仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2005.09.08
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カテゴリ: 雑感
 3日くらい前、小学三年の娘に聞かれた。「身近」のふりがなは「みぢか」でいいの? お父さんとしては、「近い」という言葉に点々つけたのだから、「ち」に点々で「みぢか」でいいんだよ、でも学校では「みじか」でもいいと教えているかもね、と曖昧な答えになってしまった。
 正しい日本語表記のルールはどうなのだろうか。たしか小学校の頃に教わったのでは、濁点をとって発音してみて「チ」なのか「シ」なのか、による。例えば、「鼻血」は濁点を取れば「チ(血)」だから、「はなぢ」。「地震」は濁点を取れば「チ(地)」だから「ぢしん」、という風に。
 同様に、「ズ」と「ヅ」についても、濁点を取ってみて判別する。例えば、「合図」は濁点を取って「アイツ」より「アイス」が素直だから、「あいず」。「三日月」は、濁点を取って「ツキ(月)」だから、「みかづき」。
 でも、これで正しいのだろうか。今でもこう教えているのだろうか。「はなじ」や「じしん」でも良いようにも思えるし。

 調べました。
 「現代仮名遣い」(昭和61年内閣告示第1号)というのがある。公用文はもちろんこれに準拠。学習指導要領にはこの告示に準拠せよとは書かれていないようだが、教科用図書検定基準には告示に従うよう定められているので、学校でもこれを教えることになっているのだろう。以下に関連部分を引用。なお、音韻通りに「じ」「ず」が原則とした上で、特定の表記慣習を尊重する一環として記されている。長くなるので、例示は数語を残して省略した。
------------
次のような語は,「ぢ」「づ」を用いて書く。
(1)同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」
  例 ちぢみ(縮) ちぢむ ちぢれる ちぢこまる
  〔注意〕 「いちじく」「いちじるしい」は,この例にあたらない。
(2)二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」
  例 はなぢ(鼻血) そこぢから(底力) まぢか(間近) みかづき(三日月)
 なお,次のような語については,現代語の意識では一般に二語に分解しにくいもの等として,それぞれ「じ」「ず」を用いて書くことを本則とし,「せかいぢゅう」「いなづま」のように「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする。
 例 せかいじゅう(世界中) ひとりずつ ゆうずう(融通)
〔注意〕 次のような語の中の「じ」「ず」は,漢字の音読みでもともと濁って
   いるものであって,上記(1),(2)のいずれにもあたらず,「じ」「ず」
   を用いて書く。
  例 じめん(地面) ぬのじ(布地)
    ずが(図画) りゃくず(略図)
------------

 要は、原則は「じ」「ず」で、例外は、二語連合の場合と同音連呼の場合だけ、ということである。
 これによると、「はなぢ」や「みかづき」はそれで正しいが、地震は「じしん」が正解となる。引用した最後の部分の〔注意〕では、「地面」「布地」について、もともと濁っているから、という説明だ。もともとは濁っていない(土地はトチと読む。)ように思うのだが。多分、「チ」という音は、「音読み」ではない、訓読みだ、という理由なのだろう。なるほどと思う半面、ちょっと腑に落ちない。慣れのせいか。
 念のため国語辞典を見たら、やっぱり「ぢしん」では記載がない。
 娘の質問に対しては、「みぢか」で正解となる。ただし、教え方は、

いいか娘よ、「近いという言葉に点々だから...」ではなく、原則として発音通り「じ」と表記すべきところ、内閣府告示に従い、例外として認められている二語連合の場合に該当するから、「みぢか」と表記することになるのだぞ。わかったな。

と教え諭すのが正しいと言うことになるのか。あほらしい。「みぢか」と書くものなのだ、というしかない。昔の先生も便法的に教えてくれたのだろう。
 ただ、「地震」が「じしん」と書くというは、頭では理解しても、どうも気になる。ネットでいろんな人の意見を見ると、もともと歴史的には「ぢしん」と書いたもので、「ぢ」の音読みも存在しており、これが戦後になって「じしん」とされたとの指摘がある。我が小学校の先生は、なるほど戦前生まれ。国語の簡素化という流れで、音韻通りの表記の原則を優先したのだろうか。簡素化はいいんだけど、言葉は文化。多様性が削がれるようで少し悲しくもある。

 固有名詞はどうだろうか。
 私は毎日電車で通勤している電車男。JR東日本さんにこれまで数十万円支払っている。最近電車の中の広告に、会津地方の郷愁を誘うものが目につく。よく見ると、「あいづデスティネーションキャンペーン」と書かれており、JRと福島県の共同企画なのだろうか。
 ここで問題にしたいのは「あいづ」という表記。やっぱり「あいず」ではないのだ。ちなみに会津若松市の市政だよりも、やっぱり「あいづわかまつ市政だより」。内閣府告示だと二語連合で例外ということになろう。
 東北で他には、のへじ(野辺地町)、しづがわ(志津川町、もうすぐ南三陸町)、いずみざき(泉崎村)、しずくいし(雫石町)など、全て告示通り。役所だから当然か。

 わがサイト名は「おだずまジャーナル」で、自分的には由緒ある名前なのだが、「ず」で良いのか、「づ」でないのか。自分でもよく解らない。





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最終更新日  2005.09.09 05:33:23
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