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先日の山田五郎に続き、何と宝塚歌劇団までがジョージアを推して来た(笑)。これこそ本当に「よもやよもやだ」。12日(火)の雪組観劇までブログを更新しないつもりでいたのに、これでは書かない訳にはいかなくなってしまった。だから「ジョージアを出されたらジョージア贔屓としては無視できない」って、この前書いたばかりでしょ!!(笑)とは言え、先ずはこちらの話題から。上田久美子が宝塚歌劇団を退団した。「濃密な人間ドラマを敢えて宝塚という制約の中で描く所に、彼女の作品の妙味がある」と思っていた僕としては残念という気持ちがある一方で、「このまま宝塚ファンを相手にしているより、もっとちゃんとした演劇ファンを相手に勝負した方が彼女の可能性は広がるだろう」という想いもあり、退団には賛成だ。それに、退団すると言っても、フリーの演出家としていつか再び宝塚の作品を手掛ける機会があるかも知れない。ファンとしては寧ろその日を楽しみにして、今は彼女の新しい門出を見送ろうと思う。そして、できればMEGADETHのファンであってくれたら、もの凄く嬉しい(笑)。今までありがとう!!でも、またいつか再会できる事を願って、サヨナラは言わないぞ!!さて、ジョージア。いや、違う。2022年11月~2023年2月の星組公演ラインナップ【斜陽の国のルスダン(仮)】の話だ。ARIが星組に組替えして初の公演が、よもやジョージアを舞台にした作品とは…。一体、何のご褒美なのだろうか?(いや、もしかして月組【ブエノスアイレスの風】が抽選に外れた穴埋めか…笑)星組と言えば、前回公演のレビュー【モアー・ダンディズム!】でもジョージアン・ダンスを披露してくれたり、ジョージアと縁が生まれている。この作品を通じて、組子達が少しでもジョージアに親しみを持ってくれると嬉しい。(お前はどこの回し者だ…笑)かく言う僕も、原作小説『斜陽の国のルスダン』を読んだ事も無ければ、ジョージアの歴史についてもほとんど知識が無いので、この公演を機会にちゃんと勉強してみようと思う。そんな切っ掛けを作ってくれた、演出の生田大和に感謝だ。今月23日(土)に幕を開ける【めぐり会いは再び next generation】の考察は既に全て終わり、観劇後の答え合わせを残すだけとなった。「ラブコメディだから悪人は出て来ないだろう」と踏んでいたら、綺城ひか理がキャストボイスで「“めぐり会い史上”最大の悪人・宰相オンブル」と爆弾発言をするなど(笑)、多少の軌道修正はあったものの、その経緯もしっかり書いてある。さて、運命や如何に…。それにしても、今年に入ってから、やけにジョージアと繋がるのは何故だろう。いつかも書いたように、僕のブログには「繋ぐ」能力があるが、何と何が繋がるかは僕にも全く分からない。単に、自分の興味に従って書いているだけなのだ。……………あれ?もしかして、宝塚歌劇団と山田五郎って知り合いなのか?それとも、ワダさんが僕のファンなのか…。だから、違うってッ!!お粗末様でした(笑)。
2022.04.08
朝月希和が【夢介千両みやげ】で演じるオランダお銀も、【CITY HUNTER】で演じた槙村香と似ている部分が多い。自分の恋心を素直に言えない香と、惚れたら一直線のお銀という違いはあるが、2人とも直情的でもの凄くやきもち焼きだ。そして、意外(?)に尽くすタイプでもある。そんなお銀と香、夢介と獠が互いに出会って話をしたらどんな会話になるのだろうと想像すると楽しくなるが(笑)、朝月のイメージからしても香よりお銀の方がしっくり来る。(香は、寧ろ男役が演じた方が面白くなるだろう)夢介に見せるいじらしさと、周りに見せる素の部分との演じ分けも上手い。汝鳥伶が演じる嘉平(夢介の爺や)とお銀のやり取りを聞いていて気付いたが、本作はステレオタイプの登場人物が多い。皆、普通なのだ。誰もが「このキャラクターならこんな事を言う(する)だろう」という範疇の言動をしている。そんな普通(=当たり前)の人達の中に、当たり前じゃない価値観で動く夢介が入る事で、皆がペースを乱されて笑いが生まれる、というのが本作の特徴だろう。今公演で卒業する綾凰華は、念願(?)の悪役を体当たりで演じていた。コメディなので冷血非道な男という訳ではなく、無為徒食なごく潰しといった感じの役柄だが、啖呵の切り方もいかにも江戸っ子といった格好良さがあり、綺麗な顔からは想像できないほど自然で驚いた。前作の槙村秀幸に続き、本作でも役者としての器用さを見せ付けている。それだけに、退団はやはり勿体無い。(言わないつもりだったが、芝居を観たらやはり言いたくなってしまった…笑)退団後の予定は知らないが、できれば舞台を続けて欲しい役者である。ありがとう!!名前だけかと思ったらそのまま「遠山の金さん」だった(笑)、金の字役の縣千は最後の最後に主役級の見せ場があり、本当に楽しそうに演じていた。あれは絶対に演じていて楽しいはずだ(笑)。しかし、遠山の金さんと言えば、高橋英樹など名うての俳優達が演じて来た有名な役どころ。ただ楽しいだけでなく、縣なりに色々と研究し試行錯誤したであろう努力の跡をしっかり感じさせる芝居だった。まだまだフレッシュ満載の彼女だが、これからどんな男役に成長して行くのか楽しみだ。個人的には、哀愁を漂わせた影のある役も似合うと思うのだが、まだ暫くは元気溌溂なキャラクターで押して行くのだろうか。それ以外では、三太(和希そら)の妹弟役を演じた花束ゆめと莉奈くるみ(で間違ってないよね…?)のコンビにも笑わせてもらった。また、本作は夢介(彩風咲奈)と総太郎(朝美絢)の「モテ勝負」的な要素もあるせいか、女性陣に纏わるエピソードも色々あって面白かった。来週12日(火)の観劇では、もっと細かく観て行きたい。ありがとう!!因みに、史実の遠山景元(かげもと)は「金四郎」と呼ばれていた若い時に家を出て、放蕩無頼の暮らしを実際にしていたらしい。その頃に彫ったかどうかは不明だが、幕府が刺青禁止令を出した時代に、当の町奉行役人が刺青を入れていたのは遠山の金さんそのままのエピソードだ。ただし、金四郎が入れていた刺青は「桜吹雪」ではなく、「髪を振り乱して巻紙を咥えている女の生首」だったらしいが…。
2022.04.05
昨日は、山田五郎の解説動画が絵画に歌に映画にと予想以上に面白くて後回しにしてしまったが、雪組【夢介千両みやげ】のキャスト別感想を。前回の感想で、僕は「夢介はお金に執着していない」と書いたが、改めて考えると「お金に対する意識が僕達とはそもそも逆なのではないか?」という気になった。つまり、現代人の僕達は食べ物はお金で「買う」ものだと思っているが、毎日田畑に出て働く夢介にとって食べ物は「育てる」ものであり、そうして丹精を込めて育てた米や農作物が売れるからお金が手に入ると思っている。(「庄屋」とは現代でいう村長のような立場だが、士農工商の身分としては農民・百姓である)僕達と夢介では、入口と出口が逆なのだ。夢介の心根は「買う人」ではなく、「育てる人」なのである。この意識の差を克服しないと、本作は正しく理解できないのかも知れない。演目が発表された時から感じていたが、彩風咲奈のお披露目公演は【CITY HUNTER】より【夢介千両みやげ】の方が良かったのではないかと、観劇して改めて感じた。それくらい、夢介のおおらかさと度量の大きさは彩風のイメージに上手く嵌まっている。(ただ、前作で冴羽獠を演じたからこそ、本作の夢介をあれだけナチュラルに演じられた可能性もあるので、一概にどちらが良かったとは言えないが…)キャラクター的には真逆ながら、2人の主人公にはどこか似通った部分がある。夢介は周りから「牛のようにボーッとしている」と馬鹿にされているが、観察眼はかなり鋭いし、終盤に見せる機転と運動神経の良さはとてもただの馬鹿には見えない。一方、裏社会でNo.1スイーパーの異名をとる冴羽獠も、世間(表社会)での認識はただのスケベ男「新宿の種馬」である。2人とも常人には測り切れないスケールや才覚を持ちながら、普段は決して表に出さないため、誰もそれに気付かない。そして、どちらもお金ではなく心で動く。そんな彼らを違和感無く演じ分けられる彩風咲奈もまた、想像以上に大きな包容力を持った人なのだろうと思う。特に、本人が「男役の枠に嵌めないで演じてみた」と語るように、本作では彩風自身の人柄がダイレクトに反映された事で、夢介の人柄に芝居以上の温かみを感じる。それと同時に、千両箱を担いだ時の背中や啖呵を切る姿には男役の逞しさと頼もしさが漂い、男の僕が見ても惚れ惚れする格好良さだった。彩風咲奈は男役を超えて、遂に役者として開眼したようだ。個人的には嵌まり役だと思うし、良い役に巡り合ったと思う。そんな彩風と阿吽の呼吸を見せる朝美絢も、前作のミック・エンジェルを超える嵌まり役で客席の爆笑をさらっていた。正直、ここまで器用にコメディができる役者だとは思わなかった。ミック・エンジェルの時も感じたが、とにかく間の取り方が絶妙だし、多少ふざけて演じても若旦那のキャラクターはしっかり保っている。同期の柚香光と共に、もはや芝居に見えない上手さだ。「なんせこの顔 この器量」という総太郎の自惚れも、本当に美形の朝美が言うと嫌味に聞こえないから凄い(笑)。彩風と朝美のコンビが、ここまで僕の感性に嵌まるとは想像していなかった。いやはや脱帽である。そして、この2人が進化・深化する誘発材となったのが、宙組から組替えして来た和希そらだろう。これまでに比べ、彩風も朝美も芝居に対する視野が格段に広がっている。お披露目公演を経て、少し余裕が生まれたタイミングでの和希の組替えは大成功だったようだ。周りを的確にアシストするだけでなく、自分でもゴールを量産できるオールラウンダーは、「一家に一台」ならぬ「一組に一人」欲しいと思わせる逸材に成長した。しかし、劇団よ。だからと言って「じゃあ、和希は専科に異動させよう」などとは、間違っても思うなよ。仮に思っても、口にはするな。(あれ、この流れって前にもやったな…笑)和希そらは、もう雪組のものだからなッ!!(お前はどこの回し者だ)ありがとう!!朝月希和や綾凰華らの感想はまた後日に。それにしても、今の雪組の充実ぶりはどうした事だろう。組子達の個性に磨きがかかり、押し出しが強くなっただけでなく、何よりも皆が舞台に立てる事を心から楽しんでいるのが観ていて伝わって来る。望海風斗や彩凪翔が退団する時、僕は「組としてパワーダウンしてしまうのではないか…?」と将来を不安視する発言をしたが、あの日の自分に言ってやりたい。 もう手遅れだと思います…(笑)。
2022.04.02
気が付けば、もう雪組公演。約2ヶ月振りの宝塚観劇となる。そして、気が付けば街角にも舞台にも桜が咲き誇っていた。今回の雪組【夢介千両みやげ】は、どこか昭和の喜劇を思わせるおおらかな雰囲気の作品だった。作品が発表になった時、ネットでは「千両」という金額と「道楽修行」という女遊びの部分ばかりが話題になっていたが、実際に観劇すると本作の主題はやはり「通人」にある。(ここで言う「通人」とは、「人の心が分かる人間」という意味である)主人公の夢介は道楽修行を「人生経験」と捉えており、そのためにお金を使う事を厭(いと)わない。それは「生きた金」であり、彼は全て他人のためにお金を使っている。悪人にまで簡単に大金を払っている場面があるが、三太との会話にもあるように夢介は「悪事を働く人間は、そうせざるを得ない環境に生きて来た人達」と捉えているようだ。恐らく夢介は、自分が恵まれた環境に育って来た事をきちんと理解しているし、それと同時に自分とは真逆の環境でしか生きて来られなかった人達がいる事も理解している。彼らがお金を求めるのは、その人がお金を必要としているから…。であれば、夢介にとって相手が善人か悪人かはあまり違いが無いのだろう。この辺りの夢介の感覚は、ロシアの民話『イワンの馬鹿』に相通じるものを感じる。『イワンの馬鹿』の主人公・イワンは、性悪な兄2人から求められるままに財産の取り分を全てあげてしまう。彼らが無一文になって帰って来た時も、イワンは喜んで養った。その後、王女を助けた縁からイワンは結婚して国の王様になるのだが、「体を動かさないのは性に合わない」と、人民の先頭に立って以前と同じように畑仕事をして生活する。王女も彼を愛していたので、共に農作業に勤(いそ)しんだ。彼の国の掟はただ一つ「働いて、手にタコのある者だけが食べる権利がある」だった。ある日、商人に化けた悪魔がイワンの国に来て金貨をばら蒔くが、人民は誰もが衣食住に満ち足りているためお金に興味を示さなかった…。そもそも夢介はお金に執着していない、というかお金の多い少ないを幸せの基準にしていない。千両が無くなれば、小田原に帰って農作業をすれば良い位に思っている。(彼の口振りからすると、庄屋の息子だからといって遊んで暮らしている訳ではなく、小作人達と一緒に田畑に出て働いているようだ)千両は「使って良いお金」として親から貰っているし、それを他人のために役立てるのは決して悪い事ではない。夢介の父親が「通人になるため」と言っているように、この道楽修行は単なる浪費ではない。そうやって人間を磨く事で、使った千両が将来2倍にも3倍にもなって返ってくると、父親は考えたのだろう。「浪費」ではなく「投資」である。千両が浪費になるか投資になるか、或いは「浪費で終わらせるか」「投資に変えられるか」は本人の生き方次第であり、それを夢介と総太郎の人柄で対比させているのだろう、と舞台を観ながら感じた。大切なのは使う金額ではなく、その「使い道」なのだ。そんな本作が面白い所は、夢介が最初から「通人」の素質を持っている事だ。童話『北風と太陽』の喩えにあるように、物語を通して主人公が成長するというより、夢介が実際に人々と関わりお金を使う事で、周りの人達の心が解きほぐされて行くという構図になっている。夢介は、最初から「お金」ではなく「人の心」を見ている。彼が時々口にする「面白い芝居を見せてもらった」とは「人間の心模様を見せてもらった」という意味である。だからこそ、金銭目当てで夢介と接した人達は、自分の下心や人間性を見透かされたような気になって恥じ入り、改心する(惚れる)のである。(逆に、馬鹿が付くほど真正直に生きている夢介には、隠したい事や後ろめたい事が何も無い)そして、夢介は絶対に見返りを求めない。「お礼をしたい」と言う人達には、「じゃあ、他の誰かの助けになってあげて欲しい」と頼む。つまり「恩送り」の精神である。「恩返し」は当事者同士で終わってしまうが、「恩送り」は誰かから受けた恩を直接その人に返すのではなく、別の人に送る事で善意の輪が広がって行く。お金はその切っ掛けに過ぎない。それを損得勘定や義務感からではなく、性根でできてしまう所に、夢介の凄さがあるのだ。このように【夢介千両みやげ】は、お金の豊かさより心の豊かさを描いた良心的な作品である。目先の「損得」や「勝ち負け」でしか物事を判断できなくなった現代人の心に、夢介の底抜けなお人好しがどのように響くか、僕もとくと拝見させてもらおう。良い芝居を観せてもらった。ありがとう!!キャスト別の感想はまた後日。ショー【Sensational!】も、雪組の充実度を見せ付ける見事な内容だった。個人的には、既に今年のベスト・レビュー候補に挙がっている。こちらの感想は2度目の観劇後に。さて、星組【めぐり会いは再び】は人物相関図も出て、物語の全体像が何となく掴めて来た。意外な場所に意外な人物がいて驚いたりしながらも、基本的にはこれまでの推理に変更は無し。(寧ろ、どんどん想像が膨らんで、推理が纏め切れなくなっている状況だ…笑)どんな展開になるにせよ、かなり楽しいドタバタ劇になるだろう。因みに、解説記事は既に書き進めているのだが、人物相関図が出るまでの推理分だけで前後編の長さになっており(笑)、そこに相関図発表後の推理と答え合わせの分を合わせると、全4回になりそうな勢いだ。僕がどういう手順で、どういう経路で推理を進めたかが分かるように書くつもりなので、頑張って読んでもらいたい。これで何一つ正解していなかったら思い切り恥を晒す事になるが(笑)、その辺りもお楽しみに。
2022.03.30
■抽選結果お申し込みをいただいた中から厳正に抽選させていただいた結果、誠に残念ですが、以下の公演につきましてチケットをご用意することができませんでした。・宝塚歌劇 月組公演 『ブエノスアイレスの風』-光と影の狭間を吹き抜けてゆく…-フッ…… (  ̄ー ̄)まあ、これが現実ですよ、皆さん。いくら偉そうに「友好的な関係で行きましょうね」と言った所でね、結局は僕の独り善がりでしかないんです。所詮、僕達ファンは劇団の掌の上で転がされる運命なんですよ。皆で笑えば良いさ!!エェーーーーーン!!。。゚・(((つД`)))・゚。代わりに、雪組公演4月12日(火)のチケットを追加購入したから、彩風咲奈と雪組の皆に慰めてもらうもんねぇええだッ!!と、お約束のネタも披露した所で(ネタなのか…?)、星組公演の話題。星組大劇場公演【めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-】は、4月26日(火)と5月17日(火)のチケットを無事に手に入れた。(この時期になればコロナ禍の影響もほぼ無くなるだろうと判断し、最初から2回分を購入)少し調べてみると、柚希礼音で初演された【めぐり会いは再び-My only shinin’ star-】は、フランスの劇作家ピエール・ド・マリヴォーによる喜劇『愛と偶然の戯れ』と『愛の勝利』が下敷きになっているようだ。今作では新たな役も加わり、どんな物語が展開されるのか楽しみにしている。とりあえず「一角獣の聖杯」の謎と、その先に浮かび上がる重要参考人、そして怪盗ダアトの正体まで、一通りの目星は既に付けてあるものの、勿論どれもまだ確証がある訳ではない。(物的証拠なら幾つもあるのだが…笑)名前からだけでは想像し難いキャラクターもいる。人物相関図が出れば、もっと深く推理できるだろう。当日は舞台と共に、答え合わせも一緒に楽しみたいと思う。推理が当たっていれば、久し振りに深読み解説もしてみたい所だが(まあ、外れたら外れたで感想戦をしてみるのも一興かも知れない…)、東京公演の千秋楽以降となると7月末になるので、あまり期待せずにお待ち頂きたい(笑)。ネタバレになってもミスリードになってもいけないので、これ以上ここで何か書くのは控える。それでも敢えて今、この段階でヒントを出すとすれば「真夜中」かな…。 「ですよね、小柳先生?」「さあ、君に解けるかな?」
2022.03.16
先月は朝6時と言えばまだ真っ暗だったが、3月に入り明るくなる時間がだいぶ早くなって来た。OG達のインスタグラムにも花の画像が見受けられるようになり、暮らしの中に何気なく春の訪れを感じている。(とは言え、まだ暫くは寒い日が続くので、体調には気を付けたい)ウクライナ情勢は予断を許さないが、彼らに一日も早く穏やかな春の日々が訪れる事を切に願っている。さて、今月からモーニング料金を一律50円値上げしたのだが、思った以上に好意的に受け入れられている。僕としては客が減る事も覚悟していたのだが、今のところ影響は無く、常連客からは「ずっと値上げしないから心配してた」とか「今まで辛抱してたものね」といった同情(?)の声も聞かれ、身構える必要は全く無かったようだ(笑)。まあ、オープン13年目にして初めての値上げだし、昨今の日本経済の動向から考えて、お客さんも「やむ無し」と捉えているのだろう。確かに、昨年末からパンに珈琲豆、マーガリンにチーズ、更にはドレッシングとあらゆる食材が値上がりしており、さすがの僕もこれ以上は踏ん張れなくなっていた。タイミング的にもちょうど良かったのかも知れない。昨日は星組の集合日だったようだが、天寿光希の退団が発表された。彼女の事は、これからもずっと星組にいてくれるものだと勝手に思い込んでいたので、星組一筋に舞台を支えて来たベテランがいなくなってしまう事が意外過ぎて実感が湧かない。そこにいるだけで安心できる実力と個性を兼ね備えた天寿との共演は、ARIも学べる事が沢山あるだろうと楽しみにしていただけに、このタイミングでの退団は本当に残念だ。綾凰華への気持ちが整わない内に、また心がかき乱されてしまった…。と、ここまで書いて気付いたが、先月は宝塚の話題をたった2回しか書いていなかった。宙組公演の観劇が流れたとは言え、ここまで何も書かないのも珍しい。という事で(?)、途中まで書きかけて放ったらかしにしていた話題を、ついでに載せておく。上田久美子の2つの作品【fff -フォルティッシッシモ-】と【桜嵐記】についての考察だ。以前、「『fff』とは『Freude für Fūto(望海風斗に捧ぐ歓喜)』の略ではないか?」と考察したが、実は最初は別の言葉を考えていた。それは「Fight For Freedom(自由のために戦う)」だ。これに気付いたのは全くの偶然だった。ポスターの表題文字を見た時、真ん中の「f」が小文字っぽくなっているのは気にこそなったが、それ以上は特に何も考えず忘れてしまっていた。ところがある日、MEGADETHのアルバムをパソコンに取り込んでいる最中に、『FFF』という曲があるのを不意に思い出したのだ。それが「Fight For Freedom」の略だった。この「自由」を「開放」と捉えれば、ベートーヴェンは「音楽の開放」のため、ナポレオンは「人民の開放」のため、謎の女は「苦しみからの開放」のために戦うと解釈する事もできる。ポスターで「fff」の文字が砲口の目の前に配置されている事、そして「やるならやってみろ、運命よ」の文言から見ても「Fight For Freedom」という解釈は的外れではないだろう。その後、より望海風斗のサヨナラ公演に相応しくなるように「Freude für Fūto(望海風斗に捧ぐ歓喜)」という解釈に変えたが、冷静になって考えてみるとやはり「Fight For Freedom」の方が作品のテーマに合っているように思う。『限りを知り、命を知れ』多少でも哲学を学んだ経験がある者なら、この言葉からハイデガーの「死への先駆」を連想するだろう。「死への先駆」とは、いずれ訪れる己の死を運命として自覚的に受け入れる事を指す。実際に死が訪れる前に、死の方へ先走って行き、そこから自分の人生を捉え返すという意味だ。ハイデガーによれば、この死の覚悟がある者だけが「良心の呼び声」に応える事ができると言う。自分がいつ死ぬか分からないという切迫した状況の中でこそ初めて、人は本当に為すべき事は何かを問うようになるのだ。それは、今ある自分を受け止めると同時に、未来の可能性への選択にもなる。あの時、『第11場B 赤坂村 楠木の館』で「やかましい」と叫んで邪念を振り払った楠木正行は、己の内に良心の呼び声を聞いたのではないかと思う。そして、自分が為すべき事に思いを定めたのだ。その姿は、国外へ亡命する道を選ばず、首都キエフで大国ロシアと戦う覚悟を表明したウクライナのゼレンスキー大統領と重なるのではないか…。
2022.03.08
宙組公演【NEVER SAY GOODBYE】の再延期が発表された時点で「チケットの購入は、公演の再開がきちんと発表されてからにしよう」と思っていたのだが、慎重になり過ぎたのか、気が付けばチケットが売り切れていた(笑)。まあ、公演日数が減るのだから、当然と言えば当然か。僕の方も3月は確定申告があったり、2010年のオープン以来初めてモーニング料金を値上げするのでその準備もあったりと、予定を組み難い状況だった事もあり、今回は縁が無かったと諦めよう。風色日向が主演する新人公演は中止になってしまったが、東京公演では本公演ともども無事に行われる事を祈っている。新人公演と言えば、雪組【夢介千両みやげ】は101期の縣千が3度目の主演に抜擢された。4月から研8になる縣は無いかとも思っていたが、3月19日が初日という事で大丈夫のようだ。お節介な心優しき青年・夢介の人物像は縣のイメージにも合っており、最後の新公主演を務めるに相応しい役柄だろう。そして、朝美絢が演じる2番手役の伊勢屋総太郎には、106期の華世京が抜擢された。今年1月の記事で「研3辺りで有望な若手を新人公演の主演に大抜擢してみてはどうだろうか?」と書いたが、主演ではないもののほぼ狙い通りの結果となった。「研3辺りで…」と書けば劇団が華世を推して来るのは分かっていたし、分かっているからこそ敢えてこちらも名指しせず匂わせる程度に書いたのだが、ちゃんと以心伝心できている事が確認できて安心した。これからも、お互い友好的な関係で行きましょうね。(と、胡麻をする事も忘れない男…笑)縣千もまだ2回しか新公主演を経験していない事を考慮すれば、この人選がベストだろう。【夢介千両みやげ】の観劇は、3月29日のチケットを手に入れた。現在のコロナ禍に鑑みてとりあえず1回分しか購入していないが、滞りなく公演が進めば2回目も観るつもりだ。何より、綾凰華の最後の熱演を見届けなければならない。彼女の退団に対しては、未だに「残念だ」「勿体ない」という言葉しか出て来ないが、観劇までに少しでも前向きに捉えられるよう気持ちを切り替えたい。ところで、【ODYSSEY -The Age of Discovery-】は7月に仕切り直しが決まって良かった。綾凰華がいないのは残念だが、劇団の英断には拍手を送りたい。これからも、お互い友好的な関係で行きましょうね(笑)。
2022.02.27
昨日は、宙組と星組の初日延期が発表され、そこは覚悟していたせいか冷静に受け入れられたが、夕方に発表された綾凰華の退団には絶句した。男役としては寧ろこれからというタイミングでの退団だけに、その胸中は僕ごときが量り切れるものではないが、せめてこの退団が綾にとって次の幸せに繋がる選択である事を願っている。という事で、本来は公演の直前にするつもりでいた雪組【夢介千両みやげ】の話題を、少し早いがこの機会に書いてみたいと思う。宝塚ファンの多くは「千両」や「道楽修行」にばかり気を取られているようだが、本作のキーワードはそちらではなく「通人」である。丁度、「通人」について分かり易く解説しているサイトがあったので、リンクを貼っておく。(特に「訳知り」の部分が重要だ)『吉原で大いにモテた「通人」とは』これを読んでも夢介の人物像や作品の内容を想像できない人は、観劇前に原作小説を読んでおいた方が良いだろう。また、遊廓について正しい知識を得たい人のために、田中優子の著書『遊廓と日本人』をお薦めしておく。さて、舞台とは関係無いが、今回は「若旦那の恋」に纏わる落語の演目の中から、個人的に好きな噺を二題紹介したい。『明烏』は、初心(うぶ)で堅物な若旦那を騙して、吉原へ出掛けて行く笑い噺。『立ち切れ線香』は、芸者に入れあげた若旦那を改心させようとする、ちょっと切ない噺。 春風亭一之輔『明烏』三代目林家菊丸『立ち切れ線香』
2022.02.02
一体いつ以来だろうというくらい久し振りに、このタイトルで記事を書いてみた。(本文とは何の関係も無い…笑)気になって調べてみたら、2020年5月以来だった。しかも、前回は桜木みなとに掛けて(3710回目)というあり得ない回数になっており(笑)、「もう何回目でも良いじゃないか」という気もするが、一応8回目。「SNSは絶対にやらない」と言っていた(らしい…)愛月ひかるがインスタグラムを始めた。ファンとしては嬉しい限りだ。(それを教えてくれたのが七海ひろきというのも、嬉しさを倍増させた)あまり肩肘張らずに、時々で良いので元気な姿を見せて欲しい。卒業後は宝塚音楽学校受験スクールの講師を務める事も発表され、タカラジェンヌの誇りと品格を未来へ繋いで行く、実に愛月らしい選択だなと思う。日テレ番組『アプレジェンヌ』内で言われたように、「男役・愛月ひかる」のDNAを受け継ぐ若者が一人でも多く育ってくれる事を願っている。そう言えば、愛月が自転車に乗らないのは「ファンの夢を壊さないため」ではなく、「単に苦手だから」という発言には笑ってしまった。タカラジェンヌ達のライバル関係然り、ファンの思い込みや誤解から、エピソードが勝手に独り歩きしてしまう事もあるのだろう。卒業後に自転車を購入したとの事だが、怪我や事故には気を付けて欲しい。さて、ARIが主演する【ブエノスアイレスの風】のキャストが先日発表されたが、これは驚いた。風間柚乃に礼華はる、彩海せら、大楠てら、一輝翔琉と、僕が今観たい若手が勢揃いしている。彩海までARI組だったのは意外だった。2人の共演はこれが最初で最後という配慮からだろうか。専科からは凛城きらが出演というのも嬉しい。(「せら」に「てら」に「きら」と名前で選んだような気がしないでもないが…笑)これでチケットが手に入れば天にも昇る心地だが、もしかして僕に期待させるだけさせて奈落の底に突き落とそうという魂胆か…(笑)。まあ、この顔触れなら抽選倍率は高そうだし、外れても文句は言えない。さて、運命やいかに…。既に月組生となった彩海せらは、歌だけでなく芝居でも光るものを持っている。雪組【CITY HUNTER】公演中に出演した『カフェブレイク』では、小林豊の母親に対する素直になれない心情を完璧に理解できており、それをしっかり表現する技量も兼ね備えている。公演の感想でも書いた通り、この手の若者役は今の彩海には物足りないくらいだろう。今後は、もっと色々な役を演じる中で、「男子」から「男性」へと進化・変化を遂げて欲しい。『RISING STAR GUIDE 2021』では「少年っぽさを消してエネルギーが半減するなら、その色を消さずに、その上にいろんな色を乗せられるようになりたい」と語っていたが、そのアプローチはとても良いと思う。どんな人間も子供時代を過ぎて大人になる。登場人物の心情を掴むのが上手い彩海なら、そこに上手く自分の個性を重ねながら演じられる男役になれるはずだ。自分なりに試行錯誤しながら、個性を磨いて欲しい。せっかくなので、同じ102期の天飛華音にも触れておこう。先日観た『カフェブレイク』では、とても溌剌としたキャラクターが面白かった。新人公演でも柳生十兵衛を豪快に勇ましく演じており、そこは本役の礼真琴に負けていなかった。ただ、思い切った演技は得意な反面、勢いで演じてしまっている部分も見受けられるので、今後はもっと繊細な表現を計算してできるようになると良いだろう。『RISING STAR GUIDE 2021』で礼が指摘するように、「動かないで成立する男役」を体現できるように頑張って欲しい。個人的には、【エリザベート】のルドルフ、将来的にはフランツ・ヨーゼフのように感情を抑えた役柄まで自然に演じられるようになれば、天飛が生来持っている「動」の部分と合わせて鬼に金棒ではないかと思う。『カフェブレイク』で見せた明るさや遊び心を大事にしつつ、役者の幅を広げて欲しい。礼真琴によると、天飛は意外と消極的な部分があるらしいが、できないよりはできる方が良いと考えて臆せずチャレンジして欲しい。今直ぐ完璧にはできなくとも、昨日より成長していれば、その努力には意味も価値もある。きっと、歴代のトップスターや上級生も、そうやって一つずつ壁を乗り越えて来たのだろう。今回は彩海と天飛だけになってしまったが、他の若手にもできる限り注目して行きたいと思う。頑張る事を楽しんで頑張れ、若人よ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
2022.01.30
今日、千穐楽を迎えた舞台『マイ・フェア・レディ』のカーテンコール映像が上がっていた。辛い出来事や困難を乗り越え、今日まで駆け抜けた朝夏まなととカンパニーの皆さんに「おめでとう」と「お疲れ様」を申し上げたい。そして、この映像を上げてくれた博多座にも感謝だ。
2022.01.28
以前、彩風咲奈と朝月希和のお披露目公演となる雪組【Fire Fever!】の印象を「チームプレー」と評したが、今回の月組【FULL SWING!】にも同じ印象を抱いた。鳳月杏、暁千星、風間柚乃が何処からでも点を狙えるので、その分だけ月城かなとの負担が軽減されている。【今夜、ロマンス劇場で】の頼りない青年から、ショーではトレンチコートに軍服にと大人の色気を漂わせ、そのどちらでも魅せられるのが月城の強みだろう。第5景でフランク・シナトラの名曲【My Way】を歌う姿は、既に堂に入っている。個人的には、第6景『ミッドナイトイン巴里』がお気に入りだ。ここから更に男役に磨きをかけ、自分自身をそして月組をより一層輝かせて欲しい。予想以上にARIの出番が多かったのは、今思えば組替えするARIへの餞別だったのかも知れない。特に、第2景『No Rain, No Rainbow』はかなりの見せ場で、ダンスに秀でたARIの魅力を存分に堪能できる。このARIがまこっつあんと一緒に踊る日が来ようとは、2人のファンとしては感無量だ。欲を言えば、美稀千種とARIのデュエットも観たいが…(笑)。そう言えば、どなたかが「ARIの組替えは大分前からの構想じゃないか?」と書いていたが、この指摘は実は正しい。まあ、実際には少し込み入った話になり、ここで詳しく触れるには時期尚早なので控えるが、よもやブログ村でそれに気付く人がいるとは思わず、つい反応してしまった。よもやよもやだ(誉めてます…笑)。この話題も、いつか機会があれば語ってみようか。(いつもの如く、また3年後かな…笑)鳳月は勿論、風間の見せ場も多く、月担としては見せ場しかない(笑)。花組【The Fascination!】のように、組子全員の顔がしっかり見える場面がもう少し多ければ更に良かったのだが、そこまで求めるのは贅沢か。ARIが抜け、彩海せらが加入する月組は若返りに拍車が掛かり、正に「若手のモチベーション」で組を盛り上げようとしているのが伝わって来る。誰かを組替えさせて来る手もあるのだろうが、個人的には今の「月城・鳳月・風間」体制で充分に勝負できると思う。後は、作品次第かな…。(と、さりげなく演出家の諸氏にプレッシャーをかけてみる…笑)ありがとう!!
2022.01.22
昨日18日は、一週間前にARIの組替えが発表された後の観劇。よくよく考えたら、ARIと月組全員とが共演する舞台が観られるのは昨日が最後で、チケットがあったから良かったものの、「2日の観劇が最後だったら…」と思うとちょっと怖い(笑)。更に、2日前には蓮つかさの怪我による休演も発表され、前回の初詣気分は何処へやら、引き締まった気持ちで2回目の観劇に臨んだ。前回から2週間以上経って組子達の芝居も馴染み、皆がしっかりと物語の中に生きていた。脚本もやはり秀逸で、展開が分かっていても泣かされてしまう。いや、分かっているからこそ、内容をより深く理解できて感動が増す、と言うべきか。このブログでは度々書いている事だが、男には「生き様」が必要だ。そして、そこには「覚悟」が要る。本作の主人公である牧野健司は、社会的に見れば成功者でもなければ勝者でもない。しかし、自らの生き方に覚悟を決め、それを最期まで貫いたという意味では立派な「男」である。それは尊敬に値する。決して、ヒーローやリーダーである必要は無いのだ。男の生き様とは、そういう事である。これは、タカラジェンヌにも当て嵌まる事だろう。多くのファンは、ジェンヌ達の幸せを人事や出世でしか判断・評価しない(できない)が、それは必ずしもジェンヌ本人の幸せとイコールではない。(親の望む幸せが、子供自身にとっての幸せとは限らない事に似ている)ジェンヌ達は、健司のように成功よりもっと大切なもののために宝塚の舞台に立っているのではないか、と僕は思う。それは、俊藤龍之介の「我々は傑作だから映画を撮るのではなく、皆に楽しんでもらうため、作品を少しでも良いものにするために努力を続けているのであって、傑作になるかどうかは結果に過ぎない」という台詞に代弁されている。その想いに寄り添ってあげられるファンでありたいと、組子達の熱演を観ながら改めて感じた。組替えが発表されたARIは、前回よりも弾けた芝居で大蛇丸役を楽しんでいるように見えた。この月組のARIが星組でどうカットされ研磨され、どんな輝きを見せるのか、今から楽しみだ。(個人的には、もっと遊び心を持って演じられるようになってくれると嬉しい)月城かなとと一緒に芝居するのも恐らくこれで最後だろうし、今は存分に共演を楽しんで欲しい。蓮つかさの代役を急に務める事になった102期の大楠てらは、他のキャストに比べるとさすがに緊張の色を隠せない様子だったが、その初々しさが逆に良かった。蓮にとっては不運ながら、大楠にはせっかく与えられた機会を無駄にせず、蓮の悔しさを肩代わりするつもりで体当たりで頑張って欲しい。そんな大楠を含め、より良い舞台のために日々闘っている全てのジェンヌ達に、ギリシャの哲学者プルタルコスの言葉を送ろう。君達なら、この言葉の意味を正しく理解できるはずだ。心とは満たされるべき「器」ではなく燃やされるべき「炎」なのだ心を燃やせ!!(いや、この台詞は違うな…笑)ありがとう!!本当はショー【FULL SWING!】の感想を書くつもりだったのだが、思いの外語る事が多くて辿り着けなかった。それにしても、前回の感想で「月城がトップに就任するタイミングで紫門と輝月を組替えさせるとは、劇団も随分と大胆な選択をしたものだ」と書いたばかりなのに、今度はARIまで組替えさせるとは、月組は正に『Keep on Moving』を地で行っているな(笑)。よし、どんと来い!! ついでになって申し訳ないが、先日読んだ美弥るりかのインタビューが素晴らしかったのでリンクを張っておく。「前例がなくても自分がやればいいんだ」という言葉に、彼女の覚悟を感じた。これからも見守って行きたい。『GRITTER』のインタビューはこちら →[元男役から職業・美弥るりかとして生きること]
2022.01.19
前回の記事で、星組から雪組へ異動する咲城けいを知らないと書いたが、よくよく考えると、僕は下級生の顔触れをほとんど知らない。何故だろうかと思いを巡らせた結果、そう言えばここ数年『フレッシュカフェブレ』のコーナーが一度も放送されていない事に思い至った。まあ、このコロナ禍に鑑みれば当然の措置なのだが、僕の記憶が確かなら101期以下は全く登場していないのではないか。そこで『カフェブレイク』にお願い。さすがに今直ぐという訳にはいかないが、コーナーを再開できる時が来たら、30分丸々使って下級生達を紹介して欲しいのだ。例えば、全組の101期生をまとめて紹介するとか、各組の101期~103期までを一気に紹介するとか、1人でも多くを僕に見せて欲しい。下級生達も、あの日の瀬央ゆりあのように、僕の心にテレポーテーションする心意気で自己アピールして欲しい(笑)。そして、劇団にもお願い。ご存知の通り僕は「御曹司」政策が好きではないが(笑)、このコロナ禍で閉塞した雰囲気を吹き飛ばす意味合いも込めて、研3辺りで有望な若手を新人公演の主演に大抜擢してみてはどうだろうか。未熟なのは百も承知なのだから、舞台度胸のある子や、華やぐオーラを持った子など、宝塚の未来を期待させてくれるような若手が良い。ついでに、もう一つ。雪組公演【ODYSSEY-The Age of Discovery-】は最終的に全公演が中止になったが、一度も上演していないのなら、いっそ次の別箱公演に回しても良いのではないだろうか。それで怒るファンはいないだろうし(まあ、チケット次第では「前回よりも席が遠くなった」と愚痴るファンはいるかも知れないが…笑)、懸命に稽古して来た組子達の努力も報われるだろう。つい先日も、朝夏まなとと実咲凜音が共演する舞台【モダン・ミリー】が、2020年4月の中止から2年を経て今年9月に復活する事が発表された。事情が事情なだけに、劇団には寛大かつ賢明な判断をお願いしたい。(「まぁみり」を出汁にして、自分の希望を通そうとする姑息な男…笑)来月からの宙組公演【NEVER SAY GOODBYE】は、8日(火)に観に行ける事になった。人物相関図も出て物語の全体像も把握でき、舞台への期待値も一気に増した。と、その前に来週は月組【今夜、ロマンス劇場で】の2回目観劇だ。縣千が主演するバウ公演【Sweet Little Rock 'n' Roll】も無事に幕が上がったようで、このまま何事も無い事を祈る。
2022.01.14
夕方、愛希れいかが出演した新春ドラマ『潜水艦カッペリーニ号の冒険』をようやく鑑賞して予想以上に感動した後で、何気なく宝塚の公式HPを開いたら、暁千星の組替えが発表されていた。ARIの組替えに関しては以前に書いた事があるし、その頃から僕の考えは何も変わっていないので、そちらを読んでもらえればと思う。なので、今回の発表に関しても、特に大きな衝撃や動揺は無く、「そうか」という感想だ。『遂に「星」が動くか…?』この記事を書いたのが2019年6月28日なので、ちょうど3年後に的中する事になってしまった。こういう事もある(笑)。「おいでるよ!」ARIも今年で研11となり、あの当時より一層逞しくなっている。組替えのタイミング的には、もしかすると今の方が良いのかも知れない。それに、ARIは普段ほんわかしているが、実は意外に体育会系。星組とは相性が良い(はずだ…笑)。と、「研11」でふと思い出したが、こちらの記事を書いたのもちょうど3年前だった。『3年後の春を想いながら…』まさか、この記事に合わせて組替えさせた訳じゃないよね…(笑)。(と言うか、あれからもう3年経つんだな…)何事も無ければ、18日(火)に2回目の月組【今夜、ロマンス劇場で】を鑑賞する。組替えを聞かされて、ARIの芝居がどう変化しているか注目したいそして、『カフェブレイク』で何を語るかも楽しみにしたい。それにしても、次回の星組公演【めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-】の東京千秋楽が7月24日なので、5月27日に組替えした所でほぼ2ヶ月間する事が無いのだが、どうするのだろう…(笑)。ARIの組替えよりも、雪組の彩海せらの月組への異動の方がちょっと驚いた。1期上に縣千がいるとは言え、彩海も「雪組の御曹司」的な存在かと思っていたので、劇団も思い切った判断をしたものだ。(僕の「御曹司(一人っ子政策)嫌い」が、劇団にまで伝染してしまったのか…笑)とは言え、彩海も今年で研7なので、組替えしても不思議じゃない。星組から雪組へ組替えする咲城けいについては詳しく知らないが(失礼…)、今後に注目したい。本当は、次回の月組観劇までブログを更新しないつもりでいたので、それまで触れないでおこうと思ったのだが、こうして書いた以上は花組と雪組の公演中止に触れない訳にはいかなくなった。コロナ禍に対しては「気を付ける事はできても、防ぐ事はできない」「誰も疑わない、誰も責めない」という姿勢を貫いているので、今回の「公演関係者の新型コロナウイルス陽性判定ならびに公演中止」についても、「そうか、致し方無い…」としか言えない。観劇を予定していたファンの気持ちは察するに余りあるが、現在の状況ではどうしようもない。(個人的には、国民が必要以上に怖がるのを止めて、政府が感染症法に基づく分類を現在の「2類」からインフルエンザと同じ「5類」まで下げれば混乱は収まると思うのだが…)せっかくなので、こちらの記事も併せて →『2つの月は、僕をどちらに導くか…』
2022.01.11
今回の月組公演【今夜、ロマンス劇場で】は、脚本の妙と組子達の熱演とが相まって「月城かなと伝説の幕開け」とも呼べる様相を呈している。2回目の観劇(18日)が、既に楽しみでならない。本作の主人公・牧野健司は、1人で同じ映画ばかり観ているだけでなく、現実の女性よりも映画のヒロインに心惹かれてしまう青年だ。いつも同僚から雑用を押し付けられ、そのせいでミスも目立つなど、あまり要領も良くない。(社長令嬢の塔子がいなければ、とっくに解雇されていても不思議じゃない身だ)物語の後半、健司の運勢は一気に上向くのだが、それでも彼は目の前の成功よりも自分の真心に従って生きようとする。そんな、現実ではなかなか共感されないであろう日陰の役柄を、月組の新トップスター・月城かなとは抜群の好感度で誠実に演じてみせた。健司の言動に嘘や矛盾が感じられないのは、月城の人柄と演技力があればこそだ。健司の純粋さと一途さは、月城のイメージと良く合っている。老年期の芝居も真に迫っており、観客の涙を誘っていた。海乃美月も、乱暴な立ち居振る舞いから切なげな表情まで、振り幅の大きい美雪のキャラクターを的確に表現していた。虚構の世界の住人である美雪は何年経っても見た目は変わらないのだが、それでもラストの短いシーンで健司と積み重ねて来た年月をしっかりと感じさせたのは見事と言う他ない。正直、「まだトップに就任したばかりだから」「幕開け2日目だから」とあまりハードルを上げずに観劇したのだが、2人とも予想以上の完成度の高さで驚嘆させられた。改めて、トップ就任おめでとう!!今公演から2番手の羽根を背負った鳳月杏が演じるのは、京映の看板俳優・俊藤龍之介。最初は、高飛車で鼻持ちならないキャラクターなのかと思ったが、実際は懐が深くユニークな人物だった。「本人は普通に振る舞っているのに、何処かちょっと抜けている(ように見える)キャラクター」は、もはや鳳月の十八番と言っても良い。本作でも「お笑い担当」のような立ち位置だが、終盤には同じ男として悩む健司の背中を押す重要な役割も果たす。(真相を何も知らない俊藤を雄弁に語らせる一方で、健司の気持ちを誰よりも理解しているはずの本多正には何も語らせない、という演出が心憎い)もう1人、物語の流れに重要な役割を果たすのが、暁千星が演じる大蛇丸だ。一応は敵役なのだが、美雪が映画の世界に戻って来ないと話が先に進まないという意味では、三獣士と同様に被害者(?)でもある。幕開け2日目とあって、まだ芝居に硬さも見られたが、ARIが成長しようと必死にもがいて来た成果が感じられて、微笑ましく観させてもらった。(もっとウネウネ、ヌルヌルしても良いような気がする…)存在感では他のキャストを圧倒しているだけに、この勢いで大蛇よろしく大きく脱皮できるか楽しみだ。健司の友人・山中伸太郎を演じる風間柚乃も順当な芝居を見せた。『RISING STAR GUIDE 2021』で月城が語っているように、「舞台の怖さや任されるものの大きさを自覚し始めた」という事は、そろそろ次のステップに進んだと考えて良いだろう。ARIと風間の成長は、新生月組に必須条件だ。2人には、この公演中にもっともっと試行錯誤して役を深めて欲しい。専科へ異動した紫門ゆりやと輝月ゆうまの穴を埋めるのが、夢奈瑠音と蓮つかさだ。(今思えば、月城がトップに就任するタイミングで紫門と輝月を組替えさせるとは、劇団も随分と大胆な選択をしたものだ…笑)夢奈も蓮も芝居巧者ながら、先輩2人が【桜嵐記】で見せた貫禄や威圧感を体現できるようになれば、役者としてもう一つ脱皮できるはずだ。ここに99期の英かおとが絡んで来れば、月組は更に面白くなる。彼らに続く彩音星凪と礼華はるも、どんどん頭角を現して来ている。本作の新人公演でも主演を務める礼華は、ようやく『カフェブレイク』で話が聞けるとあって、楽しみにしている。(【桜嵐記】の時は、コロナ禍の影響で番組出演が無かった)彩音も新公主演こそ無いが、男役として逞しくなって来た。今回は俊藤龍之介役なので、鳳月の芝居からも俊藤の人間性からも多くを学んで欲しい。この2人に続く若手の登場にも期待したい。娘役は、彩みちるが組替えして来た事でかなり充実しているが、劇団が彼らをどう抜擢して行くのか気になる所だ。(下手に書くと人事に影響を与えてしまう可能性があるので、僕が誰推しかは言わないぞ…笑)ありがとう!!
2022.01.06
新年明けましておめでとうございます今年も(程々に)宜しくお願い致します元日は、録画しておいた『岸辺露伴は動かない』や『志村けんとドリフの大爆笑物語』などを観ながら、ダラダラと過ごしていた。ドリフターズと言えば、子供の頃、志村けんは本当に馬鹿なんだと思っていたが(失礼…)、大人になって『8時だョ!全員集合』のDVDを観た時に、「生コント・生演奏・生放送」と、実はもの凄い事を毎週していたのだと気付かされた思い出がある。今回のドラマではその舞台裏まで知る事ができて、懐かしさと共にドリフターズへの敬意と感謝の気持ちが改めて湧いて来た。ありがとう!!そして、2日は朝から月組公演【今夜、ロマンス劇場で】の観劇へ。宝塚を観るようになってから初の正月観劇だ。まだ初詣に行っていないので、何となく宝塚大劇場が初詣代わりになったような気分だ(笑)。また、普段は喫茶店の仕込みを済ませてから出掛けるのだが、今回は正月休みでその必要も無く、しかも年明け早々に大好きな月組の皆に会えるとあって、何だか色々と得した気分で席に着く事ができた。こういう正月なら、毎年お願いしたい(笑)。月城かなとと海乃美月のお披露目作品となる今回の【今夜、ロマンス劇場で】は、明るく楽しいドタバタ喜劇かと思いきや、最後は切ないラブストーリーに様変わりして、一言では表現し切れない奥深さがあった。冒頭、看護婦の「彼が転んでも、彼女は手も貸さない」という台詞に始まり、全ての登場人物、描写にきちんと意味があり、伏線を回収しながら納得のラストに繋がる展開は、さすが小柳奈穂子といった所だろう。原作映画を観ていなくても、何の問題も無く楽しめる。個人的には、主人公の牧野健司(月城かなと)が通う映画館「ロマンス劇場」の館主・本多正(光月るう)の役どころに感嘆した。観劇するまでは「モノクロな映画の世界」と「カラーな現実の世界」をどうやって両立させるのか気になっていたが、そこも違和感無く舞台上で表現していた。主人公のキャラクターは月城かなとのイメージと合っており、お披露目公演としても、年明け公演としても相応しい作品となった。一方、ジャズ・ショー【FULL SWING!】は大人の魅力で楽しませてくれる。前回、花組公演の感想で「これは必見だ」と書いたが、今回の月組公演も敢えて言おう。これは必見だ!!ありがとう!!キャスト別の感想は、後日また改めて。
2022.01.02
舞台【マイ・フェア・レディ】の継続が発表された。朝夏まなとがメッセージで語っているように、この判断に対しては様々な人々の想いが複雑に交錯するだろう。仲間への想いを抱えて前に進む者もいれば、仲間への想いを抱えて立ち止まる者もいる。それは、何が正しいか間違っているかの問題ではない。だから、僕はまぁ様の決断を全面的に尊重する。それと同時に、『チームK』として神田沙也加と二人三脚で舞台を務めて来た寺脇康文の降板も、同様に尊重する。どちらの気持ちも分かるから。今は、残りの公演が無事に千秋楽を迎えられる事を切に願っている。
2021.12.22
今朝ニュースを知って、真っ先に朝夏まなとの顔が思い浮かんだ。一緒には居てあげられないけど、せめて心は君の傍にいるよ。神田沙也加さんのご冥福をお祈り致します
2021.12.19
間もなく令和3年が終わろうとしている。令和3年と言うより、コロナ2年と呼んだ方がしっくり来るのではないかと思う程、今年もコロナ禍一色だった。政府は一年中「緊急事態」を叫び、医師会は一年中「医療崩壊」を叫んでいただけだった。それは踏み切りの警報器と同じで、けたたましく鳴る以外は特に何の役にも立たなかった。そんな中で開催された東京五輪から僕が得た教訓は、「バッハ1人を止められない国が、戦争など止められるはずがない」という事だった。そもそも、世界で最先端の医療設備と技術を持ち、他国に比べてコロナ感染者数が圧倒的に少なかったにも拘わらず、ワクチンも開発できずに医療崩壊だ何だと騒ぐしかなかった国が、どれだけ高性能な軍事兵器を揃えようと、実際に戦争が起きればまともに活用できるはずがない。残念ながら、この国には主体性も決断力も無いのだ。ほぼ何の抵抗もできずに、日本は世界の時流に巻き込まれて行くだろう。或いは、政治家は政治家同士で、国民は国民同士で、目先の損得や勝ち負けに気を取られ、不毛な足の引っ張り合いを繰り返している間に、独りで勝手に地盤沈下して行くだろう。そうなった時、この国にはもうそこから這い上がる自力もアイデアも残っていない。そんな時代に次の100年を目指す宝塚歌劇団は、4月に公演の一時中断を余儀なくされたものの、その後は何とか無事に続けられる事ができた。とりあえず良かったと思う。目下のコロナ禍に対してはまだ暫く試行錯誤が続きそうだが、未来に対しては劇団が何を考え、何処を目指しているのかが漠然とながら見えて来た1年でもあった。そこまで視野に入れなければならない時代になった、という事なのだろう。劇団が「ファン離れ」以上に懸念している事は、将来的な「人材不足」ではないかと思う。今や、ネットやSNSを開けば「音楽学校の不文律」や「ファンによる誹謗中傷」「退団後の進路」など、宝塚歌劇団にまつわる負の側面、デメリットはいくらでも調べられる。(この点に関しては、宝塚ファンはあまり頼りにならない)少子高齢化や社会格差が今以上に進み、価値観が変わり、将来への不安が増せば、「わざわざそんな世界に進まなくても…」と考える生徒や親が増える可能性は当然ある。もしかすると、既にそうなのかも知れない。だからこそ、時をほぼ同じくして色々な人達が動き始めたのではないか、という気がする。これからの宝塚は、「若手のモチベーション」と「OGの活躍」がキーワードになるだろう。ここ数年、多くの若手に新公やバウ主演のチャンスが巡って来たり、2番手扱いを受ける上級生が増えたのは、全てこの流れの中にあると個人的には考えている。轟悠の卒業によって、2番手・3番手クラスが別箱で主演する機会も増えるだろう。七海ひろきや美弥るりかの挑戦、天真みちるの著書など、舞台やテレビ以外で宝塚の可能性を広げる事にひと役買ってくれているOG達も増えている。タカラヅカ・ライブ・ネクストや宝塚OGサポーターズクラブも生まれた。僕もいちファンとして、タカラジェンヌやOG達の足を引っ張らないようにこれまで以上に視野を広げ、考え、助力して行きたい。(まあ、実際どれだけ役に立てるかは怪しい所だが…笑)そんな2021年に観劇したのは、以下の作品。花組 × 2公演(3回)【アウグストゥス / Cool Beast!!】× 1回【元禄バロックロック / The Fascination!】× 2回月組 × 1公演(2回)【桜嵐記 / Dream Chaser】× 2回雪組 × 2公演(2回)【fff / シルクロード】× 1回【CITY HUNTER / Fire Fever!】× 1回星組 × 2公演(4回)【ロミオとジュリエット】× 2回【柳生忍法帖 / モアー・ダンディズム!】× 2回宙組 × 1公演(2回)【シャーロック・ホームズ / Délicieux!】× 2回4公演6回だった昨年に比べ、8公演13回とほぼ2倍の観劇数となった。コロナ禍の影響はあったものの、例年に近い観劇数に戻ったのではないかと思う。しかし、それ以上に今年はトップスターでは望海風斗と珠城りょう、トップ娘役では真彩希帆、華優希、美園さくら、2番手では瀬戸かずやと愛月ひかる、そして轟悠に彩凪翔と、例年になく多くの中心メンバーが卒業する年となり、全ての大劇場作品を観られたのは幸運だった。(こうして名前を挙げてみると、本当に怒濤の一年だったと実感する)その中でベストを決めるのは少々気が引けるが、敢えて選ぶなら芝居では星組【ロミオとジュリエット】、レビューは【Cool Beast!!】と【The Fascination!】の花組を挙げたい。月組【桜嵐記】や雪組【fff】も確かに素晴らしかったが、組子の成長という点で【ロミオとジュリエット】は作品以上の効果をもたらしたと思う。『カフェブレイク』からは皆が本当に苦心した様子が伝わって来たし、天華えまがマーキューシオ役で表現した「矛盾」など、新たな気付きもあった。本作の前後で、若手の顔付きも変わったように感じる。(天華への「その矛盾を武器にしなくてどうするんだ?」というアドバイス然り、宙組【オーシャンズ11】の時は桜木みなとに「ベネディクトは悪人じゃない」とアドバイスするなど、小池修一郎の演出プランにはハッとさせられるものがある)レビューに関しては、割と早い段階で【Cool Beast!!】になるだろうと予感していたのだが、【The Fascination!】も負けず劣らず素晴らしい内容だったので、今回は特別に「花組」という選択にさせてもらった。さて、来年の公演はどうなるだろうか。オミクロン株の脅威がどの程度か分からないので軽率な発言は控えるが、ジェンヌもOGも皆が無事に舞台に立てる事を願っている。その上で、素晴らしい作品と巡り会えればファンとしては嬉しい限りだ。ありがとう!!
2021.12.16
今年最後の観劇は、生憎の雨に見舞われた。それでも劇場内は多幸感に包まれ、2021年を締めくくるに相応しい舞台となった。(この演目で幕を開ける東京大劇場も、良い新年となるだろう)感想を書いた後に知ったが、今回のレビュー【The Fascination!】は普段より10分長いようだ。それでも10分とは思えない程に、いつまでも幸福な時間が続くような感覚に浸れた。(その分、組子達には負担をかけてしまい、ちょっと申し訳無い気もするが…笑)今回は、水美舞斗と永久輝せあは勿論ながら、聖乃あすかの出番が思った以上に多く感じた。花組100周年を祝う第6章『オマージュ』ではトップバッターを務めるなど、劇団からの期待値の高さが窺われる。以前、【BEAUTIFUL GARDEN -百花繚乱-】で水美が部活の合宿よろしく鍛えられた事があったが、今回はそこまでではないものの聖乃が小合宿を行っている印象を受けた。瀬戸かずやが卒業し、組体制が変わった事で、聖乃に求められるものが増えたという事だろう。先輩3人と並ぶと、(身長差は無いはずだが…)まだまだスケール感で負けているので、そこをどう克服するかが今後の課題になる。それ以外は、特に心配していない。聖乃なら自分で自分の課題に気付けるだろうし、これまで通り鍛練して欲しい。組替えして来た永久輝せあもすっかり馴染み、水美舞斗と共に花組の一翼を立派に担っている。柚香光ら3人の並びは非常にバランスが良く、ショーでは一気に華やかさが増す。インタビューを読むと随分と周りに気を遣う性格のようだが、そこに大胆さや遊び心が加われば、更に魅力的な男役に成長できるだろう。柚香や水美からどんどん吸収して欲しい。それ以外は、永久輝も特に不安要素は無い。永久輝と聖乃の成長が、今後の花組の鍵となるだろう。と、ジェンヌ達の話ばかりになってしまったが、改めて【The Fascination!】の見所を挙げると…全部!!最初の感想でも書いたが、前回の【Cool Beast!!】があまりに楽しかったので、「さすがに2公演続けての大当たりは無いだろう」と思っていたら、あったね(笑)。水美による第5場『酒とバラの日々』、柚香による第6・7場『ペルーの花』、永久輝による第8場『ミモザの花』と、それぞれの個性を活かした場面を始め、過去の名曲を歌う第6章では若手にもしっかり見せ場があり、一瞬足りとも双眼鏡を下ろせない(笑)。この辺りは、組子達の熱演ばかりでなく、演出家・中村一徳の粉骨砕身のおかげもあるだろう。同じ構成で他の組のショーも観てみたい。個人的には、男役演舞とデュエット・ダンスの合間に皆で「情熱の花」を歌い継ぐ第20場『フィナーレD』が、普段よりちょっと得したような感じがして良かった。ありがとう!!さて、これで2021年の宝塚観劇は全て終了。これから暫くは、毎年恒例の『宝塚まとめ』を書いて行こうと思う。(まあ、本当はこの3週間でほとんど書き終わってるのだが…笑)今回、2度目の観劇をわざわざ12月にしたのは、これを買いたかったから。『RISING STAR GUIDE 2021』と『歌劇12月号』。『RISING STAR GUIDE 2021』は最初買おうかどうか迷ったのだが(失礼…)、やはり若手の「現在地」を確認するためには読んでおく必要があると判断した。その上で、アドバイスできる事があれば、折に触れてして行きたい。そして『歌劇』は…。なんと、桜木みなとと永久輝せあの対談が実現!!11月号は凪七瑠海と暁千星の対談に釣られて当然買ったが、今回の顔合せは本当に驚いた。全く接点が無いと思っていた2人が何を話すのか、ファンなら読まずにはおれない(笑)。どちらも、ゆっくり、しっかり読んで行きたい。そう言えば、つい先日の記事で「最近は、宝塚OGが2人以上出演していると、貧乏人ながら舞台を観てみたいという気持ちが湧くようになって来た」と書いた途端に、明日海りおと望海風斗の共演が発表された。そういう事もある(笑)。しかも、演目が【ガイズ&ドールズ】と、こちらも宝塚と縁のある作品だ。関西での上演予定は無いようだが、2人の共演が実現しただけでも奇跡と言える。仲良く頑張れ!!☆*:.。. o(≧∇≦)o .。.:*☆
2021.12.08
毎年、申し込んでは抽選に外れていた正月の公演観劇。今回初めて当選し、1月2日(日)の月組【今夜、ロマンス劇場で】を観に行ける事になった。(もう1回は、18日(火))正月早々、ARIに会える!!こいつぁ、正月から縁起が良いぜ!!☆*:.。. o(≧∇≦)o .。.:*☆本作は映画が原作らしいが、僕は観ていない。ARIが演じる「大蛇丸」は映画には出て来ないキャラクターのようだし、余計な知識は入れないで観劇しようと思っている。小柳奈穂子なら心配無いだろう。ARIと言えば、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティでの主演が発表された。先ずは、おめでとうを言いたい。【ブエノスアイレスの風】はかつて柚希礼音も主演を務め、正塚晴彦が演出という事で、ARIにとって実りの多い舞台になるのではないかと期待している。柚希の芝居をしっかりと研究しつつ、正塚に存分に鍛えてもらうと良い。GW明けだし、チケットが手に入れば僕も観に行くつもりだ。月組で正月と言えば、3日(月)の21時からフジテレビで放送される『潜水艦カッペリーニ号の冒険』に愛希れいかが出演する事が発表された。NHK大河ドラマ『青天を衝け』も勿論観たが、今度は主人公(二宮和也)が想いを寄せる女性の役らしいので、少しでも出番が増えてくれると嬉しい。(12月6日に幕が開く舞台【泥人魚】も頑張って欲しい) 観たいと言えば、七海ひろきと彩凪翔が共演する【フランケンシュタイン -cry for the moon-】も凄く気になるのだが、日程的に無理だった。最近は、宝塚OGが2人以上出演していると、貧乏人ながら「観てみたい」という気持ちが湧くようになって来た(笑)。それにしても、宝塚を卒業し、男役から解放された彩凪の美しさはどうした事だろうか。男役という鎧によって抑えられていた女性らしさが爆発して、もう「好き」しか無い(笑)。一方、卒業後もスタンスを変えず、多くの男性タレントと仕事をする中で鍛えられたのか、最近の七海ひろきは貫禄が出て来たように感じる。女性ばかりの宝塚で、皆と同じ条件で男役を演じるのと、一般社会で現実の男性に交じって男性役を演じるのとでは、やはり学ぶものや苦労の質も違うのだろう。そうした経験が、彼女を宝塚時代とは違う七海ひろきに育てているのかな…と思う。その努力と価値が認められているからこそ、男性役としての舞台出演が次々と決まるのだろうし、「宝塚OGにはこういう成長の仕方もあるんだな…」と感慨深くなる。これからも、(見守る事しかできないので…笑)見守って行きたい。という事で(?)、途中まで書いて「まあ、別に良いか…」と放っておいた話題も、せっかくなので一緒に載せておく。以前、アンドリュー・ロイド=ウェバーの名作ミュージカル【ジーザス・クライスト=スーパースター】についての記事を書いた時、その特徴として「イエス・キリストという2000年近く前の人物を描きながら、どの舞台でも時代や既成概念に捉われない演出が為されている」と紹介した。来年、御園座で上演される星組【王家に捧ぐ歌】の先行画像を見て、「もしかして劇団は【JCS】の手法を取り入れようとしているのかな?」と感じた。(それとも、僕の記事が木村信司の演出家魂に火を付けてしまったか…笑)【JCS】で時代に捉われない演出が可能なのは、キリスト教徒にとってイエスが決して過去の存在ではなく、その愛や教えが今も人々の生活に根付いている事が大きく関わっている。それ故、イエスの永遠性や普遍性を表現するには、【JCS】は歴史劇ではなく現代劇として上演した方が効果的なのだ。(これに関しては、ロイド=ウェバーも「【JCS】は歴史劇ではない」と明言している)それを踏まえて今回の【王家に捧ぐ歌】を考えるに、僕は本作を観た事が無いし、御園座まで観に行く余裕も無いので憶測でしか話せないのだが、観客が作品のテーマに永遠性や普遍性を見出だす事ができれば、衣装や時代設定は大して問題にならないような気がする。勿論、宝塚ファンは必ずしも「演劇ファン」ではないため、それなりの配慮や工夫は必要だが、そこは演出家として腕の見せ所だと思って頑張って欲しい。(宝塚ファンが「=演劇ファン」か「≒演劇ファン」か「≠演劇ファン」かは個人差があるので、ここでは議論しない…)個人的には、実力的に申し分無いトップコンビだからこその挑戦だと期待している。そう言えば、劇団四季も【アンドリュー・ロイド=ウェバー コンサート】を行うし、月城かなとと海乃美月による【Rain on Neptune】も芝居仕立てのコンサートらしいし、演劇界は最近【ジーザス・クライスト=スーパースター】スタイルが流行っているのだろうか…(笑)。
2021.11.30
急に寒くなったせいか今週は喫茶店がずっと暇で、感想も一気に纏まってしまった。複雑な気持ちを抱えつつ、早速どうぞ(笑)。柚香光に感化されたか、クラノスケ役の永久輝せあもこれ迄になく自然な芝居を見せている。雪組【壬生義士伝】の頃には「まだまだ想定内の芝居しかしていない」と評した永久輝だが、本作で初めて「お、こんな芝居もできるんだ」と嬉しい驚きがあった。まだまだ公演も始まったばかりだし、内容もコメディなので、これを好機と捉え色々と表現を試してみて欲しい。それが自信に繋がれば、更に演技の幅が広がり、役者としての貫禄も増すだろう。(別箱での主演も決まり、リーダーとしての存在感も求められるようになる)面白くなって来た。時計の謎を巡りクロノスケと対峙するのが、水美舞斗が演じる宿敵コウズケノスケ。史実における吉良上野介の評価は未だ定まっておらず、浅野内匠頭との一件も諸説あるが、本作では完全に悪役だ。とは言え、配下の女性達から親愛を得たり、博打に呆けるクラノスケにも警戒を怠らないなど、単なる下衆とは違う才量のある人物として描かれている。だからこそ、あのラストにも説得力が出る。そんな難しい役柄を、水美は男役のありったけを注ぎ込み、魅力たっぷりに演じていた。(或いは、水美舞斗が演じると、どんなに悪い男も魅力的に見えてしまうのかも知れないが…笑)自由に振る舞い笑いを誘う柚香や永久輝とは対照的に、ヨシヤス役の優波慧とタクミノカミ役の聖乃あすかは、水美と共に物語を引き締める役割だ。優波と聖乃も限られた出番の中で、しっかりと存在感を示していた。優波の退団は残念だが、聖乃はまだまだ成長する姿を楽しませてくれるだろう。聖乃の後に、誰が頭角を現して来るかにも期待したい。しかし、本作における真の主役は、将軍ツナヨシ役を演じた音くり寿ではないかと思う。(まあ、将軍なので、ある意味誰よりも主役なのだが…笑)本作では皆が弾けた演技を見せているが、彼女のエキセントリックさは群を抜いていた。徳川綱吉と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、やはり「生類憐みの令」だろう。世間一般には天下の悪法と揶揄され、綱吉自身の評価も下げる事になった政策だが、実は保護されたのは動物だけでなく、捨て子や高齢者、行き倒れた傷病人なども含まれており、近年では「戦国の気風が残る殺伐とした世相を、生命を大事にする太平の世へと変革しようとした法令」として再評価する動きも出ている。当時の価値観からすれば、あまりに極端で拙速に過ぎたため酷評されはしたが、その基本理念は現代の動物愛護や社会的弱者への支援と同じなのである。(生類憐みの令の一環として出された「捨て子禁止令」は綱吉の死後も続いた事から、子供を遺棄する事が許される社会から許されない社会への転換点になったとも言われる)また、儒教の影響を強く受けていた綱吉は武断政治を嫌い、学問や教育によって国を治める文治政治を推し進めた。そうした視点から観ると、争い事を嫌うツナヨシの性格はかなり的を得ており、大好きな飼い犬を亡くした経験がやがて生類憐みの令に繋がったと受け取れなくもない。あのエキセントリックな芝居も、徳川綱吉の「やり過ぎ感」を表現するためのものだと考えると面白い。彼女にとって演じ易い役だったのか、難しい役だったのかは定かではないが(笑)、将軍としての大役を立派に果たしたと言える。あっぱれ!!また、普段は男役ばかり観ている僕だが、本作ではケイショウイン役の美風舞良、リク役の華雅りりか、スラレ役の真鳳つぐみ、カエデ役の美羽愛、ツバキ役の星空美咲など、気になる娘役が何人もいた。男役だけでも目が足りないのに、娘役にまで注目したら、僕の目は一体幾つ必要なんだ!!(笑)ありがとう!!レビュー【The Fascination!】の感想は次回の観劇(12月7日)後に、改めて。(と言っても、まだ3週間以上も先だが…笑)
2021.11.12
キャスト別の感想を書く前に、今回は公式HPの画像を見た時から気になっていた事柄について触れておきたい。というか、本当は昨日の感想で前置きにするつもりで書いておいたのだが、実際に観劇したらあまりの楽しさに「前置きなんて書いてる場合じゃない!」と、慌てて書き直したのだ。なので、今回は逆にほとんど前置きのみに…(笑)。気になった事とは、クロノスケとキラの後ろにある時計の針に「髑髏」があしらわれている事だ。そして、それと対をなすように小さな「ハート」も見える。柚香光が演じる主人公クロノスケの名前が、ギリシャ神話に出て来る時間神クロノスに由来する事は説明するまでもないと思うが、実はこのクロノスは西洋では死神のモチーフにもなっている。生命にとって時間とは必ず終わりが来るものであり、それは否応なしに死を連想させるからだ。それで髑髏なのかと最初は思ったが、それだけでもないような気がした。「時間」と「髑髏」で思い浮かぶのは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部に登場するスタンド、キラークイーンだろう。(「スタンド」とは、超能力や霊能力を可視化したキャラクターの総称)キラークイーンは、触れた物を爆弾に変える能力を持っているのだが、それとは別にもう一つ特殊な能力がある。それが「時間を巻き戻す」能力だ。そして、このキラークイーンを操る敵ボスの名前が、吉良吉影(きら よしかげ)。彼とスタンドには「髑髏」がシンボル的に用いられている。一方、吉良を倒す主人公の東方仗助(ひがしかた じょうすけ)が操るスタンド、クレイジー・ダイヤモンドは「ハート」がシンボルになっている。 劇中で「髑髏」に関する言及は無かったので、恐らく僕が気付くかどうか試したのだろう。(HPの画像は、明らかにあの髑髏に視線が向くように配置されている)まあ、どうして試されているのかは謎だが(笑)、こういう考察は嫌いではないので、またいつでも挑んで来て欲しい。因みに、僕は月組【All for One】のでも「小池修一郎は『ジョジョ』ファンなのか?」というタイトルで感想を書いているが、『ジョジョ』に登場する歴代の主人公は、ジョナサンや承太郎、ジョルノなど名前に必ず「ジョ」が入り、一族の血筋である事を示す「星形のアザ」が首筋にある。【All for One】で風間柚乃が演じた役名はジョルジュであり、手首に星形のアザがあった。そう言えば「ハート」で思い出したが、月組公演【ピガール狂騒曲】の一場面で、舞台セットの下手側に「♡」の隠し絵があった。ネット上で指摘している人もいなかったし、ブログで書くには地味かなと思い黙っていたのだが、今ふと思い出した。ここで書かないと一生書かない気がするので(笑)、ついでながら触れておく。たまきち、答えを知ってるなら俺にこっそり教えてくれッ!!(笑)さて、ようやくキャスト別の感想。【元禄バロックロック】の主人公クロノスケは、やんちゃで茶目っ気があり、キザな部分もあるが根は誠実な若者。(お金は欲しいし女の子にもモテたいが、ヒモみたいな生活には罪悪感を覚えるタイプだ)柚香光の魅力を最大限に引き立てる役柄と言って良いだろう。そのせいか、台詞なのかアドリブなのか分からないほど自然な芝居を見せている。そんな柚香と、組替えして来たばかりとは思えないほど絶妙な掛け合いを見せるのが、キラ役の星風まどか。僕の中でまだ宙組のイメージが抜けていないのか、最初は彼女が花組で芝居をしている姿にどこか面映ゆい感じがしたが、本人はすっかり花組に溶け込んでいるようだ。時に妖しく、時に可愛く、宙組で積み重ねて来た努力の結果を遺憾なく発揮している。観客がこの奇天烈な世界観にすんなり没入できるのも、組子達の芝居が大きく作用している。現時点でも充分に素晴らしいが、ここから更にどんな深化を見せるのか、とても楽しみだ。長くなったので、他のキャストに関してはまた後日。ありがとう!!そう言えば、昨日は女子高校生(中学生?)の団体が引率で観劇に来ていた。緊急事態宣言が解除され、こうした団体客も少しずつ戻って来ているのだろうか。脚本も面白く、男役の格好良さが詰まった本作を観られて、彼らは運が良い。きっと新たなファンが生まれた事だろう。
2021.11.10
これは素晴らしい!!そして楽しい!!敢えて言おう。これは必見だ!!【元禄バロックロック】は史実とファンタジー、時代劇と宝塚が破綻なく融合し、最高にハッピーな作品に仕上がっている。荒唐無稽でありながら、直近に観た雪組や星組公演のようにゴチャゴチャした印象は無く、素直にその世界観に入り込めるのが強みだ。衣装も型破りで、幕開けと同時に登場したタクミノカミ(聖乃あすか)に先ず意表を突かれる。永久輝せあのクラノスケも予想外の出で立ちで、いきなり僕の先入観を吹き飛ばしてくれた。そうだ、ここは江戸ではなく、架空の国際都市エドなのだ。かつて授業で習った歴史と似ているようで似ていない、そんなパラレル・ニッポンを楽しめる。それでいて、宝塚では重要な「恋愛」がしっかりと物語の中心に据えられており、これはもう完全に脚本の勝利と言って良いだろう。演出家の谷貴矢は、大劇場デビュー作でいきなり特大の花火を打ち上げてくれた。この演目なら、歌舞伎でも舞台化できるのではないだろうか。(このコロナ禍に、宝塚と歌舞伎のコラボレーションというのも面白いのでは…笑)そうした異色な作風だからだろうか、組子達も枠に捕らわれない闊達自在な演技を見せており、その空気感は明日海りおがトップスターだった時とは明らかに違う、「柚香光の花組」の完成を僕に感じさせた。宙組から専科を経て新トップ娘役に就いた星風まどかとの相性も抜群だ。花組100周年を祝うレビュー【The Fascination!】も、とても1時間とは思えないほど濃密かつ豪華な舞台で、観客のボルテージも上がりっ放し。前回があの【Cool Beast!!】だったので、正直そこまでの興奮は期待していなかったのだが、これは「まんまとやられた」といった感じだ。上級生から下級生までしっかりと見せ場があり、演出家・中村一徳の配慮と努力が窺われる。ありがとう!!
2021.11.09
失礼ながら、元雪組の娘役・早花まこについて、現役中は全く認識していなかった。しかし、今日たまたま読んだ『私、元タカラジェンヌです』という彼女が書いた記事にいたく感動し、ブログで紹介せずにはいられなくなった。これは【考える人】というWebマガジンで連載中のコーナーで、早花まこが宝塚OGにインタビューし、彼らの「卒業後=今」の心境に迫ろうというものだ。連載を始めるにあたり書かれた「はじめに~私、元タカラジェンヌ見習いです~」からして、もう最高に素晴らしい。宝塚をまだ知らない人に、タカラジェンヌ達が日々どんな想いで舞台に立っているかを伝えるには、これを読んでもらうのが最適だと断言したくなるほど、宝塚に対する愛が詰まっている。OG同士だからだろうか、早霧せいなを始めインタビューを受ける側も、普段より踏み込んで気持ちを語っているように感じる。今年の4月から連載が始まり、まだ第5回なので、これからも早花だからこそ聞き出せるOG達の本音を、一人でも多く届けて欲しいと思う。何より、僕が彼女の書く文章をもっと読みたい(笑)。因みに、彼女は【BookBang】という本の総合情報サイトでも『宝塚の本箱』を連載しており、プロフィールにもあるように現役時代から文章力の高さに定評があったようだ。文章力の無い僕からすれば、羨ましい限りだ(笑)。
2021.10.27
愛しの美稀さんにまで、目が辿り着かねぇえええッ!!(笑)何と言う運命の皮肉だろう。双眼鏡で追いかける若手の人数が増えれば増える程、そして彼らが輝きを増せば増す程、美希千種を見つめる時間が減ってしまうなんて…。今や彼らは、織姫と彦星の仲を引き裂く天の川のように、僕達の間で眩しく煌めいている。美希さんをもっと見たい。だけど、若手にももっと煌めいて欲しい。そう、きっと僕達は宝塚の星屑ロンリネス。(この昭和ネタ、分かるかな…笑)レビュー【モアー・ダンディズム!】はオーソドックスながら、古き良き宝塚をしっかりと感じさせてくれる、かなり僕好みの舞台だった。挑戦的なショーもあり、伝統的なショーもあるというのが宝塚の良さだと思う。そのどちらも分け隔てなく楽しめる僕は、幸せ者だ。幕開けは、4色のスーツとドレスに身を包んだジェンヌ達が列になって互いに交差して行くのだが、派手さは無いものの「いかにも宝塚」という雰囲気があり、徐々に気分が盛り上がる。第3章『キャリオカ』も宝塚らしさに溢れ、ずっと観ていたいと思わせる華やかな場面だ。曲調やダンスと共に舞台セットも刻々と変化し、全てを効果的に使う構成になっており、これだけでも観る価値がある。第4章『ゴールデンデイズ』は、卒業する愛月ひかるのために用意された特別な場面。【うたかたの恋】をイメージした舞台で、白い軍服姿の愛月がどこまでも麗しく映える。続く第5章『ハードボイルド』は、打って変わってどこまでも渋く格好良い男の世界。礼真琴の低い歌声が曲と相まって、場の雰囲気を盛り立てる。それにしても、上手い(笑)。今更、礼の歌唱力について語る必要など無いのだろうが、最近はトップスターとしての自信というか余裕が出て来たのか、これまで以上に歌に深みが増したように感じる。ダンスも見惚れる程に美しく、愛月ひかるが礼を評して言った「恐ろしい子」の意味を、今公演で今更ながらに理解した。歌と言えば、今回は間奏曲(3)『ラ・パッション!』で聴かせた瀬央ゆりあも圧倒的だった。確かに、これまでも公演の度に成長を感じさせてはいたが、【ロミオとジュリエット】を経て新たな次元に達したようだ。芝居でも礼と見事に対峙し、礼・舞空コンビを下支えするに相応しい役者に育った。以前に比べ、随分と痩せたように見えるので、身体には気を付けて欲しい。(ずんに、カレーを作ってもらいなさい…笑)瀬央に続くは、綺城ひか理。元・花組という事で、宙組出身の愛月ひかると共に星組に新たな煌めきをもたらしてくれている。今後は、愛月が演じて来た目上・格上の役柄を、綺城が担う事が増えるだろう。無理に星組に染まろうとせず、花組で培った花男としての個性を大切にして、若手に刺激を与えて欲しい。恐らく、その方が星組にとってはプラスになるはずだ。バウ主演のチャンスがあるなら、弾けたコメディを観てみたい。天華えまも、面白い役者に育って来た。『鬼滅の刃』の伊之助さながらに、「綺麗な顔の野生児」がいよいよ開花しつつある。【スカーレット・ピンパーネル】の新人公演で僕が課題に挙げたノーブルさも身に付いて来たし、今後は【ロミオとジュリエット】の死とマーキューシオ役のように、公演毎に振り幅を大きく配役してやれば、更に逞しく成長するはずだ。バウ主演させるなら、本人の希望通り【春の雪】のような作品・役柄が、彼女には新たなチャレンジになるだろう。正統派の系譜に連なる極美慎、期待の碧海さりおや天飛華音を始め、若手にもどんどん前に出て来て欲しい。(注目して欲しい若手がいたら、新人公演で主演させてくれると、こちらも確認しやすくなって助かる…笑)そして、彼らの中から将来、愛月ひかるの精神を受け継ぐ者が生まれる事を楽しみにしている。と、話が逸れた。個人的には、第2章『ミッション』のようにストーリー性やメッセージ性がある場面も好きだ。そして、鑑賞しながら「あれ?」と感じたので調べてみたら、やはり皆が踊っているのはジョージアン・ダンスだった。ここは再演に伴う新場面らしいので、もしかして僕の嗜好を取り入れてくれたのだろうか(笑)。(しかし、僕があの記事を載せたのは7月末だし、時期的に無理があるか…)第8章『アシナヨ』では、礼・舞空・愛月の3人による美しい場面。トップコンビの2人と共にスポットライトを浴びる愛月を見ると、「ああ、これで本当に最後なんだな…」と胸にこみ上げて来るものがある。この場面では、客席からの拍手も一際大きかった。卒業後は未定らしいが、インタビューでは「宝塚が好きなので……この言葉から汲み取っていただければ」と語っており、今後も何らかの形で宝塚と関わってくれるのだろう。彼女の新たな人生に、幸多からん事を。ありがとう、愛月ひかる!!ありがとう、星組!!
2021.10.17
1週間振りに鑑賞した星組公演は、展開を知っている事に加え、先週より役者陣の演技に深みが増しており、かなり楽しめた。【ロミオとジュリエット】で鍛えられた個性が、本作でしっかり活かされている証拠だろう。ベテランから若手まで上手く配役されているし、改めて観ると雪組【CITY HUNTER】と同様に物語の情報量は多いが、それに比例して組子達の見せ場も多くなっているので、作品としては悪くない出来だと思う。(目一杯エピソードを詰め込んである所も似ている…笑)今回の【柳生忍法帖】で、七本槍という敵方のキャラクターを演じるのは瀬央ゆりあ、漣レイラ、ひろ香祐、綺城ひか理、天華えま、極美慎、碧海さりお、星組男役の中核をなす面々。柳生十兵衛や芦名銅伯と並んで登場する場面は、さながら「歌舞伎 × パリコレ」といった豪華さだ(笑)。典型的な悪役かつ斬られ役ではあるが、それぞれ個性があり、やられ方も違うので、見せ場は存分にある。本人達も、いかに悪く見えるかを楽しんで演じているようだ。悪いと言えば、彼らの主君である会津藩主・加藤明成を演じる輝咲玲央も相当だった。芦名家の再興という目的があり、多少は同情の余地がある銅伯に対し、明成は権力を笠に私欲を満たすだけの最低な男。そもそも全ての元凶は彼とも言えるので、「最後はコイツが女達に斬られて死ねば良い」と思っていたのだが、そうならなかったのが残念だ(笑)。そう思わせる程、輝咲の演じる明成は見事な(?)下衆っぷりだった。銅伯の手足のように扱われ、明成の側室となる娘・ゆらを演じるトップ娘役の舞空瞳は、礼真琴と同様に一回り成長した姿を本作で見せた。歌でも芝居でも、確実に表現力が増している。終盤、いきなり十兵衛への恋心を告白するシーンは突拍子も無く感じられたが、舞空の言葉には「なる程、そうか」と腑に落ちる説得力があった。まだまだ伸び代がありそうだし、今後も楽しみだ。それ以外にも、堀主水役の美稀千種、千姫役の白妙なつ、沢庵和尚役の天寿光希、お千絵役の小桜ほのか、多聞坊役の天飛華音などがしっかり脇を固めている。出番は少なかったが、柳生宗矩役の朝水りょうも良かった。星組は元々が体育会系な組だが、それぞれの個性が際立って来たおかげで、まるでラフカットのダイヤモンドのような面白さが出て来た。礼真琴という非常に精巧にデザインされたトップスターを頂きながら、そこに原石本来の野性味を持つ組子達がぶつかり合う事で、他の組には無い独特の輝きや光の反射が生まれている。これは、紅ゆずるから受け継がれた星組の魅力だろう。どうか大切にして欲しい。そして、愛月ひかるである。専科の時と同様に、当時はあまりに突拍子も無く感じた星組への異動だが、今となっては星組で礼真琴とタッグを組んでくれた事を、運命や奇跡のように感じている。勿論、今回レビュー【モアー・ダンディズム!】を観ながら、「やっぱり彼女がトップスターとして舞台に立つ姿を見たかった」という気持ちを抱かずにはいられなかったのも事実だ。だって、僕もそれを待ち望んでいたファンの一人だから。彼女はそれに値するジェンヌだと今も信じている。ただ、最近よく目にする「2番手退団」の是非に対しては、僕自身は前向きに捉えている。つまり、番手も無く、また別箱での主演経験も無いまま退団するよりは、何らかの実績がある方が退団後の活動にプラスになるだろうという事だ。(専科やバウ主演という経験が、宝塚以外の世界でどこまで評価してもらえるかは疑問だ)勿論、それでファンの気持ちが収まるとも思っていないが、劇団が(トップにしてあげられない)ジェンヌ達の退団後を考えた結果だと、個人的には受け止めている。と言うか、そう思う事で自分を納得させている。彼女の退団について書き始めたら堂々巡りになりそうなので、もうこの辺で止めておこう(笑)。ありがとう!!次回の観劇は、花組【元禄バロックロック】で11月9日(火)と12月7日(火)。今公演は最初から2回分のチケットを確保した。前回より更に逞しく成長したであろう花男達に期待している。それまでに、レビュー【モアー・ダンディズム!】の感想も纏めて行きたい。
2021.10.12
久し振りに宝塚に戻って来た。9月は観劇予定も無かったので、喫茶店の壁紙を自分で張り替えたり、アニメ『ゴールデンカムイ』をAmazonプライムで一気に観たりと、宝塚から少し離れる生活をしていた。(『ゴールデンカムイ』はかなり面白かったので、続編も間違いなく観る)映画【風立ちぬ】を観てからの【シン・エヴァンゲリオン劇場版】にも興味深い発見があり、出会いを作ってくれた岡田斗司夫には改めて感謝したい。それ以外では、解剖学者の養老孟司や、エジプト考古学者・河江肖剰のYouTube動画を、こちらも興味深く拝見させてもらった。そんな調子で、公式HPとOGのインスタグラムはチェックこそしていたものの、特に話題にはせずに過ごしていた。そうして久し振りに鑑賞した宝塚の舞台は、前作【ロミオとジュリエット】が大好評を博した星組の【柳生忍法帖】。実は、演目が発表された時、少し不安だった。柳生十兵衛と言えばやはり千葉真一のイメージが強く、それを礼真琴が演じてもコスプレ劇みたいになってしまうのではないかと感じたのだ。しかし、先行画像を見た瞬間にそうした懸念は完全に吹き飛ぶ。そこに写っていたのは、紛れもなく柳生十兵衛その人だった。【ロミオとジュリエット】はまだ公演中だったが、先行画像には幼さの欠片も無かった。【ロミオとジュリエット】の手応えが、礼真琴を覚醒させたのだろうか。これ以降は、実際に【柳生忍法帖】を観られる日が待ち遠しくなった。そして当日。果たして、柳生十兵衛はそこにいた。所作から話し方、殺陣に至るまで「粗にして野だが卑ではない」十兵衛のキャラクターを、舞台でも見事に体現していた。他の組子達と比べても、その成りきり具合は異次元レベルだ。「よくぞここまで…」と感嘆するしかない。ただ、十兵衛の役割が「敵討ちの指南役」のため、ここぞという場面では女性達が前面に出て、どうしても十兵衛は一歩引いた印象を受けてしまうのが勿体無い。まあ、主題が「女の戦(いくさ)」なので致し方無いが、もっと単純かつ豪快に暴れ回るまこっつあんが見たかった所だ。(悪い男達を女が成敗する話なので、女性好みの内容だとは思うが…)十兵衛と相対するのは、七本槍を従える黒幕・芦名銅伯。今公演で卒業する愛月ひかるが、人間とも妖狐ともつかぬ雰囲気を纏いながら怪演している。この手の役柄は演じ慣れているとは言え、やはりこれまで積み重ねて来たものがあるからこその説得力だろう。卒業は寂しい限りだが、たとえ短い間でも礼真琴との奇跡の共演が見られた事には感謝しかない。素晴らしい思い出を、ありがとう!!と、まだサヨナラじゃなかった(笑)。来週12日(火)に、もう一度機会がある。物語の内容は掴めたので、次回はもっと愛月ひかるに注目しながら鑑賞したい。人間関係や時代背景が複雑なので、一度しか観劇予定の無い人は、出来ればあらすじを予習しておく事をお勧めする。(僕は原作小説を読んでいないので、解説するのもなかなか難しい…笑)来週までにどこまで書けるか分からないが、他のキャストに関してはまた次回に。ありがとう!!
2021.10.06
ARI、誕生日おめでとおぉぉおおうッ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆「うむ、ありがとう 褒美をとらせたい 望みはあるか?」 (とは、言ってな……い、いや言ってるか…笑)昨年は「舞台に立つ事を怖いと感じる時期があった」と悩みを打ち明けていたARIだが、今年はレヴュー本で「これから目指して行きたい男役像が見えた」「ターニングポイントと言える役になった」と前向きに語るなど、何かしら今後の指針を見付けたような印象を受けた。また、鳳月杏の質問に対して「今の自分が演じたらどんな風になるのか知りたいので、大恋愛する役を演じてみたい」と言うなど、男役としての貪欲さも出て来たようで、これからの暁千星がどう変化、深化していくのか楽しみだ。とは言え、以前も書いたように、僕は今直ぐの結果を求めている訳ではない。例えば、瑠風輝や永久輝せあ、朝美絢なども僕が指摘してから「はっきり変わった」と感じられるまでに2年ほど掛かっているので、ARIにもまだまだ焦らずじっくり模索、葛藤して欲しい。その方が、きっと最終的な自分の血肉に繋がるはずだ。そんなARIに贈る曲は最近お気に入りのバンド、SUPER BEAVERの『突破口』。正々堂々と今の自分と向き合って、いつか突破口を見付けて欲しいと思う。未来で待っているよ!!そう言えば、たまきちが卒業してもう1ヶ月経つけど、元気にしてるのかな?俺は元気だ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆SUPER BEAVER『突破口』2021年今をやめない やめない やめない最低条件だって もうわかっているから今をやめない やめない やめないやめてしまえば 叶わないから挑まないと 味わえないや 過去一番に楽しいこと足りない もっと 足りない もっと ねえ 飢えてるんだろう?正々堂々「今」と今向き合って 堪能するよ現実 酸いも甘いも全部威風堂々 正面突破がしたいな 面白そうだ 歓べそうだよな今をやめない 味わい尽くして 笑おう 笑ってやろうぜ今をやめない やめない やめない最低条件だって もうわかっているだろう?今をやめない やめない やめないできるまで やればいいってこと精一杯が 惨めに思えたって 格好つけた逃走よりも 何百倍もいい証明するよ もう前例になるよ やめなかったから 笑っている僕らが正々堂々「今」と今向き合って 堪能するよ現実 酸いも甘いも全部威風堂々 正面突破がしたいな 面白そうだ 歓べそうだよな今をやめない 味わい尽くして 笑おう 笑ってやろうぜ精一杯が 惨めに思えたって 格好つけた逃走よりも 何百倍もいい証明するよ もう前例になるよ やめなかったから 笑っている僕らが今よりもっと笑ってやろうぜ正々堂々 威風堂々正面突破がしたいな
2021.09.14
岡田斗司夫が「『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は最高傑作だ」と言っていたので、今月中に観ようと思っていたのだが、この動画を観て「あれれ…?」となってしまった。「感動が目減りしてしまう」「家で落ち着いた明るい環境で観ると、凄くない」「逆に、面白くないと思った部分が際立ってしまう」など、劇場で観た時の感動が配信では得られなかった旨を語っており、個人的にはその気になった所に冷や水を浴びせられた格好だ(笑)。しかし、これは映画に限らず、演劇や音楽においても同様。特に、完成した映像を流すだけの映画と違い、演劇や音楽ライブは観客の反応があってこそ成り立つ一期一会のもの。現在、コロナ禍で宝塚がライブ配信を行っているのも、「本当は劇場に来て欲しいけど、表立っては言えない劇団」と「本当は劇場に行きたいけど、不安もあって行けないファン」との折衷案、ないし応急処置的な対応であり、劇団としてはライブ配信を「是」とはしていないと思う。寧ろ、これが切っ掛けで「私は配信だけで良いです」という人達が増える事を懸念している。(恐らく、これは演劇業界だけでなく、音楽業界、映画業界に共通の懸念だろう)これは劇団側もインタビューで語っているが、観客の生の反応や拍手を直接感じる事が、タカラジェンヌ達(特に若手)のモチベーションや成長に大きく左右して来る。劇場に来られない人には来られないなりの理由があるのは承知しているが、観劇文化の衰退は宝塚自体の衰退にも直結する事は忘れないで欲しい。
2021.09.07
僕個人は、ペスト後やスペイン風邪後の世界を見る限り、岡田斗司夫が言うほど極端な変化は起きないと思っているのだが、宝塚歌劇団を始め、演劇界や音楽業界は多かれ少なかれこの変化を視野に入れて動かざるを得ない状況になっているのは間違いない。岡田の予想通り、(「第三次世界大戦」は言い過ぎだと思うが…笑)このコロナ騒動はまだ1~2年は収まりそうにないので、劇団の試行錯誤は続くだろう。後は、そこにどれだけの宝塚ファンが協力してくれるかだ。
2021.08.31
少々短いが、ショー【Fire Fever!】の感想を。【CITY HUNTER】の感想では「バランス」という表現をよく使ったが、【Fire Fever!】の印象もやはりバランスだろうか。彩風咲奈がエースの4番である事は間違いないのだが、彼女だけに負担を掛けるのではなく、朝美絢を始め、他の若手にも見せ場を作る事でチームとして勝負しようという意図が感じられた。演出でも、彩風の得意なダンスばかりで攻めるのではなく、歌にも比重を置いて、全体的な底上げを図ろうとしているようだ。ほぼ全員によるラインダンスが、それを象徴しているように感じた。恐らく、劇団は和希そらが組替えして来る次回作、もしくは3作目を勝負作と捉えているのだろう。朝美絢は一幕を全て任されたり、女装したり、縣千を中心とした場面でサポートに回ったりと、今公演で一気に2番手の立場に慣れさせようとしているようだ。他の若手は、与えられた場面でどれだけ存在感を出せるか、それを試されているように感じた。縣は問題無く合格。その後に誰が続くか。下級生は、今公演でどれだけアピール出来るかが、今後の抜擢に影響して来るだろう。頑張れ!!ありがとう!!それにしても、見れば見る程に気になる「コレ」。他に気付いている人はいるんだろうか…?
2021.08.26
と、何やら意味深なタイトルで諏訪さき本人とファンの関心を引いておいて(笑)、先ずは他のキャストの感想から。新トップ娘役の朝月希和は、ボーイッシュで可愛らしい槇村香を演じていた。実は、連載当時、男性ファンの中には香の性格を「鬱陶しい」と感じる人達が結構いたので(冴羽獠の格好良さを香の態度が台無しにしていると思われていた…)、あまり漫画やアニメに近付け過ぎると好感度が下がる恐れもある。個人的には、朝月の役作りで丁度良いように感じた。彼女自身の印象としては、まだこれと言った個性は感じられないものの(失礼…)、逆にどんな役でも器用にこなしそうな感じがするし、何より彩風咲奈とのバランスが良い。2人がどんなロマンスをみせてくれるのか、これからが楽しみだ。香の兄・槇村秀幸を演じる綾凰華は、新たな魅力を見せた。これまでの爽やかな好青年役から一変、どこか野暮ったい日陰の男を演じているが、これが予想以上に嵌まっている。これは意外な発見だった。根暗な感じを出しつつも、妹を案じる優しさや正義感はきちんと表現しており、槙村のキャラクターをしっかりと掴んでいる証拠だ。天華えまに続き、綾もまた一つ着実な成長を感じさせてくれた。大人っぽい雰囲気も出て来たし、悪役や壮年など色々な役に挑戦させれば、更に面白い役者になるだろう。予想以上に嵌まっていたと言えば、海坊主役の縣千も良かった。サングラスにバンダナ、おまけに髭まで生やしているため、正直誰だか分からない風体だが(笑)、その分戦闘シーンでは海坊主そのものにしか見えない再現度で、これなら原作ファンも文句無しではないか。ポテンシャル的には若手の中でも群を抜いているので、これからはどれだけ役を深め、それを繊細かつ的確に表現して行けるかだろう。独特な感性の持ち主だけに、新人公演でどんな冴羽獠を見せてくれるのか期待している。(まあ、観るのは『カフェブレイク』の映像になるけど…笑)再現度と言えば、野上冴子役の彩みちるも頑張っていた。配役を見た時は、冴子の大人の色気と彩のイメージが上手く結び付かなかったのだが、実際に舞台を観るとそれほど違和感は無かった。(前回が可愛いモーツァルト役だったせいかも知れない)朝月希和と同じく、器用に役をこなすタイプと見た。公演後には月組に組替えとなるし、こちらも期待したい。原作とは違う印象ながら、原作よりも格好良かったのが、ジェネラル役の真那春人だ。【ONCE UPON A TIME IN AMERICA】でのコックアイ役以来、何かと気になっている男役だ。ジェネラルは原作では雑魚キャラだが、宝塚版では結構重要な役回りで、真那は限られた出番の中でしっかりと印象を残していた。これからも注目して行きたい。という事で、ようやくの諏訪さき(笑)。今回は政という、よく分からないキャラクターを演じているが、ちょこちょこ出番があり、しかもお笑い担当とあって脇役ながら結構目立っていた。本人もここぞとばかりに振り切った芝居を見せ、役を楽しんでいるようだ。そんな諏訪さきの感想を書きながら、僕の脳裏にふとある男役の顔が浮かんで来た。諏訪君、どうだろうか。君は「鳳月杏」を目指してみる気は無いか?君なら、彼女のような「男の色香」と「大人の包容力」を兼ね備えた男役になれると思うのだが。見たところ、コメディの素質もある。99期の君は、92期の鳳月とは7年の差がある。つまり、今から努力して7年後に今の鳳月杏のような男役に成っていれば良いのだ。どうだい。そうやって考えたら、少しは「頑張れば出来るかも…」という気持ちになって来ないか?(笑)(僕がARIに対して「3年」という表現を使うのは、常にそこに95期を想定しているからだ)勿論、無理にとは言わないが、僕の中の直感が「こんなん出ましたけど~」と閃いてしまったので(笑)、一応アドバイスとして書いてみた。劇団にも、ご一考をお願いしたい。(あ、間違っても「組替えさせろ」という意味ではないぞ…笑)諏訪に限らず、「我こそは」と思う若手がいれば、「今の鳳月杏=〇年後の自分」とイメージしながら頑張ってみて欲しい。政と同じくオリジナル・キャラの小林豊を演じる彩海せらも、しっかりと見せ場があった。どんどん幼さが抜け、この手の若者役は危なげなく演じられている。目下の課題は、新人公演のミック・エンジェル役で、どこまで本役の朝美絢に迫れるかだろう。それにしても、これだけ場面展開の激しい舞台を新人だけでこなすのは、かなり大変なのではないかと思う。しかし、これを全員が協力してやり切れば、君達は確実に一回り成長できるはずだ。そして、それは雪組全体の底上げにも繋がる。未来に向かって頑張れ、若人達よ!!☆*:.。. o(≧∇≦)o .。.:*☆ありがとう!!
2021.08.22
ゼッターランドさんの美貌に見惚れていたら、ちょっと遅くなってしまった(笑)。前回も書いたように、雪組『CITY HUNTER』はストーリーはごちゃごちゃながら、同じキャラクターが色々な場面に繰り返し登場するので、一人ひとりは記憶に残りやすい。だから、意味が分からなくても、組子達を見たい人にはかなり親切な作品となっている。各キャラクターの再現度と、成り切り具合を観ているだけでも楽しい。その筆頭が、主人公の冴羽獠を演じる新トップスター・彩風咲奈だ。さすが「常に原作漫画を持ち歩き、アニメも毎日欠かさず観ていた」と言うだけあって、かなり原作のイメージに近付けている。それでいて、宝塚の男役が持つ格好良さも失わず、彩風なりの「真面目に不真面目」が絶妙なバランスで表現されている。(コミカルな演技では、どことなく早霧せいなっぽさを感じさせる所も微笑ましい)歌唱力も着実に上がっており、努力の成果がはっきりと感じられた。お披露目公演で演じるには挑戦と勇気のいる役柄だったとは思うが(笑)、本人も楽しそうに演じていたし、『CITY HUNTER』は彩風咲奈の新たな可能性と魅力を引き出したと言えるのではないか。改めて、新トップスター就任おめでとう!!そんな彩風以上に、役を楽しんでいたのがミック・エンジェル役の朝美絢だ。ミックの格好良さと茶目っ気を、遊び人の獠ほどは崩し過ぎずに、彩風とのバランスを考えながら上手く表現している。それが全くわざとらしくない所に、彼女の確かな成長を感じた。コメディの肝である「間」の取り方も絶妙で、公演が始まったばかりというのに、もう完全に役を自分のものにしている。それ位、本作での朝美絢には非の打ち所が無い。約2年前、【壬生義士伝】の感想で僕はこう書いた。周りから何と言われようと、今は自分の信じる「朝美絢の道」を進めば良い。やがて、その道の途中で、自分に足りないものが何か(或いは、余計なものは何か)に気付く時が来るだろう。それを会得した時、朝美絢は本物になる。それからの修練で彼女が何に気付き、何を足し、何を引いたかは想像するしかないが、遂に朝美絢は本物になったようだ。(直前の主演作のタイトルが【ほんものの魔法使】というのも、何か運命的なものを感じる)彩風との息もピッタリで、これからの2人がどんなコンビネーションを見せてくれるのか、益々楽しみになった。しかし、朝美絢よ。今はまだ、敢えて「おめでとう」とは言わない。何故なら、僕はここが君のゴールだとは思っていないから。祝福の言葉は、ほんものの未来のために残しておく。以前にも書いたが、宝塚は出世の早さを競う場ではない。君が夢を諦めず、努力し続ける限り、僕も一緒にそれを信じよう。(今、さり気無く劇団に釘を刺しておいたからね、大丈夫だよ…笑)その道を臆せず進み続けろ、あーさ!!☆*:.。. o(≧∇≦)o .。.:*☆それにしても、ここ最近の95期生達には本当に驚かされる。まだまだ素敵な夢が、幾つも見られそうだ。他のキャストに関しては、また後日。ありがとう!!
2021.08.20
明日海りおの記事を更新した直後に、今度は七海ひろきから公式LINEが届いて驚いた(笑)。やっぱり、89期は離れていても繋がっているんだね。緊急事態宣言下でどうなるかと心配していたライブツアー『One-manLIVE773"FIVESTAR"』も無事に終了したようで安心した。『ポラリス』のリリックビデオ。
2021.08.19
彩風咲奈と朝月希和による雪組新トップコンビのお披露目公演【CITY HUNTER】を観劇して来た。お盆営業が思った以上に忙しかった事に加え、今月に入ってからNHKの『映像の世紀』(全11回)を録画して観ているのだが、戦争の陰惨な場面に気が滅入る事が多かったので、雪組公演は良い気晴らしになった。原作漫画『CITY HUNTER』の連載が週刊少年ジャンプで始まったのは1985年、僕が小学校6年生の時だ。当時はジャンプの全盛期で、『キン肉マン』に『ドラゴンボール』『北斗の拳』など錚々たる漫画が連載中だったが、『CITY HUNTER』の人気も相当なものだった。勿論、僕も第1話から夢中になって読んでいた記憶がある。それから36年の歳月を経て、よもや宝塚歌劇で観る事になろうとは夢にも思わなかった(笑)。宝塚版のストーリーは例えるなら「ごった煮」、もっと言えば「闇鍋」に近い(笑)。月組【夢現無双】以上に場面転換が多く、その中で主役から脇役まで多くのキャラクターが入り乱れるため、内容がほとんど把握できない。正に、ごちゃごちゃだ。僕も途中まではストーリーを理解しようと意識して観ていたのだが、第8場の『ねこまんま』辺りからどうでも良くなって(笑)、作品の世界観そのものを楽しむ事に頭を切り替えた。しかし、「じゃあ【CITY HUNTER】は駄作なのか?」と聞かれると、これが不思議と面白い。よく分からなくても、最後まで楽しめてしまう。これこそが、本作で最も特筆すべき点じゃないだろうか(笑)。「とにかく沢山のエピソードを盛り込み、後はキャラクターでごり押し」という演出・齋藤吉正の戦法(?)が、見事に嵌まっている。星加梨杏の演じる織田隆治が、よくよく見れば『踊る大捜査線』だったり、『CITY HUNTER』以外のネタも随所に散りばめられており、内容よりもそうした小ネタを見付ける楽しさに重点を置いているのかも知れない。(しかし、若い宝塚ファンには分かるのかな…笑)という訳で、個人的にはちょっと違った意味で面白い舞台だった。観ようかどうか迷っている人は、とりあえず怖いもの見たさで1度は観劇する事をお勧めする。中身は分からなくても、入っている具材はどれも美味しい闇鍋パーティだと思えば良い(笑)。そうした視点で観れば、意味不明な注射器のシーンも楽しくなって来る(はず…?)。何より、新トップコンビを始め、組子達が実に楽しそうに役を演じている姿に元気を貰えた。ショー【Fire Fever!】も熱気があり、良いお披露目公演になったと思う。キャスト別感想は、また後日。ありがとう!!
2021.08.17
何を書くべきか、書かざるべきかと迷いながら、それでもいつかは語らなければならない日が来るからと、少しずつ書き進めていたら随分と遅くなってしまった。そうこうしている間に、東京五輪の閉会式にタカラジェンヌ達が出演するというニュースが入り、これが年末の笑い話にしようと用意しておいた話題とものの見事に重なったため、少し早いが一緒に載せる事にした。ただ、お偉方の機嫌を損ねて公演に支障が出ても困ると思い、月組【桜嵐記】が千秋楽を迎えるまで待つ事に…(笑)。(改めて、たまきち卒業おめでとう!!)最初、退団者の中に彼女の名前を見た時は、驚きよりも寧ろデジャヴのような感覚に襲われた。もう何回こんな経験をしただろうか…。宝塚を観劇するようになってからまだ5年半だが、その間にもう何人もの大好きなジェンヌ達が退団して行った。昨日、千秋楽を迎えたばかりの珠城りょうを加えれば、トップスターだけでも8人を数える。その中で、少しずつ「僕にとって宝塚は『在団中』だけでなく、『退団後』も含めて宝塚なのかも知れない」と考え始めるようになった。彼らへの愛おしさは、退団前も後も変わらない。或いは、昨年のコロナ禍にOG達が協力して作った、YouTube動画の存在も大きいかも知れない。あれを観て「現役生もOGも含めて、宝塚は一つの大きな家族なのだ」と、これまで以上に強く実感するようになった。愛月ひかる 退団彩凪翔と瀬戸かずやに続き、稀代の男役がまた一人、宝塚を去る。前作【ロミオとジュリエット】で魅せた存在感を考えれば、このタイミングでの退団は残念という以外に言葉が見付からない。礼真琴との共演も、もっともっと観たかった。しかし、今回は確かに寂しさはありつつも、もっと大きな流れの中で彼女の退団を捉えられている感じだ。これは「区切り」ではあっても「終わり」ではない、と。とりあえず今は、僕を嫉妬させる男役の有終を、しっかり見届けようと思う。その愛月ひかるを含めたタカラジェンヌ20名が、8日に東京五輪の閉会式で国歌を斉唱した。(久し振りに宙組生と再会して、少しは話ができただろうか?)個人的に、五輪に対しては何の興味も思い入れも無いが(失礼…)、もし開催されれば宝塚の公演が中止になる事もなくなるだろうと踏んでいたので、五輪そのものは開催して欲しいと思っていた。例えば、五輪が中止されたにも拘わらず感染者数が増えれば、その皺寄せが再びエンタメ業界に向く可能性がある。しかし、ひと度開催されれば、感染者数の増加は必ず五輪と結び付けられて語られるため、(劇団内にクラスターでも発生しない限り)政府も都も「競技は続けるが公演は中止せよ」とは言えない状況になる。だから、珠城りょうと美園さくらのサヨナラ公演が無事に千秋楽を迎えられるためには、五輪は開催された方が都合が良い、と考えたのだ。まあ、政治家達が是が非でも開催しようとしているのは気付いていたし、折角ならその心理をこちらも利用させてもらおうという訳だ(笑)。実際、7月末に4度目の緊急事態宣言が発出されたが、あれだけの感染者数にも拘わらず公演は中止されなかった。(勿論、これにはちゃんと裏事情があるのだが、それは政治家と医師会、及びマスコミの話であって宝塚は関係無いので、ここでは割愛する)その中で、タカラジェンヌ20名が五輪の閉会式に出演するというニュースを見て、「そうか、劇団も僕と同じ考えだったか…」という気持ちになった。これが宝塚単体での交渉なのか、演劇界と連携しての交渉なのか、誰かに恩を売ったのか、義理を果たしたのかは知る由もないが、劇団としては公演を中止させないために少しでも確実な選択をしたという事だろう。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という訳だ。閉会式に出演するジェンヌ達の感染リスクに関しても、この1年の公演実績に鑑みて大丈夫と判断したのだと思う。5月に望海風斗が聖火ランナーを辞退した際も、(卒業後にも拘わらず)劇団が間に入って連絡を取っているし、今回の国歌斉唱も、単に劇団が政府の言いなりで動いたとは考え難い。寧ろ、その逆だろう。ファンの視点から見ているだけでは、気付けない景色もある。
2021.08.16
Mrs. GREEN APPLE【点描の唄】2018年貴方の声で解れてゆく忘れたくないと心が云う思い出ばっか増えてゆくずっと側に居たい泣き虫でもいいかな強がらないでいいよ限りある恋だとしても出逢えて幸せですいつまでもいつまでも続いて欲しいと願っている手を取ることは出来ずとも私は貴方を好いている貴方の夢で心安らぐ目覚めたくないと僕は云う思い出ばっか増えてゆく明日も側に居たいどこまでもどこまでも鈍感な僕を叱って欲しい当たり前が壊れることに気づけないくらいに子供だけどちゃんと僕は貴方を好いている私の僕の時間が止まればいいのにほらまた期待をしてしまうグッと堪えてみるからさもし溢れ出したら瞳をちゃんと見てよ 見てよ 見て貴方の影だけ伸びてゆく消えてしまわないでずっと この思いは変わらないいつまでもいつまでも続いて欲しいと願っている手を取ることは出来ずとも過ぎていく現在(いま)に抱きしめられている私の僕の時間が止まればいいのに今日を噛み締めていよう終わるな夏よ、終わるな
2021.08.15
と、宝塚ファンなら誰もが気になるであろう文言を餌に(笑)、今回は「武士の世継ぎ」という視点から、改めて楠木三兄弟について語ってみたい。武家社会で家父長制が確立していった背景には、「土地の不足」があった。平安時代から鎌倉時代前期には、「少し手を加えれば良い耕地になる」という土地がまだまだあり、子供達にその土地を分配する事が可能だった。しかし、鎌倉時代も中期になるとそうした土地が無くなってしまう。実際、鎌倉幕府が倒れる要因となったのは、元寇に勝った褒賞(=御恩と奉公)として与えられるはずの領地が足らず、幕府に対する武士達の不満が高まったためだと言われている。これまで通り兄弟全員に親の土地を分けていては、相続できる土地の面積がどんどん狭くなり、やがて一族は共倒れしてしまう。(馬鹿な人を指す「たわけ」は、「田分け」が語源だとされる)そうした事情の中で「家」を存続させるために父親の下した判断が、土地や権限のほとんどを長男だけに継がせる、というものだった。武士にとって何より大切なのは「家」であり、父親は子供一人ひとりの人生よりも「家」が繁栄する事を優先的に考えた。人権という考え方など無かった時代である。弟達には何も与えられず、長男の家来になるか、場合によっては先祖供養を口実に出家させられる事もあったという。(当然、自分の冷遇に納得できない子供達も少なくなかった)そう考えると、自分の考え方を強要せず、息子達に主体的な生き方を説いた楠木正成は、武将としてだけでなく、父親としても立派な人物だったのだろう。そんな正成を尊敬していたからこそ、三兄弟も仲違いする事なく力を合わせて生きて来られた。その中でも特に父・正成の遺志を引き継いでいたのは、やはり長男の正行だった。それが分かるのが『第11場A・B 赤坂村 楠木の館』だ。「北朝へ来い」と誘う足利尊氏に対し、正時と正儀は「楠木家のために」という古い(=当時の価値観からすれば当たり前の)考え方で応えている。(正時の義父・大田佑則が翻意した根底にも「家」がある)しかし、正行だけは飽くまでも主体的に考え、行動しようとするのだ。「家名でも忠義のためでもなく、もっと大きなもののために」とは、そうした意味だろう。そして、弟2人にも「お前達は好きな道を選べば良い」と主体的な判断を促す。その姿が父・正成と重なり、正時と正儀も覚悟を決めたのだろう。この辺りの描き方も、さすが上田久美子だ。で、ここでようやく記事のタイトルである「嘘をつくな、楠木殿」について。これは、現在【週刊少年ジャンプ】で連載中の漫画『逃げ上手の若君』の第22話で、主人公を襲った賊の大将が言う台詞。 上記の武士の世継ぎに関する説明も、この漫画内の解説を参考にさせてもらった。主人公は鎌倉幕府最後の執権・北条高時の遺児、北条時行(8歳)。彼の目的は鎌倉幕府の再興と、親兄弟を殺した宿敵・足利尊氏への仇討ち。この漫画は月組【桜嵐記】より少し前、鎌倉幕府滅亡(1333年)から南北朝時代(1336年)までを描いている。なので、ここで言う「楠木殿」とは楠木正成だろう。それにしても、何故いきなり楠木正成なのか。察するに、先日ネット上で行われた第2回「南北朝武将総選挙」で、珠城りょうの演じる楠木正行が223票という得票数で1位に選ばれたからだろう。2位の楠木正儀が66票、3位の足利尊氏で52票なので、どれだけ圧勝かが分かる。企画した戎光祥出版の編集長も「宝塚歌劇の影響はあると思います」と言っている位だから、ジャンプ編集局がこの結果を把握していない筈はない。「南北朝が盛り上がっている間に正成の登場を匂わせて、読者の興味を引いておこう」という魂胆だろうか(笑)。ただ、僕が調べた限り、北条時行と楠木正成に歴史的な接点は見当たらない。時行は最終的に南朝側で戦うので、接点ができるとすれば同世代の三兄弟の方だろうか。(生年未詳ながら、時行と正行はほぼ同い年)『逃げ上手の若君』は子供達が活躍する漫画なので、あり得る話だ。さて、どうなる事やら…。因みに『逃げ上手の若君』がどんな漫画かと言うと、こんな感じ。北条時行「完全に誤解されたね、うん……」時行が討つべき宿敵・足利尊氏。(こう見えても悪役)第1話が試し読みできる公式サイトはこちら→『逃げ上手の若君』
2021.07.20
13日(火)は2度目の宙組観劇。【シャーロック・ホームズ】はクライマックスからラストの演出が素晴らしく、細かい矛盾や疑問を気にしなければ初見よりも素直に楽しめた。その中で印象が変わったのが、和希そらが演じるレストレード警部。前回(6月29日)に観た時は「仕事に追われて苛立っている」という印象を受けたが、2回目はもう少し違って「自分の不甲斐なさに苛立っている」ように感じた。レストレードは警察という職業に誇りを持っていて、本当は自分達だけで事件を解決したい。しかし、それが出来ずにホームズの手を借りる事は、彼としては不本意でしかない。ワトスンは「スコットランド・ヤードが手柄を横取りしている」と憤るが、それは単にホームズが手柄に興味が無いだけで、レストレード自身もこの僥倖を喜んでいる訳ではない。『S9B ベーカー・ストリート 221B』でレストレードがホームズの兄・マイクロフトに対してとった態度は、自分の不甲斐なさを見透かされたように感じたからではないか。それと『S11A』でのイレギュラーズ達の表情や仕草が可愛かった。展開が分かってから観ると、細かい部分にも目が行くので、やはり宝塚は2回以上観た方が良い。って、何の宣伝だよ…(笑)。レヴュー【Délicieux(デリシュー)!】は、スイーツ男子の僕としては嬉しいテーマ。(今話題のマリトッツォが出なかったのは、イタリア発祥だからかな…笑)今回のレヴューは新しい試みもありつつ、全体としては気分を盛り上げる演出に重点が置かれており、そのせいか普段よりも手拍子の起こる場面が多かったように感じる。月組の【Dream Chaser】が「喜び」なら、こちらは「楽しむ」だろうか。長引く不安とストレスの中で、ファンも積極的に楽しもうとしているのかも知れない。幕開けは潤花のアッと驚く変身に始まり、大階段を使った演出はさながらフィナーレのようで心が花やぐ。野口幸作の逆転の発想が面白い。続くカンカンも心踊る場面で、ジェンヌ達の溌剌とした笑顔が、客席の気分を最高潮まで上げてくれる。この場面だけでもずっと観ていたくなる楽しさだ。芹香斗亜がマリー・アントワネットに扮する場面は、ちょっとしたお笑いコーナー。こういう時は、アドリブが得意な芹香の独壇場だ。毎回、何かしらで爆笑させてくれる。ネット上で物議を醸した(?)場面に関しては、初見で「攻めてるな」とは思ったものの、そこまで騒ぎになるような印象は受けなかった。劇団が過激なのか、ファンが過敏なのか…、まあ、宝塚は大半が女性なので男は黙っていよう。(「1ヶ所が駄目だったら、全部が駄目」といった極端な考え方には首を傾げるが…)個人的には、ずんの髪型が2種類見られてラッキーだった(笑)。その後も、どの場面でも真風涼帆、潤花、芹香斗亜、桜木みなと、和希そら、瑠風輝の複数人が必ず出ており、そこに紫藤りゅうや留依蒔世、鷹翔千空らが絡んで来るので本当に目が足りない。今の宙組の層の厚さを物語っている。男役の群舞では聞き覚えのあるギターの音色が…。「何でだ?」と思ったら、そうだ、【パリの散歩道】だった。(今回のレヴューは「スイーツ」だけでなく、「パリ」もテーマになっている)ちゃんと歌詞付きなのが通好み。宙組生達の大人の魅力が堪らない。逆に、今公演で初舞台を踏む107期生は初々しくて可愛かった。個人的には、前回の口上で良い声を聞かせていた一輝翔琉(いちき かける)が印象に残った。覚えておこう。皆んな、頑張れ!!☆*:.。. o(≧∇≦)o .。.:*☆ありがとう!!ところで、13日は帰って来た後に、望海風斗が出演したNHK【うたコン】を観た。退団後初の歌番組という事もあってか、さすがに歌い出しは緊張している様子だったが、曲が盛り上がると共に自然と身体も動き、いつもの素晴らしい歌声を聴かせてくれた。というか、インスタグラムに上げた『うたコン 劇的ビフォーアフター』の画像が面白過ぎて大爆笑してしまった。こんな事して、本当は全然余裕だったんじゃないの?(笑)だいもん、お疲れ様。そして、ありがとう!!次回の観劇は雪組【CITY HUNTER】で8月17日(火)。人物相関図も公開され、何となく全体像が見えて来た。今回の【シャーロック・ホームズ】に続き、原作のエピソードをどう絡めて来るか。楽しみに待ちたい。
2021.07.15
退団した華優希が、ミュージカル【マドモアゼル・モーツァルト】で再び明日海りおとコンビを組むと知り驚いた。しかも、男女でないとは言え夫婦役である。「そう来たか!」というより「その手があったか!」という感じ。このアイデア(配役)って、誰が思い付いたんだろうか。もしかして、明日海りお?「華が相手役でなければ、私は出ません」とか言ってたら、もの凄く格好良いのだが。愛し愛され、楽しく頑張れ、オハナちゃん!!☆*:.。. o(≧∇≦)o .。.:*☆そんな華優希の新たな門出を祝福して、この歌を贈ろう。(卒業の時は、最高の歌を明日海りおから贈られて、僕の出る幕じゃなかったので…笑) これからも、斜めに構えず真っ直ぐ進んで欲しい。SUPER BEAVER【正攻法】(2017年)正直者は馬鹿を見る?嘘つきの言葉は信じない失敗は成功のもとでも失敗をしたいわけじゃない史上初の快挙を もてはやすのに過程ではなんで 舌を出す 指をさす誰だって何だって「最初」は初めてだ足跡を辿ってもつまらないさ太陽を見て 掴める気がしていた頃の最上級の純真で 一発勝負に挑むのさ正攻法でいい まっすぐでいい まっすぐがいい斜めに構えるせいで 綺麗なもの 見逃してしまいたくないな否定には創造力がない口撃には想像力がない歓びは十人十色で形はそれぞれ違ってる史上初の快挙を もてはやすのに過程ではなんで 舌を出す 指をさす誰だって何だって「最初」は初めてだ足跡を辿ってもつまらないさ第六感 未来は 方程式じゃ解けないしさ再放送のドラマより 一発勝負のドキュメント正攻法でいい まっすぐでいい まっすぐがいい正直者はいつだって 馬鹿のその先を見ている太陽を見て 掴める気がしていた頃の最上級の純真で 一発勝負に挑むのさ正攻法でいい斜めに構えるせいで 綺麗なもの 見逃してしまいたくないな正直者は馬鹿を見る?嘘つきの言葉は信じない
2021.07.12
先に宙組の感想を更新したかったので後回しになってしまったが、昨日7月7日は七海ひろきの新作【FIVESTAR】の発売日だった。僕はAmazonで予約していたせいか前日に届き、1日早く楽しむ事ができた。昨日今日は閉店後に片付けをしながら、音量大きめで流している。(ここは個人店舗の強みかも…笑)舞台俳優、声優に加え、色々なジャンルとのコラボ商品など、常に挑戦する気持ちを忘れない七海ひろきが歌手として再始動。今回も「チャレンジ」をテーマに5曲を作り上げた。僕は参加できないが、11日から始まる全国ツアーでも新たな挑戦でファンを魅了して欲しい。素敵なアルバムをありがとう!!
2021.07.08
ここ数日、岡田斗司夫と山田五郎のYouTube動画に気を取られて後回しになっていたが、ようやく宙組感想の続き。桜木みなと演じるワトスンは、変わり者のホームズとは対照的に良心的かつ常識的な人物。天才ホームズの前ではどうしても「普通の人」に見えてしまうワトスンだが、良い意味での普通っぽさをずんは上手く体現している。それでいて、真風涼帆と並んでも見劣りする事はなく、ホームズの良き理解者としてしっかりと相棒役を務めている。公式サイトのインタビューで演出の生田大和が語っているように、本作品ではずんが真風と対等に存在する事が、ホームズとワトスンの関係性を成功させるための鍵になる。「ホームズとの掛け合いも含めて、このためにキャリアを積んで来たのだというぐらいの意気込みで演じて欲しいですね」という生田の期待に充分に応える芝居を、ずんは見せているのではないかと思う。スーツの着こなしもこれまで以上に様になり、彼女の確かな成長を感じさせた。レストレード警部役の和希そらも、バウ公演の主演を経験して一回り成長したのか、随分と貫禄のある芝居になって来た。【アナスタシア】での女性役、今回の中年男性役と、着実に役の幅を広げている。どこかゲーム感覚のホームズに対して「こっちは仕事なんだよ!」と言いたげな中間管理職の心情が、しっかり伝わって来た。凛城きらが演じるシャーロックの兄・マイクロフトは、もう少し年上の壮年といった感じか。弟より優秀な頭脳の持ち主ながら出歩くのが嫌いなため、探偵ではなく政府の役人という職に就いている。(原作では、人付き合いが嫌いな者ばかりが集まった会員制クラブまで創設している)何でもお見通しな性格のため、どこか浮世離れした雰囲気のマイクロフトを凛城は上手く表現していた。専科への異動が決まっているが、彼女ならその期待に応えてくれるだろう。ホームズ達が下宿するベイカー街221Bの女主人・ハドスンを演じるのは、退団が発表された遥羽らら。彼女は舞台や写真集でずんと組む機会が多かったので、これからもそうだと思っていただけに、退団は残念だ。英ドラマ【シャーロック・ホームズの冒険】では老婆だが、宝塚版ではアニメ【憂国のモリアーティ】に寄せて若い女性でホッとした(笑)。探偵としては優秀だが人間的には問題ありのホームズに手を焼くハドスンを、可愛らしく演じている。可愛いと言えば、ワトスンの婚約者メアリー役を演じる天彩峰里も、限られた場面で存在感を見せていた。器用だし、着実にキャリアを伸ばし今後の更なる活躍が期待される。モリアーティの部下・ポーロック役の瑠風輝は、脇役かと思いきや「実は…」という結果的に美味しい役柄だった。せっかくだし、もっと見せ場があっても良かった気がする。ありがとう!!レヴュー【Délicieux(デリシュー)!】の感想は、次回の観劇日(13日)に改めて。と、今回はこれで終わらず【宝塚OGサポーターズクラブ】の話題に触れておきたい。ネット記事を読むまで全く知らなかったが、卒業したタカラジェンヌ達のセカンドキャリアを後押ししようと、コロナ禍の昨年6月にOGの瞳ゆゆが結成したものらしい。彼女がこのクラブを立ち上げた理由は、退団後の我が子の人生を心配する保護者の声に応えるためだったという。確かに、宝塚を卒業した後も舞台や芸能界で活躍できるOGは一握りしかいない。また、宝塚への入り口(受験)をサポートする場所は幾つもあるが、宝塚からの出口(退団)と同時に発生するセカンドキャリアについて、相談できる場所、教えてくれる環境は今まで無かった。「宝塚受験だけでなく、在団中、退団後のサポート体制が整い、様々な方面で活躍するOGが増えれば、ご家族も、より安心して宝塚の道へ送り出すことができ、宝塚歌劇団の繁栄にも貢献できるのではないかと考えます」と瞳は語っている。実は、昨年公式に設立された新会社『タカラヅカ・ライブ・ネクスト』もこうした現状を踏まえたものなのではないか、と僕は思う。別のインタビューで、OGの月映樹茉が語る「自分が苦労した事を先にしっかり伝えられれば、後輩達が同じ苦労をしなくて済みますから」という言葉と同様に、小川友次(もしかすると轟悠も…?)は次の世代を見据えて新たな挑戦に踏み切ったのではないか。そして、瞳ゆゆのインタビュー記事はこう締め括られていた。宝塚音楽学校の校訓「清く、正しく、美しく」をもとに、厳しい稽古や規律の中で磨かれた彼女たちが、舞台を離れても輝き続けられる場を提供したい。そう考える瞳さんの「母校愛」を形にできれば、チケットがなかなかとれない宝塚の魅力は、舞台の枠を超えて今以上に広く社会に認められるはずだ。記者によるこの言葉は、裏を返せば「タカラジェンヌ達が現役時代に必死の思いで積み重ねて来た努力やキャリアが、一般社会ではまだまだ認知・評価されていない」という事である。先日紹介した美弥るりかの「退団したら、女優という表現方法しかないのかな?」という発言も、僕には選択肢の限られたOGの現実に対する彼女なりの挑戦のように聞こえた。(だからこそ、七海ひろきの存在が美弥にはとても心強く感じられたのだろう)今公演で初舞台を踏む107期生達、更にこれからタカラジェンヌを目指す少女達が将来の不安を抱えながら活動しなくても済むように、ファンとしても何かできる事はないのだろうか…、と考えさせられる記事だった。【FRIDAYデジタル】の記事はこちら↓(せっかくなので、本日掲載されたばかりの天真みちるの記事も…笑)瞳ゆゆ『宝塚歌劇団OGが明かす「私たちの第二の人生の歩き方」』月映樹茉『元タカラジェンヌが漁師に嫁いで目覚めた「私の新しい生き方」』天真みちる『宝塚で「おじさん役」を究めた天真みちるの第2の人生』
2021.07.07
今回、宙組【シャーロック・ホームズ】を観劇するにあたり、個人的に注目した点は「どんなホームズ像になるのか」「ホームズとアイリーン・アドラーの関係をどう描くのか」だった。原作では自分の感情をあまり表に出さないホームズだが、宝塚版ではかなり人間臭い人物として描かれている。最近観たアニメ【憂国のモリアーティ】でもホームズは随分と俺様キャラだったし、これくらい人間味がある方が宝塚ファンには受け入れやすいのかも知れない。(まあ、真風涼帆が演じれば、どんな役柄でも格好良くなってしまうだろうが…笑)今回も、推理あり、変装あり、決闘あり、恋愛ありと、ホームズのキャラクターを借りて真風の魅力を色々と楽しめる。新トップ娘役の潤花は、これまで意識して芝居を観た事は無かったが(失礼…)、真風との相性も良く、星風まどかとは違う魅力で楽しませてくれた。普段は笑顔の眩しいイメージのある彼女だが、アイリーンのようにミステリアスな雰囲気の役柄も似合っている。今後の活躍に、期待が高まった。モリアーティ役の芹香斗亜は、公演プログラムで発言している通り、まるでゲームを楽しむ子供のように犯罪を企てる悪役を、嬉々として演じている。謎解きにおいては、解く側だけでなく、それを仕掛ける側にも楽しさがある。その側面を、ロレンツォ・デ・メディチとはまた違った狂気で、芹香は巧みに表現していた。ただ、原作のエピソードを盛り込む事に気をとられ過ぎたのか、肝心のストーリーがやや大味になってしまったのは残念。せっかく初のホームズ作品だけに、もう少し脚本に緻密さが欲しかった所だ。とは言え、宝塚のエンターテイメント作品としては充分にその役割を果たしており、ジェンヌ達の見せ所・聴かせ所も多い。(評論家の薮下哲司が言うように、シリーズ化しても面白いかも知れない)花組【CASANOVA】を観劇した時も感じたが、今回も鎖という小道具を有効に使うアイデアなど、生田大和は小池修一郎の後継者と呼ぶに相応しい演出家になりつつある。後は、詰めの甘ささえ克服できれば、偉大な先輩と肩を並べる日もそう遠くはないだろう。(小池修一郎も、第1幕の完璧さに比べ、第2幕が大雑把になるという玉に瑕がある…笑)次回作も楽しみだ。ありがとう!! 桜木みなと以下のキャストについては、また次回。
2021.07.02
先週だったか、朝夏まなとのインスタグラムで『しいたけ占い』なるものの存在を知り、試しに覗いてみた。毎週月曜日に更新で、今週(6月28日~7月4日)の天秤座の運勢には、こんな事が書いてあった。『ここまでの、かなり極限の閉鎖的な生活で、 あなたが当たり前すぎて言わなかったり、 思わなかったひとつの言葉があります。 それは「寂しかった」というものです。』は? 寂しい? 俺が寂しいだと?そんな訳がない。毎日、仕事でお客さん達の相手をして、寂しさなど全く感じていない。(寧ろ、皆んな元気で騒々しいくらいだ…笑)まあ様には悪いけど、この占いあまり当たらないな…。そう思っていた。しかし、昨日(29日)に宙組公演【シャーロック・ホームズ】を観劇して、はたと気付く。大好きなずんに会えなくて、寂しかったよぉおおおッ!!。・゜(ノД`)゜・。会えないのが当たり前過ぎて、すっかり忘れてたよぉおおおッ!!でも、ずんがまた少し大人になってて嬉しかったよぉおおおッ!!☆*:.。.o(≧∇≦)o.。.:*☆(95期は、これでほぼ全員が次のステップに進んだと考えて良いだろう)更に昨日は…たまきちにも、会えたよぉおおおッ!!☆*:.。.o(≧∇≦)o.。.:*☆会えなくて寂しかったよぉおおおッ!!。・゜(ノД`)゜・。(情緒不安定か、お前は!)そして、占いの最後にはこう書かれていた。『今できる、最高の空を取り戻していってください。 「ここから見える空の景色は最高なんだぜ」 というスポットを探して、行ってみること! いってらっしゃい!』最高の空…? そら…? 宙!?最高の宙組、観て来たぜぇえええッ!!猛烈に当たってた(笑)。さすがまあ様、俺の気持ちをしっかり見抜いている。(って、占ってるのはまあ様じゃないけど…笑) 「ここ(客席)から見える空(宙)の景色は最高なんだぜ」 by朝夏まなと(とは言ってない…笑)と、前置きが長過ぎてなかなか感想を始められないが(笑)、【シャーロック・ホームズ】は原作のエピソードをちりばめつつ、脚本も役創りも自由な解釈で描かれており、興味深く鑑賞させてもらった。今公演がお披露目となる真風涼帆と潤花との掛け合いも自然だ。レヴュー【Délicieux(デリシュー)!】も良い意味で予想を裏切る演出の連続で、最初から最後まで目が離せなかった。ありがとう!!きちんとした感想は、また後日に。それにしても、あの佐藤二朗からツイッターで話題にしてもらえるなんて、天真みちる凄いね!!最近は【歴史探偵】のMCやドラマ【ひきこもり先生】の主演など、NHKで佐藤二朗を観られる日が来るとは思ってもみなかったが、よもや宝塚とも繋がろうとは…。「宝塚の佐藤二朗」なんて、誰が言い出したんだろう?(笑)
2021.06.30
今朝、実家の母親から「1週間前に蛹だったのが、美しいアゲハ蝶になって飛び立ちました」というLINEが届いた。きっと、今日の君もこんな風に美しく羽を広げ、宝塚大劇場から飛び立ったのだろう。おめでとう、珠城りょう!!そして…おめでとう、美園さくら!!千秋楽おめでとう、月組!!
2021.06.21
『CREA web』に掲載の「Special Interview 美弥るりか×七海ひろき」を読んだ。しかも、読んでいる最中に七海ひろきから「インタビュー見てみてね♡」という公式LINEが届き、「あれ? もしかして行動パターン読まれてる?」と驚いた(笑)。宝塚音楽学校に入学する前から2人が友人だった話や、男役のスイッチが入った七海ひろきを見て「かいちゃんが、私の知らないかいちゃんになってしまった……」と寂しくなったと語る美弥るりかが可愛かったりと(笑)、読み応え充分なインタビューとなっている。2人の奇跡のツーショットも満載だ。その中で特に印象的だったのが、美弥のこの発言。『私自身も、男役、女役のどちらかに決めるつもりはなく、 男性・女性とかそういうフィールドに居る必要がないと思っていたので、 かいちゃんの始めた活動というのはすごく刺激的だった。 それが今の時代に自然とマッチしていたというか。 特に意識して、そうしたわけじゃなく、自然と。 「あれ? もしかして時代と合っているかな?」という感じで。』つい最近、僕も彼女が出演する舞台【GREAT PRETENDER】のビジュアルを見ながら、「『宝塚を卒業したら女性として活動しなければいけない』という考え方って、実は固定観念なんだよな…」と改めて感じていた所だったので、彼女の口からこういう発言を聞けたのは嬉しかった。(勿論、「女優になるのが駄目だ」と言っている訳ではなく、「もっと自由で良い」という意味だ)彼ら2人のスタイルは、正に「ジェンダーレス」というこれからの時代とマッチした生き方であり、89期を境目にして、退団後のタカラジェンヌ達には新たな表現と活躍の場が生まれるだろう。美弥るりかと七海ひろきは、その先陣を切ったOGだと言える。素晴らしい!!これからも、ずっと大好きだよッ!!☆*:.。. o(≧∇≦)o .。.:*☆そして、宝塚大劇場で公演中の月組【桜嵐記】もいよいよ残り4日となった。休演していた一羽萌瑠も復帰し、全員で千秋楽を迎えられそうでホッとしている。皆んな、楽しく頑張れッ!!☆*:.。. o(≧∇≦)o .。.:*☆
2021.06.17
数日前、インスタグラムで望海風斗が【ジーザス・クライスト=スーパースター】のチラシを持っていたので、「だいもんが【JCS】に出演!?」と一瞬色めき立ったが、特別番組への出演だった。でも、大好きなだいもんが、僕の大好きなミュージカルに関わってくれるだけで嬉しいよッ!!☆*:.。. o(≧∇≦)o .。.:*☆公式サイトはこちら →【ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート】【JCS】最大の特徴として、演出における自由度の高さが挙げられるだろう。イエス・キリストという2000年近く前の人物を描いた作品でありながら、映画版でも舞台版でも時代や既成概念に捉われない演出が為されている。また、米国の【JCS in コンサート】では黒人歌手のジョン・レジェンドがイエス役を務めるなど、配役から衣装、セットに至るまで公演によって印象ががらりと変わるのが面白い。(役の性別まで変わっている場合もある…笑)それを可能にしているのは、演出の奇抜さに負けない楽曲の素晴らしさだ。とにかく全曲が名曲と言っても過言ではなく、更にロック調なので盛り上がる事は必至だ。公式サイトによれば日本語字幕が付くらしいので、歌詞を追っていれば話は理解できると思うが、今回はコンサートという事なので簡単に内容に触れておこう。(因みに【JCS】は全て歌だけで構成されており、語りの台詞は一切無い)物語は、民衆の熱狂によって「人の子」が「神の子」へと祀り上げられていく光景に疑問を抱くイスカリオテのユダと、その渦中で自らの進むべき道に悩むイエスのやり取りが中心になっている。聖書のように奇跡を起こす事は一度も無い。また、ユダが決して金銭目当てで裏切った訳ではない事も、留意しておく必要があるだろう。この2人の関係に、イエスへ想いを寄せるマグダラのマリアと、彼の存在を疎ましく思っているユダヤ教神官やヘロデ王などが絡みながら、物語は悲劇へと向かって行く。(当日、字幕だけでは心許ないという人は、予習しておく事をお勧めする)こちらは、だいもんが敬愛するラミン・カリムルーが演じる予定のユダのダイジェスト映像。DVD化もされているこのアリーナ・ツアー版では、完全に現代劇として上演されている。個人的に大好きな『ヘロデ王の歌』。(映像は1973年公開の映画版)時の権力者ヘロデ王が「神の子なら、ここで奇跡を起こしてみろ」とイエスを揶揄う場面だ。どの公演でも、お遊び的な要素で演じられる事が多い。こちらは、シモンが「俺達を虐げて来たローマと戦いましょう」とイエスに呼び掛ける『熱心党のシモン』の場面。(映像は2000年公開の舞台版)ところで、ラミン・カリムルーがだいもんのコンサート【SPERO】に特別ゲスト出演すると知り、日程を調べてみたら何と8月10日(火)だった。(それ以外では9日(月)と11日(水)にも出演予定)チケットが手に入るなら、ぜひ観に行きたい。2人で何を歌うのかも楽しみだ。
2021.06.14
8日(火)は、月組公演【桜嵐記】の2度目の観劇。そして、(15日の午後公演のチケット販売が無い限り)珠城りょうと美園さくらの見納めとなるであろう観劇だった。【桜嵐記】は前回から3週間が経ち、組子達はどんどん役に入り込み、南北朝時代の人々がそれぞれの立場で何を思い、何のために生きたかを、見事に表現していた。その中心で、たまきちは更に雄々(おお)しく、頼もしく月組と南朝を導いていた。しかし、それでいて何処か澄んだ芝居を見せているのが印象的だった。「これで最後だ」という想いが、一切の迷いを消しているのだろうか。正に、男役冥利に尽きる作品だと思う。脚本も人物造形も解り易いので、観客も初見から感情移入し易い。一度目の感想では「諦めたように父の剣を手にする…」と書いた暁千星の演じる後村上天皇だが、今回の観劇では「父(正成)の無念を忘れるな」と正行に言う台詞に、後醍醐天皇の魂が乗り移ったかのような強い意志を感じた。最後の台詞「戻れよ」にも情感が増し、ARIの演技が少しずつ変わり始めているのかも知れない。まだまだ色々と語りたい事はあるが、『カフェブレイク』放送時まで残しておこう。一方のショー【Dream Chaser】も、オーソドックスながら見所満載で、サヨナラ公演の寂しさよりも、笑顔で友に手を振るような、そんな爽やかさを感じさせてくれる内容になっている。【桜嵐記】を観た後には、丁度良いバランスの舞台と言えるだろう。(雪組公演では、一度しか観劇できなかったせいもあるが、【fff】のクライマックスで恍惚感に包まれてしまい、後のレビュー【シルクロード】の感想が書けなかった…失礼)特に印象的なのは、暁千星の銀橋ソロから始まる第3章『ミロンガ』だ。珠城りょうと海乃美月を中心に踊るタンゴの格好良さと、各々が見せる絡みに目が幾つあっても足りない。曲もかなり僕好みで、この場面だけでも繰り返し観たい珠玉の場面。更に、デュエット後にたまきちが男役の主要メンバー達と踊る第7章『フィナーレF』は、まさかこんなサプライズ的な演出があるとは思わず、ファンにとっては正に感涙ものの場面だ。黒燕尾の群舞からデュエットを挟んでという構成が憎らしい。中でも、光月るうがたまきちの額をハンカチで拭ってあげるひとコマは、2人のこれまでを一瞬に凝縮したような演出で、本当に泣きそうになる。それ以外にも青の衣装が映える第5章『Dawn(暁)』など、鑑賞しながら何度もDVDを買いたい衝動に駆られた。しかし、今年は雪組【fff】もあり、星組【ロミオとジュリエット】も捨て難く、焦りは禁物だ。まったく、本当に君達は、何て素晴らしい舞台を次から次へと見せ付けてくれるんだ(笑)。ありがとう!!そう言えば、花のみちには紫陽花が色鮮やかに咲いていた。今週に入って急に気温が上がっているが、どうか千秋楽までは綺麗に咲いていて欲しい。そして、組子達も怪我や体調不良など無く、全員で元気にその日を迎えられる事を祈っている。 また、今回久し振りに2階席で観劇して、花組公演から復活したオーケストラピットの上部に覆いがしてある事に気付いた。暑さ対策はしっかりしているとは思うが、こんな所にも劇団の運営努力が垣間見られ、ファンももっと協力して行かなければならないと改めて感じた。ありがとう!!
2021.06.10
専科への異動が発表された輝月ゆうまは、正行達が尊敬する父・楠木正成を、限られた出番で見事に演じ切っていた。今後はこうした威厳や貫禄が求められる役柄が増えるだろうし、確かな存在感でその期待に応えている。それにしても、鎧兜がもの凄く似合う(笑)。もう一人、敵役の高師直を演じる紫門ゆりあは圧巻だった。普段の優しげな表情からは想像できない程、好色で悪辣な男をこれでもかと怪演している。男の僕が聞いてもドキッとするような台詞を躊躇いもなく口にする姿に、役者魂を見た。専科へ異動する者として、これ以上無い置き土産を後輩達に残してくれた。公演プログラムのスチール写真で、二人が揃って月のアクセサリーを付けているのも印象的だ。その月組愛を胸に、専科でも頑張って欲しい。そして、専科のベテラン、一樹千尋も凄かった。南朝の英雄が正行の父・楠木正成なら、南朝の象徴とも呼べる人物が後醍醐天皇。この後醍醐天皇を演じる一樹が、とにかく怖い。息子である後村上天皇に「復讐を果たせ」と迫る姿は、正に怨霊。普段がどんな親子関係だったかは描かれていないが、あの場面だけ観るとトラウマになるような父親像だ。本心では「戦を止めたい」と思っている後村上天皇の心を縛り付ける迫力と説得力が素晴らしい。それ以外では、ジンベエ役の千海華蘭が前回の【ピガール狂騒曲】に続き、珠城りょうと近しい間柄の役柄だったのが嬉しかった。とぼけた感じを出しつつ、権力者の犠牲になる民衆の心情を巧みに代弁していた。仲子役の白雪さち花も、上手く権力に取り入るずる賢い女性を好演しているし、足利尊氏を演じる風間柚乃も、北朝の総大将としての貫禄で上級生達と渡り合った。この辺りの表現力はさすがだ。他の組子達にも、限られた時間の中で見せ場を作ってやろうという上田久美子の気遣いが感じられて嬉しかった。ありがとう!!宙組【シャーロック・ホームズ】は6月29日(火)と7月13日(火)の2回観に行ける事になった。世間では緊急事態宣言が再延長されたが、そもそも無策なのだから、再延長になった所で何の不思議も無い。僕は、宝塚が舞台を上演すると言うのなら観に行くだけだ。勿論、宝塚ファンとしてのマナーを守って…。
2021.06.01
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