仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2009.10.13
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カテゴリ: 東北
数ヶ月前のことだが、運転中のラジオ放送で、思わずエ~ッと大声を上げてハンドルを離しそうになったことがある。最新の大学事情を紹介する番組だったと思うが、現在我が国には大学が800校近くもあるというのだ。何の根拠もないが、多分300前後、多くても400くらいかと想像していたので、ブッタマゲてしまった。

平成21年度学校基本調査によれば、大学は773校となっている。国立86、公立92、私立595という数字だ。10年前が622校だが、今なお毎年増加の一途にある。ちなみに、昭和30年は228校(私立122)、同40年317校(209)、同50年420校(305)、同60年460校(331)であり、いかに急増してきたかがわかる。私立の増加が目立つが、公立大学も近年増加しており、昭和30年と同60年の両時点は同じく34校だったのが、平成11年には66校、平成21年度には92校まで増加している。

少子化時代にここまで数が増えるとなると、やはり「乱立」と言わねばなるまい。

石渡嶺司『最高学府はバカだらけ 全入時代の大学「崖っぷち」事情』(光文社、2007年)によると、大学乱立の理由は主に3つに集約される。

(1)短大の昇格

女子の事務職就職や花嫁修業のルートだった短大が凋落し、4年制転換を図った。しかし、短大昇格組の大学は苦戦している。

(2)自治体の見栄

過疎化の歯止めや若者定着のため、地方に大学を作るという単純な発想。見通しの甘さから経営も苦難。

(3)学校経営者の見栄

中学、高校、専門学校などを持っている経営者でも、コンプレックスから大学を持ちたがる。そして、既存学校で得た利益を大学新設につぎ込み、苦戦する。

そして、これらの理由で乱造された大学は、生き残るために、ユニークな教育内容などで差別化しようと努力し、あるいはAO入試で事実上無差別に入学させるなど受験生に安易に迎合する、と同書は指摘している。

たしかに、単純に考えて何故にこんなに大学が増えるのかは、理解に苦しむ。同書が挙げる事情があるとしても、文部科学省は一体どう考えているのだろうか。

極めて重要な問題なのだが、高等教育政策はさておいて、今回は上掲書が紹介する大学の「努力」の事例で、東北関係分を拾ってみた。

イメージを良くするための珍名・奇名大学の格好の例として、秋田にあるノースアジア大学が引用されている。岡山にある「環太平洋大学」と一緒に紹介されている。また別の章では、大分の立命館アジア太平洋大の命名を批判した後に、環太平洋大とノースアジア大について、命名をこき下ろす。
なお、宮城大の「事業構想学部」「食産業学部」のネーミングには賛否両論、と紹介される。また、東北工業大のライフデザイン学部安全安心生活デザイン学科を珍名といわんばかりに紹介。
また、東北からちょっと外れるが、栃木県の宇都宮共和大(前那須大学)の校名やシティライフ学部の名を紹介している。学部名は1970年には70しかなかったのが、今は400もあるという。文部科学省の基準の緩和も影響しているようだが、相当に多様化しているのだろう。

■関連する過去の記事  ノースアジア大学 (06年12月13日)





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最終更新日  2009.10.13 23:05:23
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