を計14回)また暇を見て、1年の総括をしようと思う。と思っていたら…月組の99期生、輝生かなでが退団って…。
2018.11.22
13日(火)の夕方、実家の父親から、同居していた祖母が亡くなったという連絡を受け、15日(木)の午後から帰郷していた。16日(金)に葬儀があり、今日は朝から家族総出で祖母の遺品整理と、使っていた部屋のベッドや古い家具など粗大ごみになるものを運び出していた。(四十九日の法要をその部屋でするため、家族が揃っている時に片付けておく必要があった)一通り目処がついて、ようやく大阪に戻って来たのは23時前。店は明日まで臨時休業にしてあるので、寝る前にちょっとパソコンを開いて宝塚関連のニュースをチェックしておこうと思ったら…。七海ひろき退団………。ごめん、色々あって、今は頭も心もついて行かないや。でも、明日の先着順方式は必死にチケット取りに行くから!!(抽選方式はどちらも駄目だった…)迷った挙句、明日も休業日にしておいて良かった。
2018.11.17
今日、仕事がひと段落して、日刊スポーツの芸能欄を開いた瞬間に、脳みそがぶっ飛んだ(笑)。(ネットでは前日から発表されていたらしいが、昨日はパソコンを開かなかったので知らなかった)☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆みぃいっちゃぁあああんご結婚おめでとう!!!!!!ヒュー♪♪──O(≧∇≦)O──♪しかも、相手が藤山扇治郎(藤山寛美の孫)なんて、実は何気に凄いカップルなのではないか?2人なら、いつも笑いが絶えない明るい家庭を築いてくれそうだ。何より、これまで僕達に沢山の夢と感動を届けてくれたみっちゃんだからこそ、これからは沢山の幸せと喜びが彼女に届きますように!!どうぞ、末永くお幸せに!! (#^_^#)いや〜、それにしてもめでたい。よし、今夜は呑むか!?(^_^)/□あ、俺、下戸だった…(笑)。 (^◇^;)
2018.11.11
今回は、98期生の中で唯一これまで話題にして来なかった、瑠風輝について書きたい。というか、ちょっとした苦言だ。卓上カレンダーも、11月はちょうど同期の3人。観劇の感想を書く際に、僕がいつも参照するブログがある。映画・演劇評論家の薮下哲司(敬称略)による【薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス】だ。参照すると言っても、別に感想や評価を真似する訳ではなく、自分がちゃんと作品を読み解けているかどうか、彼の意見を一つの指標として確認するのだ。ジェンヌに対する批評に関しても、僕達ファンのように贔屓目で語る事がないので、その客観的な視座は貴重だ。その彼が、宙組【異人たちのルネサンス】の新人公演の感想で、主演を務めた瑠風についてこんな事を書いていた。『ただ、舞台で遠慮みたいなものが見えて何か物足りない。 せっかくいい資質があるのだから、 もっと、前に出るパワーが全身から見えれば一皮むけるのではないかと思う。』いくらプロの評論家が相手だからと言って、観る側に「この子、何だか遠慮してるな…」なんて思われるような芝居をしては駄目だ。しかも、自身にとって最後の新人公演で、主演まで務めているのだ。せっかく実力を認められながら、自分の気持ちが追い付いていないなんて勿体無い。実は【RISING STAR GUIDE 2017】の座談会でも、上級生達から同じ事を指摘されている。「自分をもっとさらけだせ」「陽のオーラを身に纏え」と。僕も、特に若手に対しては、上手い下手よりも先ず「芝居に対する情熱」を求める人間なので、瑠風のこうした消極的な姿勢が、僕が彼女について何か書きたいという気になれなかった根本的な要因なのではないかと思う。演者の内面は、必ず芝居にも表れる。演じる側が迷ったり不安を抱えていれば、それは必ず観る側にも伝わってしまうのだ。今回は、彼女の「超ネガティヴ」という悪い癖が、芝居に出てしまったのかも知れない。芝居に「遠慮」や「無難」なんて要らねぇえええッ!!o(*`ω´ )o =3若い役者が、自分から着地点を探すような芝居をして、どうするんだ!!寧ろ、どこまで飛んで行くか分からなくて、自分で怖くなる位、がむしゃらに羽ばたいてみろ!!大事なのは、上手いか下手かじゃない!!その役に対して、どれだけ情熱を傾けられるかだ!!お前のありったけを見せてみろッ!!って、朝夏まなとなら、そう言うんじゃないかな? ( ̄3 ̄)♪ ふんふふん(いきなり、他人に責任転嫁する卑怯者…笑)まあ、冗談はさて置き、東京大劇場の新人公演では、思い切り開き直って、突き抜けた舞台を観客に届けて欲しい。【カフェブレイク】で何を語ってくれるかも楽しみにしたい。一生懸命すぎて、自分で笑っちゃう位まで頑張れ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆そんな瑠風に、今回は応援歌を贈ろう。アニメで申し訳ないのだが、「宙(コスモス)組」と「翼」にかけて【聖闘士星矢】の主題歌だ。でも、良い曲なんだよ(笑)。一方、同期のARIは【ON THE TOWN】のポスターで、爽やかな笑顔を見せてくれている。 こうなると、来年7月の梅田芸術劇場での再演が楽しみになるが、今回とはキャストが変わる可能性もあるので、何とも言えない。いっそ、キャストはそのままにして、日本青年館とシアタードラマシティでは、美弥るりか主演の【アンナ・カレーニナ】を再演したら良いのではないだろうか。そうすれば、ジェンヌ達の負担も減るし、ファンも観たいものが観られて喜ぶのではないか。うん、それが良い。(=´∀`)人(´∀`=)「負担」と言えば、前出の薮下哲司が別のサイトで書いた寄稿文が大変興味深く、色々と考えさせられた。『第17回 月組、美弥るりか休演に思う』ー【WEB青い弓】より実は、以前【カフェブレイク】の中で、明日海りおと仙名彩世に「休日デートするなら、何処に行きたいか?」という質問があった際、明日海が割と真剣に「とりあえず午前中はゆっくり寝て、お昼からで良いよね?」的な発言をしているのを聞いて以来、自然とジェンヌ達の「睡眠」という言葉に反応するようになっていた。(「たられば」の話に、そこまで休養を優先しようとする明日海の健康が気になったのだ)すると、結構な人数が「睡眠時間の必要性」を口にしている事に気付き、もしかすると彼らにとって「身体の疲れ」は切実な問題になっているのではないかと危惧し始めていた所だった。だから、美弥が休演した時も「無理をせず、体調を万全にしてから復帰して欲しい」と書いた。企業として利潤を追求するのは最もな事だと思うが、ジェンヌ達の体調管理に関して、劇団側がもっと配慮すべき部分は有るのではないかと思う。タカラジェンヌである事に誇りを持っているからこそ、ジェンヌ達は当たり前のように無理をするが、劇団やファンがそれを当たり前だと思ってはいけない。
2018.11.04
ようやく、キャスト別の感想を書き上げた。愛月ひかるの組替えに動揺したのか、感想が上手く纏まらなくなってしまった。それに加え、24日(水)に【水曜どうでしょう】の新作DVDが届き、夜は全てそちらに時間を取られるという流れに。何しろ、【水曜どうでしょう】のDVDには、本編の他に、その映像を見ながら出演者4人がダラダラと喋る「副音声」が付いてるため、今回も全9話270分を副音声無しと有りとで両方観ようと思ったら、計9時間を費やす事になる。さすがに目は疲れたが、地中海の色鮮やかな青と緑の中、いい歳をした男達が下らない話で大爆笑している姿を見ていたら癒された。という事で、ここから本題。先ずは、桜木みなとから。ずんが演じるのは、ロレンツォ(芹香斗亜)の弟ジュリアーノ。知略縦横な兄から手駒のように扱われ、鬱屈した想いを胸に抱える役だ。物語の鍵ともなる人物なので出番も多く、ファンとしては嬉しい限り。それにしても、ずんは着実にステップアップしている。芝居に隙が無くなって来て、役柄の心情をより端的かつ的確に表現できるようになっている。今回も、精神的に追い詰められて行く焦燥感と、そこから逃れる唯一の「救い」としてカテリーナを渇求するようになるジュリアーノの痛々しい姿を、しっかりと体現していた。さすがに、芹香と並ぶと、まだスケール感で負けている印象は否めないが、それは今後の課題として行けば大丈夫だろう。特に、愛月が組替えする事で、ずんが演じる役柄にも、威厳や風格、威圧感などが求められるものが増えて来るはずだ。その時、真風涼帆や芹香斗亜に引けを取らず、対等にやり合える存在感が絶対不可欠になる。それを身に付けられれば、「男役・桜木みなと」の前には新たな地平が開けるだろう。前回公演【天は赤い河のほとり】の感想で、「ずんには単なる熱さとは違う、黒い炎(=野心)を瞳の奥に宿せる男役になって欲しい」と書いた。今回の舞台で、それを完璧に体現しているのが、芹香斗亜だ。メディチ家当主ロレンツォ役として、その存在感を遺憾なく発揮していた。初日舞台映像にもあった「その美しさが、もしも他の男を喜ばせているのなら、私は容赦無くお前を傷付けるだろう」と言う台詞は、観客に「この男なら本当にそうするだろう」と思わせる凄みがあった。富と権力のためには手段を選ばず、傲慢だが決して情動的ではなく、社交的ではあるが他人を信用せず、冷淡さの裏に知性と余裕を感じさせるロレンツォのような役は、正にずんに学んで欲しい役柄だ。聖職者の服に身を包み、神の言葉を借りて悪魔の計画を語るグイド司教のような役も、ずんには演じられるようになって欲しい。そういう意味では、ずんにとって今回の舞台は、自分の役を演じるだけでなく、後学のために芹香や愛月の芝居を見て研究する、絶好の機会となっている。頑張れ、ずん!!そして、自分の中に眠る、まだ君自身も気付いていない、新たな桜木みなとを呼び覚ませ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆愛月ひかるも、冷静さの中に野心を忍ばせたさすがの演技で貫禄を示していた。ロレンツォが恐怖心でカテリーナを縛り付けるのに対し、グイドは信仰心で彼女を縛り付ける。両者の存在感が拮抗していればこそ、メディチ家とパッツィ家の抗争はより緊迫感を増し、カテリーナの心の呪縛も際立つ。愛月は、その期待に見事に応えていた。真風、芹香、桜木との豪華な並びが、たった2作品しか観られないのが悔やまれるが、専科で更に成長し、また宙組の舞台に立って欲しい。どんな苦しみや悲しみの中にも、自分を成長させるヒントやチャンスは必ず隠されている。大切なのは、それに気付けるかどうかだ。向かい風を追い風に変えて、より高く羽ばたけ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆そんな権力側の人間達対し、どこか暢気で緊張感に欠ける面々がヴェロッキオ工房の弟子達だ。まあ、そこで舞台に緩急をつけているのだろうが、せっかく新公主演経験者達をキャストに並べながら、それを活かせていないのはやはり寂しい。前回の【天はー】が同じ上演時間で、もっと一人ひとりに個性と見せ場があっただけに、どうしても物足りなさを感じてしまった。そんな仲間達の中で、唯一の美味しい役どころと言えるのが、サライ役の天彩峰里だろう。(正確には、サライは工房の人間ではないが…)ずんのジュリアーノと同様、サライも物語の展開に大きく関わる人物なので、印象に残り易い。天彩は、自身の可愛らしさとしっかりとした演技によって、脇役以上の存在感を示していた。『S23パレード』ではエトワールも任されるなど、今後の活躍が更に楽しみだ。その工房側に属するレオナルド・ダ・ヴィンチも、脚本だけ追うとやや影の薄い役柄なのだが、真風涼帆の美貌と風格で立派に主人公たり得ていた。星風まどかも(役柄のせいもあるだろうが…)どんどん大人びて、カテリーナの心情を見事に表現していた。最後まで観ていると、【モナリザ】が彼女に見えて来るから不思議だ。この2人の恋愛がもっと情熱的であれば、メディチ側の陰謀に負けない印象を観客に与えられたのだろうが、やはり脚本が少し弱かった。台詞の流れもハーモニーに欠ける箇所が度々あり、その辺りも今後の課題になるだろう。脚本は、オーケストラで言えば「楽譜」のようなものだ。いくら演者が上手くても、楽曲そのもののハーモニーやバランスが崩れていれば、全体の感動も薄れてしまう。(そう考えると、上田久美子の紡ぐ言葉は、一つひとつが互いに響き合うようで美しかった)それでも、2回目の観劇だったからか、初見の時よりもすんなりと物語の世界に入り込んで楽しめた。ストーリーや発想自体は面白いし、次回作に期待したい。和物ショー【白鷺の城】は、真風が演じる陰陽師と、星風演じる妖狐が転生を繰り返しながら戦い、そして惹かれ合うストーリー仕立てになっている。こちらも【異人たちー】と同様に、見応えがある反面、全体のバランスに欠ける内容と言える。時代や場所は様々変われど、中心になるのは常にトップコンビ2人のため、他のジェンヌ達の出番が限られ、あまり目立たないのだ。そこをどう捉えるかで、評価が分かれるのではないか。しかし、そうは言っても、やはりフィナーレだ。それまでのモヤモヤ感を全て吹き飛ばす爆発力が、この一瞬に凝縮されている。喩えるなら、なかなか得点が入らず膠着していた野球の試合で、最終回に打者一巡の猛攻を見せて快勝する…、そんな感じだろうか。つまり、途中で多少の不満があったとしても、観て損はない公演という事だ。いや、観ないと損だ、と言っておこうかな…(笑)。ありがとう!!
2018.11.01
今週は、仙名彩世の退団発表に続き、愛月ひかるの組替えが発表される波乱の1週間となったが、大阪では日曜日に放送の【カフェブレイク】に鳳月杏が登場し、ひと時の安息を届けてくれた。 ああ、何て美しいんだ…。*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*ARIやずんの笑顔が「夏の煌めき」だとしたら、鳳月杏は「春の和らぎ」。そこにいてくれるだけで安心できる、柔らかな木漏れ日のような人だ。そんな彼女が、舞台上ではあんなに憎々しい表情を躊躇いもなく見せるのだから、やはり芝居は面白い。今回、珍しく舞台の画像も併せて載せてみたが、とても同一人物とは思えないギャップに驚く。更に一転、ショーでは爽やかで格好良い男役で魅せてくれた。1回しか観られなかったのが、本当に残念だ。と、ここで、まだ大事な話題をしていなかった事に気付いた。もう10月だった(笑)。しかも、残り10日という今更なタイミング…。昨年の秋、星組公演【ベルリン、わが愛】の感想時に、「1年後が待ち遠しい」と書いてから、もう1年が経ったという事だ。その際「鬼に笑われる」と書いたら、今年の星組【ANOTHER WORLD】で本当に鬼達が笑う場面があり、何だか予言みたいになっているのも面白い。勿論、来年のカレンダーももう買う気でいる。何しろ、今度はARIが単独で4月に載るので、ファンとしては買わない訳がない。こうして、毎年購入する羽目になるのだ(笑)。因みに、カレンダーは汚れないように、ガラス戸の棚の中に飾ってある。下にあるのは、常連さんに貰ったTHE BEATLESのステッカー(って言うのかな…?)。そして、ビートルズと言えば、この方…彩風咲ニャ~さんです(笑)。このオープニングは本当に可愛くて、僕の心の中で「ズキューン」という音が響いた(笑)。これでビートルズが大好きって言われたら惚れている所だが、「そうでもない」と言われてちょっと凹んだ…(笑)。宙組【異人たちのルネサンス】の感想の続きは、30日(火)の観劇後に纏めたいと思っている。愛月ひかるの異動が発表され、もう一度ちゃんと観てから書きたくなったのだ。(まあ、現時点でほとんど進んでいないから、というのが本当の理由だが…笑)
2018.10.21
ほんの数日前、仙名彩世の退団発表に驚かされたばかりだというのに、今度は愛月ひかるの異動が発表されて言葉を失った。しかも、他のどの組でもなく、専科とは…。退団と違い、組替えは本人の意思とは無関係に行われるため、ファンとしてはより複雑な心境になるのだろう。最初は、僕なりに前向きな捉え方をしようと思ったのだが、ネット上で色々な人達の意見を読むにつけ、何を書いても嘘っぽくなるような気がして諦めた。それでも、彼女ならいつか必ず「あの時、専科への異動があったから、今の愛月ひかるがある」と誇れる日が来ると信じている。僕も、彼女が他の組の舞台に立つ事で、どんな化学反応が起きるのか楽しみにしたい。短いが、今回はこれだけ。たとえ一言でも何か書いておかなければ、感想の続きが手に付かない…。
2018.10.19
16日(火)は、宙組公演【異人たちのルネサンス】の観劇日。と、その前に、こちらの話題から。花組のトップ娘役、仙名彩世の退団が発表された。彼女に関しては、明日海りおとの添い遂げ退団なのだろうと勝手に思い込んでいたので、さすがに驚いた。2人の並びは、芝居の安定感は勿論だが、観ていてどこかホッとする安心感があり、これがずっと続くのだと油断していた。次回の【CASANOVA】を含めてまだ4公演というのは早い気もするが、彼女なりに考えた末の結論なのだろうし、受け止めるしかない。また、花組と言えば、大劇場公演に続き、亜蓮冬馬が全国ツアーも休演する事が発表された。それほど怪我の状態が思わしくないのか、それとも大事をとっての判断なのかは不明だが、早く良くなって舞台に戻って来てくれる事を心待ちにしている。勿論、無理はしない事が前提の話だ。ここから、宙組公演の話題。今回の作品は、名前と立場こそ史実に即しているとは言え、主人公のレオナルドを始め、サライ等の脇役に至るまで、殆どがオリジナルの設定だと思った方が良い。(だからこそ「異人たちのー」なのかも知れない)下手に予備知識があると、却って戸惑う可能性もあるので、史実がどうとかは考えず、人物相関図だけを頭に入れておけば大丈夫だろう。内容は、簡潔に言えば「カテリーナを巡って交錯する3人(レオナルド、ロレンツォ、ジュリアーノ)の思惑」と「それに乗じたパッツィ家の陰謀」となる。ただ、前半は説明口調な場面が多く、また歌も少ないのでテンポが単調に感じた。また、主軸となるはずのレオナルドとカテリーナの恋愛要素が弱く、逆にメディチ家とパッツィ家の抗争の方が話として面白い事も、作品のバランスを悪くしている要因か。(芹香斗亜、愛月ひかる、凛城きら、桜木みなとが醸し出す不穏な空気感が半端ないため、どうしてもそちらに意識が向いてしまう)それでも、その両者が直接絡み合って物語が動き出す後半、『S10 カルナバーレ』の辺りからは、それまでの単調さを挽回するかのように、一気に面白くなる。特に、教会の場面は、ロマンスだけでなく、アクションやサスペンスの要素もここぞとばかりに詰め込まれているので、見応えがある。いっそ、「メディチ家とパッツィ家の謀略に、レオナルドとカテリーナが巻き込まれる話」として観れば、もっと素直に楽しめるのではないか。と、大劇場作品としては多少バランスが悪く、不満な点も無くはないのだが、だからと言って決して退屈だった訳ではなく、寧ろ個人的には楽しめた。物語のテンポ感と配役の活かし方が改善されれば、もっと面白い作品になるだろう。(ロレンツォ並みの上から目線で申し訳ない…笑)そして、それに続くフィナーレがとにかく美しく、格好良くて、興奮した。鼻血ものだ、と言っても良い(笑)。特に、フィナーレCからEの流れは、もしかすると僕の中で【All for One】を超えたかも知れない。この場面だけでも、DVDが欲しくなる勢いだ。フィナーレBのロケットも、今までにない衣装と音楽で面白かった。(何となく、月組の【BADDY】以降、変則的なタイプのロケットが増えたような気がする)ありがとう!!次回は、桜木みなとを中心にキャスト別の感想と、ショー【白鷺の城】について書こうと思う。ただ、2回目の観劇まで日数もあるので、更新はいつになるか分からない。
2018.10.17
先日観た映画の感想を更新しようとしていたら、宙組に休演者が…。しかも、今度は星風まどかと亜音有星の2人だ。前回は月組の美弥るりかだったが、僕が宝塚の話題をおろそかにして映画の感想を更新しようとすると、誰か休演するのか…?あ、あの…ぼ、僕のせいじゃないよね…? (~_~;)一部休演の星風も気になるが、全日程休演の亜音が心配だ。2人が早く回復してくれる事を祈っている。
2018.10.05
結局、あれから雪組【凱旋門】の感想を更新しないまま時が過ぎ、いつの間にか東京公演も終わってしまった。書こうとすると、どうしてもジョアンの生き方に対する拒否反応が前面に出てしまい、作品に対する客観的な感想にならないのだ。一応、僕がジョアンに惹かれない理由を中心に書いてもみたのだが、ほぼ彼女の性格を全否定する内容になってしまい(笑)、途中で止まってしまった。それくらい、僕とジョアンは相容れない者同士という事だ。まあ、7割ほど書き進んでいるし、たまにはこういう目線で作品を語るのも良いかと思うので、全部きちんと纏まったら更新してみたい。(まあ、女性陣からは非難ごうごうかも知れないが…笑)そんな中、雪組についてまた書きたい気持ちが起きたのは、先日の【カフェブレイク】に出演した縣千に興味が湧いたからだ。切っ掛けは、その前週に永久輝せあが出演した際の『ジェンヌがジェンヌをプロデュース』のコーナーだ。海で溺れている女性を永久輝が助けるという内容だったが、女性役を演じた縣が何故か「外国人」なのだ。2人で打ち合わせしたのかどうかは定かではないが、ちょっと面白い発想だなと思った。更に、「もう大丈夫だよ」という永久輝に対して、縣が小さく「oh!」と言ったのが僕のツボに入り、思わず吹き出してしまった。そして、翌週。今度は、縣と潤花が恋人同士になり金魚すくいをするのだが、面白いくらい金魚をすくう潤に対して、縣は一匹も取れない設定。その後、「もう飽きた」という潤に対し、縣が「そうだね、帰ろう」と声を掛けるのだが、この時の言い方が超イケメン風で、前半とのギャップにまた笑ってしまった。金魚すくいでの駄目っぷりを無かった事にしたい彼氏の心情が透けて見える、当意即妙なアドリブだった。どちらもちょっとした事なのだが、2週続けてだったので彼女の感性に何か特別なものを感じた瞬間だった。勿論、ミニコーナーだけではない。新人公演での、ラヴィック役の演技からも個性を感じた。(そう言えば、【幕末太陽傳】の新人公演でも、望海風斗に引けを取らない色気で高杉晋作を演じていたのを思い出した)僕は【凱旋門】を2回観て内容も知っているし、ラヴィックとジョアンの関係性も分かっている。にも拘らず、縣と潤が演じるラヴィックとジョアンは「この2人はこの先どうなるんだろう…?」と思わせるくらい、轟悠と真彩希帆の演技とはまるで印象が違うのだ。勿論、まだ研4の縣が、轟とはキャリアでも男役の実力でも大きな差がある事は言うまでもない。しかし、そうした差ではなく、彼女の芝居には「縣千がラヴィックを演じたら、【凱旋門】がどんな物語になるのか最後まで見てみたい」と思わせる魅力がある。番組内で本人も語っていたが、やはり「轟さんとは、感情の出処が違う」事が最大の要因だろう。(僅か研4で、そうした意識を持ちながら舞台に立てる姿勢も素晴らしい)そんな彼女なりの演技プランの一端が、番組のミニコーナーでもしっかりと現れたのではないか。その感性を大切にしつつ、今後ますます男役に磨きをかけて欲しい。ところで、縣千と言えば、【凱旋門】を観劇した時に双眼鏡で覗いてて、彼女がどうしても珠城りょうに見えて仕方なかったのだが…。似てる、似てない…?(映像で見ると、そうでもないんだけどな…)美弥るりかの休演に動揺して、大事な話題を忘れていた。23日(日)は雪組【ファントム】の先行販売日だったが、店が落ち着いた11時過ぎにスマホで確認した時には、既にチケットは完売していた。それでも、第2次抽選方式で11月20日(火)の2階B席が当選したので、最低1回は観に行ける事に。できれば1階A席の方が当選して欲しかったが、宝塚の名作を、しかも望海風斗の歌声で鑑賞できる機会に恵まれただけでも感謝しなければ。因みに、その日は「役替りB」で、シャンドン伯爵を朝美絢が、アランを彩凪翔が演じるのだが、僕は【ファントム】の内容を全く知らないので、特に気にはしていない。多分、ストーリーと歌声に集中して、役替りにまで気が回らないだろう(笑)。せっかくなので、こちらの話題も一緒に載せておこう。何と、バウ公演の過去作品がBlu-ray(BD)化され、発売される事が決まった。これで、ARIやずんが主演した作品も、いずれ販売される可能性が出て来た。しかも、これを運命的と言うのだろうか、僕はこれまで金銭的理由からBDプレイヤーを持っていなかったのだが、つい最近、仲の良い常連さんから3000円で譲ってもらったばかりなのだ。(再生専用なので録画はできないが、「いつか宝塚の作品をBDで観られるように」と思って手に入れたものなので、特に支障は無い)(今はまだ、DVDしか観る機会が無いが…笑)これが先月なら「何でDVDは販売してくれないんだッ!?」と騒いでいる所だが、今なら大歓迎だ。(現金な男で申し訳ない…笑)しかも、バウ公演作品だからか、値段が7560円と良心的なのも嬉しい。まあ、本音を言えば、大劇場のBD作品もこの値段で販売してくれると嬉しいのだが…(笑)。
2018.09.29
明日27日(木)から、美弥るりかが舞台復帰する事がついに発表された。良かった、とにかく良かった。(≧▽≦)舞台復帰は勿論だが、体調不良が心配したほど酷くなかったようで、それに一番ホッとしている。(何しろ公式HPには、いつも「怪我のため」とか「体調不良のため」としか発表されないので…)彼女だって体調管理は当然していただろうし、それでも予期せぬ不調や怪我に襲われる事もあるのだから、ファンとしてはつい余計な心配をしてしまう。それでも、こうして戻って来てくれたのだから、それで良しとしよう。後は、東京公演の千秋楽まで誰一人欠ける事なく、無事に公演が進む事を願うばかりだ。明日の舞台を鑑賞できる人達は、ぜひそんな願掛けも込めて、美弥るりかと月組生達に惜しみない拍手を送ってあげて欲しい。どうせ、僕は一回も観に行けませんよぉおおおだッ!!。・゜・ (ノД`)・゜・。
2018.09.26
映画の感想を更新しようかと思っていた最中、美弥るりかの休演が発表されて頭が真っ白に。体調不良らしいが、大丈夫なのだろうか…。やはり、【エリザベート】は宝塚の代表作だけあって、その緊張や疲労は想像以上なのだろう。とりあえず、今は無理をせずしっかり休んで、万全の状態で戻って来て欲しいと思う。そして、それに伴い彼女の代役も発表された。フランツ役を月城かなとが、ルキーニ役を風間柚乃が務める。風間は新公で同役を好演したばかりなので感覚を掴みやすいだろうが、月城は全く別の役柄を演じなければならず大変だろう。いくら代役を想定した練習を予めしているだろうとは言え、そのプレッシャーは相当だと思う。しかし、これも自分を成長させる好機だと受け止めて、全力で挑んで欲しい。シュテファン役に選ばれた彩音星凪は、大抜擢と言って良いだろうか。また、見守る側のファンとしても色々と思う所があるだろうが、滅多に無い貴重な体験だと前向きに捉え、このイレギュラーな舞台を楽しむと共に、月組生達の熱演に声援を送ってあげて欲しい。それが彼らに勇気を与え、舞台に更なる活気が生まれるに違いない。【カンパニー】を上演した月組が、今まさにカンパニーの精神で困難を乗り越えようとしている。何て運命的なんだろう…。頑張れ、みんな!! 僕達ファンだって、カンパニーだよ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
2018.09.22
ARI、誕生日おめでとおぉぉおおうッ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆「ありがとぉおおうッ!!」 (とは、言ってない…笑)どうも、結局また馬鹿みたいに叫んでしまった男です…(笑)。最初は、別に「おめでとう」を言うつもりはなかったのだが、たまたま観た【エリザベート】新人公演の模様があまりに素晴らしく、叫びたくなってしまったのだ。ARIは勿論、他の若手達も画面から熱気が伝わって来る程の熱演で、「月組凄いぞぉおおッ!!」と改めて彼らのポテンシャルの高さに感嘆した。ARIのトートは、若さこそ感じさせながらも実に妖艶で、僕の中のイメージと見事に重なった。演技も堂々としたもので、正にこれまでの集大成というべき圧倒的な存在感を示し、黄泉の帝王として完全に舞台を支配していた。その様子は、まるでトートが人間達を翻弄して楽しんでいるかのようだ。「死ねばいい!!」の言いっぷりも、何だか嬉しそう(笑)。そして、特筆すべきは、やはり歌唱力だろう。僕は、ARIの歌唱力と声量に関しては以前から評価していたが、今回は予想よりも遥かに上達しており、メロディにしっかりと感情を重ねながら歌うその姿を見て、本気で泣きそうになった(笑)。新公学年の最後に相応しく、立派に主演を務めるだけでなく、暁千星が描くトート像をしっかりと観客の心に刻み込んだARIに拍手だ。そのARIと同じくらい存在感を放っていたのが、ルキーニを演じた風間由乃だ。彼女に対する僕のこれまでの評価は、「確かにポテンシャルは高いが、まだそのポテンシャルの中でしか勝負していない感じ」というものだった。しかし、映像で観た彼女の演技は、僕の予想を遥かに超えて素晴らしく、脱帽した。(寧ろ、本公演のルドルフ役の方が緊張していたのか、何となく動きが硬く感じられた)僕はこれまで、「親子は別」という考えから、ジェンヌ達の両親や家系については触れずに書いて来たが、さすがにここまで見事に演じられると「やはり血筋なのか…?」と思ってしまう。それくらい、非の打ち所がない演技だった。勿論、ARIと同様にまだまだ若さを感じさせる部分はあるが、現時点ではこれ以上望むべくもないレベルに達している。恐れ入った。皇太子ルドルフを演じた101期生の彩音星凪は、映像で流れたのが歌の場面だけだったので演技はよく分からないが、観た人達の間ではなかなか好評のようだ。今後、ますます活躍の場が広がる事を期待している。次期トップ娘役に選ばれた美園さくらは安定感のある演技を見せ、輝生かなでは壮年のフランツを違和感無く演じていた。その他の場面でも、常に本公演に迫る緊迫感が漂っており、一人ひとりの気迫が伝わって来た。今回、たった何分かの映像ながら、その実力をはっきりと感じさせた月組の若手達。東京公演を最後にARIは新公卒業となるが、これから先どんな若手が台頭して来るのか、楽しみは尽きない。皆、どんどん個性を磨けッ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ありがとう!!
2018.09.14
月組公演【エリザベート -愛と死の輪舞(ロンド)-】の稽古場風景を観た。各々が予想以上に高いクオリティで仕上げて来ており、改めて「どうして俺は、この舞台を観られないんだ…?」という疑問が頭の中に渦巻いた…(笑)。ルドルフ役のARIも凄く良い表情をしており、【カフェブレイク】の出演が今から楽しみだ。(と言っても、大阪での放送日は2ヶ月以上も先の話なのだが…笑)と言う訳で(?)、初日の幕が開く前に【+act. / 9月号】に掲載されたARIのインタビューの感想を書いてしまう事に。 前回の登場が2016年12月号だったので、それからもう2年近くになる。その間に色々と経験を積んだからだろう、元々素直な性格ではあったが、今回はタカラジェンヌとしてよりも、寧ろもっと生身の、1人の人間として自分を語っているように感じた。確かに、【歌劇 / 3月号】や【宝塚GRAPH / 9月号】、【TAKARAZUKA REVUE 2018】そして今回の【+act.】など、最近のARIの写真は男役としてよりも、彼女自身の人間としての成長がより強く表情に表れているように感じる。(おかげで、最近は雑誌代がかさんで仕方が無い…笑) まだ「大人」とは言えないが、無理に意識しなくても自然に「男子」に見えるようになって来た。それは、彼女の人生がそのまま男役に投影されている証拠だろう。恐らく、普通のジェンヌ達が女性から男性への「変化」の過程で男役になるのに対し、ARIは子供から大人になる「成長」の過程で男役になるタイプなのだと思う。言い換えれば、自分の中に「実感」が伴わなければ、役に入り込めないタイプだ。それが、ARIの演技に対する苦手意識を生んでいた原因ではないか…。しかし、入団から7年経ち、舞台を通して様々な「人間」を知り、「世界」を経験する事で、彼女も変わって来た。そこで色々と考え、実感した事がARIの中に積み重なり、今こうして少しずつではあるが彼女の表情に表れて来ているのだと思う。ARIの男役としての成長と、彼女自身の人間としての成長とは不可分なのだ。そして、そこにこそ(良くも悪くも)暁千星という男役の個性がある。(朝美絢の組替えを、「(朝美さんからの)自立です」と表現する所も、ARIらしい感性だ)早くから抜擢が続き、ファンからは「路線」だ「爆上げ」だと言われ、その表向きの明るさや華やかさから、傍目(はため)には駆け足で一気にここまで登って来たような印象がある。けれど、きっとARI自身はずっと「一歩ずつ」だったのだ。インタビューでも答えていたが、それが一番顕著に現れたのが【グランドホテル】だろう。あの公演中に出演した【カフェブレイク】でのARIは、いつもの元気が無いように見えた。どこか無理をして笑顔を作っているような…。そんな、いつもと様子の違うARIを見て、「あれ、もしかして悩んでる?」「それとも、気持ち的に行き詰まってる?」と心配になってしまったのだ。まあ、その心配が的を得ていたのかどうかは確かめようもないが(笑)、可愛い初孫が悩んでいるかと思うと、どうにも落ち着かなくなり(お祖父ちゃんは心配性…笑)、でも自分にしてあげられる事は何も無くて、色々と考えた末に「わからなくても歩いて行け / 行けばわかるよ」という清沢哲夫の【道】という詩を贈る事にしたのだ。(本人に届くかどうかも分からないのに、僕も結構無茶だな…笑)たとえ今直ぐには答えが出なくても、今直ぐには意味が理解できなくても、そうした努力を一つひとつ積み重ねて行けば、いつか必ず「自分が目指していたものは、これだったんだ」と思える日が来る。先日、ラジオの番組で、ウルフルズのトータス松本が「無理に楽しもうと思うのではなく、どんな事でも一生懸命にやっていたら、自然と楽しくなって来る」と言っていた。今回のインタビューで、ARIも「楽しい」という言葉を何度も繰り返しているが、恐らくそれだけ舞台に打ち込めている、という事だろう。役者として、まだまだ越えなければならない壁は幾つもあるし、上手く行かずにもがく事も多いだろうが、どうかこれからも楽しみながら頑張って欲しい。焦らず、一歩ずつで良いのだ。そして、僕はそんなARIが……大好きだあぁぁあああ!!よし!! (またかよ…笑)因みに、宙組公演【異人たちのルネサンス】は、10月16日(火)と30日(火)のチケットを無事に手に入れた。抽選に外れた時は「またか…?」と不安になったが、先行販売で何とか2回分を確保。いつもは1階席と2階席の両方から観劇するのだが、今回は欲張って(?)どちらも1階席。ずんは、ロレンツォ・デ・メディチ(芹香斗亜)の弟ジュリアーノという事で、最初は「出番が多そうだ」と喜んだのだが、噂によるとザナンザ王子と同じ運命を辿る役柄らしく…。アニータに続き、ファンはまた悲しい想いをする羽目になるのか…?はあ、【王妃の館】のずんに会いたいな、DVD買っちゃおうかな…(笑)。あ、そう言えば、配役にレオナルドの弟子であり同性の愛人と言われるサライの名前があった。彼を演じるのが、娘役の天彩峰里という所がいかにも確信犯的だが、さてどうなるか…(笑)。
2018.08.22
遅くなったが、ようやくショー【BEAUTIFUL GARDEN -百花繚乱-】の感想を書き上げた。もう少し何か書きたかった気もするのだが、だんだん記憶が曖昧になって来ているし、あまり拘っているといつまで経っても終わらなさそうなので(笑)、強制終了する事に。(そして、途中でふと思い出したが、僕は元々ショーの感想を書くのが苦手だったんだ…笑)今回は、とにかく水美舞斗が出ずっぱりという印象が強かった。一つの場面が終わっても、「あれ、また?」という感じで、次から次へと登場する。下手をすると、2番手の柚香光よりも出番は多かったのではないか。そんな気すらしてしまう。確かに、最近の水美舞斗の活躍には、目を見張るものがある。ただ、今回の構成は「推している」というより、部活の夏合宿よろしく短期集中で「鍛えている」ように見えた。鉄は熱いうちに打て、という事か。恐らく、それが求められる時期に差し掛かっているのだろう。その期待に応えるように、水美も時にコミカルに、時にシリアスに全力で舞台を盛り上げていた。印象的だったのは、第2章『S6』の蜂美男子だ。まるでディズニー映画から飛び出して来たかのような、ちょっとお馬鹿で、でも憎めない愛嬌がある蜜蜂のキャラクターを身体いっぱいで表現していた。この独特の空気感は、水美舞斗でなければ出せない味だと思う。かと思えば、第4章では荒々しい闘牛を、鍛え上げた肉体美でリアルに演じるなど、様々な彼女の魅力と可能性を見せてくれた。元々、身体能力の高さには定評があるだけに、芝居や歌唱力に磨きをかければ、今以上の高みを目指せるだろう。頑張れ、マイティ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆鳳月杏も、芝居で演じた非道な人物像とは打って変わり、時に渋く、時に爽やかに男の色気を振りまきながら、ファンの目と耳を楽しませてくれた。もっと出番が多ければ、なお良かったのだが…。それ以外で個人的に印象に残ったのは、第3章。雨曇りのパリの空の下、白いスーツを着た柚香光を中心に、組子達が傘を使って歌い踊るシーンは優雅だった。一瞬ではあるが、タンバリンを持った天真みちるも登場し、客席から温かい拍手を貰っていた。第7章『S18』も良かった。僕は【Summertime】という曲が大好きなので、男役2人の歌声にじっくり聴き惚れた。(おかげで、どんな場面だったかはあまり覚えていない…笑)公演プログラムを見ると亜蓮冬馬の名前があったが、誰が代役だったのだろうか。「後で、プログラムで確認すれば良いだろう」と高を括り、ちゃんと顔を確認しなかった。それにしても、今回は亜蓮冬馬を楽しみにしていただけに、彼女の休演はつくづく残念な結果になってしまった…。(まあ、その分、一之瀬航季など若手にチャンスが巡って来たのだし、複雑な心境だな…笑)因みに、この曲は多くのアーティストがカヴァーしているジャズのスタンダードだが、原曲はオペラ【ポーギーとベス】の中で歌われた「子守唄」。前半の「夏になれば豊かになる / 魚は跳ねて、綿の木は伸びる / 父さんは金持ちだし、母さんは綺麗 / だから坊や、泣くのはおよし…」では、歌詞とは裏腹に1920年代のアメリカの黒人たちの過酷な生活が反映されている。そして、後半の歌詞では「ある朝、お前は立ち上がって歌う / そして羽を広げて飛んで行く…」という子供の成長を祈る内容になっている。こちらが原曲のアリア(こんな映像までアップされている事に驚いた…笑)個人的には、一聴しただけでは同じ曲とは気付かないほど大胆なアレンジが施された、ジャニス・ジョプリンのカヴァーが一番好きだ。(誰も彼女のようには歌えない…)あ、そう言えば、第8章でのBGMがやたら音量が大きくて、ちょっと耳が痛かった…。たまたまその日だけだったのかも知れないが、オーケストラと比べてあまりに大きい音だったので、もう少しボリュームを下げてもらえると年寄りは助かります(笑)。でも、ありがとう!!次回は、【+act. / 9月号】に載っていたARIのインタビューの感想を書くつもりだが、いつになるかはまだ不明…(笑)。とりあえず、先ずお盆を乗り切らないと!!
2018.08.13
実は、花組【MESSIAH(メサイア)】の感想がなかなか上手く纏らず、どうしたものかと困っていたのだが、宙組【WEST SIDE STORY】に感動し、一気に感想を書き上げた勢いそのままに、その後は花組もすんなりと纏める事ができた。言葉が浮んで来るかどうかは、ある程度その時の気分に左右される事を、改めて実感…(笑)。今回の【MESSIAH】で一番印象的だったのは、100期生の聖乃あすか。登場シーンは少ないものの、徳川幕府の将軍という権威ある立場を演じ、また物語の色合いを決める重要な役回りだったが、これがなかなか堂に入っており感心した。柚香光と水美舞斗のスター2人を相手に、気後れしなかったのも立派なもの。今後の更なる成長が楽しみだ。柚香光は、今回の配役で最も難しい立場にいる山田右衛門作(リノ、祐庵)役だったが、その心情を丁寧に演じており、好感が持てた。リノの流雨(仙名彩世)への想いや、領民達との関係を考えると、いきなり現れて自分の居場所を踏み荒らす四郎は、まるで生態系を乱す「外来種」のように映ったに違いない。しかし、海賊風情にも拘わらず、四郎は流雨や領民達の信頼を得て行く…。そんな四郎に対するリノの複雑な心境を、柚香は台詞としではなく、表情や仕草に滲ませながら、しっかりと表現していた。歌唱力も申し分無く、2番手として着実な成長を感じさせる。元々、類い稀なオーラを持つスターだけに、それに見合う実力を身に付ければ、誰からも異論の出ないトップになれるだろう。一方の水美舞斗も、静かな佇まいの中に徳川幕府の重鎮としての貫禄を存分に感じさせる演技で、脇役以上の存在感を放っていた。また、敵の総大将でありながら、窮状に喘(あえ)ぐ領民達にも理解を示し、温情を滲ませる細やかな表現も素晴らしかった。江戸城内での、裃(かみしも)を着ての所作も見事。星組の瀬央ゆりあと同様に、これまでは圧倒的キラ星の同期の影に隠れがちだったが、最近は確かな個性と実力を身に付けつつある。今後が更に楽しみだ。物語の元凶となる松倉勝家を演じる鳳月杏は、圧巻の芝居で魅せてくれた。普段の慈愛に満ちた眼差しとは真逆に、今回の舞台で見せるのは、天草の人々に地獄のような苦しみを与えながら、それをせせら嗤(わら)う無慈悲な外道の眼差し。宝塚という事で、さすがに残酷な拷問のシーンは無かったが、彼の言動からどれだけ残忍な人間だったかはしっかり伝わって来た。そう言えば、先月の話になるが、朝日新聞の夕刊とスポニチ新聞に彼女のインタビューが載っていて驚いた。普段は、トップコンビや別公演で主演する男役しか登場しないコラムに、2番手でもないジェンヌのコメントが載るのは異例中の異例。(今年は1度しか彼女に会えない憐れな僕に、同情してくれたのだろうか…笑)インタビューでは「共感できる部分が全くない人物だったので、役作りに苦労した」と話していたが、舞台では本当にちょっと怖くなる程の悪人振りを、見事に体現していた。その家臣である田中宗甫を演じた天真みちるも、憎々しい表情で見応えがあった。僕は何故か、ずっと彼女を専科の人だと勘違いしていて(笑)、今回退団すると知って初めて花組の男役だと気付いた。彼女と言えば、【金色の砂漠】でのゴラーズが印象に残っている。更に、他の人達のブログを読んで、彼女が実はあの「タンバリン芸人(?)」だった事も知り(笑)、何だか色々と驚かされた。(動画を見た記憶はあるのだが、誰かまでは覚えていなかった)悪人役ではあるが、最後までしっかりと存在感を示していたと思う。主演の明日海りおは、流石の演技力で、元海賊という猛々しさと、子供達から好かれる人懐っこさとを矛盾無く表現していた。そこからは、夜叉王丸(四郎)の自由で邪心の無い生き方が透けて見え、それが第13場の説得力に繋がったのではないかと思う。また、領民達の心を束ねて力強く導く姿が、トップスターのカリスマ性とも上手く重なり、天草四郎時貞をただのシンボルではない真のリーダーとして蘇らせていた。仙名彩世も、聖母マリアの絵のモデルとなる美しさと、困難な状況にも挫けない芯の強さを持つ女性、流雨を好演していた。恋愛要素が薄いので、気付くと物語の中に埋没してしまいがちな役柄ながら、トップ娘役としての存在感をしっかり出していた。第5場B(だったと思う)での歌声も美しく、もっと聴いていたいと思った。ありがとう!!今回、個人的に注目していた若手の亜蓮冬馬が怪我のため休演したのは残念だが、1日も早く回復して、また元気な姿をファンに見せて欲しい。気分が出れば、ショー【BEAUTIFUL GARDEN -百花繚乱-】についても書きたいと思う。そう言えば、流雨をモデルにした聖母の絵は、ラファエロの【大公の聖母】が元じゃないだろうか?赤子のイエスを抱いていなかったし、遠目なので確証はないが、凄く似ていると思った。
2018.08.06
花組公演の感想はちょっと後回しにして、先に宙組【WEST SIDE STORY】の感想を。主演の真風涼帆は、若々しく爽やかな青年トニーを好演していた。これまで僕が観た限り、真風がこんなに素直に恋にときめき、愛を語る役を見た事がなかったので、何だかとても新鮮な感じがした。(王族か貴族か、軍人しか記憶に無い…笑)しかも、全く違和感が無い。【天は赤い河のほとり】でのカイルは、王位継承者としてもっと成熟し落ち着いた印象だった。一方、トニーは何処にでもいる普通の青年で、その場の感情に流され、周りが見えなくなる未熟さがある。両者の年齢はさほど違わないと思うが、その境遇や性格の違いを自然に演じ分けていたのは流石。恋に上気したトニーの心情も、よく表現できていたと思う。若くなった真風とは逆に、星風まどかのマリアは、【天はー】で演じたユーリよりももっと大人の印象を受けた。それが役柄のせいなのか、トップ娘役としての自信が出て来たからなのかは定かではないが、恐らく後者だろう(と、思いたい)。ユーリは「可愛さ」よりも「幼さ」の方が勝っていたが、マリアはちゃんと年頃の女子に見える。そのおかげで、いかにも凸凹カップルという感じが微笑ましかったカイルとユーリに比べ、トニーとマリアはより自然な街角のカップルという感じに。それが、更に感動を後押しした。そんな、まだ幼く純粋な2人に対し、もっと大人の恋愛をしているのが、ベルナルドとアニータ。この2人を演じた愛月ひかると桜木みなとが本当に素晴らしく、演技の枠を越えて、もはや役そのものにしか見えなかった。愛月もずんも芝居に熱い役者なのは承知していたが、今回は火傷するくらいの激しさで、誰も2人の間に入り込めない雰囲気を醸し出していた。 いかにも「俺の女」という強気な態度のベルナルドと、彼を深く愛しながらも男に迎合せず自立した女性のアニータ。この2人の恋の駆け引きが、最高に刺激的でセクシーで格好良い。トニーとマリアのそっと寄り添い、交わす言葉がいちいちロマンチックな恋とは好対照だ。そんなベルナルドとアニータの関係そのままに、愛月とずんも互いを信頼しつつ、個と個をぶつけ合う素晴らしい芝居を見せてくれた。だからこそ、第2幕でアニータを襲う悲痛も、より鮮明に伝わって来たのではないか。「役を生きる」事の意味を、身をもって示してくれた彼らに、惜しみない称賛の拍手を贈りたい。特に、ずんは初めての娘役というだけでなく、見ていて辛くなる場面も演じなければならず、色々と大変だったろうと思う。それを、正に体当たりの演技で乗り越え、アニータの愛と魂を感じさせてくれた。この経験は、必ず今後の舞台に活きて来るだろう。やっぱり君は最高だよ、ずん!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆今回、宙組による【WEST SIDE STORY】を観劇して、これから先、再びこの作品が上演される事があったとしても、僕はもう観なくても良いと思った。と言うか、もう観たくない!! (/ω\)下手に観て、この記憶を上書きしたくないからだ。僕の中で、ベルナルドとアニータは永遠になった。彼らだけではない。真風と星風が演じるトニーとマリアも理想的なカップルで愛おしく、他の登場人物達も同じ物語を生きる仲間として愛おしい。だから、僕の【WEST SIDE STORY】は、これが完全版であり完結編となったのだ。もし次も観て欲しかったら、今回の舞台をDVD化してくれれば良いんじゃないかなッ!? (♯`∧´)/(これが「お願い」なのか「脅迫」なのか、もはや自分でも分からない…笑)と、そんな大満足の今回の舞台で、個人的に印象的だったのは、クライマックスとなる第2幕『第6場』の後半部分だ。それがどのタイミングからなのかは分からないのだが、ふと気が付くとずっと「無音」なのだ。オーケストラが全く鳴っていない。そればかりか、台詞も途中から無くなるため、劇場内が完全な無音状態になるのだ。これには驚いた。こんな演出方法もあるのだ、と。台詞も音楽も消え、しんと静まり返った状況の中で、芝居が続いて行く。だから、観客も否応無しに舞台に集中する。固唾を呑んで見守るとは、正にこういう事だろう。そんな静寂の中、登場人物達の動作は、まるで無音のレクイエムを奏でているかのように映り、悲しくも美しく僕の心に響いた。この大胆な演出も、きっと僕にとって、この作品を忘れ難い特別なものにした要因の一つだろう。ありがとう!!
2018.08.03
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