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「待ってるぞ!!」待ってられたぁああいッ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆今日は、ずんが主演する【壮麗帝】の一般前売り日。抽選方式で外れてしまったので、何とかチケットを手に入れようと、この日を心待ちにしていた。にも拘らず……「予定枚数終了」ブゲシッ… _:(´ཀ`」 ∠):運良く(?)、今日は朝から暇で、10時を回るとほぼ同時にログインしたにも拘らず、8分の時点で既に売り切れ…。慌てなくても良いように、前日からパスワードも確認して万全を期したつもりだったが、そういうレベルではなかった(笑)。ハァ…… _(:3 」∠)_ごめんよ、ずん。ウィンクまでしてくれたのに、俺の愛は無力だったよ…。でも頑張れ、そして楽しめ、ずん!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆18日(火)は、まこっつあんに慰めてもらおう(笑)。( T_T)\(^-^ )さて、随分と遅い話題になてしまったが…。花組のバウ公演演目が発表され、聖乃あすかが100期生としては初の主演に選ばれた。先ずは、おめでとう!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆主演の重圧はあるだろうが、カンパニーの皆と協力し合って、良い舞台を作り上げて欲しい。先日は「2025年日本国際博覧会アンバサダー」の1人にも選ばれ、ますますの活躍が期待される。そんな聖乃と彼女のファンに、この場を借りて伝えておこう。「謙虚さを忘れずに」誰かが笑えば、誰かが泣くのが宝塚の世界だ。他のジェンヌを貶(けな)した所で、自分の贔屓が報われる事は絶対に無い。ファンには、それを覚えておいて欲しい。そして、聖乃あすか自身にも現状に甘える事なく、より一層の努力を心掛けて欲しい思う。それが、未来のスターに課せられた務めだ。大丈夫、君ならできるよ。(*^_^*)さて、こうなると俄然気になるのが、大劇場公演【はいからさんが通る】の新人公演で誰が主演に選ばれるかだろう。聖乃がバウ公演主演を射止めた事で、個人的には、人気・評価共に上がって来ている同期の一之瀬航季が面白いと思うのだが。或いは、103期の希波らいとが一気に飛び出すか。それとも…?
2020.02.16
ごめん、観た(笑)。(≧∀≦)と言っても、冒頭の10分とラスト1時間、後は気になる場面を飛ばし飛ばし観ただけなので、実質的には2時間弱といったところか。(それでも「無駄に長いな〜」と感じてしまったが…笑)実は、主要キャストの感想を書きながら、ある一つの疑念が僕の中で湧いて来たのだ。それで、映画ではどうなっているのか、ラストシーンでヌードルスは何を語っているのか気になったのだ。ただ、実際にあの場面を観てみると、宝塚版と映画とでは全く色合いが違うので、確証は得られなかった。(宝塚版のヌードルスは「友情」で動いているが、映画では「信念」で動いている)まあ、小池修一郎の原作映画に対する思い入れを考えると、単に僕がまた深読みし過ぎているだけなのだろう…(笑)。その辺りも含め、東京公演が終わった頃に、改めて作品ついて語ってみたい。それまでに、映画も全編通して鑑賞しておこう。先ずは、舞台の感想だ。(こちらは、飽くまでも舞台を観た限りでの印象だ)望海風斗は、いつも非の打ち所が無い。僕の想像を遥かに超えた次元で、役を表現してみせる。今作も少年期から壮年期までを見事に演じ分け、正に男役として集大成のような役だった。特に印象的だったのは、壮年期だ。確かに、成功は手にしたかも知れないが、結果「恋人」も「仲間」も失う羽目になった。今は、成功からも皇帝からも程遠いが、それなりに平穏な暮らしがある。結局、どちらが自分にとって幸せだったか…。望海の表情からは、そんなヌードルスの心情が読み取れた。少年期・青年期の演技は当然だとしても、人生の苦味を味わって来た壮年期までも完璧に演じてしまうとは、本当に凄い役者だ。そんな望海に一歩も引かぬ演技を見せた、デボラ役の真彩希帆も素晴らしかった。こちらも、壮年期の印象が、少年期・青年期と上手く対比されており、望海とのやり取りに説得力を持たせてくれた。普段以上に多く感じられた楽曲の数々も、この2人だからこそ予想以上の感動を届けてくれる。彼らの舞台を、1作品も逃さずに観られている幸運に感謝したい。そんなトップコンビに牽引され、雪組の芝居も歌唱力もどんどん進化して行く。今回は、小池修一郎の演出力もあるのだろう。朝美絢が演じるキャロルは、一見すると気の強い性悪女にも映るが、彼女が辿る運命を見ている内に、本当は純粋で心に寂しさを抱えた女性なのではないか、という気になった。マックスは、愛だの恋だのに生きる男ではない。(デボラへの恋心も、ヌードルスとの友情を優先している)恋人とは言え、彼の気持ちが自分の方を向いていない事に、彼女は気付いていただろう。だからこそ、マックスに愛されたい、失いたくない一心で、キャロルは彼に見合う女を演じていたのではないだろうか。男役道を邁進したいであろう朝美にとっては、今回の配役は決して本意ではないだろうが、キャロルの複雑な胸の内を表現するには適役だったとも言える。男役ならではの硬さはあるが、さすがの演技力でキャロルの光と影を演じ分けた。歌唱力にも、更に磨きがかかっている。今回の役から、朝美が何を学ぶか。これからの進化が楽しみだ。キャロルとは逆に、人が良さそうに見えて、実は一番悪どい人間なのではないかと思うのが、彩凪翔が演じるジョーだ。しかし、その甘いマスクで切々と訴えられたら、誰だって信用してしまう(笑)。前作【壬生義士伝】では「面倒くせぇ」ばかりで物足りなかったが、今回はしっかりと見せ場があり、芝居巧者ぶりを発揮した。歌も随分と上手くなったように感じ、嬉しい驚きがあった。という事で、少し駆け足になったが、今回はここまで。ありがとう!!ん、あれ…?ちょっと待てよ。もしかして、小池修一郎は僕にこの映画を深読みさせたくて、舞台化したんじゃないよね? (笑)もしそうなら、彼の期待に添えるよう頑張らなければ。現段階での僕の推察が正しければ、恐らくまだ誰も読んだ事がないであろう解説をお届けできると思う。それはまた、3月22日以降のお楽しみという事で。
2020.02.12
今回の【ONCE UPON A TIME IN AMERICA】では、脇役も光った。意図的なのか偶然なのかは分からないが、今作では大人数の場面と2〜5人しか舞台にいない場面とが極端だったように感じた。大人数の中で台詞を言うのと、少人数の中で云うのとでは、脇役に向く観客の意識の度合いも違ってくる。その最たる場面が、星加梨杏が支配人役を演じる第11場B『海辺のホテルのレストラン』だ。ここでは、舞台には3人しかいない。支配人がヌードルスに尋ねる。「冷やすのに、少々お時間がかかりますが?」本来、話の流れを考えると、これは全く意味の無い、余計な台詞だ。「シャンパンを頂こうかしら」→「かしこまりました」だけで済む。しかし、実はこの台詞が入る事によって、流れが一瞬止まり、観客の意識が自然と星加に向くように計算されている。瑣末な事ではあるが、並みの脚本家では絶対に思い浮かばない発想だ。原作映画からの引用かどうかは知らないが、この台詞を脇役に言わせた小池修一郎のセンスに感嘆した。そして、その配慮を無駄にせず、望海と真彩を相手に粛然とした佇まいで支配人を演じた、星加梨杏にも拍手だ。続く第12場も含め、ここは舞台セットから台詞に至るまで、小池の美意識が結晶した見事な場面と言える。新人公演で主演に選ばれた諏訪さきは、念願が叶って吹っ切れたのか、序盤の準主役的な存在であるバグジー役を熱演した。これからの活躍が楽しみだ。ジョー役の叶ゆうりも、出番は少なかったが個性的な役作りで耳目(じもく)を引いた。彼女も、もっと色々な役を演じさせてみたいと思う役者の1人だ。綾凰華が演じるニックは、キャラ設定だけ見ると、元々は永久輝せあのために書かれた役ではないかと思ってしまうが、綾の芝居からはニックの人柄の良さがストレートに伝わって来た。彼女も、同期の瑠風輝と共に、更なる成長が期待される次世代のスター候補だ。どんどん役の幅を広げて欲しい。ファット・モー(壮年期)役の奏乃はるとも、血生臭いギャング世界の中で、どこかホッとできる良心的な男を好演していた。それ以外では、ハーモニカが良い味を出していたコックアイ役の真那春人、宝石店店主の妻役の杏野このみが印象に残った。逆に、今公演で退団となる舞咲りんの見せ場が少なかったのは、残念で仕方が無い。もっとずっと、あの歌声を聴いていたかったが…。という訳で、今回はここまで。気の向くままに書いていたら、脇役中心の話になってしまった(笑)。次回は、ようやく主要キャストについての感想を。
2020.02.05
前回記事のタイトルで「原作映画は観なくて良いかも…」と書いたが、本当に観ないと思う。さすがに、映画で4時間は長過ぎる。せいぜい2時間30分までだ。上映時間と感動の大きさは必ずしも比例しないし、長くする事で却って物語の本質が見え難くなってしまう場合もある。そういう意味でも、今回の雪組公演【ONCE UPON A TIME IN AMERICA】は、(映画のあらすじを読んだ限りでは)実に上手く纏められていたと思う。小池修一郎が描きたかったであろう「友情」と「恋」、そして「それぞれの人生模様」はしっかりと伝わって来たし、少年期・青年期・壮年期を通して、望海風斗という男役の魅力を最大限に引き出した作品だと言える。正月に観た【仁義なき戦い】のせいで、暴力シーンには食傷気味になっていた事もあり(笑)、個人的にはこれで充分に満ち足りる内容だった。今公演を控えたインタビュー記事で、トップ就任から3年目を迎えた望海は「皆には自由にして欲しい」と語っていた。それはつまり、組子達に「もっと個性を出して良い」「はみ出して欲しい」という意味だろう。そして、それを受け止めてあげられるようにと、自分自身には「強さ」を課そうとしているではないか、と感じた。そんな彼女の想いと呼応するように、今公演では一人ひとりが枠からはみ出そうと、これまで以上に熱く弾けた芝居で魅せてくれた。あれだけ「個性が見えない」と言っていた雪組だが、今回はどんな場面でも「お、良い表情してるな!」と目に飛び込んで来る演者が多かった。その先頭に立つのが、彩風咲奈だ。彼女の芝居に対しては、【ひかりふる路】の感想で「アニメみたいだ」と揶揄して以来、やや厳しい目線で語って来たが、もうその必要は無さそうだ。望海に後(おく)れを取るまいと必死にもがいて来た結果が、今回の舞台で見事に花開いている。単なるトップスターの引き立て役ではない、マックスという1人の男の生き様がそこにあった。さきも大好きだぁああッ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆どうだ!? エヘン!(何が!?)そんな彩風に、敢えてもう一つだけ助言しておこう。彼女は【宝塚GRAPH / 11月号】の中で、こう語っている。『常に後ろに控えるのではなく、時々「右足が前に出てしまいました!」というくらい思い切ったはみ出し方をしていきたい』しかし、今公演では片足と言わず「望海さん、ここは私について来て下さい!!」と言える位にはみ出して良い。昨年のレビュー本の中で、紅ゆずるが言っていた。「そうきたか」という礼真琴を観てみたい、と。きっと、望海風斗も同じ気持ちだろう。マックスは、それぞれの時間の中で、優しさから狂気まで様々な表情を見せる役柄だ。ヌードルス達のリーダー的存在でもある。望海が受け止めてくれる今だからこそ、もっとはみ出して挑戦できる事もあるはずだ。その経験が、トップスターになった時に必ず君を助けてくれるだろう。望海風斗に遠慮する必要なんて無い。(そんな事をしたら、逆に望海が悲しむ)臆せず挑めッ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆彩風の感想が長くなったので、他のキャストに関しては、また後日に。
2020.01.31
週間予報ではずっと雨模様で心配していたが、28日(火)は運良く晴天に恵まれた。寒いのは我慢できるが、雨は濡れるし、傘もささなければならないので煩わしい。そんな中で観劇した雪組公演【ONCE UPON A TIME IN AMERICA】は、やはり素晴らしかった。・大きな矛盾や破綻の無いストーリー・違和感の無いキャラクター設定とその心理描写・たとえ僅かでも、きちんと見せ場がある脇役への配慮・場面毎にしっかりと歌われるミュージカル楽曲・薔薇や懐中時計など、その場限りで終わりにしない小道具の使い方小池修一郎が手掛ける作品は、いつも「これぞ宝塚!!」と言わしめるクオリティを保っている。今回の【ONCE ー】も、それに違わぬ見応えのある内容だった。(第1幕の完璧さに比べ、第2幕が多少大味になるのも、彼らしいご愛嬌か…笑)決して目新しい訳ではない。寧ろ、宝塚のセオリーを忠実に守った、古典的な作風とも言える。しかし、そのセオリーを最大限に活用しつつ、観る者を物語の世界に引き込むアイデアとパワーが凄い。飽くまでも宝塚的でありながら、宝塚の枠を超えた魅力を兼ね備えているのが、小池作品の特徴と言えるだろう。それは、演じる雪組生達も同じだ。【ファントム】そして【壬生義士伝】と着実にスケールアップして来た彼らにとって、今回は満を持しての小池作品だと言える。そんな両者が、強力なタッグを組んで挑んだ舞台が、面白くない訳がない。望海風斗と真彩希帆は当然の事ながら、他の組子達の歌唱力も軒並み上がっており、雪組生としての意地と誇りが伝わって来た。芝居でも魅せてくれた事は言うまでもない。フィナーレの大階段でポーズを決める男役スター達の格好良さは、今や宝塚の顔と言っても良い。前作の感想では敢えて苦言を呈し、その結果(かどうかは分からないが…)永久輝せあの組替えというハプニングを招いたが、組子達はその逆境をしっかりと乗り越えて来た。もう何も言う事は無い。やはり、宝塚は本気の集団だ。そんなジェンヌ達の本気に応える脚本を、劇団側には提供して欲しいと思う。小川理事長は、年頭の挨拶で「作品の質」に言及していたが、これに対しては以前から疑問に思っていた事がある。それは「脚本に対して、客観的な意見を述べられる立場の人間」つまり「チェック体制」が劇団内にあるのか、という疑問だ。例えば、宙組【El Japón(エル ハポン)】のラストシーンを観て、「治道はそれで良いとして、藤九郎達はどうなるの…?」と感じた人は少なくないだろう。(あの場面は、ストーリーを変えるまでもなく、台詞一つで辻褄を合わせられるレベルの矛盾だ)そうした「誰もが感じるであろう疑問や矛盾」を、稽古場の段階で指摘する人間が誰もいないのか、という問題だ。それとも、脚本家に遠慮して、誰も意見を言えない環境なのか。具体策も何も無いまま、ただ「質を上げろ」と言われても、脚本家1人の力には限界があるだろう。誰も、駄作を書こうと思って書いている訳ではないのだ。傑作を出し続けるのは無理だとしても、せめて物語の辻褄だけはきちんとして欲しいと思う。それだけでも、観終わった後の印象は変わるだろう。そんな想いを強くした、今回の雪組公演だった。ありがとう!!次回は、キャスト別の感想を。それにしても何だろうか…。最近、1階席よりも2階B席の方が妙に落ち着く自分に気が付いてしまった(笑)。今年は、観劇スタイルをちょっと変えてみようかな。
2020.01.29
先日、VORCHAOS(ヴォルケイオス)のヴォーカル、淳が数年振りに喫茶店へ遊びに来てくれた。(僕達の関係については、こちらを参照 →【変わったり、変わらなかったり…】)スケジュールの都合で2時間程しか話せなかったが、相変わらず元気そうで良かった。何より、わざわざ僕の事を思い出して会いに来てくれたのが嬉しい。バンドの方は2017年にメジャーデビューもし、今年中には2作目を発表できそうだとか。素人の僕からすれば、それだけでも凄いと思うのに、淳に言わせると「でも、2枚目を出すのに3年も掛かってるんで…」と、まだまだ満足できる状況ではないようだ。因みに、レーベルは「キングレコード」らしい。ん、あれ…?ちょっと待てよ。キングレコードって確か…。「呼んだカイ?」(とは言ってない…笑)おお、まさか七海ひろきとVORCHAOSが繋がるとは!!今までレコード会社なんて気にした事も無かったが、何となくでも覚えていて良かった。ジャンルは全く違うが、淳自身は「ポップな曲も演ってみたい」と言っていたし、いつか2人による共作・共演が実現する日が来るかも知れない。キングレコードさん、七海ひろきとVORCHAOSを宜しく!!ついでながら、彼女が声優を務めるTVアニメ【ソマリと森の神様】が凄く面白い。(僕はAmazonの『プライム・ビデオ』で視聴している)勿論、【織田シナモン信長】も観ている。「共演」繋がりで、こちらの話題も。年末に『贋作者もつらいよ…?』というタイトルで記事を書いたら、年明けからNHKで【贋作 男はつらいよ】というドラマが放送されているらしい。BSプレミアムなので僕は観ていないが、示し合わせたかのようなタイトルに笑ってしまった。「贋作」というだけあって、車寅次郎を演じるのは渥美清ではなく、落語家の桂雀々。舞台も葛飾柴又ではなく、現代の大阪になっている。当然、登場人物は皆、大阪弁を話す。しかし、このドラマが面白いのは、「贋作」と言いつつ、脚本を書いているのが原作者の山田洋次であるという点だ。つまり、本家本元が「贋作」と銘打って「本物」を書いているのだ。「なんのこっちゃ…」である(笑)。ん、あれ…?ちょっと待てよ。そうなると、もしこのドラマで続編が作られた場合、紅ゆずるがマドンナ役で出演…、なんて奇跡が起こるかも知れないって事か。(贋作だけど…笑)それで、彼女が寅さんと丁々発止のやり取りを繰り広げる…、なんて場面が見られる可能性も。(桂雀々とだけど…笑)第21作『寅次郎わが道をゆく』のように、歌劇団の花形スター役だったら、ファンとしては嬉しい限りだ。(でも、大阪だとOSK日本歌劇団になっちゃうのかな…笑)松竹エンタテインメントさん、紅ゆずるを宜しく!!
2020.01.22
年末年始はずっと映画中心の生活になっていたが、【カフェブレイク】にARIが登場して、少しずつ気持ちが宝塚に戻りつつある。パブロ・ガルシアという、いかにも男性的なキャラクターを演じた事で、ARIの男役度も一気に増したのだろうか。収録中の表情や仕草が、これまで以上に堂々として来たように感じた。動画を見て、マッチョな男性の動きを色々と研究したらしいし、それが普段の立ち居振る舞いにも表れているのかも知れない。 と、今回は改めて、ARIが演じたパブロについて語ってみたい。ネタバレになると思い、観劇時には敢えて触れなかった話題だ。感想の中で、僕はパブロの事を「愛のためなら性別も飛び越える男」と書いたが、恐らく彼自身に「自分はゲイ(バイ)」という意識は無いのだろうと思う。つまり、「ゲイだからフェリックスを好きになった」訳ではなく、「好きになった人がたまたま男性だった」に過ぎないという事だ。誰に対してもオープンな彼の性格を見るにつけ、パブロはそうした狭い尺度で人間を判断したり、自分を枠に嵌めるような男ではないように感じた。パブロは、ただ自分の気持ちに素直なだけなのだ。そして、それを恥じない男でもある。だから、オペラ舞踏会の場面でも、パブロは自分がゲイである事をカミングアウトしたつもりは、全く無いだろう。ただ、「フェリックスを大好きだ!!」という気持ちを、皆の前で素直に告白しただけだ。(そして、それを周りに納得させるだけのスター性を、彼は兼ね備えている)「LGBT」の受け止め方は人それぞれだろうが、パブロにしてみれば「誰が誰を好きになるか」でいちいち人間を色分けする「LGBT」という発想自体が、窮屈でナンセンスに感じるのではないか。(僕個人としては、「LGBT」の問題はどっちもどっちだと思っている)そして、そんなパブロの告白に誰も不快感や拒絶反応を示さない【IAFA】の世界観は、(法的な問題は別にして)「LGBT」の人々が普通に受け入れられている社会なのだという印象を受けた。「誰かを、本気で好きになる」その気持ちに、マジョリティかマイノリティかなんて区別が必要なのか?そんなパブロの真っ直ぐさとスター性は、ARI自身が持つ魅力と上手く重なり、非常に好感度の高いキャラクターに仕上がっていた。異色の役柄ではあったが、ARIにとっては良い経験になったのではないだろうか。【カフェブレイク】で受け答えする彼女の姿を見ながら、そう感じた。俺もARIが大好きだぁあああッ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆と、どさくさに紛れて愛を叫んだ所で(笑)、今回はここまで。(恒例のキャプチャ画像も、そろそろ卒業かな…)雪組公演までまだ2週間あるし、その間は気の向くままに書いていこうと思う。何も更新しない可能性もある…(笑)。ところで、前回の「こっちにおいでよ」に続き、今回も関東版で「パブロ・ガルイア」という間違いを発見した。(関西版では、ちゃんと「パブロ・ガルシア」に訂正されていた)もしかして、番組を使って、俺に間違い探し的な事を仕掛けてるとか…(笑)。
2020.01.13
ずん、誕生日おめでとおぉぉおおうッ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆「うむ、ありがとう!!」(とは言ってない…笑)昨年に続き、僕がこの記事を書くと踏んだのか(笑)、ずんの誕生日に合わせて【壮麗帝】の先行画像をアップしてくれた劇団の気遣いに、謝辞を述べたい。しかし、思っていたより随分と渋い男性像で、第一印象は「そう来たか!?」という感じだった。内容は勿論だが、新たな桜木みなとが観られそうな予感に、期待値が上がった。頑張れ、ずん!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆そう言えば、大した話題ではないが、1st.フォトブックの「Research100!!」の中で、ずんがお気に入りの映画に『マリリンに逢いたい』を挙げていた事に、ちょっと驚いた。この映画の公開は1988年だから、さすがにリアルタイムでは観ていないだろう。当時は、『子猫物語』や『ハチ公物語』、『ドン松五郎の生活』など動物を主人公にした映画が幾つも制作されており、『マリリンに逢いたい』もその流れの作品だ。(因みに、僕は既に中学3年生だったので観てはいないが、実話を基にした作品という事で話題になったのは覚えている)それほど有名とは思えないこの映画を、世代じゃないずんが知っていたのは意外だったが、彼女が好きだと言うなら、僕もいつか観てみようと思う。という事で、今年もたくさんの笑顔と元気を届けてくれたARIとずんに、感謝を込めて歌の贈り物をしよう。曲の世界観を壊さない程度に、意訳してみた。それと、狙った訳ではないのだが、調べてみたらこれも30年前(1989年)の曲だった。BAD ENGLISH【When I See You Smile】1989年 歌詞&和訳Sometimes I wonder時々 不安になるHow I'd ever make it through君がいなかったらThrough this world without having youこの現実を どうやって乗り越えていけば良いんだろうってI just wouldn't have a clue手掛かりなんて何も無いんだ'Cause sometimes it seems時々 感じるんだLike this world's closing in on me現実に押し潰されそうになっている自分をAnd there's no way of breaking freeそこから抜け出す術が見付からない時And then I see you reach for me手を差し伸べてくれるのは いつも君Sometimes I wanna give up時々 諦めたくなったりI wanna give in挫けそうになったりI wanna quit the fight立ち向かうのを止めたくなるけどAnd then I see you, babyそんな時 君を見るとAnd everything's alright大丈夫だって思えるんだEverything's alrightきっと大丈夫だってWhen I see you smile君が微笑むの見るとI can face the world現実と向き合う勇気が湧いてくるYou know I can do anythingどんな事でも乗り越えられるとWhen I see you smile笑顔の君を見るとI see a ray of light一筋の光が射すI see it shining right through the rainそれは雨雲を抜けて 真っ直ぐに輝いているんだWhen I see you smile君が微笑むのを見るだけでBaby, when I see you smile at me君が僕に微笑みかけてくれるだけでBaby, there's nothing in this worldねえ この世界にはThat could ever do君の手に触れられる事よりWhat a touch of your hand can do素敵な事なんて 他には何も無いんだIt's like nothing that I ever knewこんな気持ちになるなんて 思ってもみなかったよAnd when the rain is falling,雨が降って来てもI don't feel it僕は気にしない'Cause you're here with me now今ここに君がいてAnd one look at you, babyそして 僕が君を見ていられるからIs all I'll ever need,それだけで良いIs all I'll ever need君を見ていられる事だけが 僕の望みなんだWhen I see you smile君が微笑むの見るとI can face the world現実と向き合う勇気が湧いてくるYou know I can do anythingどんな事でも乗り越えられるとWhen I see you smile笑顔の君を見るとI see a ray of light一筋の光が射すI see it shining right through the rainそれは雨雲を抜けて 真っ直ぐに輝いているんだWhen I see you smile君が微笑むのを見るだけでBaby, when I see you smile at me君が僕に微笑みかけてくれるだけで
2019.12.27
最後は、自分の立ち位置について。今年は、自分も含めたファンの「発言力」について考えさせられる年だった。「何でも書けば良いってもんじゃないな…」と。応援するつもりが、却って贔屓の足を引っ張るなんて、それこそ本末転倒だ。ブログ村にも参加していない僕のブログがマスコミや劇団関係者の目に止まる機会など滅多に無いとは思うが、「自分の軽はずみな発言が、回り回ってARIやずんの将来に悪影響を及ぼす…」なんて事も無いとは限らない。僕は、飽くまでもタカラジェンヌ達の味方でいたいので、「誹謗中傷」や「人事考察」、まして「週刊誌にネタを提供するような行為」はしないと、ここで改めて誓っておこう。(人事考察をされて喜ぶジェンヌがいるとも思えないので…)それよりも、ジェンヌ達の心に届き、少しでも彼らの励みになるようなブログを書きたい。もし、それが守れなくなった時は、潔く宝塚ファンを辞めよう。それがタカラジェンヌ達に対する礼儀であり、僕が最後にしてあげられる、せめてもの愛情表現、優しさだ。そんな日が来ないように自分を戒めながら、これからも感受性と言葉を磨いて行きたい。まあ、そんな事を書きながら、先日も失言したばかりなので、何の説得力も無いのだが…(笑)。言葉は難しい。詩人の最果タヒが、こんな事を言っている。「人と人はわかりあえない、決して。 同じ人生を生きることも、同じ生活をすることもないから。 それでも、そこを飛び越えていけるのが、言葉であると思います。 言葉は、人の内から溢れてくるものというよりも、常に人と人の狭間に漂うもの。 語りかけたり書いて届けたりすることは、狭間にある言葉を揺らし、 その振動によって、相手の何かを動かしていくこと。 だからこそきっと、相手に伝わるころには、 自分の思っていた形とは違うものになっているのだと思います。 でもその違いこそが、言葉が人と人の間にあり続ける理由なのだと思います」正にその通りだ。僕が自分の気持ちをある言葉に託して発したとしても、それを受け取った人がその言葉からどんな連想をするかは分からない。共感してもらいたくて書いた話題が、逆に反感を買う場合だってある。「頑張れ」という言葉が、時として相手を傷付けてしまう事があるように…。「あなたと私が、わかりあえないまま、 それでも共に生きるために、 言葉はあると思います」 ― 最果タヒ ―人と人とは、決して分かり合えない。それでも、人が人と繋がるためには、僕達は言葉に頼らざるを得ない。その事実を了解した上で、どれだけ言葉に対して繊細になれるか…。46年間生きて来ても、未だに模索の日々だ。
2019.12.19
今回は、ジェンヌ達に関して。ARIは、吉岡清十郎、チップ、そしてパブロと、まるでキャラクターの違う役柄を、大きな振り幅で演じ分けた。新人公演を卒業したての新たな一歩としては、どれも素晴らしい役に巡り会えたと言えるのではないだろうか。少しずつではあるが、大人っぽさ、男役の色気を自然に出せるようにもなり、これから更にどんな成長を見せてくれるのか、益々楽しみだ。一方のずんも、組内での立ち位置が上がるに伴い、トップスターの真風涼帆と対峙できる存在感を求められる、挑戦の1年だったのではないかと思う。これまでにない悪役を、ずんならではの切り口で演じていた。一朝一夕には求める結果は出ないだろうが、一歩ずつ男役の度量や哀愁を身に付けて欲しい。そして、まだ番手こそ無いものの、水美舞斗や瀬央ゆりあ、朝美絢らにも求められるものが増え、95期は確実に次のステージに進んでいる。トップスターに就任した礼真琴に柚香光、2番手の月城かなとも含め、皆がもう一つ殻を破ろうと闘っているのが感じられて、頼もしい。それぞれのペースで、焦らず歩んで欲しい。言わずとも分かっているだろうが、宝塚は「早さ」を競う場ではない。そんな95期生に、松下幸之助のこの言葉を贈ろう。「人と比較をして劣っているといっても、決して恥ずる事ではない。 けれども、去年の自分と今年の自分とを比較して、もしも今年が劣っているとしたら、 それこそ恥ずべき事である」また、今年は99期の抜擢が目立った年でもあった。「不遇の期」と言っても良い程、これまで出番の無かった彼らだが、最後の最後で与えられたチャンスをしっかりと好評価に繋げたのは、これまでの努力があったからに他ならない。(英かおとの「宝塚だから努力するのは当たり前」という言葉には重みがあった)諏訪さきも、新人公演主演おめでとう!!落語家の立川談志がこんな事を言っている。「修行とは、矛盾に耐える事を学ぶ事」99期に限らず、若手には迷っても、挫けそうになっても、納得のいかない事が続いても、せめて新人公演を卒業するまでは頑張って続けて欲しいと思う。宝塚を辞めるのは簡単だし、いつでもできるが、一度辞めてしまったら二度と戻って来られない世界である事も忘れないで欲しい。100期以下の若手も奮闘した。花組の聖乃あすかは、【カフェブレイク】の映像で観る限り、滑舌の悪さも改善され、台詞回しが随分と男役らしくなって来た。本公演「白い薔薇の精」の演技も、宝塚大劇場の時より洗練されて、その成長を窺わせた。(他のジェンヌ達も、東京大劇場の方が確実に芝居が良くなっており、「こちらをDVD化して欲しかったな…」とちょっと思った…笑)聖乃にとって、学びの多い公演だったに違いない。雪組の彩海せらは、新公初主演とは思えないほど見事な歌を聴かせてくれた。顔が幼いので、まだまだ男役の貫禄は出せないが、それは経験の中で培われて行くだろう。芝居心もあるし、将来が楽しみだ。星組の天飛華音も、体当たりの演技で好感が持てた。まあ、さすがに本役が紅ゆずるなので、【GOD OF STARS】の新人公演は全く違う作品を観ているような印象だったが(笑)、まだまだ主演の機会はあるだろうし、礼真琴の下でどう成長して行くか見守りたい。天飛と同様に、宙組の鷹翔千空も、立ち姿だけなら既にスターの片鱗を見せている若手だ。ただ、全体的に線が細いので、舞台上ではまだ物足りなさを感じる。先ずは、誰にも負けない(或いは、負けたくない)得意分野を中心に個性を伸ばし、男役として自信をつける事だ。そうすれば、徐々に舞台での存在感も増して来るだろう。今年は、月城かなとの怪我という大きな話題があったが、来年は誰もが無事で健やかに舞台に立てる事を祈っている。(そう書いている矢先に、星蘭ひとみの休演が発表されたが…)いや、ジェンヌだけでなく、舞台に関わる全てのスタッフが無事息災でありますように。って、そうなると、ファンの人達の分も祈らなきゃいけなくなるか…(笑)。じゃあ、もういっそ世界中に「LOVE & PEACE」を!!(宝塚、関係無くなっちゃった…笑)最終回は、タカラジェンヌに対する自分の姿勢について。
2019.12.16
昨日、「次回の雪組公演は観に行けそうにない」と書いたら、今日は星組公演【眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~】のチケットが当選したというメールが届いた。新生星組がどんな舞台を見せてくれるのか、楽しみだ。そして、【仁義なき戦い】の話題に触れたその日、梅宮辰夫が亡くなった。これも何かの縁だろうか、哀悼の意を込めて映画を観ようと思う。では、ここから本題。間もなく令和元年が終わろうとしている。今年は、年明けから交通事故に遭い、その直後に常連さんの息子が警察に捕まり、更には別の常連さんが包丁で刺されて亡くなるという事件が起きるなど、ほんの2〜3ヶ月の間に信じられない出来事が続いた。ちょうど元号が変わる時期だった事もあり、「平成」の終わり方としては最悪だったと言える。「令和」は穏やかに暮らしたいものだ。宝塚では、ARIとのハイタッチ、鳳月杏の月組復帰、ずんの3番手昇格といった喜びがあった反面、七海ひろき、美弥るりか、紅ゆずる、明日海りおと思い入れの深い男役スターが立て続けに卒業するなど、気持ちの振れ幅が大きな1年だった。(七海ひろきの退団が、まだ今年の出来事だったという事実に、ちょっと驚いた)宝塚ファンを続けるには、気力も必要だと痛感。だいぶ宝塚ファンらしくなって来たと思っていたが、まだまだ若輩だ(笑)。そんな2019年に鑑賞した舞台は以下の通り。月組 … 3公演(計5回)【夢現無双】× 2回【ON THE TOWN】× 1回【I AM FROM AUSTRIA】× 2回宙組 … 2公演(計3回)【オーシャンズ11】× 1回【El Japón(エル ハポン) 】× 2回花組 … 2公演(計2回)【CASANOVA】× 1回【A Fairy Tale】× 1回星組 … 2公演(計4回)【霧深きエルベのほとり】× 2回【GOD OF STARS】× 2回雪組 … 1公演(計2回)【壬生義士伝】× 2回今年は10公演を16回の観劇数となった。【ポーの一族】と【エリザベート】を見逃した昨年は8公演を13回だったので、ペース的には例年と変わらずと言ったところか。その中で特に印象的だった作品は、星組【霧深きエルベのほとり】と花組【A Fairy Tale】だ。期せずして、どちらも「ウエダ」姓の女性による演出だ。特に「台詞の叙情性」という点において、【霧深きエルベのほとり】は本当に素晴らしかった。かつて、映画【ブレードランナー】の制作スタッフが、こんな事を語っていた。「脚本とは、小説というよりも、凝縮された詩に近い」確かに、菊田一夫の紡ぐ言葉は正に「詩」のようだった。そこに共鳴し、この作品を50年後の現代に蘇らせた上田久美子の感性も素晴らしい。或いは、映画監督ヴィム・ヴェンダースにこんな言葉がある。「どの映画にも、脚本段階で俳優に言わせるのが楽しみな台詞がありますが、読んだ時と、実際にシーンの中で口から話された時とでは、全く別物になるんです。 読んだ時に心が惹かれるかどうかではなく、台詞として話された時に真実味が感じられる事が大切だと考えています」脚本家(特に男性陣)には、単に台詞を言わせるのではなく、それを役者が発した時の「音の響き」にも意識を向けて言葉を紡いで欲しい。美しい言葉には、人の心を動かす力がある。再び、僕が心の中でタクト(指揮棒)を振りたくなる作品と出会えるのを楽しみにしている。一方【A Fairy Tale】は、青い薔薇の精を巡るお伽話の中に、現代社会にも通じる「寓意」を幾つも描き込んだ意欲作だった。そもそも「お伽話」や「童話」とは情操教育の側面を強く持った物語であり、その点でも本作は『A Fairy Tale』の題名に相応しい、「大人のためのお伽話」だったと言える。(C・ディケンズの小説【クリスマス・キャロル】を引き合いに出したのも、そのためか)そうした寓意までをも、明日海りおへの愛と共に1時間30分の作品に織り込んでしまうのだから、植田景子とは何とも恐るべき才能の持ち主である。今後も、2人のウエダに注目だ。ショーに関しては、ウィスキーというテーマに真風涼帆の魅力が絶妙にブレンドされた、直近の【アクアヴィーテ!!】に軍配を上げたくなるが、振り返れば今年はどの作品にも思い入れや忘れ難い場面があり、そこに優劣をつける事はできない。それなら、いっそ全てに「ありがとう!!」を言おう。ちょっと長くなったので、続きはまた後日。
2019.12.13
当初は1回しか観られないと思っていた宙組公演【El Japón(エル ハポン)】だが、試しに覗いた公式HPに10日のチケットが残っていたので、急遽観に行く事にした。ずんの1st.フォトブックも買いたかったし、来年の卓上カレンダーもまだだったので、ちょうど良い機会だと思ったのだ。 (舞台の画像は11月19日に撮ったもので、12月10日は2階B席から鑑賞)今公演は、前作【オーシャンズ11】で鍛えられた個性が濃度を増し、各々が確かな成長を感じさせる舞台となっている。特にショー【アクアヴィーテ(aquavitae)!!】は、これまで中軸を担っていた上級生達が抜けても全く見劣りする事はなく、世代交代が完璧に行われた事を印象付けた。宙組は今、豊潤の時を迎えている。そして、ウィスキーを題材にした今回のショーは、正に男役として芳醇さを増すばかりの真風涼帆を象徴する舞台ともなっている。テーマを一つに絞って描く藤井大介の感性が、見事に嵌まった形だ。その中で最も印象的な場面は、何と言っても『第6章・第13場』だろう。「ウィスキーが、お好きでしょ?」今回のショーはどの場面も宙組の魅力に溢れているが、この場面の衝撃力は群を抜いている。これ程までに女性ファンの願望に応えた演出があるだろうか。ダンディ真風、セクシー芹香、ハンサム桜木の並びも美しく、サントリーからCMのオファーが来るのではないか、とすら思ってしまう(笑)。この演出を思い付いた藤井大介に、乾杯だ。ずんは、これまで以上に見せ場が多く、確実に宙組の中心的な存在になりつつある事を窺わせた。生来の熱さや朗らかさに加え、男の色気もしっかりと漂わせ、どんどん魅力的になって行く。更に個性と技術を磨き、3番手に相応しい男役に成長して欲しい。そう言えば、今回の舞台で初めて、ずんの髪型が場面によって違っている事に気付いた。女性のお洒落に疎い僕にしては「よく気が付いたな…」と自分でも驚いたが(笑)、色々な雰囲気のずんが楽しめて満足度も倍増だ。(フォトブックには、七海ひろきとの対談も載っており、こちらの満足度も倍増した…笑)ありがとう!!ところで、2回目の鑑賞となる【El Japón(エル ハポン) 】は、ストーリーが分かっているからなのか、役者の演技が馴染んで来たからなのか、それとも演出が変わったのか、とにかく3週間前よりも随分と腑に落ちる印象を受けた。特に、『第13場 帰路』で蒲田治道(真風涼帆)がしっかりと覚悟を口にした事で、その後の流れに弾みがついた。ただ、ここで一つ問題が…。初見の時、あの場面の記憶が僕に全く「無い」のだ(笑)。いや、治道がアレハンドロ(芹香斗亜)と言葉を交わす場面は、しっかりと覚えている。それ以外の場面に関しても、「確かに観た」という記憶がある。しかし、アレハンドロが去ってから、治道が刀を手にして銀橋を渡り始めるまでの記憶だけが、すっぽりと抜け落ちているのだ。初日から、あの演出だっただろうか…。だとしたら、僕の意識はその時どうなっていたのか…(笑)。あそこは、治道の過去との「対比」そして「決別」を表現する場面なので、彼の想いが明確であればあるほど良い。2回目の鑑賞で、ラストの「置いてきぼり」感が無くなっただけでも、個人的には改めて観た価値があったというものだ。(ただ、その代償として、自分の記憶力に自信を失くしたが…笑)という訳で、今年の観劇はこれで終わり。雪組公演【ONCE UPON A TIME IN AMERICA】は、チケット難で観られそうにないので、暫くは宝塚から離れる生活になりそうだ。ちょうど、つい最近、映画【仁義なき戦い】のシリーズ第1作を生まれて初めて観た所なので、この機会に全作鑑賞してみようかと思っている。米国のギャングが駄目なら、日本のヤクザに嵌まってやろうという寸法だ(笑)。僕は、ホラー映画とヤクザ映画は怖いので基本的に観ないのだが(笑)、現在【週刊新潮】で連載中の『飢餓俳優 / 実録 菅原文太伝』で紹介されている映画の裏話があまりに面白くて、意を決して観てみる事にしたのだ。感想は後日に回すが、乱暴ながらも斬新なカット割りと、鬼気迫る俳優陣の演技に圧倒される。(街中での抗争シーンは、ほとんどが無許可でゲリラ的に撮影されたため、通行人から本物の流血事件だと勘違いされ、何度も警察に通報されたそうだ)と、まあ、映画の話は置いといて(笑)、その前に今年の「観劇まとめ」だ。最初は前後半にするつもりだったのだが、書いている内にどんどん長くなり、結局3回に分ける事になった。更新は不定期になるだろうが、順次アップして行きたい。では、また… (^_^)/
2019.12.12
僕の店は火曜日が定休日でも、祝日の場合は営業する事にしている。昨日、来年の2月にシアター・ドラマシティで上演される月組【出島小宇宙戦争】の抽選方式に応募しようと日程を確認したら、唯一の火曜日(11日)が何と建国記念日。ゲベーーッ!!! Σ(゚д゚lll)頼みの10日(月)も13時30分からの上演のみなので、今回は完全に打つ手なし。(まあ、翌日の仕込みがあるので、18時30分からの舞台があったとしても行けないと思うが…)また、壮大なぬか喜びをやらかしてしまった(笑)。ハァ……。お母さん、僕ハンバーグ食べたい……。_(:3 」∠)_さて、そうなるとどうしたって気になるのが、4月にずんが主演する【壮麗帝】の日程だ。こちらは14日(火)が休演日ながら、13日(月)に18時30分からの舞台があった。この日は仕込みも無いし、チケットさえ手に入れば観に行ける。申込み日を忘れないようにしないと。ところで、前回の感想で、星吹彩翔が今公演で退団する事を失念し、「今後も(男役として)頑張って欲しい」と書いてしまった事を、この場を借りて改めて謝罪したい。後から思い出して記事は訂正したものの、大変失礼な発言をしてしまい、申し訳なかった。これは、完全にこちらの落ち度だ。何なら、一発くらい引っ叩いてくれても構わない。甘んじて受けよう。あ、言っとくけど、本人に限るからね(笑)。さすがに、ファンに列をなされて叩かれてたら、人相変わっちゃうから…。(^_^;)さて、今年最後の観劇となる12月10日(火)まで、まだ1週間以上もあるがどうしよう。今年の「観劇まとめ」は、前半を既に書き上げてあるが、載せるにはさすがに早いし…(笑)。何か書く事あるかな…。
2019.11.30
明日海りおの卒業日前後は、ほぼ毎日DVDを観て過ごしていたので、宙組公演の感想が後回しになってしまった。11月24日までは「もうすぐ卒業か…」と寂しい気持ちになっていたのだが、逆に25日以降は日刊スポーツの記事を読んでも実感が湧かなくなっている。せっかくなので、もう少しこのままお伽話の世界に浸っていようと思う。今回の宙組【El Japón(エル ハポン) - イスパニアのサムライ-】は、男役の格好良さが際立ち、和洋折衷な雰囲気を楽しめる作品だ。オープニングの華やかな舞踊から物語が展開する流れも、宝塚らしくて良い。ただ、主人公の蒲田治道(真風涼帆)がずっと過去を引きずって生きている男なので、解説にあるような「ヒロイックで快活な娯楽作品」では決してない(笑)。また、物語を展開させているのが常にスペイン人達で、日本の侍達はほぼ受け身というのも、「遠い異国の地で生まれたサムライ伝説」という歴史浪漫を感じさせるには至らなかった要因だ。もう少し、治道の行動にはっきりとした主体性や覚悟が見られれば、ラストの説得力も増したのではないかと思う。(あれだと、ただの「置いてきぼり」にしか見えない…笑)脚本の大野拓史は、どこで舵を誤ったのか…。まあ、そうは言っても、真風涼帆と芹香斗亜という2大スターを擁する今の宙組だ。どんな脚本であろうと、魅力的に感じさせてしまうパワーを持っている。しかも、今公演は後半に【アクアヴィーテ(aquavitae)!!】という波状攻撃が待っているのだから、観客は安心して身を預けてもらって構わない。トップスターの真風涼帆は心に傷を抱えて生きる主人公の蒲田治道を哀愁たっぷりに、2番手の芹香斗亜は謎の剣士アレハンドロを愛嬌たっぷりに、それぞれ演じてみせた。この2人が磐石であれば、宙組の舞台はほぼ成立すると言っても過言ではない。そして、忘れてならないのがトップ娘役の星風まどかだ。彼女の歌声には、単に歌唱力だけでなく「もっと聴いていたい」と思わせる魔力がある。公演を重ねる毎にどんどん大人っぽくなり、真風と並んでもかつての凸凹感は全く無い。彼女も、その成長を如実に感じさせる役者の1人だ。それ以外では、ヘェリペ3世を演じる星吹彩翔が印象に残った。彼女は、これまでにも地味ながら(失礼…)目に付く事が多く、いつかブログで触れたいと思っていた男役だ。歌唱力にも定評があっただけに、今公演での退団が惜しまれる。次回は、ショー【アクアヴィーテ(aquavitae)!!】について書きたいと思うが、実は急遽12月10日(火)の舞台も観に行く事に決めたので、感想はその後にしたい。では、また…。
2019.11.27
誰目当てなのかは分からないが、僕が観劇した19日(火)はやけに男性客が多く、初めて男性トイレで並ぶという経験をした。出る時にもまだ並んでいたので、かなりの人数が来ていたという事だろう。順番を待ちながら、「誰のファンですか?」とアンケートしてみたい気分になった(笑)。今年最後の観劇となる宙組公演は、随所に世代交代の波を感じさせる舞台だった。その筆頭が、桜木みなとだろう。遂に3番手の羽根を背負ったずんは、芝居では前作に続き真風涼帆と対峙する敵役を務め、ショーでも真風、芹香斗亜と3人並び立つなど、今最も成長が望まれる立場にある。ずんは、その期待に応えようと、円熟味を増す先輩2人を相手に堂々と渡り合い、しっかりと存在感を示した。(エリアス役は、もっとふてぶてしくても良いような気がするが…)既に、男役としての格好良さと色気は申し分無いだけに、今回の経験が自信と余裕に繋がれば、更に大きな芝居ができるようになるだろう。その時、「男役・桜木みなと」は本物になる。もう少しだ。そしてもう1人、更なる成長を求められている男役がいる。それが瑠風輝だ。今作で彼女が演じる西九郎は、和希そらの藤九郎は勿論、真風が演じる蒲田治道より上の立場。これまでなら、絶対に回って来る事のない役柄だ。そんな難役を、瑠風は落ち着いて丁寧に演じていた。さすがに、まだ線の細さはあるが、芝居に重量感が出て来れば、より大きな役も任されるようになるだろう。一方の和希そらは、今回も「こじらせ系の弟キャラ」といった感じの役だったが、演技の説得力がこれまでとまるで違った。荒削りだった芝居が【オーシャンズ11】で研磨され、洗練され、今ではその瞳の奥に「憂い」まで感じさせるようになった。本当に良い役者になったと思う。紫藤りゅうも組替えして来る事だし、そろそろ新境地を開いても良いような気がするが、劇団はどう考えているのだろう。ちょっと腹を割って話したいなぁ…(笑)。留依蒔世も、随分と良い顔付きになって来た。なかなか大きな役には恵まれないが、97期生の首席として今後の飛躍を期待したい。天彩峰里も、一生懸命で可愛かった!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆という訳で、今回はここまで。全員の感想を書くつもりだったが、話題が「世代交代」の方向に流れたので、他のジェンヌ達は次に回す。ありがとう!!
2019.11.21
女優の渡辺えりは、かつて役の気持ちが分からず、演じられないと感じた事があったらしい。この役は分からない、愛せないと告げると、演出家の久世光彦からこう言われた。「どんな人物でも、いつか死ぬと思えば愛おしい」一見嫌な人間のように見えても、その人間もいつかは死ぬ。「そう思えば、可愛いじゃないか」と。どんな役も、それぞれの事情で生きており、奥に様々な人生があり、やがて死ぬ。それぞれの人生では、皆が主人公だ。そう思うと、役にすっと入り込む事ができたという。「役の人生は、それぞれが主人公」これは、僕が月組の【夢現無双】を観と時に感じた事だ。あの舞台での組子達からは、「自分が演じる役の主演は自分だ」という熱意が伝わって来た。老若男女の違いはあれど、皆それぞれの人生を歩みながら、今そこにいる。そうした人々が出会い交わるからこそ、そこにドラマが生まれ、物語が始まる。そこに脇役はいない。渡辺えりは言う。自分が役にきちんと向き合わなければ、その人生は「無い」事になってしまうかも知れない。自分だって、気に入らない仕事に腐っている間に死ぬかも知れない。だからこそ、これからも一つひとつの役の人生を背負い、考え抜いて、演じて行こう、と。どんな役にも人生がある。特に若手には「脇役だ」「演じたい役と違う」などと思わず、自分がその役の主演になったつもりで演じて欲しい。その熱意と個性がぶつかり合えば、舞台はより素晴らしいものになるだろう。
2019.11.14
前回の感想では「時間」という観点から物語を語ったため、話題にする事なく終わってしまったが、花組【A Fairy Tale -青い薔薇の精-】にはもう一つ大切なテーマがある。(作・演出の植田景子も、公演プログラムで「過ぎ去る時間を縦軸に、明日海りおへの想いを横軸にこの作品を描いた」と説明している)改めて解説するまでもないかとも思ったが、せっかくDVDで鑑賞したので、今回はこのテーマについて語ってみたい。本作におけるもう一つの主題を読み解く鍵は、「信じる心」にある。最初に気になったのは、公式HPの公演画像に書かれた「Truth is in your heart」という文言だ。普段、ここの画像に言葉が入る事はないので、きっと何らかのメッセージなのだろうと推察し、心に留めておいた。「Truth(真実)」とは何を指すのか…。答えが分かったのは、『S15』でシャーロットとハーヴィーが忘却の粉を振りかけられる場面だ。2人は、忘却の粉をかけられたにも拘わらず、エリュ達の事を忘れなかった。デーヴァは「時間が経ち過ぎたからかしら…」と冗談っぽく言っているが、シャーロットだけでなくハーヴィーにも効いていない事を見れば、そうでない事は明らかだろう。人間社会で辛い人生を送って来たシャーロットにとって、精霊達との思い出は心の支えだった。また、短い時間ではあるが彼らと交流し、エリュと友情で結ばれたハーヴィーにとっても、精霊の存在は忘れ難いものとなっていた。(叔父のニックから託された想いを受け継いだから、という理由もあるだろう)それは、単に「覚えている」という表層意識ではなく、もっと深い部分で「信じる心」となって、彼らの心に刻み込まれたのではないか。(特に、ハーヴィーは「ナンセンス(=非論理的)だ」と言って、最初はエリュ達を否定している)「信じる」とは揺るぎない意思であり、忘却の粉が効かないのは自明の理である。そして、この「信じる心」と「Truth is in your heart」が結び付いた時、僕の中にある言葉が思い浮かんだ。それは、【MESSIAH(メサイア)】で明日海りお演じる天草四郎が領民達に説いた「神はあなた方の心の中にいる」という言葉だ。確かに、シャーロットの辛い境遇は、自由と尊厳を奪われて生きた天草の民と重なる部分がある。また、「目に見えない存在を信じて生きる」事が、時として「何も信じない」事よりも多くの苦悩と葛藤を人に強いる部分も似ている。先ず、彼女は母親の死を切っ掛けに、精霊達の姿が見えなくなる(=目に見えない存在を信じる)。更に、その後の人生は、彼女にとって失意の連続だった。そんな苦難の中で、普通なら子供の頃の思い出など、何の励みにも救いにもならないだろう。ハーヴィーが仕事に追われる中で植物への愛情を忘れてしまったように、精霊達の事など忘れてしまっても不思議ではない。あの楽しかった日々が戻る事は、永遠に無いのだ。まして、精霊達がこの苦しみから助け出してくれる訳でもない…。それでも、シャーロットは50年もの間エリュ達の事を忘れなかった。それは「忘却の粉を振りかけられなかったから」という単純な理由だけではない。彼女に信じる心があったからだ。たとえ姿が見えなくなろうと、二度と会う事ができなくなろうと、エリュ達と過ごした日々は嘘ではない。そんな強い想いが彼女を支え、あの絵本を書かせたのだ。ファンにとっての明日海りおも、同じではないか。彼女の存在が励ましとなり、支えとなり、生きる気力となった人達は少なくないだろう。僕も、ネット上に綴られた、明日海りおへの溢れる想いや感謝を幾つも読んで来た。植田景子は「その言葉こそ、貴方が書いた『A Fairy Tale(=明日海りおへの愛)』なのです」と、この作品を通して伝えているのだ。(そして、その『A Fairy Tale』達は皆ハッピーエンドであるべきです、と)そんな人達にとって、明日海りおへの愛情は、宝塚の舞台で観られなくなったからと言って、時と共に心から消え去ってしまうものだろうか…。そうではない筈だ。「貴方にとって、明日海りおはどんな存在ですか?」この【A Fairy Tale -青い薔薇の精-】からは、植田景子のそんな問い掛けが聞こえて来る。真実は、ファン一人ひとりの心の中に…。どうか、悲しみにばかり目を向けないで欲しい。以上が、僕の読み解いた【A Fairy Tale -青い薔薇の精-】の全容だ。数ある宝塚作品においても、これほどメッセージ性と示唆に富んだ作品はなかなか無いのではないかと思う。よくぞ、ここまでの物語を描き上げたものだ。縦糸と横糸とが織り成す、この上質な肌触りの作品に直接触れる機会に恵まれた幸運を、改めて感謝したい。観劇が無ければ、DVDの購入も無かった。ありがとう!!因みに、前回の感想でデーヴァはシャーロットの居場所を「知っていた」と書いたが、正解を言ってしまうと「保護していた」だ。絵本を書いたのがシャーロットの自発的な行動なのか、デーヴァの助言があったからなのかは不明だが、彼女が誰にも邪魔されず、安全に暮らしながら執筆できるよう、デーヴァが密かに匿(かくま)っていた事は間違いない。人間にも精霊達にも、彼女の居場所が見付けられなかったのはそのためである。今回の物語は、デーヴァの視点に立って、そもそも彼女は「選ばれし者」であるエリュにどうなって欲しかったのか、そして同じく選ばれし者となったハーヴィーに庭園をどうして欲しいのか等を俯瞰してみると、色々な事が分かって来る。大切なのは「想像力」だ。
2019.11.12
よう、若旦那!!こんなビジュアル見せられたぁ日にゃーよぉ、内容がどうとか言ってる場合じゃねぇぜ。とにかく、こいつぁー観たもん勝ちよ!!おまけに、今夜の『ビバ! タカラジェンヌ(ラジオ関西)』は、ちなつがゲストときてるぜ。劇団も粋な計らいしてくれるじゃーねぇか。先ずは、聴きねぇ!!
2019.11.11
11月に入った途端に風邪を引き、連休中は大変だった。特に金曜日は鼻水が止まらず、久し振りにティッシュを鼻に詰めて営業する羽目に…(笑)。喉まで痛くなった時には焦ったが、とにかく体力の回復に努め、5日の観劇には何とか咳鼻水とも治った。咳やくしゃみばかりしていたら、自分も嫌だが周りの人達にも迷惑だ。約1ヶ月振りとなる月組【I AM FROM AUSTRIA】は、2回目だからという理由もあるだろうが、やはり組子達の芝居が随分と馴染んでいる印象を受けた。その分、ドタバタ感よりもハートウォーミングな側面が強く感じられ、舞台がよりウィーンらしくなった。正直なところ、舞台セットがいつもの「宝塚」過ぎて、初見ではあまり「本場」の雰囲気を感じられなかった事が、ちょっと不満だったのだ。(もっとウィーン版に寄せて来るのかと思っていた)今回はそんな違和感も無く、すんなりと舞台の世界観に入って楽しめた。そして、やはり歌が良い。組子達の努力は勿論だが、この作品は月組の新たな魅力を引き出す事に成功している。CDだけでも買おうかな(笑)。そう言えば、第1幕でほとんど出番の無いARIだが、実はお菓子工房の場面でカメオ出演している事を知り、今回はそちらも楽しむ事ができた。パブロのマッチョなARI、ロケットボーイの爽やかなARIに続いて、眼鏡をかけた可愛いARIにも会えて、一挙三得の舞台となった。ありがとう!!と、短いが今回はここまで。明日海りおの新たな門出が徐々に近付き、どうしてもそちらに気が向いてしまう。来週にはDVDも届くという事で、今は【A Fairy Tale -青い薔薇の精-】のもう一つのテーマについて書いている途中だ。作・演出の植田景子が公演プログラムでも書いているように、この作品は「縦糸」と「横糸」で構成されている。前回の感想では、物語を分かり易く説明するため「縦糸(=時間)」のみしか語らなかったが、やはり「横糸」にも触れておくべきだろう。実は、既に書き上げているのだが、DVDで確認したい部分もあるので、更新は来週以降になる。では、また…。
2019.11.07
えへ、買っちゃった…。♡(≧∀≦)ゞ「DVDは1年に1枚だけ」とか言いながら、既に花組【A Fairy Tale -青い薔薇の精-】のDVDも予約し、自制心はほぼ崩壊状態…(笑)。ただし、今回のは新品ではなく、Amazonで購入した中古品。お気に入りリストに登録してから早幾年、値段が下がるのをずっと待っていたのだ。念願叶って、先日ついに半額以下の値段で手に入れた。まあ、「宝塚ファンなら定価で買えよ!」という話だが、貧乏人には貧乏人の事情がある(笑)。約2年半振りに鑑賞してみて改めて感じたのは、「やっぱり僕はこの公演が大好きだ!!」という事。『王妃の館』では全力で笑わせた後にホロリと泣かせてくれるし、『VIVA! FESTA!』では朝夏まなとを中心に組子達の熱気が画面から伝わって来る。特に、レビューは本当に素晴らしく、観ている内についつい夢中になって、何回か拍手しそうになってしまった(笑)。(恥ずかしいよ〜、誰もいない部屋で、テレビに向かって1人で拍手してる男って…笑)(ここなんて、拍手せずにはいられない格好良さだ)(このシーンは、尊くて泣きそうになった)それにしても、朝夏まなとの凛々しさはどうした事だろう。最近は、すっかり女性らしい姿に慣れてしまっているせいか、久し振りに見るまぁ様の男役姿は、現役時代の頃よりも格好良く感じてしまう。映像だから表情をよりはっきりと見られる、というのもあるのだろう。朝夏まなとの魅力を、改めて振り返る事ができて良かった。(だから、中古品でも許してね、という言い訳だ…笑)ずんの愛すべきいじられキャラ、戸川光男にも再び会えた!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆そんな宙組の次回公演【El Japón(エル ハポン) -イスパニアのサムライ-】は、11月19日(火)に一度だけ観に行ける事になった。(最近の宙組人気は想像以上で、一度観られるだけでも幸運だ)人物相関図も出て、何となく物語の全体像が見えて来た。ずんが演じるエリアスは、真風涼帆の蒲田治道に敵対心を燃やす役どころらしく、出番も多いのではないだろうか。2019年を締めくくるに相応しい舞台になる事を期待している。
2019.10.31
大阪にいるとなかなか実感が湧かないのだが、テレビで見る限り、台風19号の被害はかなり甚大だったようだ。しかし、こうした自然災害は、これから毎年起こると考えておくべきだろう。(18世紀後半から始まった産業革命前と比べて地球の平均気温は1度上昇しており、「今より更に0.5度気温が上がると、地球の温暖化は人間の力ではもう制御できなくなる」という学説もある)僕達は、間違いなくそういう時代に入ったのだ。そのタイミングで花組【A Fairy Tale -青い薔薇の精-】の東京公演が幕を開けたというのも、何かしら運命的なものを感じる。13日は星組トップコンビの紅ゆずると綺咲愛里が退団し、14日の夜にはパソコンが正常に起動しなくなり、15日はその復旧作業に半日を費やす羽目になったりと、僕の気持ちはなかなか上向かないでいる。月組公演の感想も進まずにいたのだが、「まあ、今回は特に解説する必要も無い内容だし、慌てなくても良いか」と自分に言い訳し(笑)、後回しにしていた。実際、今回の【I AM FROM AUSTRIA】は誰もが素直に観て笑って楽しめる作品であり、観た人の感想もそれほど違わないのではないかと思う。得意の(?)深読みができないのは、個人的には残念だが…(笑)。今回珠城りょうが演じるジョージ・エードラーは4つ星ホテルの御曹司という事で、ちょっと軽い印象も受ける役どころだ。伝統や格式を重んじる母親とは反りが合わないが、ホテルの将来や故郷オーストリアに対する想いは人一倍強い。そんな等身大の青年役を、【All for One】のダルタニアンほど熱血漢でもなく、【カンパニー】の青柳誠二ほど生真面目でもないキャラクターで、珠城は爽やかに演じている。また、今回は歌唱面でも安定感が増しているように聞こえた。そして、歌唱面と言えば、美園さくらだ。本場の舞台に寄せようとしているのか、これまでとは明らかに歌唱法が違う。それが物凄く良い味を出しており、聴き惚れた。芝居に関しても、今回はハリウッド女優の役とあってか堂々たる演技を見せ、ようやく硬さが抜けたような印象を受けた。トップ娘役として、これからどんな成長、変化を見せるのか楽しみだ。唯一の悪役を演じる月城かなとは、役柄のせいもあるのだろうが、ジョージに対する態度を見ていると【All for One】のベルナルドを思い出してしまう(笑)。対立関係ではあるのだが、決して恋愛絡みではない所とか、ラストの退場の仕方も何となくベルナルドと重なる部分がある。ウィーン版がどうかは知らないが、齋藤吉正の演出だろうか。演技も歌もこれまで通り申し分なく、まだ完全復活ではないのかも知れないが、とりあえず元気な姿を見られて安心した。本人も楽しんで演じているようだし、これからどんどん月組を盛り上げて欲しい。そんな月城演じるリチャードと手を組むゴシップ記者、ライナー役の輝月ゆうまも、出番こそ限られていたが、さすがの演技で存在感を示した。同期とあってか、月城との並びは妙に感慨深いものがある。決して路線スターではなかったが、「男役10年」の道のりを着実に歩いて来た人間の芝居は、やはり観ていて頼もしい。ジョージの親友ながら、いつも彼の足を引っ張ってしまうトラブルメーカー、フェリックスを演じる風間柚乃も期待に応えた。今作ではかなり出番も増え、順当にステップアップしている。実力はあるだけに、後はやはりスケール感だろうか。(これは、100期生に共通の課題と言えるが…)新人公演では彩音星凪がフェリックス役を務めるが、どんな芝居を見せるのか気になる所だ。また、風間以外のフロント係にも銀橋で歌う見せ場があったのは、ファンとしては嬉しい限り。夢奈瑠音は、少し表情が柔らかくなったような印象を受けたが、気のせいか。対して、ARIが演じるアルゼンチン代表のサッカー選手・パブロは、愛のためなら国も言語も性別も飛び越える、スケールの大きな男。今をときめくスター選手としての華やかさと、人懐っこさとを兼ね備えた、正にARIにぴったりな役どころだ。革ジャン姿も格好良かったが、個人的に印象的だったのは終盤で見せるタキシード姿だ。髪型と髭に負けない男っぷりでタキシードを着こなす様は、ARIの確かな一歩を感じさせた。【ON THE TOWN】の「バブみ」、そして今作の「オラみ」と、自身のギャップをしっかり役に活かしているのも、彼女なりに成長している証拠だ。それを確認できただけでも、僕にとっては大満足の舞台だった。次回(11月5日)観る時は、1ヶ月近く経っているので、皆の芝居にも変化が出ているかも知れない。その辺りも気にしながら、作品を楽しみたい。ありがとう!!ところで、英かおとと同期だった元ジェンヌが、何やらYouTube上で物議を醸しているらしい。(おすすめ動画にサムネイルが出る事はあるが、観た事はない)現役中に何があったかは知らないが、タカラジェンヌの仕事を全うする事なく、退団後は芸名まで捨てた者が、結局は「元タカラジェンヌ」という肩書きに頼って人目を引こうとしている時点で、既に「敗者」と言わざるを得ない。「元タカラジェンヌ」の肩書きを捨てられた時、初めて彼女の新たな人生が始まったと言えるが、果たしてその日が来るかどうかは、現時点では怪しい所だ…。
2019.10.21
『日本オーストリア友好150周年記念』作品となる今回の月組公演【I AM FROM AUSTRIA】は、宝塚との親和性も高く、誰もが肩肘張らず楽しめる娯楽作品となっている。老舗ホテルの御曹司ジョージ(珠城りょう)が、ハリウッド女優のエマ(美園さくら)と出会い恋に落ちるという、内容的にも宝塚らしい王道のラブコメディだ。ただ、個人的には「恋愛」要素よりも、「家族」や「夫婦」の要素の方が強く印象に残った。それは、やはり鳳月杏の存在による所が大きいだろう。(或いは、僕が結婚も離婚も経験した四十路男だからだろうか…笑)彼女が演じるヴォルフガングは、一見すると妻ロミーの尻に敷かれている情けない夫に映る。しかし、実際は誰よりも家族の幸せを考えている懐の深い男性である事が、その言動から次第に分かって来る。その演じ分けが絶妙に上手い。軽くなり過ぎず、硬くなり過ぎず、妻と息子の間を取り持つサスペンション的な立場を「家族愛」を軸にしながら鳳月は見事なバランスで演じていた。そんな、チャーミングでありながら、ダンディさを失わないヴォルフガングの役作りは、どことなく瀬戸かずやを彷彿とさせた。花組で培ったものを、鳳月はしっかりと月組で活かしてくれている。今度は、その鳳月の芝居を見て、月組の若手がその技術を学ぶ番だ。頑張れ、若人達よ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆そして、改めてお帰りなさい、ちなつ!! ♡))ヽ(´▽`)/鳳月と夫婦を演じた海乃美月も、さすがの演技を見せた。特に、第2幕『S11 ラウンジバー』でヴォルフガングと語り合う場面では、本当に年齢を重ねた女性のような哀愁まで感じさせ、思わず見入ってしまった。全体的にドタバタ感の強い今作品にあって、この熟年夫婦のやり取りは妙に沁みた。そんな年相応の2人とは対照的に、年長者にも拘らず誰よりも元気で弾けているのが、光月るう演じるエルフィだ。本場ウィーンの舞台映像を観た時に「妙に気になって仕方がない(笑)」と書いたお婆ちゃんこそ、実は彼女だったのだが、この人がとにかく面白い。物語の鍵を握るような役ではないものの、現れる度に何かしてくれるので、ついつい目で追ってしまう(笑)。開演まで、誰が演じるのか気になっていたが、光月は正に納得の芝居で楽しませてくれた。出番は少ないが、エマの母親ヘルタ役の夏月都も、一般の主婦感が凄く出ていて良かった。(「主婦感」という表現が、タカラジェンヌに対して適切な褒め言葉かどうかは不明だが…笑)彼ら大人の安定感があってこそ、若者達の恋愛がより眩しく映るのだろう。と、ここまで書いて気付いたが、4人とも名前に「月」が付くジェンヌだった。なので、今回はここまで(笑)。次回は、若者達の感想を書いて行きたい。
2019.10.12
明日海りおが宝塚大劇場を卒業したばかりだというのに、もう同じ場所では月組の【I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-】が幕を開けた。時は、人の気持ちを待ってはくれない。そのせいかどうかは分からないが、最近はどうも、あまりブログを書く気が起きない。大好きな【水曜どうでしょう】新作の放送日が決定したり、TVドラマ【時効警察】が12年振りに復活したりと胸が踊る話題もそれなりにあるのだが、それで何かを書こうという気になれないのだ。(秋だからかな…笑)そんな気持ちの中で観た月組の舞台はやはり愛おしく、心温まるラブコメディに笑って、和んで、癒された。まあ、ARIの登場を今か今かと待ち望んでいた僕は、第1幕に関しては「え、あれ…、これだけなの…?」と、拍子抜けしてしまったが…(笑)。それでも、第2幕は出番も増え、アッと驚く展開と共に大活躍(?)してくれた。(結果的には、色々と「オイシイ役」だった)また、今回はARIがこれまで以上に「大人っぽく」そして「男っぽく」見えたのも、ファンとしては嬉しかった部分だ。その表情からは、彼女の舞台に懸ける意気込みが伝わって来た。コメディにも少しずつ慣れて、しっかりと自分の役割を果たしている姿が微笑ましかった。しかし、今回は何より、月城かなとの元気な姿を見られたのが、一番喜ばしい事だろう。本人も、久し振りの舞台を心から楽しんでいる様子だった。今公演から2番手の羽根も背負い、これから益々の活躍が期待される。れいこ、未来の月組を宜しく頼みます。そして、今回は何故だろうか、いつも以上に歌が心に沁みた。(秋だからかな…笑)楽曲そのものの魅力もあるのだろうが、特に美園さくらと鳳月杏の歌声が素晴らしく聴き惚れた。内容的にはギャグが多く、明らかにコメディなのだが、メロディからは人の温もりが感じられる。その落差も、楽曲を印象付けた要因だろうか。という事で、とりあえず今回はここまで。次の観劇日まではまだ1ヶ月近くあるし、ゆっくり気持ちを元に戻しながら、キャスト別の感想を纏めて行きたい。ありがとう!!と、そうだった。「いつか、他の話題と併せて載せよう」と思い、適当に書き連ねてあった月組関係の話題を、せっかくなので載せておきたい。思い出した時にしないと、永遠に忘れる可能性もあるので…(笑)。(iPhoneのメモ書きには、書きかけの話題が20件以上も溜まっている)例の如く、話はいきなり始まるが、その辺はご容赦を。新人公演では、嬉しい驚きがあった。99期の英かおとが、まさかの主演に大抜擢された事だ。彼女に関しては以前から注目こそしていたものの、なかなか目立つ配役を得られず、書く機会が無かった。研7となり、このまま埋もれてしまうかと案じていた所にこの大抜擢で、思わず「おぉ…!?」と声が漏れた。(多分、本人が一番驚いているのではないか…笑)この期待にどこまで応えられるか、意地の見せ所だ。【カフェブレイク】でも、色々と話が聞けるのを楽しみにしている。101期の礼華はるも、これまでの配役を考えれば大抜擢と言えるか。(最近は、彩音星凪の抜擢が目立っていた)プロフィールによれば身長が178cmとの事で、それに負けない迫力のある演技を期待している。雰囲気のある面立ちをしているし、一皮剥ければ頼もしい存在になるのではないか。はてさて、それより何より気になるのは、鳳月杏が主演する別箱公演の内容だ。【出島小宇宙戦争】長崎の出島に、外国人に紛れ宇宙人が忍び込んでいる-。パラレルワールドの出島を舞台にコメディタッチで描く、デジタル・マジカル・ミュージカル。何じゃそりゃ…。(´・_・`)?さっぱり分からん(笑)。分からんが、妙に気になる演目ではある。鳳月杏が主演だし、怖いもの見たさで観に行っても良いかな、とは思う(笑)。2番手の月城かなとが御園座公演だとすると、ARIはこちらの可能性が高いか。きっと、そうやってまた僕を誘い出そうという作戦だろう(笑)。その手には乗るぞ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆後は、公演日程がどうなるかだが…。同じシアター・ドラマシティの公演では、昨日ずんの初主演作品も発表されたし、来年は更に出費が増えそうで怖い…(笑)。
2019.10.09
映画【壬生義士伝】を観たので、今回は宝塚版と比較しながら語ってみようと思う。と、その前に、先回の【カフェブレイク】で気になった事を一つだけ。もしかすると、永久輝せあは今回の組替えを「雪→花」と考えているのではないか。そうではない、「雪×花」と考えなければ駄目だ。その意識改革が、彼女の個性を生み、成長に繋がる。番組を観た限り、彼女が本当の覚悟を決めるにはまだ暫く時間が掛かりそうだが、「東京公演の途中で組替えを知らされてから、芝居に変化が出た」と語っていたし、きっと大丈夫だろう。あまり頭でっかちにならず、遊び心を忘れず頑張って欲しい。そんな永久輝に、ニーチェのこの言葉を贈ろう。世界には君以外には誰も歩む事のできない唯一の道がある「その道がどこに行き着くのか」などと問うてはならないひたすら進めでは、ここから本題。先ず、両方を観た感じとしては、どちらも「一長一短」という印象を受けた。宝塚が「家族」に重点を置いているのに対し、映画は「武士」の側面に重点を置いている。表現したいものが違うので、これに関しては甲乙つけるのは難しいだろう。好みの問題としか言えない。主人公の中村貫一郎と妻しづとの馴れ初めは、映画の方がドラマチックで感情移入もし易いが、逆に斉藤一と恋人ぬいとのエピソードは余計だったように思う。息子の嘉一朗と千秋の別れの場面も、クライマックスが過ぎた後なので、冗長に感じる。この辺りは、宝塚の方が無駄が無くて良かった。そうした中で「この台詞が宝塚版にあれば、もっと分かり易くて良かったのに…」と思う台詞が3つあったので、紹介しておきたい。1つ目は、脱藩し家を出る貫一郎が、妻のしづに語る言葉だ。「多くの子弟に学問を教え、剣術を授ける立場のワシが、 間違ってもこの盛岡で銭っこが欲しいとは、どこの誰にも言えねえ…」宝塚版では、単に貧しさ故の脱藩という印象しか無かったが、この台詞からは少年達の手本となるべき指南役としての貫一郎の辛い立場が見えて来る。と同時に、そうした柵(しがらみ)から解放された新選組だからこそ、彼はあんな風に仲間から笑われても、なりふり構わず金を無心できたのだ、という事にも気付かされる。それ故、宝塚版にこの台詞があれば、貫一郎の決意により説得力が増したのではいかと思う。また、宝塚版には「貫一郎から大野次郎右衛門の母親へ、食料の差し入れがあった」という台詞があるため、「竹馬の友として2人は助け合えなかったのだろうか…?」という疑問が湧いてしまったが、映画ではそんな事はなかった。貫一郎は、次郎右衛門に対して脱藩理由を「尊皇攘夷のため」と説明し、決して「貧困」を口にはしていないからだ。彼は、飽くまでも武士として筋を通しているのである。2つ目は、新選組を離脱し御陵衛士を結成する伊東甲子太郎が、貫一郎と斉藤一を引き抜こうとする場面だ。「自分達の仲間になれば、給金も上がる」と言う伊藤に対し、貫一郎はこう返す。「恥ずかしながら、それがしは一度主君を裏切った身。 なれば、二度は裏切れねのす」これは、場面そのものが宝塚版に無いため難しい所だが、貫一郎が金よりも忠義を重んじる武士である事がはっきりと分かる台詞でもあるため、何とか入れて欲しかった一言だ。(例えば、見合いの場面で「この際きっぱり武士を捨て、商人として生まれ変わってはどうか…?」と言う近藤に対する返答として使えなかったか…?)この台詞があると、鳥羽伏見の戦いでの行動にも説得力が出たように思う。宝塚版では貫一郎が急に義に走ったような印象が強いが、映画を観ると彼は常に己の義に従って行動している事が分かる。3つ目は、左配役となった次郎右衛門が、南部藩蔵屋敷で帰藩を願う貫一郎に対して言う言葉だ。「ワシ1人がお前のために死ぬ事はできる。 だども、お前1人のために南部20万石を朝敵とする訳にはいかねえ!」これほど次郎右衛門の胸中をはっきりと語っている台詞が、どうして宝塚版でカットされたのか不思議でならない。それとも、映画版のオリジナルで、原作小説(未読)には無い台詞なのだろうか。実際、映画では斉藤一と大野千秋が過去を振り返る形で物語が進むが、小説では記者が貫一郎の足跡を辿る形になっており、随分と違うようだ。以上が、映画を観ながら「これが宝塚版にあれば…」と感じた3つの台詞だ。もし、いつか【壬生義士伝】を再演する事があれば、その時はぜひ検討してもらいたい(笑)。映画そのものの評価と感想は、また改めて書こうと思う。
2019.09.25
今回の花組レヴュー【シャルム!】は、いきなり現代の若者達が出て来て「いつもと雰囲気が違うな〜」と思っていたら、そうだ、パリの地下都市が舞台なのだった。パリの中心部は景観を統一するため、建物の高さは勿論、屋根の角度やバルコニーの位置、そして使う石材の種類まで厳しく制限されている。そして、その石材の採掘場所というのが、他ならぬパリ市街の真下にあり、そのためパリの地下には巨大迷路のような空間が広がっている。(というのを、以前たまたま【ブラタモリ】で見た…笑)更に、18世紀後半になると、埋葬しきれなくなった遺体を収容するため、教会はこの大空洞を今度は墓地として活用するようになる。これが「カタコンブ・ド・パリ」と呼ばれる世界最大規模の地下墓地の始まりであり、現在は600万体の遺骨が納められている。という豆知識を挟みつつ(笑)、レヴューの感想を。今回は、明日海りおのサヨナラ公演という事で、彼女の男役としての魅力を存分に楽しむと共に、涙を誘う演出もあり、「1回の観劇では足りない」という思いと「1回でも観劇できて良かった」という思いが交差しながら鑑賞した。(まあ、DVDを購入する事に決めたので、今は1回でも満足しているが…笑)若者達の格好と骸骨達が歌い踊る場面以外は、実に宝塚らしいレヴューだったと思う。個人的に一番感動したのは、明日海が柚香光、瀬戸かずや、水美舞斗とそれぞれ踊る黒燕尾のデュエットだ。特に、柚香との場面は、明日海の愛と優しさが満ち溢れており、思い出すだけでも胸が熱くなる。トップスターの重責を知る者だからこそ、そして別れを覚悟した者だからこそ、あの全てを包み込むような眼差しになるのだろう。S4『Nuit Jungle 美しき男』も良かった。いつかの公演でもこの衣装で踊る場面があり、とても格好良かったので、サヨナラ公演で再び観られたのは嬉しかった。S6『Resistance 地底の恋人』も好きだが、感想を書くために公演プログラムをチェックして、「あれって地下の話だったんだ…」とちょっと驚いた(笑)。花組の次代を担う若手達も、一纏めで観られるのでお得だ。という訳で、レヴューの感想は苦手なので簡単に(笑)。(DVDを買おうと決めた段階で、ちょっと気が抜けている…笑)芝居と違い、レヴューに解説は要らないので、それぞれの感性で楽しめば良いのではないか。明日海りおのサヨナラ公演ではあるのだが、彼女自身が「退団後の事は考えず、今は目の前の舞台に集中したい」と答えているからだろうか、僕もまだ悲しいという気持ちは無く、それよりも寧ろ観劇できた喜びと感謝、そして明日海りおの愛に包まれた恍惚感の方が今は強い。悲しむのは、実際にその日が来てからにしよう。それに、もうDVDを買う事に決めたので、たとえ忘却の粉を振りかけられようと、僕の中で明日海りおの魔法(シャルム)が解ける事は永遠に無い。ありがとう!!
2019.09.17
「さて、今日は何の日でしょうか!?」 「あれ…、今日って何かありましたっけ?」 「え、覚えてくれてないのッ!!?」「なんちゃって、お誕生日おめでとうございます!!」「わ~い、ありがとう!!」 「て、おだちん居ないじゃん…」と、場の空気が和んだところで…(笑)ARI、誕生日おめでとおぉぉおおうッ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
2019.09.14
もっと手間取るかと思ったが、今日は久し振りにもの凄く店が暇で、一気に書けてしまった(笑)。話題が後回しになってしまったが、僕が観劇した3日(火)は桜木みなとら宙組生が何人も観に来ており、何だか得した気分になった(笑)。そして、レヴュー【シャルム!】のアドリブで知ったが、その日は小池修一郎も客席にいたようだ。同じ脚本家として、【A Fairy Tale -青い薔薇の精-】の感想を聞いてみたい気もするが…(笑)。次期トップスターの柚香光は、これまで以上に丁寧な演技で、明日海りおと双璧を成す存在感を見せた。彼女も、公演毎に何かしら成長を感じさせる。明日海りおの後任という重責は勿論あるだろうが、どうか自分らしさを失わず頑張って欲しい。同じく95期の水美舞斗も、更に存在感と安定感が増し、どんどん目が離せない男役になって行く。今回演じた庭師のニックも、こういう役をやらせたら右に出る者がいないのではないかと思える程、草花に対する愛情が表情から溢れ出ていた。更に、シャーロットの母フローレンス(城妃美伶)に対する秘めた想いも、一瞬の描写の中で見事に表現しており、限られた出番の中で役に深みを与えていた。だからこそ、ウィングフィールドの庭園は、ニックにとって尚更に大切な存在だったのだろう。新人公演で主演を務める聖乃あすかは、本公演では台詞の無いパントマイムだけの芝居だったが、持ち前の美貌と花男の気概とで華麗に薔薇の精を表現してみせた。勿論、真の「美」を体現する明日海りおに比べれば、まだまだ幼さは隠せないが、そこは今後の成長に期待しよう。インタビュー記事で見せる顔付きも随分と凛々しくなり、きっと今公演で多くの事を学んだに違いない。前回の【CASANOVA】で新公主演した帆純まひろも、今公演では一気に出番が増え、爽やかな演技で魅せた。新人公演で得たものを、しっかりと次に繋げている。他にも、これまであまり印象に残らなかった、優波慧や飛龍つかさ達も存在感を示し、明日海のサヨナラ公演で花男のプライドを見せた。さて、このスター候補生が何人も控える花組で、永久輝せあがどんな個性を花開かせるのか。興味は尽きない。そして、彼らの手本となる、瀬戸かずやを始めとした上級生達の演技も光った。そんな中で、今回僕が妙に気になったのが、シャーロットの夫役を演じた羽立光来だ。94期というから、珠城りょうと同期だ。身長も178cmと高く、個人的には俳優の小澤征悦に似た渋さを感じた。出番こそ少なかったが、芝居ではふてぶてしく、レヴューではコミカルな表情も見せ、「まだまだ知らない個性がいるものだな…」と、改めて観劇の面白さを感じた。花男達よ、どんどん咲き誇れ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆次回は、レヴュー【シャルム!】の感想を。まだ1行も書けていないので、更新は来週になると思う。
2019.09.12
前回の繰り返しになるが、【A Fairy Tale -青い薔薇の精-】には「2つの時間」が流れている。1つは、直線的に進む「人間社会」の時間。産業革命を成し遂げたロンドンでは人々が「時は金なり」と謳い、更なる社会の繁栄と利潤を求め慌ただしく動いている。そして、その傍らでは、確実に環境汚染が進んでいた。もう1つは、かつてウィングフィールドの庭園に流れていた、循環する「自然界」の時間。しかし、薔薇の精エリュ(明日海りお)が自然界の掟を破ったために、庭園の草花は枯れ果て、今は時が止まってしまっている。ここで幼少期を過ごしたシャーロット(華優希)も、母親の死を境に人間社会の時間の中に飲み込まれ、その後は辛い人生を送っていた。更に、50年という歳月の間に庭園は土壌汚染が進み、たとえエリュの罪が赦されたとしても、精霊達が以前のように暮らせる環境ではなくなってしまっていた。自然を蘇らせるためには、人間達の協力が必要だ。こうして、断絶した2つの時間を再びを繋ぎ合わせるべく選ばれ、エリュと出会う事になったのが、植物研究家のハーヴィー(柚香光)だ。2人は、最初こそ相手を認めようとしなかったが、やがて互いを知り心を通わせる中で、大切な何かに気付いて行く。そして、ついに約束の期日、夏至の夜が訪れて…。ラストシーンで謎の貴婦人(乙羽映見)の正体が分かると、実は今回の顛末が全て、彼女の描いた「シナリオ」だった事に気が付く。彼女は、ハーヴィーがエリュと出会い、協力し合えるようにと、始めからヴィッカーズ商会を指名したのだ。(勿論、消息が不明だったシャーロットの居場所も、彼女だけは知っていた)主演の明日海りおは、全編通してとにかく美しく、それだけで満足してしまいそうになるが(笑)、それが際立つのも、緻密な役作りと卓越した表現力がその根幹にあるからに他ならない。その一挙手一投足に、男役の美学が息づいている。これまで積み重ねて来た努力の先に本物の「美」がある事を、彼女は身を以て証明してみせた。「神は細部に宿る」とは、正に明日海りおのためにある言葉である。そんな彼女の演技の中で、最も印象深かったのはシャーロットと再会する場面『S14』だ。恐らく永遠の生命を持つであろう精霊のエリュに対し、人間のシャーロットは50年の間に随分と年老いてしまった。それでも、エリュはその老女がシャーロットであると直ぐに気付き、彼女にそっと寄り添う。この場面で見せる、明日海の演技が素晴らしい。50年という時間を一気に飛び越え、再びシャーロットと巡り逢えたエリュの表情は、正に霧が晴れたかのように澄み切って穏やかだ。穢れを知らぬ、無垢な少年のようにも映る。たとえシャーロットの外見が変わろうと、彼女に対するエリュの愛は些かも色褪せていない。愛の「純真性」「永遠性」を物語る、美しい場面だ。それを、明日海は表情と仕草だけで完璧に表現してみせた。そして、それに応える華優希の演技も見事だった。今回は少女時代から老年期までをしっかりと演じ分け、それだけでも新トップ娘役としての力量を示したと言えるが、中でも老年期の芝居は、とてもお披露目公演とは思えないほど自然で違和感が無く、目を見張った。しかも、単に嗄(しわが)れた声で喋っているだけでなく、そこにシャーロットが生きて来た50年の重みまで感じさせたのは、見事としか言いようがない。歌に声量が足りないのが唯一気になった点ではあるが、これは今後の努力で改善されるだろう。次期トップスターの柚香光と、どんな化学反応を見せるのか楽しみだ。ありがとう!!ところで、謎の老婆(美花梨乃)の正体は、一体誰だったのだろう…。彼女だけは、本当に「謎」だ(笑)。
2019.09.11
今公演のポスター画像を見た時、「何となくトートっぽいな…」と感じたのだが、実際に【A Fairy Tale -青い薔薇の精-】を観て、これは明らかに明日海りおのお披露目公演である【エリザベート -愛と死の輪舞-】を意識して描かれた作品である事に気付いた。恐らく、演出家の植田景子は、この作品から【エリザベート】を想起させる事で、「明日海りお」という存在を永遠に回帰する物語に昇華させようとしたのではないか。物語の「終わり」が再び「始まり」に繋がるように描く演出は、上田久美子が【金色の砂漠】で用いた手法であり、植田はそれを明日海のキャリアに応用したのだろう。少し話が逸れるが、「時間」には2通りの捉え方がある。1つは、時間を直線的な、過去から未来へ向かって一方向に流れるものとして理解する仕方。あらゆる出来事は時間的に不可逆的であり、全てに始まりと終わりがある。現代人のほとんどが、この認識をしてるのではないか。これに対し、別の捉え方もある。例えば、古代の人々は、星の周行や季節の繰り返し等から、時間は循環するものだと考えた。この場合、時間は過去から未来へと一方向に流れるものではなく、無限に回帰するものであり、始まりと終わりとが一つになった円環のイメージで語られる。確かに、今公演を以って明日海りおはタカラジェンヌとしての生活に終止符を打つ。来年になれば、次期トップスターとして柚香光が大劇場の舞台に立ち、宝塚に新たな歴史を刻んで行くだろう。それは現実であり、どれだけ悲しくても時計の針を過去に戻す事はできない。しかし、明日海りおが携わった作品達は、宝塚という夢の世界に永遠に残る。僕達は、それを好きな時に手に取り、彼女の思い出に触れる事ができる。同時に、それらの作品は、彼女をリアルタイムで知らない子供達が宝塚を知り、新たなファンになる可能性も秘めている。そうして彼女を愛し、語り継ぐファンがいる限り、明日海りおの物語は何度でも再生し、終わる事はない。それは、「懐かしい思い出」と「大切な人達への想い」を永遠の中に閉じ込めようと、シャーロットが書き上げた絵本『A Fairy Tale』そのものだ。QUEENの名曲【The Show Must Go On】にも、次のような歌詞がある。「Fairy tales of yesterday will grow but never die (お伽話はいつまでも語り継がれ、決して終わる事がない)」どれだけ無常に時間が流れても、人の想いが繋がり続ける限り、物語は永遠に繰り返す。この点において、【A Fairy Tale -青い薔薇の精-】は他の宝塚作品とは違い、植田景子から、そして明日海りおからファンに向けてのメッセージが織り込まれた、明日海でなければ成立しない特別な作品と言える。明日海りおと言えば、個人的には【MESSIAH】が最も印象深い作品ではあるが、【A Fairy Tale】のメッセージに気付いてしまうと、やはり先ず「終わり」と「始まり」とを繋ぐこのDVD(=お伽話)から買わなければ、という気持ちが強くなる。(というか、もう買う事に決めた…笑)明日海りおのイメージを最大限に活用した「薔薇の精」という設定、【A Fairy Tale】というタイトルと【エリザベート】との類似性から読み解けるメッセージ(と、そのアイデア)、女性ならではの繊細さを感じさせる脚本と演出、そしてそれらを100分に纏め上げる構成力。いやはや、これはなかなかの快作を堪能させてもらった。ありがとう!!という訳で、今回は「感想」というより「深読み考察」みたいになってしまったが(笑)、次回はキャスト別の感想を交えながら、ストーリーにも触れてみたい。
2019.09.06
確か、ダン・ブラウンの小説【ダ・ヴィンチ・コード】だったと思うが、「ヨーロッパ人にとって薔薇は特別な花だ」という台詞があった。(違ったら申し訳ない…笑)欧州で「薔薇」は、どの国語でもほぼ同じ綴りと発音だという。(語源は、ラテン語の「rosa(ロサ)」だと言われている)英語 …「rose(ローズ)」ドイツ語 …「rose(ローゼ)」フランス語 …「rose(ローズ)」イタリア語 …「rosa(ローザ)」スペイン語 …「rosa(ロッサ)」ロシア語 …「pоза(ローザ)」これは、古来より人々が薔薇に魅了され、愛し、その価値観を共有して来た証拠だろう。だから、国が変わっても、時代が流れても、薔薇は薔薇なのだ。そんなヨーロッパ人にとって特別な花である薔薇の精霊を、宝塚ファンにとって特別な存在である明日海りおが最後の舞台で演じるというのも、何かしら運命のような気がする。気高く、美しく、甘く、情熱的で、薔薇のような明日海りお。と、ここまでが、前日までに下書きしてあった部分だ。ここから感想を続けるつもりだったのだが…。その最後となる公演を、今日観てしまった。そう、観てしまったのだ。もう次は永遠に無い、この日の舞台を…。素晴らしい舞台であった事は間違いない。明日海りおの集大成と呼べる、最高の舞台だ。いや、彼女だけでなく、他の組子達も「これぞ宝塚!!」という芝居とショーで魅せてくれた。「1年に1枚」という掟を破って、DVDを買おうか迷っている程だ。しかし、その幸福感と充足感と共に、想像していた以上の喪失感に襲われ、何を書いて良いのか言葉が出て来ない。愛する人に気持ちを伝える時、言いたい事は沢山あるはずなのに、結局ただ一言「愛している」という言葉しか出て来ないように…。明日海りおが、自分の中でこれほど大きい存在になっていた事を、今日初めて知った。だから、今は「ありがとう」という言葉だけを伝えるのが精一杯だ。感想は、もう少し気持ちが落ち着いてから、改めて書きたい。ありがとう!!貴方と出逢えて、僕は幸せでした。
2019.09.03
長いお盆休みも終わり、いつもの日常が戻って来た。1週間ほど放ったらかしにしていた星組レビュー【Éclair Brillant(エクレール・ブリアン)】の感想も、ようやく書き上げた。前回、雪組【Music Revolution!】の感想で、「今年の個人的なベストレビューになりそうな気がする」とかいたばかりだが、星組も満足度では全く引けを取らない内容だった。特に、ボレロと三味線の衝撃度が大きい。『第11場 スペイン』は、大袈裟なセットがある訳でもなければ、派手なダンスも音楽も無い。照明も薄暗く、遠くからでは誰が誰かを判別するのも難しい。衣裳も至ってシンプルだ。にも拘らず、この衝撃と感動はどうだろう。組子達の一糸乱れぬ群舞と相まって、大衆芸能を芸術の域まで高めている。よくぞ、ここまでの舞台を作り上げた。見事としか言いようがない。ここでの群舞は2階席から観ても非常に美しいので、できれば両方から観る事をお勧めする。『第16場・17場 フィナーレC・D』も、黒燕尾と三味線の組み合わせがこれまでにあったのかどうかは知らないが、とても斬新に感じた。それでいて、宝塚らしさを失っていないのが素晴らしい。このレビューをサヨナラ公演で演じられる紅ゆずるは、本当に幸せ者だと思う。芝居で可愛らしさを振り撒いた綺咲愛里も、レビューでは美しさで魅せてくれた。紅とめぐり逢えた綺咲も、幸せ者と言えるだろう。そんな2人の、互いを想い合う気持ちがストレートに伝わって来るデュエットダンスも微笑ましく、観ていて自然と頬が緩んだ。それ以外では、礼真琴と舞空瞳の場面『第6場 パリ』も良かった。こうした、いかにも宝塚らしい場面があると、妙に安心する。2人の並びも初々しく、舞台に爽やかな西風が吹いていた。彼らも良いトップコンビになるだろう。瀬央ゆりあは毎回ソロがあるが、聴く度に歌唱力の向上を感じさせる。これで声に艶が出て来れば、更に良くなるだろう。芝居でも、どんな役もしっかりと自分のものにする技量が身に付き、頼もしさが増すばかりだ。宙組へ組替えする紫藤りゅうと共に、本当に良い男役に成長したと思う。そんなせおっちは「同期としてトップスターを支えなければ」などと考える必要は全く無い。せおっちは、今はとにかく自分を成長させる事に専念すれば良い。瀬央ゆりあが男役としてどれだけ輝けるかが、結果として礼真琴を支える事に繋がるからだ。この公演で退団する如月蓮と麻央侑希は、華形ひかると1曲歌う場面で大きな拍手を貰っていた。直後のロケットとの繋ぎも、和気藹々とした感じで良かった。このブログではついぞ触れる機会が無かったが、僕は如月の端正な面立ちと実直な芝居に好感を抱いていただけに、彼女の退団は麻央と共に惜しまれる。華形は、以前に比べ歌唱力が安定して来たような印象があり、芝居でも貫禄が出て、随分と専科らしくなった。今後の活躍が更に楽しみだ。と、お盆の忙しさに追われている間に、宝塚大劇場では千秋楽を迎え、残すは東京大劇場のみとなってしまったが、紅ゆずるの事だから、きっと最後まで泣きながら笑わせてくれるに違いない。ファン達も幸せ者だ。ありがとう!!次回の観劇は、9月3日(火)。とうとう、明日海りおのサヨナラ公演が始まってしまう。今回は1度きりだし、内容よりも明日海りおを優先して観ようと思う。それにしても、まだ研2の珀斗星来が、次期副組長となる冴月瑠那のMr.ディケンズ役を新人公演で演じるなんて、これは結構な抜擢なのではないのか。色々と追い付かない部分もあると思うが、たくさん学び、習い、楽しんで欲しい。それが、次の舞台に繋がるだろう。3度目の新公主演となる聖乃あすかは、本公演では「白い薔薇の精」を演じる。つまり、主人公エリュの過去と現在を両方演じるという事だ。それがどういう事かをよく噛み締め、明日海りおの魂を受け継ぐ覚悟で、役に挑んで欲しい。将来のトップ候補として、今回は大事な新人公演となるだろう。頑張れッ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
2019.08.21
8月6日(火)、観劇2度目となる星組【GOD OF STARS -食聖-】は、前回よりも感動が増した。紅ゆずるは、さすが水を得た魚のように圧倒的なパワーで舞台を引っ張り、客席に笑いを提供していた。口は悪いし、性格にも難ありの主人公ホン・シンシンではあるが、紅の芝居がますます「寅さん」っぽくなったからだろうか、第14場『真・料理の聖人』でホンの言う台詞がやけに胸に響いて、不覚にも泣きそうになった(笑)。紅ゆずるの代表作かと問われれば首を傾げるが、紅ゆずるらしい作品かと問われれば、正にその通りと太鼓判を押せる舞台だ。そんな紅に負けじと、体当たりの演技でぶつかって行く綺咲愛里も素晴らしかった。特に、今回の綺咲の可愛らしさは正にアイドル級で、「アイリーーーーーーン」と叫びたくなるファンの気持ちが理解できた。(馬鹿にしている訳では無いのだよ、念のため…笑)彼らは決して技術的に優れたトップコンビではなかったが、互いに助け合い高め合う中で、誰よりも信頼し合える関係を築き上げた。それが、そのまま芝居にも表れており、その仲睦まじさは見ていて羨ましいほどだ。完璧ではないからこそ人間味が増し、それがファンの心を惹き付けたのかも知れない。作品にも恵まれ、僕にとっても思い出に残るトップコンビになった。そして、そんな2人を笑顔で送り出そうと、組子達も精一杯の力で役を演じていた。それが、彼らなりの2人への恩返しなのだろう。上手く説明できないが、星組の団結力は他の組のそれとは何か違って感じる。「宝塚歌劇団の星組」というより、彼ら単体で「星組歌劇団」が結成されているような…。それを作り上げたのは紛れもなく紅ゆずるであり、その努力には惜しみない称賛を送りたい。ありがとう!!また、トップスターが枠に収まらない人間だからだろうか、若手達も枠からはみ出そうと頑張っているのが伝わって来て微笑ましかった。その個性が礼真琴の下でどう花開くか、そして愛月ひかると綺城ひか理が星組でどう輝くか、これからが楽しみだ。だからと言って、まこっつあんが肩肘張る必要は無い。(寧ろ、ちょっと肩の力を抜いて欲しいくらいだ…笑)まこっつあんには「ちゃんとした舞台(=責任感)」よりも、先ず「自分(達)が演じていて楽しいと思える舞台(=達成感)」を作り上げて欲しい。それが「礼真琴の色」になり、「礼真琴の星組の色」になるはずだ。礼真琴よ考えるな、感じろッ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆次回は、レビュー【Éclair Brillant(エクレール・ブリアン)】について書きたい。
2019.08.08
先日の人事発表で、一番驚いたのは愛月ひかるの星組への異動だが、一番嬉しかったのは永久輝せあが花組へ組替えする事が決まった事だ。彼女の成長を考えれば、組替えは必須だと思っていた。しかし、雪組は彼女を手放さないだろうとも思っていた。だから、【壬生義士伝】の感想でちょっと皮肉交じりに「御曹司」という表現を使ったのだが、今回の劇団の英断には称賛の拍手を送りたい。(僕は「御曹司」という言葉に、あまり良い印象を持っていない)これで、永久輝せあは間違いなく飛躍できる。しかも、異動先が彼女のイメージにぴったりの花組となれば、願ったり叶ったりだ。(欲を言えば、明日海りおと鳳月杏がいる間に組替えさせてやりたかったが…)これからが、更に楽しみになって来た。紫藤りゅうと綺城ひか理、そして朝月希和にとっても、これが新たなステップアップに繋がる事を期待している。愛月ひかるの星組加入は、これが劇団の意向なのか、礼真琴の希望なのかは分からないが、まこっつあんにとっては正に福音だろう。愛月なら、若きトップスターを下支えし負担を減らすと共に、良き理解者にもなってくれるに違いない。ただ、そうなると気になるのが、愛月の今後の処遇だ。人事は、常に劇団の独断専行で行われる。それは仕方が無い。仕方が無いとして、では劇団側はどうやってジェンヌ達の心に報いるのか。今回、鳳月杏だけでなく愛月ひかるも動いた以上、これは運命と受け止め、この場ではっきりと明言しておこう。鳳月と愛月の去就(どちらか1人でもトップに就くのか、どんな形で退団するのか)は、僕が将来的に宝塚ファンを続けるかどうかの一つの大きな分水嶺になる。静観しつつ、注視しつつ、見極めたい。さて、こうなるとARIが星組へ組替えする可能性は、ほぼ消えたと言って良い。さすがに、愛月ひかると綺城ひか理に続き、暁千星までというのは考えられない。(組替えに第2弾があるなら、話は別だが…)しかし、ARIじゃなかったとは言え「あかつき」と「あいづき」は一文字違いだし、これはもうほぼ的中したと言って良いのではないだろうか。まあ、当てたから何なんだ、という話だが…(笑)。
2019.08.05
今回の【ON THE TOWN】で特に印象的なのは、女性達だ。どこまで原作に忠実なのかは分からないが、ヒロインのアイヴィ(美園さくら)を除いて、宝塚らしいキャラクターが1人もいない(笑)。皆、強烈な個性を持っている。これも、舞台が大都会ニューヨークだからだろうか。そして、何だかんだ、常に主導権を握っているのも女性達だ。地方から出て来たであろうゲイビー達3人は、彼女達に振り回されっ放しだ。しかし、女性キャラが男顔負けの個性を発揮する事で、この作品をより色濃いものにしている事は間違いない。その中で、目を見張ったのはクレア役の夢奈瑠音だ。これまで、彼女に対しては男役のイメージしか無かったが、意外なほど(失礼…?)女役が様になっている。しかも、プロフィールを見て驚いたが、身長が168cmと、思っていたよりずっと小柄だった。男役の時はそんな事を微塵も感じさせなかったので、彼女なりに努力しているのだろう。芝居心もあるし、今回の女役を経て、更に演技の幅を広げて欲しい。夏月都を始め、白雪さち花や海乃美月ら娘役はさすがの演技だった。どんな役でもしっかり自分のものにしてしまうのは、それだけ実力と個性がある証拠だ。今回は日程の都合で「役替わりA」にしたが、こうなると「-B」もそれぞれの持ち味が出て、違った面白さになるのではないかと思う。そんな女性達に振り回されるオジーとチップ、そしてピットキン(英真なおき)もどちらかと言えば変わり者タイプ。(3人ともキャラクターとしては面白いが、感情移入しながら観るタイプの役柄ではない)そう考えると、この作品で唯一「普通」と呼べる人間は、実は主人公のゲイビーとアイヴィだけだったりする。周りが強烈だからこそ、その中で2人の恋愛が自然と濾過され、純度の高いロマンスに感じられるようになるのだろう。そんな普通のカップルを誠実に演じられる月組トップコンビ、珠城りょうと美園さくらは随分と息が合って来た印象を受ける。特に、美園は大劇場公演を経て、余裕と存在感が出て来たようだ。もう少し芝居が柔らかくなると更に良いが、それは今後の成長に期待しよう。たまきちは等身大の男性を演じさせると、これ程しっくり来る男役はいない。同じ男としては、そこに親近感を覚えるし、仲間意識すら湧く。語弊があるかも知れないが、たまきちとなら普通に肩を組んで歩ける。(他のトップスターが相手だと、きっと照れが入ると思う)今回のゲイビー役も人柄の良さが溢れていたし、オジーやチップと一緒にいる場面では、舞台の外でもこんな感じなのではないかと思えるほど、3人の間に自然な空気感が流れていた。それが珠城りょうというトップスターの魅力であり、本質である。一方、残された時間と、「再び生きて逢えるか分からない」という想いが、オジーとチップの恋も純化させて行く。第2幕の『第4場 コニー・アイランド行きの急行列車(地下鉄)』のシーンは、それまでのドタバタ感から一転して静かな時間が流れ、切なさが募る、個人的に好きな場面だ。それにしても、これだけ場面転換があると、脇役達は衣裳替えが多くて大変だろうと思う。(それに対して、主役級の3人はほぼ同じ衣裳のままという…笑)別箱公演なので出演者も限られているし、おまけに豪華なフィナーレまであって、何度も着替えなければならないジェンヌもいるのではないだろうか。皆、お疲れ様。(*^_^*)そして、素晴らしい楽曲を聴かせてくれたオーケストラにも感謝を述べたい。ありがとう!!ところで、今回の【ON THE TOWN】を観て、ある写真を思い出した。時代と場所は定かではないが、戦地へ赴く恋人を見送る女性達を写した1枚だ。ゲイビー達も、最後はこんな風に別れたのかも知れない。終戦記念日が近付くこの時期、改めて平和について考えてみたいと思った。
2019.08.04
今日の午後、いきなり大きな人事発表があり面喰らった。一番驚いたのは愛月ひかるの専科から星組への異動だが、他にも中堅どころのメンバーが何人も動いており、気持ちが追い付かない。(月組に全く動きが無いのも気になるし…)とりあえず、当初の予定通り、月組公演の感想を書いてしまおう。そう言えば、僕が観劇した18時30分の公演には、明日海りおと華優希の花組トップコンビが来場していたようだ。だからだろう、アドリブの場面では、鳳月杏(オジー役)が花組ポーズを華麗に決めて、拍手喝采を浴びていた。更に、それを受けて珠城りょう(ゲイビー役)が「1回じゃ覚えられないから…」と、今度は暁千星(チップ役)に無茶振り(笑)。「え〜!?」と恥ずかしがりながらも、「ちゃんと見とくんだよ」と言ってARIも格好良く花組ポーズを決めてくれた。(それを並んで見守るたまきちと鳳月が、凄く仲が良さそうで微笑ましかった)嗚呼、この素晴らしい光景を、1階席で観られていたら、どれだけ幸福だっただろう。何故、僕はあの時チケット代を惜しんでしまったのか…。(いや、まあ、出し惜しみと言うより、ただ本当に貧乏なだけなのだが…笑)このアドリブを含め、前回も書いたように、第1幕は本当に楽しかった。オープニング曲からして、如何にもブロードウェイという感じで、それに乗せて映し出されるニューヨークの名所を見ているだけで、日常から解放されたような気分になる。特に、この日は仕事上がりだったので、余計にそう感じたのだろう。その後も、目まぐるしく場面が変わって行き、登場人物達が入れ替わり、遊園地のアトラクションのような楽しさを味わえる。コメディだからだろう、演じている組子達も凄く楽しそうで、個性が弾けていた。主役のたまきちはとりあえず置いといて(失礼…笑)、オジー役の鳳月と、チップ役のARIは非常にのびのびと役を演じていた。2人が同じ舞台に立っているだけでも奇跡なのに、あんな殺傷能力の高い「ワイルド&キュート」キャラで同時攻撃された日には、感動と興奮で涙と鼻血が一緒に出る(笑)。これで月城かなとが加わったら、一体僕の体内の水分はどれだけ失われる事になるのか(笑)。ARIは良い意味で肩の力が抜けて、この舞台を心から楽しんでいる様子だった。彼女の武器である「バブみ」と「オラみ」も更に切れ味を増し、その表情や仕草に僕はずっと振り回されっ放しだった。これからも、男役としては格好良さを探求しつつ、自身の素直さも忘れずに、色々な魅力を見せて欲しい。ありがとう!!それにしても、公演プログラムの挨拶文で、演出の野口幸作がARIを語る際に「バブみ(子供のような可愛さ)」と「オラみ(セクシーな男性)」という表現を使っていたのには笑ってしまった。「バブみ」と「オラみ」は、宝塚の公認用語という事で良いですか? (笑)次回は、トップコンビと女性陣について語ろうと思う。6日(火)は星組観劇なので、それまでには纏めてしまいたいが…。
2019.08.02
月曜日は営業日なのに、宝塚の舞台を観ている。そして、翌日は定休日なので、朝はゆっくり寝ていられる。こういう観劇パターンは初めてだからだろうか、何だか凄く妙な感じだ。そんな中で観た月組公演【ON THE TOWN】は、鳳月杏と暁千星のファンには堪らない極上の舞台だった。出番が多いだけでなく、「放し飼い系ワイルド」キャラのオジー(鳳月)と、「ペット系キュート」キャラのチップ(暁)という対照的な役どころが、2人の魅力を最大限に引き出しており、一度の観劇では足りないくらい嵌まっている。更に、そこに誠実な好青年キャラの珠城りょう(ゲイビー役)が加わるのだから、本当に双眼鏡を下ろす暇が無い。たまきち → ちなつ → ARI → たまきち → ちなつ → ARI → たまきち → ちなつ → ARI → たまきち → ちなつ → ARI → たまきち → ちなつ → ARI → たまきち → ちなつ → ARI …そんな無限ループ天国から抜け出せなくなる(笑)。その合間に、美園さくらや白雪さち花、夢奈瑠音に海乃美月、専科の英真なおきや若手などにも目を引かれるので、結果として常に誰かを双眼鏡で追っている形に。隣の人に「この人、ずっと双眼鏡を覗いてるわ…」と思われたら恥ずかしいので(笑)、程々にしておいたが、本音ははずっと双眼鏡で観ていたい気分だった。それくらい、誰もが個性的で輝いていた。確かに、怒涛の第1幕に比べると、第2幕はやや単調な印象が否めないし、ラストも宝塚としては「あれ、これで終わり?」という呆気なさはあるものの、それを補ってあり余るフィナーレの贅沢さで、再び気持ちを高揚させてくれる。とりあえず、一度の観劇では足りないので、Blu-ray化してくれないだろうか(笑)。買うから、絶対に!!詳しい感想は、また後日。ありがとう!!
2019.07.30
寝冷えをしたのか、店の冷房にやられたのか、水曜日から鼻水と喉の痛みに襲われ大変だった。症状はほぼ治まったものの、ぶり返しが怖くて、梅雨が明けたというのに長袖Tシャツに逆戻りしてしまった。明日の月組【ON THE TOWN】も、何を着て行くべきか思案中だ。そんな、体力的にも気力的にも凹みがちなこの数日、とりあえず礼真琴の部分だけ書き上がったので、先にこれだけ更新しておく。僕は感想を書く時に、一から順ではなく、途中の思い付いた所から適当に書き始める。今回も、最初は紅ゆずるの感想に続けるつもりで書き始めたのだが、思った以上に筆が進み、長くなったので単体で載せる事にした。そのため、今回は書き出しが唐突な感じになっているが、ご了承願いたい。では、どうぞ。ところで、今回の主人公ホン・シンシンは紅ゆずるのイメージに重ねて描いてあるらしいが、ではリー・ロンロンも、小柳奈穂子が持つ礼真琴のイメージを形にしたものなのだろうか。と言うのも、リーのキャラクターが、僕がまこっつあんに抱いているイメージとぴったり当て嵌まるからだ。実力では誰にも負けないのに、いつもどこか自信無さげ…。僕には、彼女の芝居は「自信の無さを、技術で埋めよう(隠そう)としている」ように映る。或いは、自信が無いから、「もっと頑張らなければ…」と自分を追い込んでいる。まこっつあんはもっと自分を信じて良いし、自分を解放して自由になって良い。きっと、礼真琴という男役の実力を一番過小評価しているのは、まこっつあん自身なのだろう。そこに歯痒さを感じる。彼女に足りないものは、後は自信(と、そこから生まれる余裕)だけだ。それが、礼真琴がオーラを身に纏うために必要な最後のアイテムになるだろう。確かに、「男役」の格好良さは技術や理屈かも知れないが、「男」の格好良さは技術や理屈では語れない所にある。まこっつあんには、その見えない男の内面を表現できるトップスターになって欲しい。そのためには、足す事や背負う事ばかりでなく、引く事や下ろす事も学ぶ事だ。舞空瞳の演じるクリスティーナが、リーに眼鏡を掛けてやりながら言う台詞も、「もっと、自分らしさに自信を持って」という小柳からまこっつあんへの叱咤激励ではないか、と感じた。その舞空をパートナーに迎え、礼真琴がこれからどう成長するのか、或いは舞空が礼真琴をどう支え導くのか、楽しみに見守りたい。まだまだこれからの若いトップコンビだ。最初は、リーとクリスティーナのような関係でも面白いのではないか。そんなまこっつあんに、恒例の歌を贈ろう。トップスターとしての責任感は勿論あるだろうが、それ以上に舞台を楽しんで欲しいという願いから、今回はウルフルズの【ええねん】だ。(因みに、ARIに贈ろうとしたのはこれとは違い、新作【ウ!!!】に収録されている曲だ)不安になるくらいなら、いっそ開き直ってしまえば良い。そして、まこっつあんらしく思い切り楽しんだらええねん!!歌詞はこちら → ウルフルズ【ええねん】
2019.07.28
「食」という字は、「人を良くする」或いは「人に良い」と書く。(実際の語源は全く違うが…笑)ただ美味しいだけでなく、食べる人を幸せにする、元気にする、そんな力が料理にはある。そして、その周りには自然と人々が集まり、皆が笑顔になる。そんな素敵な料理のように、観る人を元気に、そして幸せな気持ちにしてくれるのが今回の星組公演【GOD OF STARS -食聖-】だ。トップコンビのサヨナラ公演ではあるが、それを全く感じさせない程、いつもの星組のパワーに溢れている。和気藹々としたラストも、紅ゆずるらしくて好感が持てた。脚本的には、やや(かなり?)強引な部分もあるが、最後はきちんと収まるべき所に収まるし、新旧小ネタも満載なので、笑った者勝ちの舞台だと言える。ベテランから若手まで配役のバランスが良いのも、小柳奈穂子ならではか。【Éclair Brillant(エクレール・ブリアン)】も、星組の個性が弾ける素晴らしいレビューだった。特に、第11場「スペイン」は、これまでに観たどの場面よりも芸術的で、幻想的で、前衛的で心を奪われた。105年の歴史の中で、あらゆる表現を試してきたであろう宝塚が、まだこれ程の表現力を持ち合わせている事も驚きだ。ぜひ、この場面だけでも、直ぐに他の組で再演して欲しい(笑)。更に、第16場「フィナーレC~D」での、黒燕尾の群舞に三味線を取り入れる斬新さも光った。演奏も上妻宏光という事で、単なるアイデア勝負では終わらないクオリティを誇っている。正統的な宝塚のレヴューでありながら、こうした独創性を失わない辺りがベテラン演出家の底力と言った所だろうか。という事で、今回の星組公演は、巷の評判が良いのか悪いのかは全く知らないが、個人的にはサヨナラ公演という事を忘れて、最初から最後まで楽しませてもらった。「知らない」というのは、今月に入って他の宝塚ファンのブログを一切読むのを止めたからだ。こういう事を書くと、また要らぬ誤解を与えてしまうかも知れないが、「花組の次期トップ」や「月組の番手問題」を巡り、色々と気にしてしまう自分自身に疲れたのだ(笑)。「人事考察をしない」のが僕の主義とは言え、目に入ればやはり気になってしまうのが人の心理。ならば「最初から何も見なければ良いだろう」という判断に至り、『ブログ村』をブックマークから削除した。(ただし、客観性という観点から、『薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス』だけは今後もチェックさせてもらうが…)まあ、僕が読まないからと言って困る人は誰もいないだろうし(いても困るが…笑)、僕は書く事に専念したい。さて、来週はいよいよ月組【ON THE TOWN】だ。鳳月杏に見惚れ、暁千星に振り回され、放心状態で帰ってくる事になると思うので(笑)、星組のキャスト別感想とどちらが先になるかは分からない。更に、最近は映画【2001年宇宙の旅】の解説も下書きしているので、どの順番で更新できるかは全く未定だ。まあ、星組は8月6日(火)にもう一度観るし、ゆっくり纏めて行きたい。ありがとう!!あ、そう言えば…。【ON THE TOWN】では客席降りがあるらしいが、僕が購入したのは2階席…。もっと、早く発表してよ〜。。・゜・(ノД`)・゜・。
2019.07.24
先週はARIの話題を書いていたのだが、仕事が思った以上に忙しくてなかなか進まずにいた。そうこうしている間に、花組や美弥るりかのニュースも入って来て、更新が余計に遅れる結果に。ようやく、花組の次期トップスターに柚香光が就任する事が発表された。星組が礼真琴に決まった段階で、柚香の就任もほぼ確実視されていたが、意外に発表が遅れた。おかけで、いつも以上に公式HPを覗く回数が増える羽目に…(笑)。先ずは、おめでとう!!明日海りおの後任というプレッシャーを跳ね除け、柚香光ならではの花組を作り上げて欲しい。(花組もダンスが主体になるのかな…?)柚香も礼も、男役としてはまだまだ成長過程だ。これは飽くまでも個人的な印象だが、 礼真琴に足りない「オーラ」を柚香光は兼ね備え、柚香光に足りない「技量」を礼真琴は持ち合わせている。この互いに足りない部分を、彼らがトップスターとしてどう身に付けて行くのか。個人的には、そこに注目しながら、2人の成長・成熟を見守って行きたいと思う。「見守る」と言えば、忘れてならないのが、やはり暁千星(強引…笑)。ARIのインタビューが掲載された女性誌【Marisol】を購入した。ずんが載った【25ans】もそうだが、男の僕が女性誌を買うのはなかなか抵抗がある。何しろ、宝塚のページ以外は、読むところが全く無いのだから(笑)。しかし、Instagramに出ている写真を見ると、その数ページのために購入したくなってしまうのがファン心理。画面ではなく、やはり手元でじっくり見たいと思うのだ。(雑誌の質感は、パソコンやスマホの画面とは全く違う)インタビューも興味深く読ませてもらった。「自分のベビーフェイスがコンプレックスだった」と語っているが、【夢現無双】で演じた吉岡清十郎は、普段のARIの可愛さを微塵も感じさせず、男の色気と魅力に溢れていた。これまで彼女が自分なりに感じ、考え、見付け、身に付けて来た知識や経験が、しっかり個性となって役に息づいていたからだろう。僕に言わせれば「個性」と「コンプレックス」は同じものだ。あるがままの「自分」を肯定的に受け入れた時、人はそれを「個性」と呼び、否定的に受け止めた時「コンプレックス」と呼ぶ。つまり、心の持ちよう、或いは捉え方次第でしかないのだ。(しかし、それに気付けず、人はいつも思い悩み、無い物ねだりをする)どうせ同じものなら、ただの「コンプレックス(=マイナス)」で終わらせず、自分の「個性(=プラス)」に変えた方が良いに決まっているのは、言うまでもないだろう。ARIも体格とのギャップに悩むのではなく、それを活かす方向に目を向けた。素晴らしい!! それでこそ、僕がそのポテンシャルと可能性に惚れた人だ。彼女は、ちゃんと自分で道を切り拓いて行ける強さを持っている。松尾芭蕉にこんな言葉がある。「古人の跡を求めず 古人の求めたる所を求めよ」先人達の残した足跡(=過去)を辿るのではなく、彼らが追い求めた理想(=未来)を知り、そこを目指して自ら道を切り拓いて行け。簡単に言えば、そんな意味だろうか。確かに、ARIは歴代のトップスター達と同じにはなれないかも知れない。しかし、同時に、他の誰もARIと同じにはなれない。ARIは、既に唯一無二の「暁千星」なのだ。だから、君はもっと自分を誇って良い。これまでの7年間に自信を持って良い。正々堂々ともがきながら、ここまで来たのだ。その努力は、決して君を裏切らない。大丈夫だ、ARIはこれからまだまだ成長する。今回のインタビューを読んで、そう確信した。本人も語っているように、新人公演を卒業して時間に余裕ができた今、色々な世界を見て経験して人間性を育んで欲しい。人生の全てを武器にできるのが役者なら、人間的な成長は必ずARIを男役としても成長させてくれるはずだ。その成長に誰よりも早く気が付けるファンになれるよう、僕も自分の感性を更に磨いて行きたい。その道を弛まず進め、ARI !!そして、いつか誰も見た事のない景色を、僕に見せておくれ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆そして、卒業してから沈黙を守っていた美弥るりかが、遂に始動した。ライヴの日程まで1ヶ月程しかない事を考えると、しっかり準備を進めた上での活動再開を目指していたのだろう。画像からはかなり攻めている印象を受けるが、性別を超越したその美しさは相変わらず。彼女がどんな未来を見せてくれるのかも楽しみだ。
2019.07.15
昨夜は、調子に乗って悪ふざけな投稿をしてしまったが(笑)、今日はその本題を。まあ、そうは言っても、内容的には大して変わらないのだが…(笑)。な、何だ、この『CHIPNO HEYA』という素敵なコーナーは!!?ARIの魅力が満載じゃないかぁああああッ!!!*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*ここまでチップ(=ARI)をアピールしてもらっておいて、それで観に行かなかったら、各方面(?)から厳しいお叱りを受ける所だった(笑)。改めて、ソワレの時間に気付いて良かったと思う。(あれ、じゃあ【WEST SIDE STORY】って、どうやって観に行ったんだ…?)ところで、梅田芸術劇場で僕が観る宝塚作品って、【Earnest in Love】【WEST SIDE STORY】【ON THE TOWN】と、何故かタイトルがどれも英語表記なんだよな(笑)。ARIと言えば、月組の次回大劇場公演【I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調べ-】のポスター画像が公表された。 こんなARI、見た事ない!! Σ(・□・;)しかも、よく見ると顎髭まで生やしているじゃないか。ARIが演じるパブロ・ガルシアは、どうやらサッカー選手のようだが、革ジャンまで着て、何だか凄くワイルドな感じがするキャラクターだ。アルゼンチン人(?)の彼が、オーストリアの物語にどんな風に絡んでいくのかも楽しみなところ。それにしても、ARIのポスター画像には、本当にいつも驚かされる。今回も、しっかりと僕の心に奇跡のシュートを決めてくれた。(まあ、ARIの前では、僕の心のゴールはいつでもガラ空きだが…笑)ありがとう!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆そして、ARIの反対側には、愛しの鳳月杏の姿も。まさか、鳳月とARIが同じ舞台に立つ日が来るなんて、3年前は考えもしなかった。彼女が演じるのは、ジョージ・エードラー(珠城りょう)の父親ヴォルフガング。表情を見ると、チャーミングなおじ様といった印象を受けるが、どんな役どころなのだろうか。ARIと絡む場面があるのかも気になるところだ。怪我の具合が心配される月城かなとと海乃美月も、ポスターを見る限りは元気そうだが…。ただ、それでも何か物足りなく感じてしまうのは、やはりそこに美弥るりかがいないからだろう。月城の隣に、彼女の姿があったなら…、と思ってしまう。とは言え、一番寂しさを感じているのは、きっと組子達なのだろうし、僕もこの事実を受け入れていくしかない。そして、この新たな月組カンパニーの舞台を楽しもう。月組と言えば、明日海りおが月組時代に主演したバウ公演【春の雪】がBlu-ray化される事が発表された。実は、音月桂好きが高じて買った【宝塚GRAPH & 歌劇 / 2012年12月号】に、偶然この公演の模様が載っていたのだ。まだ月組も花組も知らない頃だが、少女漫画から抜け出して来たような明日海の美男子ぶりに、衝撃を受けたのを覚えている。「いつか観てみたいな…」と思っていた公演なので、今回Blu-ray化されるのは嬉しい限り。珠城りょうと鳳月杏も出演しているし、個人的に特別な作品になりそうだ。(ただ、一番の問題は「いつ買えるか…?」なのだが…笑)
2019.07.08
「では、先輩・暁千星の素敵なところを紹介して下さい!!」 「いや~、別に無いっスね…」 「え、無いの!?」 「いつも、お弁当分けてあげてるじゃん…」
2019.07.07
七海ひろきが格好良い。あ、いや、宝塚時代から充分に格好良いのだが(笑)、ほとんどの男役スターが退団後は表情が柔らかくなったり女性っぽさが出るのに対し、七海ひろきは現役当時のまま全くブレていない。北翔海莉のサヨナラ公演となった【桜華に舞え】の感想で、僕は「七海ひろきには男役を極めるというより、寧ろこのまま七海ひろきを極めて欲しい」と書いたが、正にその通りの道を歩いているな、といった感じだ。きっと、彼女は宝塚に入って「男役」という仕事に出会ったのではない。「七海ひろき」という生き方と巡り逢ったのだ。そういう意味では、彼女はタカラジェンヌとして最も幸せな生き方をしている人かも知れない。そして、そんな彼女と共に歩いて行けるファンも幸せだ。だから、宝塚を卒業したからと言って、そこで「七海ひろき」の道が終わる訳ではない。【水曜どうでしょう】がレギュラー放送を終える際、大泉洋は「一度終わったら、それはもう二度と終わる事が無い」という名言(迷言?)を残したが、七海ひろきもまた宝塚を卒業した事で、二度と終わる事の無い七海ひろきへの第一歩を踏み出したのだろう。その覚悟が、この表情に表れているのではないか。変わり続ける七海ひろきに、これからも変わらず見惚れていこうと思う。こちらも格好良く、最後はちょっと可愛い(笑)。
2019.07.03
ARIの妄想に気を取られ(笑)、ちょっと間が空いてしまったが、改めて雪組【Μusic Revolution】の感想を。公式HPのインタビューで、演出の中村一徳は「音楽の起源とは、人類のエネルギーそのものではないか」と語っていた。余談になるが、現在、人類最古とされる楽器は、約4万年前にハゲワシの骨で作られたフルートとされている。「メロディ」を奏でるために加工された楽器が、この時代に既に存在していた事実に鑑みれば、打楽器による「リズム」が更に歴史を遡る事は間違いない。とすれば、人類は文字や貨幣を生み出すより遥か昔から、音楽を演奏し楽しむ事で、互いに感情を共有し、他者との結び付きを深めて来た、と考えるのが妥当だろう。(そして、そこには間違いなく「ダンス」も一緒にあったはずだ)その点において、音楽は正に人類が太古より刻んで来た「生命のリズム」であり、「人類のエネルギー」だと言える。今回の雪組【Music Revolution】は、そんなエネルギーに溢れた熱いショーだった。ここで面目躍如の活躍を見せたのが、彩風咲奈と永久輝せあの2人だ。特に、第7〜8場にかけての彩風は本当に素晴らしかった。お世辞抜きに格好良かったし、この時ばかりは彼女がトップスターに見えた。ファンには「今頃かよ!?」と叱られるだろうが、ようやく彩風咲奈の真の魅力を理解できたように思う。第14場での永久輝せあも素晴らしかった。さすがに、望海や彩風ほどの存在感はまだ無いが、大きな場面で中心をしっかり務めていた。元々、スターとしての華やかさは兼ね備えているので、今後の更なる成長と飛躍が期待される。このように2人は、望海風斗のような歌唱力が無くとも、得意のダンスでしっかりと魅せられる事を、今回のショーで証明した。それは、将来の雪組が目指すであろう理想像を示しているようにも映った。勿論、組子達には歌も芝居も努力し続けて欲しいが、ダンスが主体の雪組も悪くないと思う。そう考えると、今公演は、彩風と永久輝の「課題」と「可能性」をそれぞれに感じさせる、個人的に興味深い舞台になった。この「Revolution(革命)」を経て、雪組が果たしてどんな「Evolution(進化)」を見せるのか。今後も目が離せない。望海風斗と真彩希帆は、言わずもがなの安定感で楽しませてくれた。(この2人に関しては、素晴らし過ぎてもはや何も言う事が無い)ちょっと早いが、今年の個人的なベストレビューになりそうな気がする。それ位、今回のショーは大満足だった。ありがとう!!ところで、雪組と言えば『2019FNSうたの夏まつり』への出演が決まり、今の雪組の魅力をアピールする絶好の機会ができた。また、男性ファンが増えるのだろうか? (笑)25日(火)に観劇した時は、男性連れの女性をたくさん見かけたし、恋人にしろ夫婦にしろ友達にしろ、男性と一緒に観に来られる宝塚も微笑ましくて良いなと思う。まあ、僕はこれから先もずっと、色々な意味で「お一人様」だが…(笑)。明日海りおのサヨナラ公演となる花組【A Fairy Tale -青い薔薇の精-】は、幸運にも抽選が当たり、1度だけ青い薔薇の園に足を踏み入れる事を許された。僕のような「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」まで招いてもらえるとは、明日海りおは何と慈悲深い人なのだろう。この幸運に感謝しつつ、フェアリーの最後の物語をしっかりと胸に刻んで来ようと思う。と、その前に、紅ゆずると綺咲愛里のサヨナラ公演となる星組【GOD OF STARS -食聖-】がある。コメディエンヌの紅らしく、楽しくエネルギッシュな舞台になる事を期待している。観劇(23日)まではまだ日数があるので、それまでは気の向くままに更新していこうと思う。
2019.07.01
星組の新トップコンビ、礼真琴と舞空瞳の大劇場でのお披露目公演が【眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~】に決まった。【GOD OF STARS-食聖-】に続き、こちらも役名がジェンヌの芸名に因んでいる。礼真琴の役名が「礼真(レイシン)」とは、これまた随分ストレートな命名だ(笑)。と、そんな中、個人的に気になる文字が…。「豊かな自然と土壌を持つ“亜里(アリ)”という地に…」亜里(アリ)…?え、ARI !!?「こっちにおいで」え、ARIが星組においでるッ!!? ∑(゚Д゚;)つ、ついにARIにも組替えの時が…。((((((゚Д゚;)))))いやいや、『亜里』は地名だし、さすがにARIと結び付けるのは強引過ぎるか…(笑)。(;^ ^Aとは言え、ARIももう研8だ。組替えの話があったとしても、不思議は無い。僕は別にARIを「月組の御曹司」だとは思っていないし、彼女の成長を考えれば、寧ろ組替えには賛成派だ。まこっつあんとは演技スタイルも違えば、歌唱スタイルも違うARIだが、互いに協力し、刺激し合えれば、きっと面白い化学反応を起こすに違いない。そして、2人には「尊敬する人物が柚希礼音」という共通点がある。そう思いながら、もう一度注意して解説を読んでみると、ARIの組替えを匂わせる情報が、実はもう一つ隠れている事に気付いた。分かるだろうか…?それは、礼真を眩耀の谷まで案内する「汶族の男」の名前が、まだ明かされていないという事だ。他の登場人物達は既に名前が出ているのに、何故この人物だけが「男」表記なのか…。解説を読む限り、この「男」がかなり主要なキャラクターである事は間違いない。恐らく、2番手ないし3番手に位置する役柄だろう。にも拘わらず、その名前が敢えて伏せられている、という事は…。今このタイミングで、役名から誰かを連想されては困る人間、という事だ。となると、「誰かが組替えして来る」と考えるのが順当だろう。そして、それは「星」を名に持つ男役・暁千星である可能性は、決して低くないと思う。しかし、ちょっと待て。では、瀬央ゆりあはどこに行ったのか。もし、周の国王が「宣王(せんおう)」と読むのなら、「せんおう=瀬央」ではないか。敵役だし、「汶族の男」ほど出番は多くないように思えるが…。一方、月組は次回作【I AM FROM AUSTRIA】から鳳月杏が組替えして来るし、その終演後にARIが星組に異動するとしても、タイミング的には何の問題も無い。そうなると、月組は鳳月と月城かなとによる「月×月コンビ」になる可能性が濃厚になる。更に、(これは邪道な言い方だが…)ARIの組替えで、劇団は風間柚乃を推しやすくもなる。と、まあ、これは飽くまでも僕の妄想なので、あまり気にしないでもらいたい(笑)。ただ、もし当たっているとすれば、まだまだ大きな動きが劇団内で続く事になるだろう。
2019.06.28
昨日、2週間振りに訪れた「花乃みち」は晴天に恵まれたものの、関西だけ梅雨入りが遅れているせいか、紫陽花は何だか元気が無さそうに見えた。紫陽花は【万葉集】にも登場する、日本人には古来より馴染みの深い花だ。日本は四季のある国だし、紫陽花が綺麗に咲くためには、やはり梅雨も必要だなと感じた。(今日、ようやく梅雨入りが発表されたが、週末は天気が荒れるらしい…)2度目となる雪組【壬生義士伝】は、ストーリーが分かっているせいか、更にしっかりと内容を理解する事ができた。前回、どうも腑に落ちなかった鳥羽伏見の戦い(第23場)での、吉村貫一郎(望海風斗)が朝廷軍に対して取った行動の意味も、今回はすんなりと納得できた。あれだけ「生きる」事に拘っていたはずの貫一郎が、何故あの時に限って、無駄死にするような行動を起こしたのか…。(仲間達と一緒に撤退したとして、責める者は誰もいないだろうに…)自暴自棄になったとも思えず、彼の言う「義」とは一体何なのか、観劇後に気になったのだ。「正義」とは、「正しい義」或いは「義を正す」と書く。貫一郎は、これまで新選組の行いが正しいと思っていたからこそ、その正しい義の中で人を斬り、家族のために金銭を得てきた。斬るのは徳川幕府に仇なす逆賊達であり、それが新選組に与えられた武士としての任務である限り、彼の中で一つ筋が通っていた。自分達は義を正しているのだ、と。実際、新選組は幕臣にも取り立てられ、全てが順調かに思われた…。しかし、大政奉還により事態が急転すると、彼らに逆風が吹き始める。そして、鳥羽伏見の戦いの最中、新選組が天皇に反旗を翻す「朝敵」扱いされた時、貫一郎の中で「義」が揺らぐ。(倒幕軍は「錦の御旗」を与えられた事で自動的に「官軍=絶対的な正義」となり、一方の幕府軍は「賊軍=悪」と見做される事になった)これまで、自分はそこに義があると信じていたからこそ、仲間達と戦ってきた。生きるために、相手を斬ってきた。堂々と戦って負けるなら、まだ納得もできる。しかし、今この目の前で起きているのは、(倒幕軍が天皇を後ろ盾にしたという理由だけで)いきなり朝敵扱いされ、一方的に自分達の義を奪われるという理不尽な光景だ。もし、今ここで何もせず、錦の御旗を前に逃げ出せば、それは「新選組が逆賊(=ただの人斬り集団)である」と、自ら認める事になる。そのような不義が、武士として許されるはずがない…。そんな心理が、彼の中で働いたのではないだろうか。誰よりも「生きる」事に拘っていたはずの貫一郎が、最後の最後で「生き残る」事より重要な、己の「生き様」に直面した時、突発的にあのような行動に出たのではないか、という気がする。朝廷がどうと言うのではない。相手が誰であろうと、自分は武士である以上、今ここで新選組の義を正さなければならない、と。そんな愚直過ぎる「義心」が、結果として家族との絆、そして親友との絆を裂いてしまったのは、甚(はなは)だ皮肉としか言いようがない。一方、心のどこかで死に場所を求めながら戦っていた斎藤一(朝美絢)が、奇しくも生き残り、明治という新時代を目にする事になったのも、皮肉と言えば皮肉な運命だろう。思えば、貫一郎と斎藤は常に相対する形で描かれており、そういう意味では、斎藤はこの物語のもう1人の主人公と言える。(朝美には、ぜひその辺りも意識して演じて欲しい)こうした武士の面目や幕末の詳細に関しては分かり難い部分もあるが、にも拘らずここまで観る者の心を揺さぶるのは、作品の根底にあるものが飽くまでも「家族への愛」、そして「友情」だからだろう。組子達の熱演も含めて、観るべき価値ある作品である事は間違いない。トップ娘役の真彩希帆は、貫一郎の妻・しずと、京で貫一郎が見合いをする娘・みよの2役を演じているが、両者を丁寧に演じ分けながら、しっかりと望海風斗の芝居に寄り添っていた。歌唱力の高さでも、望海を完璧にサポートしており、ここまで理想的なトップコンビはなかなか出ないのではないかと思う。2人が巡り合った奇跡に感謝したい。大野次郎右衛門役の彩風咲奈は、前回観た時よりも演技が細やかになっているように感じた。この調子で役を深められれば、東京大劇場では更に良い芝居を観客に届けられるだろう。頑張れ、さき!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆脚本に関して言えば、最初に観劇した時は、松本良順(凪七瑠海)達が出演する場面が、本編の流れを止めてしまっているように感じたが、2回目はほとんど気にならなかった。まあ、組子達の出番や舞台転換のためにはやむを得ない演出だろうし、そこは許容範囲内という事にしておこう(笑)。中井貴一主演の映画も観てみたくなった。次回は、ショー【Music Revolution!】について書きたい。こちらも、今の雪組の全てを出し切った、熱気溢れる素晴らしい舞台になっている。この公演を通して、若手は確実に成長するだろう。ありがとう!!
2019.06.26
前回「続きは25日以降に…」と書きながら、結局その後も雪組の感想を書き進めていたので、ARIが出演した【カフェブレイク】の話題が遅くなってしまった。(【無現無双 / クルンテープ】のDVDも、繰り返し観ているし…)しかも、2週間も前にYouTubeで観ているせいか、改めて感想を書こうとすると何か変な感じになる(笑)。舞台では大人になった逞しい姿を見せてくれたARIたが、番組ではいつもの素直な笑顔で癒してくれた。それでも、話している時の表情を見ていると、やはり少し大人になったかな、という印象も受ける。出会ってからもう4年も経つのだから、変わって当然か。(変わった、変わってない…?)今回ARIが演じた吉岡清十郎は、これまで男役として培ってきたものが見事に結実しており、今のARIの個性と実力が遺憾なく発揮された芝居だった。朱実に「幸せになるんやで…」と言う時の表情も、哀愁たっぷりで見惚れる。そんな清十郎から思い付く言葉が「剣の道の先に幸せはあるのか…」というのも、演じる役の「良心」を拾おうとするARIならではだな、と思った。史実がどうかは知らないが、ARIの演じる吉岡清十郎は朱実と別れた後、どんな人生を歩むのだろうか。ちょっと聞いてみたい気もする。そんな優しいARIが、花組【MESSIAH】で鳳月杏が演じた松倉勝家のような極悪人役を演じたら、果たしてどんな表情をするのか、そちらも気になる。こちらは、いつか観られる機会があるかも知れないし、楽しみにしておこう。そう言えば、『ジェンヌがジェンヌをプロデュース』のコーナーで、関東で放送された回は「こっちにおいでよ」だったテロップが、関西では「こっちにおいで」に修正されていた。(確かに、月城かなとは「こっちにおいで」と言っているので、「あれ?」とは思ったのだ)関東の放送分がそのまま関西でも放送されていると思っていたが、編集し直される場合もあるのだと、今回初めて知った。せっかくなので、前の記事も「こっちにおいで」に訂正しておく。という事で、今回はここまで。本当はもっと書きたいはずなのだが、今公演で見たARIの男役像があまりに僕の理想通りだったせいか、もう胸がいっぱいで言葉が出て来ない。こういう時に、語彙力の無さを痛感する。【ON THE TOWN】までに、もう少し鍛えておかないと…。恒例の「歌」は……。いや、最初はちゃんと用意していたのだが、どうもしっくり来なくて、迷った末に割愛した。って書いても、絶対に信じてもらえないだろうけど…(笑)。(タイトルに、その名残りが…)
2019.06.23
キャスト別の感想を書くつもりが、どんどん脱線して、新人公演の話になってしまった(笑)。まあ、着地点は変わったが、書きたい事は書けたので良しとしよう。貫一郎の竹馬の友・大野次郎右衛門を演じる彩風咲奈は、【ファントム】で得た手応えを素地に、今回更にしっかりと役を深めて来た。台詞回しは説得力と情感が増しているし、歌も安定感と表現力が増している。ようやく、2番手に相応しい風格が漂い出した、といった所か。ただ、「こんなに短期間で成長できるなら、もっと前から努力すれば良かったんじゃない…?」とも思うが…(笑)。彩風に対する僕の評価は、最初かなり低かった。正直、「新人公演で5回も主演し、将来のトップ候補と目される人の芝居が、この程度なのか…?」と落胆した程だ。僕が、新公の偏った主演抜擢に早くから懐疑的になった発端は、雪組にある。「一体、何のため、誰のための新人公演なのか…?」と。僕が雪組の若手に個性を見出せないのも、こうした雪組の体質に原因があるのではないかという気すらした。その疑念に拍車をかけたのが、永久輝せあだ。彼女を知ったのは、【るろうに剣心】の新公で主演した際の【カフェブレイク】だった。一目見て、「何と美しくて可憐なジェンヌがいるんだ!」と胸がときめいたのを覚えている。中井美穂への受け答えもしっかりとしており、今だから正直に告白するが「ARIじゃなくて、やっぱりこの子を応援しようかな…?」と本気で迷った程だ(笑)。それくらい、この時の彼女は眩しく輝いていた。しかし、ARIが公演を重ねる毎に輝きを増して行ったのに対し、永久輝は見る度に輝きが失われて行くように感じた。新公の舞台映像を観ても、彼女が何を表現したいのか伝わって来ない…。まるで、ずっと迷いの中にいるような印象で、「この子は、今後どこへ向かうんだろう…?」と心配したものだ。新公の呪縛から解き放たれてからは、少しずつかつての輝きを取り戻してはいるが、まだ彼女の本来あるべき姿とは言えない。僕が心を奪われた、あの時の永久輝せあをもう一度見せて欲しい。そのためには、今以上に表現の幅を広げ、役へのアプローチを多面的にする事だ。彩風も永久輝も、(一皮剥けそうな予兆はあるものの…)僕に言わせれば、まだまだ「予想の範囲内」の芝居しかしていない。まあ、女性ファンからすれば「格好良ければそれで充分」なのかも知れないが、僕は男だし、宝塚には芝居を観に来ているので、格好良いだけでは満たされないのだ。この御曹司2人が覚醒すれば、雪組はもっと面白くなる。君達の芝居で、俺を本気にさせてくれッ!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆その点、斎藤一を演じた朝美絢は、実に良かった。舞台に登場し、第一声を発した瞬間に「お、遂に化けたか!?」と、心が躍った。ゾクッとするような気迫が、全身に漲(みなぎ)っている。躍進著しい同期達の姿に、焚き付けられたか…。ネット上では、「野心家」として語られる事もある朝美だが、それで芝居がうまくなるなら、個人的には大歓迎だ。勿論、タカラジェンヌとして「清く、正しく、美しく」ある事は大前提だが、舞台に対しては貪欲であって良いと思う。「その殺気、不細工なり」と言われながら、無双の剣を求め続けた宮本武蔵のように、周りから何と言われようと、今は自分の信じる「朝美絢の道」を進めば良い。やがて、その道の途中で、自分に足りないものが何か(或いは、余計なものは何か)に気付く時が来るだろう。それを会得した時、朝美絢は本物になる。その日を楽しみに待とう。さて、そうなると否が応でも気になるのが、新公で斎藤一を演じる研6の星加梨杏だ。今回、朝美が気炎を上げた事で、星加にとっては自身の存在感を示す絶好の配役となった。逸材揃いの100期生の一員としても、ここが一つの勝負どころになるだろう。ぜひ、朝美の気迫を我がものとし、斎藤一の鮮やかな太刀捌きさながらに、自らの手で運命を切り開いて欲しい。大野次郎右衛門を演じる諏訪さきにも、99期生として意地を見せて欲しい。男役向きの凛々しい顔立ちをしているので、ここで正当な評価を得られれば、チャンスは広がるだろう。主人公・吉村貫一郎を演じる彩海せらは……。とりあえず、今は「頑張れ!!」としか言えない。僕は彼女のポテンシャルを知らないが、研4になったばかりで、初主演するのがこの難役というのは、さすがにハードルが高いような気がするからだ。(まだ縣千の方が良かったのでは…)しかし、決まった以上は体当たりで挑むしかない。未熟で当然なのだから、上手く演じようとする必要は無いのだ。望海風斗から少しでも多くの事を吸収しつつ、舞台では自分の心から出て来るものを素直に表現すれば良い。それが芝居だ。若人達よ、どんどんもがけ!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆という訳で、今回はここまで。熱が入り過ぎてちょっと疲れたので(笑)、続きは25日(火)の観劇後に改めて書きたい。【Music Revolution】も、非常に中身が濃くて、一人ひとりが輝いている素晴らしいショーだ。ただ、観ていても「ハードだろうな…」と感じる内容なので、誰も怪我をせず無事に千秋楽を迎えてくれる事を祈っている。ありがとう!!
2019.06.16
11日(火)は週間予報では雨だったが、当日は晴天に恵まれた。それでも、「花乃みち」には紫陽花が咲き始め、どこか梅雨の匂いを感じさせた。再来週には、もっと色とりどりの景色を見せてくれるだろう。そんな中で観劇した雪組公演【壬生義士伝】の舞台には、一足早く涙雨が降っていた。いや、この場合は涙雪と言うべきか。脚本に不満が無い訳ではないが、組子達の熱演も手伝い、心を揺さぶる作品に仕上がっている。実は、初日舞台映像を観た時点で、既にちょっと泣きそうだった。それは、制作発表会でパフォーマンスをした際、望海風斗の眼差しには吉村貫一郎の家族に対する想いが溢れており、それが僕に悲しい結末を予感させたからだ。「ああ、この人はとても家族を愛しているのだ…」そう思った。確かに、貫一郎は給金のため新選組に入り、人を斬ってはいる。しかし、それ以上に彼は死にたくないのだ。生きて、愛する家族の元へ帰りたいのだ。だから、相手を斬る……。(斬らねば斬られるのが、武士の世界だ)そんな貫一郎の切なる想いが、制作発表時の望海の表情からは読み取れた。(これと全く同じ台詞が劇中にあった時には、驚いたが…)そして、同時にそこには悲しみの色が宿っていた。だから、初日舞台映像を観た時に、自分の予感が確信に変わり、泣きそうになったのだ。果たして、彼女の演技は圧巻だった。既にタカラジェンヌとしては充分過ぎるほどの技量を持ちながら、更にまだその上を目指そうと言うのか…。それとも、同期が立て続けに卒業を決める中で、残される89期生としての「誇り」が彼女を奮い立たせるのか…。何れにせよ、これまでの作品と同様に、この【壬生義士伝】も望海風斗の実力が遺憾なく発揮された舞台である事は間違いない。思い返せば、僕が宝塚を劇場で実際に観てみたいと思う切っ掛けを作ってくれたのは、花組【エリザベート】でルキーニを演じていた望海だった。それまでの僕は「宝塚の男役とは、女性ファンの理想的な男性像を見せるのが仕事で、芝居は二の次なのだろう」と思っていた。役者というより、アイドルに近い存在で捉えていた。それが、ルキーニのような汚れ役を何の躊躇いも無く演じる望海を見て、その考え方が180度変わった。「宝塚は、本気の集団だ」と。今回の吉村貫一郎も、トップスターが演じるには決して魅力的な男ではない。寧ろ、周りからは「田舎侍」だ「守銭奴」だと見下され、それでもなりふり構わず金を得ようとする無様な役柄だ。しかし、望海の嘘の無い真っ直ぐな芝居を見て、貫一郎の生き様を笑う者はいないだろう。(その一方で、剣を抜いた時の只ならぬ殺気もリアルで、それが余計に彼の強さを際立たせる)そんな僕にとって、望海風斗は「歌の人」ではなく、紛れもなく「芝居の人」だ。何しろ、制作発表会での表情一つで、僕に劇中の台詞を想起させ、結末まで予感させたのだから。「芝居ができて、尚且つ驚くほど歌も上手い」というのが、僕の彼女に対する評価だ。望海風斗は、いつでも僕を本気にさせる表現者なのだ。ありがとう!!次回は、他のキャストの感想と、雪組に対する僕の率直な印象を書いてみたい。(多少、厳しい事も書くので、先に断っておく)因みに、僕が雪組の感想を2回以上に分けて書くのは、これが初めてだ。その辺りからも、僕が今回の芝居をかなり気に入っている事を察してもらえたら、と思う。
2019.06.14
うーむ、これは素晴らしい。今、雪組でレボリューションが起きている。初日舞台映像でも、画面から伝わって来る組子達の熱量が以前より増しているのを感じたが、これは本物だ。望海風斗の下で、若手が確実に成長し、個性を身に付けている証拠だろう。例えば、前トップスターの早霧せいなは、大劇場主演作が5作連続で稼働率100%超えという偉業を達成した。しかし、北翔海莉や明日海りお達と比べて、彼女の何がどう秀でていたのかと問われると、僕には答えられない。他の歴代トップと何が違ったのか…。そういう意味では、「分かり難い」実力と魅力を持ったトップだったように思う。それに対して、望海風斗は「分かり易い」上手さを持ったトップだ。好きか嫌いかは別として、誰が観ても、誰が聴いても、明らかに「上手い」と言える技量を彼女は持っている。その分かり易さが、若手の良い手本になっているのではないか。望海風斗を見習えば、自然に実力が身に付く。そんな状況が、今の雪組で起きているのではないか、という気がした。今回、それを最も感じたのが、朝美絢だ。斎藤一を演じた朝美は、役柄的に望海と絡む場面が誰よりも多い。直に望海の上手さに触れる事によって、朝美のポテンシャルが一気に開花したように感じる。朝美だけではない。永久輝せあや綾凰華、縣千を中心とした若手も押し出しが強くなり、存在感を増している。約1年半前、【ひかりふる路(みち)】の感想で僕は「若手をほとんど判別できない…」と書いたが、もうその心配は無さそうだ。ようやく、僕が観たかった雪組が出来上がってきた。もっともっと望海風斗から学び、盗み、成長して欲しい。だいもん、お願いだから、まだ辞めるなんて言わないでくれよ!!次回の観劇は、25日(火)。それまで、順次に感想を書いて行きたいと思う。ありがとう!!
2019.06.11
大阪での放送はまだ10日も先だが、関東で放送されたARIが出演した回の【カフェブレイク】が既にネットに上がっており、我慢できずに観てしまった(笑)。(ちゃんとした感想は、テレビ放送を観てから書こうと思う)そして、ここで再び「奇跡」が起こる…。それは、『ジェンヌがジェンヌをプロデュース』のコーナーを観ていた時だった。 「こっちにおいで」おいでたぁああああいッ!!! (((o( *`Д´)O))))ラッ!!?o( *☆Д☆)Oビビッカァアアアアッ!!!ARIに会いたい気持ちが昂(たかぶ)り過ぎて、未知の領域のスイッチでも入ったのだろうか。次の瞬間、僕の脳内を電流が駆け巡り、眠っていたニューロン達が一斉に雄叫びを上げながら、フル回転を始めた。どこかで、「ぼ~ッと生きてんじゃねぇよッ!!」という声がした。そして、僕はある事に気付く。「そう言えば、梅田芸術劇場の公演って、18時からの上演もあったよな…?」そう思って調べてみると、確かに18時30分開演の舞台があった。その時間なら、場所は梅田だし、17時30分過ぎに家を出ても充分に間に合う。シャワーを浴びる時間などを考えて逆算すると、店を出る目安は16時30分。月曜日なら仕込みが無いので、片付けの目処さえ立てば、後はどうにかなる。おいでられるやん!!?(=´∀`)人(´∀`=)という訳で、遅ればせながら、僕も7月29日(月)の【ON THE TOWN】を観に行ける事になった。23日(火)と8月6日(火)は星組観劇なので3週連続になってしまうが、鳳月杏とARIが初共演する舞台なのだし、これ位の無理は気力で乗り越えなければならない。(まあ、実際に乗り越えられるかどうかは、別の話だが…笑)期せずして何かを発見したり、思わぬ幸運に巡り会う事(及びそうした能力)を「セレンディピティ (serendipity)」と言うが、今回の気付きは正にそんな感じだった。馬鹿な僕を気遣って、神様が気付かせてくれたのだろう。(「このままやと『奇跡起こした』事になれへんしなぁ…」とでも思ったのだろうか…笑)しかし、この場合は、寧ろARIに至高のパスを出した月城かなとに感謝すべきか。そして、それを受けて、僕の心に奇跡のシュートを決めたARIにも感謝だ。2人の見事な連携プレーが無ければ、僕はきっと今も何も気付かぬまま、観劇を諦めていただろう。ありがとう!!
2019.06.06
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